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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第四章 ハンナの大変化する日常編!

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#136 〈エデン〉連日大盛況とセルマ先輩の懇願。

 前書き失礼いたします。

 祝日記念!?

〈ダン活〉小説7巻の〈祝〉売れ行き好調を願って、

 本日6話投稿!

 お楽しみください!




〈エデン店〉が大盛況です。

 アルルちゃんの商品は連日完売し、落ち着いていた私たちのポーションも一気に売上げが上がりました。

 マリアさんがとても良い笑顔でそれを捌いていましたよ。〈エデン店〉の売上げが上がれば上がるほどマリアさんやメリーナ先輩、サトル君のお給金も上がりますからね。


 上級装備の値段、一つ一つがとんでもない金額なハズなのに連日完売するんです。

 もうなんて言ったら良いのか分かりませんでした。

 今日もマリアさんが良い笑顔で棚にアルルちゃんの上級装備を並べます。


「今日の上級装備は9点ですね。朝に5点、昼に2点、夕方に2点並べましょう。朝が狙い目だと思わせるのよ」


 アルルちゃんの武器製作速度は私ほど早くはありません。何しろ武器ですからね。

 何度かアルルちゃんの武器作製に立ち会わせていただいた、というか一緒に武器を相槌(あいづち)しましたけど、1本作るのに30分~2時間くらい掛かります。

 錬金なら1万本作るのに1時間くらいなのでその差が歴然だというのが分かりますね。


 そうして出来上がる武器は休みの日なら1日に大体7本~12本だそうです。

 今は貯めておいた上級武器も少しずつ放出して、売る本数を調整しているらしいですよ。


「売り切れは良いけれど在庫切れは絶対にしてはいけないわ。毎日補充する店と思わせることが大切なの」だとマリアさんは言っていました。

 しょ、商売上手です。


 とはいえ毎日それが続けられる訳ではありません。私たちは学生ですからね。

 学生の本分は勉強です。

 なので、平日は朝のお店を閉じています。

 学園のある日のオープンは16時からですね。


 というわけで、学園で勉強です。

 朝、教室に入ってアルストリアさんとシレイアさんに挨拶したところ、セルマさんが私の席までやってきました。


「お願いしますハンナさん、いえハンナ様。どうか私を〈エデン店〉で雇ってください」


「えっと」


 深々。

 頭を下げてお願いというよりすでに懇願の域に達してそうな勢いでセルマさんはそう言いました。

 いえ、そのまま足を着こうとしています。土下座!?


「せ、セルマさん、頭を上げてください。あとハンナ様もやめてください」


「じゃ、じゃあハンナさん、私を〈エデン店〉で雇ってくれるの!?」


「それはえっと」


 顔だけ上げたセルマさんの答えに躓きました。

〈エデン店〉は今大盛況です。

 従業員の数には、確かに不安があるかもしれません。

 しかし、大盛況ということは下手な人員は置けないという意味にもなります。


 そもそも〈エデン〉の加入者、〈助っ人〉などの人事はセレスタンさんの分野なので私は口を挟めません。


 言葉に詰まった所、私の手をぐわしと掴んだセルマさん。そのままお祈りするかのようなポーズを取り、うるうるとした目で見上げてきました。


「お願いハンナさん。私、どうしても〈エデン店〉で働いて見たいの。せっかく【闇錬金術師】に就いたのだからもっと目を肥やしたいのよ(うるうる)」


「そう言われてもですね」


 私は引きつった笑いしか出来ません。

 なんだか圧がすごいですよ!?

 セルマさんって何者ですか!?


 とそこへアルストリアさんがやってきてセルマさんを(いさ)めてくれました。


「そこまでですわセルマさん。ハンナさんが困っていますわよ」


「あ、ハンナさんごめんなさい」


「い、いいえ。そんな真剣に〈エデン〉のことを買ってくれて嬉しかったですから」


 アルストリアさんの言葉でようやく圧が消えました。

 素直に謝るセルマ先輩に笑顔で答えます。笑顔が少し引きつってしまったかもしれません。


「アルストリアさんもシレイアさんも、ハンナさんと〈エデン店〉で働いているのよね?」


「そうですわね。私たちは最初からパーティを組んでいましたから、今はパーティごと〈エデン〉にお世話になっているのですわ」


「そうなんだ、パーティの募集とかってまだやってるのかな?」


「すでに〈エデン〉とも関わり合いが深いですからね。私の一存では決められませんわ」


「なるほど~(く~、なんで私は【錬金術師】と先輩という特性を活かしてハンナさんのパーティに入らなかったのかしら!)」


「あの、セルマさん、〈エデン〉で人事をしていますセレスタンさんにも聞いてみますね。パーティ加入は、もうちょっと相手を知ってからということで」


「ええ。ありがとうハンナさん。検討して貰えただけでも嬉しいわ(これは、望み薄かしら。微笑みのセレスタンには不合格を言い渡されたことあるし。ハンナさんに取り入ってそのまま勢いで加入する作戦は失敗ね)」


 セルマさんはそう言って席に戻っていきました。


 セルマさんの職業(ジョブ)は【闇錬金術師】。

 普通の【錬金術師】では作れないような〈闇属性〉系統に強く、またゴーレムやホムンクルスなども作る事が可能らしいです。

 同じ【闇錬金術師】は〈生徒会〉の隊長代理のローダ先輩しか学園にいません。

 貴重な職業(ジョブ)です。


 ゼフィルス君なら【闇錬金術師】の活かし方もきっと知っているに違いありません。

 だってゼフィルス君ですもん。


 セルマさんはちょっと勢いが強い所はありますが、〈エデン〉のことにとても興味がある様子なのでセレスタンさんに聞いてみましょう。約束ですしね。


 そしてその日の放課後、セレスタンさんから返ってきた書類には「不合格」の文字が書かれていたのでした。


 …………あれ?





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[一言] 滲み出る、というか間欠泉の様に噴出する下心のせいで「ペンキ塗り立て」「触れるな危険」扱いの闇錬金さん。 彼女の幸せは何処に?
[良い点] そうだよねー、闇錬金さんがハンナ側からエデン入りを画策してもおかしくなかったので、こうしてEXで書かれてスッキリしましたよ。 外面がいい人なので、潔く撤退したのはエライ!と思いました。掲示…
[良い点] ハンナちゃんストーリーは、ゼフィルスの事を言えない天然なハンナがとても面白いです( ̄∇ ̄) [気になる点] ハンナ様「錬金なら1万本作るのに1時間くらいなのでその差が歴然だというのが分かり…
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