#110 クラス対抗戦開会式! 生産専攻は、戦場です。
クラス対抗戦1日目。
とうとうこの日がやってきました。
今日から約1週間続く大きなイベント、クラス対抗戦です。
「ハンナさん、お待たせいたしましたわ。おはようございます」
「は、ハンナ様、お疲れさま、でしゅ!」
「アルストリアさん、シレイアさん、おはようございます。シレイアさん多分お疲れ様は早いと思いますよ?」
「はうっ」
今日は13時から〈錬金術課2年生〉のクラス対抗戦があるので、アルストリアさんとシレイアさんと見学するのです。
とはいえまだ朝の時間帯なのでもう少し先になりますが、他のクラス対抗戦も見たいのでこうして待ち合わせをしていました。
シレイアさんはなんだか緊張しているみたいです。多分お疲れになるのはこれからですよ?
「でもアルストリアさんがちょっと遅れるなんて珍しいですね?」
実は約束の時間をほんの少し過ぎていました。
アルストリアさんにしては珍しいです。
「すみませんでしたわ。明日のことで練習していたら、気がついたら時間が」
「そ、それは仕方がありません! わ、私も、です」
「みんなそうですよね。大丈夫ですよ。遅れたと言っても1分程度なんですから」
「そう言ってくださいますと助かりますが、これからは気をつけますわ」
「気をつけます」
アルストリアさんとシレイアさん、私もですが、明日はいよいよ私たちの〈作品コンテスト〉ですからね。私も昨日たくさん錬金しちゃいました。
「では切り替えて行きましょう。そろそろ開会式ですわ」
「はーい」
「はい!」
今日は学園全体でのお祭りのようなイベントなので決まった集合場所は無く、私たちは好きに見学出来ます。
これも今日は私たちが出場者では無いからですね。
また、開会式も自由に受けられます。
会場は学園全体なので放送が使われるのだそうです。
通信装置を使うなんて、凄くハイテクですよね。
私たちはその足でいつも私たちが通っている生産の校舎へと向かいます。
〈錬金術課〉のクラス対抗戦は校舎で行なわれているからです。
ちなみにゼフィルス君のいる〈戦闘課〉はアリーナと呼ばれる大きな会場でやるそうです。
向こうは人数もいるし、盛り上がるんだろうなぁ。
そんなことを考えながら校舎に到着。
そこはカオス空間でした。
「この食材はどこ持っていったらいい!?」
「ちょっと! 〈裁縫課〉にブースにはみ出しているわよ! 回収して!」
「あれ!? 〈空間収納鞄〉1個足りない!? 置いてきちゃった!?」
「痛っ!? だ、誰、こんな所にインゴットなんて落としたの!? 蹴飛ばしちゃったわよ!?」
「それ俺のー!」
「フンヌアアア!! 斬! ふ、またつまらぬ物を――」
「ああああ!? おま、それは試し斬りの木じゃねえ!? 〈木工師課〉用の木材なんだぞ!?」
「え、マジで? 真っ二つにしちゃったんだけど?」
「ちょ、接着剤で、くっつけろ!」
「応っ!」
「誰だこんな所に爆弾なんて置いといた奴は!」
「ねえねえ、私と一緒に爆師しよう?」
「こ、ここここ断ります!」
「お前か!」
この校舎では様々な生産職の人たちが勉学に励んでいます。
そのため会場もまた、〈錬金術課〉だけじゃ無く、多くの生産専攻が準備していました。
「熱気がありますわね」
「そ、そうですね」
「なんだか聞こえちゃいけないことも聞こえたような気がしましたよ?」
校庭にはコンテストのブースがいくつも立ち、それぞれで生産専攻の学生が行き交っています。
作品コンテストは、校舎の中でやるものと外でやるものがあります。
例えば〈調理課〉は中、〈鍛治課〉は外、等ですね。
ちなみに〈錬金術課〉は外のブースで行ないます。〈爆弾〉とかありますからね。
そんなことを考えながら各ブースの様子をチラチラ見ながら進んで行っていた時でした。
学園放送が流れます。
い、いよいよ開会式、クラス対抗戦が始まるのですね。
それまで作業をしていたはずの周りの人たちも手を止め、学園長の声に耳を傾けて――、
「学生諸君、今日は絶好のクラス対抗戦日和じゃ。これより、開会式を始め―――」
「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――!!!!」」」」」
傾けきれませんでした!?
学園長の話の途中でしたがテンションが振り切れた学生さんたちが雄叫びを上げて、放送は聞こえなくなりました。
ぜ、ゼフィルス君のシャウトを思い出す光景です。
「て、テンションが高いです!?」
「お祭りですものね。皆さん仕方ありませんわ」
アルストリアさんは大らかです。
ともかくです。これにて5日間のクラス対抗戦が始まりました。
各ブースに多くの人たちがやってくるのが見えました。
私たちも早く行かないと、良い席が取られてしまいます!
まず行なわれるのが、〈裁縫課2年生〉と〈木工師課2年生〉だそうです。
〈裁縫課2年生〉にはマリー先輩が出ています。
〈錬金術課2年生〉が始まるのは後3時間後なので私たちは最初〈裁縫課2年生〉のブースを見学することにしました。
後書きにカウントダウン告知失礼いたします!
〈ダン活〉小説第03巻の発売まで残り1日です!
よろしくお願いいたします!




