#120 〈錬金術課1年生〉チーム対抗戦! 開始!
「さあ始まりましたー! クラス対抗戦も二日目! 本日ここでは〈錬金術課1年生〉の部が行なわれまーす!」
「「「「わーわーわー!」」」」
「おお! すごい熱狂! 凄まじい観客数! 今まで〈錬金術課〉の対抗戦でここまで人が詰めかけた事があったでしょうか!? 立ち見客まで出ております! しかし、それもそのはず、今回の〈錬金術課1年生〉は注目度極大! なぜならあの子が登場するからですね!」
「「「「ハンナ様! ハンナ様!」」」」
「おおおっと! 本人がまだ登場していないのにここでハンナ様コールだー! 凄まじい人気ぶりです! しかし、この観客数の正体はそれだけではありません! 公式学園ギルドである〈生徒会〉! そのメンバーに選ばれた人物が3人も登場し、さらには3人とも個人出場で争うからだーー! これは見逃せないぞーー!!」
「「「「おーいえーす! おーいえーす!」」」」
な、なぜか会場からもの凄い盛り上がりが聞こえてきます。
そして聞こえてはいけない何かまで一緒に聞こえた気がしました! きっと気のせいのハズです。
「相変わらず、ハンナさんは人気ですわね」
「しゅごいです」
「シレイアさんまで、そんなキラキラした目で見つめないでください!?」
どうしましょう。気のせいでは無かったです。急に震えが出てきました。
これは何震いと言うのでしょうか?
「さあーーてお待ちかね! 会場が暖まったところで選手たちの入場でーす!」
司会者さんは会場を温めすぎだと思います!
そんな心のツッコミですが、当然届かず、アルストリアさんとシレイアさんに手を繋がれ、私は重い足取りで会場入りしました。
「「「「うおーー!!」」」」
「「「「尊いーー!!」」」」
3人で手を繋いで入場すると、会場が震えるほどの大歓声が。
いったいどうしたのですか!?
「これは素晴らしい! 可愛い美少女が揃って手を繋いでの登場で会場の熱がさらに深まっていまーす!」
ど、どうやら手を繋いでの入場が盛り上がった原因みたいでした。
どうしてかパフォーマンスの一種と捉えられているようです。
「さあ、見ての通り、〈生徒会〉所属の3人は大の仲良し! しかし、今回は敵同士です! クラスの対抗戦であれば引き裂かれずに済んだこの状況! クラスが〈1組〉しかない弊害だーー! 錬金術に興味がある方は是非〈錬金術課〉へ! そしてクラス数を増やして上げてね!」
せ、宣伝しています!?
確かに【錬金術師】はとっても役に立つのに人材不足です。
ゼフィルス君はダンジョン攻略に【錬金術師】は必須って言っていますもんね。
ですが、周りのギルドでは〈エデン〉のように【錬金術師】をギルドに入れている所は無かったはずです。
これは【錬金術師】がどれほど役に立つかというのが認識されていないからだと思います。
私たちがここで良いところを魅せれば、確かに【錬金術師】の数が増えるかもしれませんね。
が、頑張らないと。いえ、すでに作品は提出した後なのですが。
「ではでは早速自己紹介行ってみましょうか! まずは審査員の方々から~」
審査員は5人です。〈調理課〉の時のように無理をしなくても良いので最低人数だけが来ているみたいですね。いえ、〈調理課〉が特殊なのですが。
それはともかくです。
審査員の方々の次は私たちの番です。
司会者の、ちょっと薄着のお姉さんからマイクを受け取って自己紹介しました。
「〈錬金術課1年1組〉のハンナです。一生懸命頑張ります!」
「シャッハー!」
「ハンナ様―!」
「かーわーいー!」
「頑張ってハンナ様―!」
私が自己紹介すると、会場がとても盛り上がります。
なんで私がこんなに人気者なのか、未だに自分でも分かりません。
ですが、期待には応えたいです。
私は震える膝に力を入れて、奮い立たせました。
その後、〈1組〉ナンバーツーであるアルストリアさん、スリーのシレイアさんと個人出場者が続き、残り7チームが団体出場になります。計10チームですね。
「では自己紹介も終わったところで、早速〈総評価〉に行ってみましょう! さあ、ハンナちゃんの最初の作品は~、これだぁ!」
その時です、観客席から50点の表示が出ました。
「ちょっとちょっと観客席の方々! 早いよ! まだ作品出したばかりだからね! どんだけ連打しているの!」
ポイントは、作品を出したタイミングからできるようになるらしく、みんなが出待ちしていたのか、まだ作品が何か紹介されてもいないのにポイントが付きました。しかも最高得点です!? いったい何が!?
「お、俺とした事が焦っちまったぜ」
「でも分かる」
「むしろ作品よりハンナ様にポイントをあげたい」
「分かる」
「こらこら分かっちゃダメだぞ! これは〈作品コンテスト〉なんだから作品に点数点けなさい! ということで、今点数を付けた人たちはチェンジで!」
「ちょ、そんな横暴な!?」
「待って! もうちょっとハンナ様に点を点けさせて!?」
「1回だけなんてあんまりだー!?」
観客席の方が騒ぎになりました。〈秩序風紀委員会〉の方々、今日もお疲れ様です。
私は観客さんから投票装置を取り上げている〈秩序風紀委員会〉の方々に密かにエールを送りました。
「さてさて脱線しましたが、審査員の方々~、ん? あれ? どうしたんですか審査員?」
「こ、これは! これは!?」
「まさか!? ほ、本物!?」
「誰か! 『鑑定LV7』の付いたアイテムを持ってこい!」
審査員の方々がざわめいていました。その様子が伝播したのでしょうか、観客席のざわめきが少なくなります。
慌てた教員の方々が急いで〈解るクン〉でしょうか。それを持って審査員の方々に配りました。
「ま、間違いない! これは上級のギルド設置型アイテム、〈ホラーパンプキン〉だと!?」
「素材を口に入れておくといつの間にか〈闇属性〉が付与されるというあの!?」
そうです。
私がまず最初に選んだのは、ギルド設置型アイテム。
カボチャさんに顔が描かれていて、その口に何か素材を入れておくと〈闇属性〉や〈呪い〉系、〈恐怖〉系のカテゴリーを付与してくれて、生産の幅を増やせる良アイテム。
――――〈ホラーパンプキン〉です。




