#140 上級装備を作り終わって一休みのスラリポ!
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上級装備が完成して、準備は万端です。ゼフィルス君たちはとうとう上級ダンジョンに挑む事になりました。
少し心配です。無事に帰ってきてくれるよね?
「兄さんたちにはさっさと上級素材をゲットしてくれへんと、こんなにレシピあんのに生殺しやで」
マリー先輩がゼフィルス君が採ってきたレシピ全集を見て唸っていました。
マリー先輩的にはあまりゼフィルス君の心配はしていない様子です。むしろ行ってこいって背中を蹴飛ばす勢いでした。
きっとたくさん肝を取られて荒れているんだと思います。
「ああ~。こんな上級レシピあんのになんでなん? 上級素材が全然足りないわぁ」
「それは全部使っちゃったからですよマリー先輩」
「こんなことなら少しは残しておけば、いや、そんなことしたらあそこまでの装備は完成しなかったし、難しいなぁ~」
元々マリー先輩が依頼して納品してもらっていた上級素材、全部使ってしまいましたからね。
ゼフィルス君がまさかレシピ全集を持ってくるとは予想外でした、しかも3枚も。
やっぱりゼフィルス君はゼフィルス君です。
そのうち今ある素材では1種類しか作製出来ませんでした。
ゼフィルス君の依頼に沿い〈勇銀装備シリーズ〉の他にシエラさん用の〈聖盾光鎧シリーズ全集〉を作製したところまでは良かったのですが、そこで素材が尽きました。
よってマリー先輩は目の前に上級レシピがあるのにも関わらずじだんだを踏んでいる訳です。
私はそれなりに満足していますけどね。シエラさんの装備を作った時なんてギルドメンバーの前で発表したから囲まれて大変だったんです。
みんな褒めてくれたのはとても嬉しかったですが、お腹いっぱいです。
「はぁ、〈キングアブソリュート〉もちょっと今上手くいってないみたいやし、素材の供給は無し、しばらく上級素材作製はお預けかいな~」
「大丈夫ですよ。ゼフィルス君ならきっと素材を持って来てくれます」
「……せやなぁ。兄さんやからなぁ」
マリー先輩のゼフィルス君に対する信頼が厚いですね。方向性には目を瞑りますが。
大仕事が終わったので〈エデン〉のギルドハウスの錬金工房に戻ってきました。
そこで私はメイちゃん(3世)を片手に持ち、大量に設置された〈巨大錬金釜〉の前に立ちます。
ノルマも終わったので、スラリポのお時間ですね。
「『錬金』!」
私がスキルを発動すると10個ある〈巨大錬金釜〉が光りを放ち、続いてにゅるにゅるとスライムが出てきます。それを私はメイちゃん(3世)で薙払います。
「えーい――『スイング』!」
横薙ぎに振るわれたメイちゃん(3世)によってスライムが一気に10匹くらい光になりました。
うん。たくさん魔石が落ちました!
「やあ――『なぎ払い』! 『連打』!」
どんどん這い出てくるスライムをじゃんじゃん薙払っていきます。
全て一撃です。
そして這い出てこなくなると〈スライムゼリー〉と〈泥水〉を流して、
「『錬金』!」
これを繰り返します。
全ては魔石を出すためです。
実は今、〈エデン〉では魔石が減り続けるという非常事態に見舞われています。
原因は消費量が増えたからです。
中級ダンジョンを周回するには、それなりの〈MPハイポーション〉が必要でした。
それを1本作るのに、〈魔石(極小)〉は8個も必要なのです。スライム16匹分ですね。
加えて、先日〈エデン店〉がオープンしてポーションの売れ行きが非常に順調というのがあります。
なぜか私の作る〈ポーション〉は学生からの信頼が厚く、みなさん大量に買っていくんです。
作るのはそんなに時間は掛からないのですが、〈魔石〉の量は減る一方です。
まだまだまだまだ在庫に余裕はありますが、このままではいずれ尽きてしまいます。
ゼフィルス君に相談しておかないとですね。
そんなこんなで〈魔石〉補充のためスラリポマラソンをやっていると、ゼフィルス君が帰ってきました。しかも一直線に2階に上ってくる足音、今2階って私しか居ないよ!
スラリポマラソンをしてたから、汗もしっとりだし、大変!
私はすぐに〈スッキリン〉を使用して体を消臭します。すっきりです!
それが終わるのとゼフィルス君が工房をノックしたのは同時でした。セーフです。
「ハンナ! ただいま!」
「ゼフィルス君? お帰りなさい。早かったね。ご飯にする?」
慌てすぎてここが工房ということを忘れた発言をしてしまいました。
うう、間違えました。ちょっと恥ずかしいこと言っちゃったかも。
でも私の羞恥心は、ゼフィルス君の一言で霧散しました。
「ご飯は惹かれるけどちょっと後回しだ。上級素材をたくさんゲットしたから持ってきた」
「わぁ! すごいいっぱいある!?」
〈空間収納鞄〉をひっくり返すゼフィルス君。そしてジャララララァと作業台に山積みになる素材。
今日ゼフィルス君は上級ダンジョンに初入ダンしてきたはずです。
ということは、これって全部上級素材!?
私は目をキラキラさせて作業台へと飛びつきました。
「ね、ね、ゼフィルス君ゼフィルス君、これ全部使っちゃっていいの!?」
「おっと待て待て、まずはカルアとラナとエステルの装備用の真素材作製が先だ。あと回復薬な。そしたら自由に使っちゃって良いぞ。あと鉱石系はアルルに渡しといてくれ」
「やったぁ! 任せてよ!」
「後ハンナにはこれを作ってほしい。というか量産してほしい。なるべくたくさんだ」
そう言ってゼフィルス君が私の前に置いたのは、〈転移水晶〉と書かれたレシピでした。
わ! またゼフィルス君、新しいレシピ採って来ちゃった!




