#146 迫る学園祭で自分アピール? 生産隊長立候補!
本日は日曜日ということで3話更新!
1話目!
つい〈スラリポマラソン〉に夢中になっちゃったけど、ゼフィルス君から頼まれたことはちゃんとこなします。
だってそれが上級職にしてもらえたお礼だもんね!
というわけで、頼まれていた〈霧払い玉〉というアイテムを量産してゼフィルス君に渡しました。たっくさん作ったからゼフィルス君もとっても喜んでいました。
それがあんなことになるとは、もうゼフィルス君、最初に言ってよね!
「学園祭が迫って参りましたわね」
アルストリアさんが〈生徒会室〉のカレンダーを見て言いました。
少し長くなりますが、〈迷宮学園・本校〉には学園祭という催しがあって学外からたっくさんのお客さんを学園に招いてお祭りする行事があるのです。
クラス、またはギルドで出し物とかして、学園のお祭りに参加したりするんです。
私もクラスの出し物とかに参加したいなぁと思っていたのですが、私にはそれよりも重要なことがあったのでした。
「ハンナちゃん! 〈生徒会〉メンバー最後の行事だよ! 頑張って思い出残そうね!」
「はい?」
ミーア先輩が私を胸に抱きしめてなでなで&顔をスリスリこすりつけながら言った言葉に私は思わず疑問で返して仕舞いました。
「ん? ありゃ? もしかしてハンナちゃん、ご存じない?」
「何がですミーア先輩?」
「そりゃもちろん3年生の引退だよ」
「「ええ!?」」
一緒に居たシレイアさんと私の声がハモりました。
その話、全然知らないですよ!?
「わたくしは知っておりましたわ」
知らなかったのはどうやら私たちだけのようでした。
だって上級職になって忙しかったんだもん!
「うーん、説明するとね。この学園祭って学園行事の最後の締めみたいな位置なのよ。これ終わったら2学期の期末テスト期間に突入して、それが終わったら冬休み。3学期は3年生が就活に追われるから学園行事は無いの。だから3年生最後の行事にして思いで作りが学園祭で、これが終われば〈生徒会〉は肩の荷を降ろすことが出来て、ぶっちゃけやることないから3年生は引退で脱退の流れになるってわけね」
「最後すっごくあっさりしてました!」
「省略しすぎ、です!?」
「まあまあ、でも分かったでしょ?」
「それはまあ、はいです」
「です」
「補足いたしますと、3年生が脱退するのは3学期ですわ。それほど急な話ではありませんので安心してくださいまし」
ミーア先輩とアルストリアさんの言葉に私とシレイアさんは頷きます。
「それで私たちが学園祭でやらなくちゃいけないことの一つが、自身のアピールなのよ」
「「アピールです?」」
今度はシレイアさんと一緒に首を傾げました。
「まあ、これは生産隊長への立候補者だけの話になるんだけどね」
「生産隊長!?」
「立候補です!?」
「つまり現生産隊長のローダ先輩が引退するから来年の生産隊長を決めようねって話ね。もちろん実力主義に反せず立候補者からの投票になるわ」
ローダ先輩は確か代理だったような気がしましたが、気のせいでしたっけ?
ミーア先輩の中で不在の期間が長かったムファサ先輩の存在が消えていました。
「えっと、つまり投票アピールの場というわけですか。え? ミーア先輩が立候補するのですか?」
「ちょっと負けられない事情があるのよ」
意外です。
こんなこと言っては失礼なので黙っていますが、ミーア先輩は生産隊長とかならないと思っていました。その事情というのがちょっと気になります。
「事情とはなんですの?」
あ、アルストリアさんも気になっていたようです。
「簡潔に言うと、あのベルウィンが立候補してるのよ。生産隊長に」
「?」
シレイアさんが首を傾げたのが横目で見えました。
多分、ベルウィンって誰だろうと考えているに違いありません。
「べ、ベルウィン先輩って副隊長の方ですよね。〈キングアブソリュート〉と上級ダンジョンに挑んだ」
「!」
私が説明口調で言うとシレイアさん、無事に思い出してくれたようです。
そう、私もあまり会った記憶はないのですが、ベルウィン先輩はムファサ先輩の補佐をしていた副隊長さんです。順当に行けばベルウィン先輩が生徒会の隊長になるのは当然という気がするのですが、ミーア先輩的には異議有りみたいです。
「だってベルウィンってば全然〈生徒会〉の仕事をしてないのよ! あいつがしなかった仕事をいくつ私がしたと思うの! もう数えるのも嫌になっちゃうくらい大量の紙の山に囲まれたのは一度や二度じゃないわ! 絶対にベルウィンを生産隊長になんてさせないんだから!」
「あ、あの、それは私怨――」
「シレイアちゃんは私の味方だよね!」
「は、はい!」
ああ、シレイアさんが説き伏せられてしまいました。
でも、私たちもよく知らないベルウィン先輩が生産隊長になるくらいならミーア先輩になってほしいなぁとは思っちゃいます。
「わたくしもミーア先輩の味方ですわ」
「私もです」
「アーちゃん、ハンナちゃん!」
ミーア先輩が感激して目を潤ませます。
大丈夫です。私たちはミーア先輩の味方ですよ。
ベルウィン先輩はその、よく知らないのでごめんなさいです。
「よーし、今回の〈生徒会〉の出し物、頑張るわよ! そして私の名を売って売って売りまくるの! そして生産隊長になって、今度は私がベルウィンを紙の山に沈めてやるのよ!」
ミーア先輩、相当溜まっている様子です。
どう見ても私怨、ではあるのですが、私たちも頑張ってミーア先輩を応援することに決めたのでした。
あ、でもその前に学園祭最後っていうローダ先輩やフラーラ先輩、チエ先輩にも何かしてあげたいです。
何がいいでしょうか?




