#108 初めての上級錬金(基礎)は〈魔石(大)〉から
「〈魔石(大)〉の作り方は〈魔石(中)〉が二つと〈中和剤〉、〈中和剤〉の種類は何でも良いので二種類を混ぜること。なるほど~」
私は早速〈魔石〉を集め、〈魔石(大)〉の作製に入りました。
まずは材料を揃えます。
〈魔石(中)〉が2個。これ1個で〈魔石(極小)〉が8個使われています。
さらに〈中和剤〉。
〈中和剤〉を作るにも〈魔石(小)〉が2個使われています。
〈魔石(小)〉を作るには〈魔石(極小)〉が2個必要。
つまり〈魔石(大)〉を作るには〈魔石(極小)〉が24個必要というわけですね。
なんだかとんでもない数になって来ました。
〈中和剤〉は黒・赤・黄・緑・紫がありますが、この中から好きな種類を二つ選んでいいようです。
でしたら黒以外にしましょう。黒はコストが高いですからね。
コスト重視で行きますよ。
「錬金起動。調合開始」
私は〈巨大錬金釜〉へ〈魔石〉をとりあえず大量にジャラジャラと入れていきました。
そのまま〈猫の手の錬金棒〉でジャラジャラとかき回していきます。
「まずは〈魔石(極小)〉からですね。『錬金』!」
スキルを使うと〈巨大錬金釜〉がピカッと光り、収まると〈魔石(小)〉や〈魔石(中)〉が釜の中に入っていました。成功ですね。
私は〈魔石(小)〉を取り除いて〈魔石(中)〉だけにすると、そこから2個だけ取り出して別の錬金釜へと入れます。
今回は初めての挑戦なので1個ずつ、確実に作りたいですからね。
「錬金起動。調合開始」
右手で錬金釜をかき回しながら左手で〈赤・中和剤〉と〈緑・中和剤〉を入れていきます。
「手順は簡単だよね。混ぜ混ぜ~、いつもやっているみたいに。――さてここからだね」
私は緊張しながらも、それで錬金棒を乱すことはせず、一定のリズムと流速でかき混ぜながら新しいスキルを発動します。
「そろそろかな。行くよ――『上級錬金』!」
それは私が上級職になって使えるようになった上級スキル。『上級錬金』です。
レシピでは〈魔石(大)〉を作るには『上級錬金』のスキルじゃないとダメなんだそうです。
MPをとっても使います。こんなに使う物なんですね。
これだとあまり回数が使えません。ですが、その分質の良い物が作れるなら問題はありません。いざとなればMPポーションをがぶ飲みしますよ!
『上級錬金』スキルは普通の『錬金』スキルよりもキラキラしたエフェクトが発生するんです。ただピカッと光って終わるだけではありませんでした。
私が「わぁ、綺麗」と呟いているとすぐに光は治まり、錬金釜の中には〈魔石(中)〉よりも大きな〈魔石〉が1個だけ置いてありました。
私はすぐに『鑑定』スキルの付いた〈解るクン〉で見れば。
「あれ? 鑑定不可? あ、上級素材に近いから」
なんてことでしょう私の〈解るクン〉は『鑑定LV6』。
中級までの装備やアイテムなら『鑑定』出来ますが、上級の品を鑑定するにはLV7が必要です。
『鑑定』でLV7なんてほとんどありません。
何しろ中級ダンジョンでドロップするものは『鑑定LV6』で事足りするからです。
『鑑定LV7』が必要なのは中級上位ダンジョンのレアボスくらいですね。
あ、でもそうなると〈エデン〉には今後必要かもしれません。
ゼフィルス君は絶対にレアボス周回するでしょうからね。
そうなると、スキルLVを上げておいても良いと思うのです。
私はゼフィルス君に〈解るクン〉の『鑑定LV』を上げても良いかチャットで打診して〈魔石(大)〉を持ち、〈解るクン〉も持って再びギルドに向かいました。
アイテムなどのスキルは〈スキル強化玉〉というアイテムを使うことでLVを上げることが出来ます。ですがとても貴重な物です。ギルドマスターであるゼフィルス君の許可は必須ですね。
すると、すぐにゼフィルス君からOKのお返事が来ました。
さすがはゼフィルス君です。話がわかります。
ギルド部屋に着くと、そこには誰もいませんでした。
クラス対抗戦の準備のためどこも練習しているはずですからね。
ギルド部屋の奥の部屋に入ると、そこに置いてある〈空間収納倉庫〉の中からお目当ての物を見つけ出しました。
「ありました。……スキルLV2上げの物は、あ、これだね」
〈強化玉〉くらいなら〈解るクン〉でも鑑定可能です。
ゼフィルス君からの指示通り、スキルLVを2上げる〈二段スキル強化玉〉を1個、使わせてもらいます。
「えっと、こうかな? あ、リンクした」
〈強化玉〉を〈解るクン〉に押し付けて意識するとリンクしたのが感覚で分かりました。ここでスキルを使います。
「『鑑定』スキルをレベルアップしてください――『魔釜』!」
スキル『魔釜』は基本素材に素材を溶け込ませて強化するスキルですが、〈強化玉〉を使うのにも使えるんだそうです。『魔釜』は強化するスキルだからってゼフィルス君が言っていました。
〈強化玉〉が割れて、その粒子が〈解るクン〉に吸い込まれていきました。
私が上級職になるとき〈心〉系アイテムを使った光景に少し似ていました。
多分成功した、かな?
「あ、〈解るクン〉を『鑑定』出来るアイテムが無い。……あ、でも〈魔石(大)〉が『鑑定』出来さえすればよかったんでした。『鑑定』!」
早速『鑑定LV8』になったはずの〈解るクン〉を『鑑定』して確かめたかったのですが、『鑑定』アイテムはこれ1個しか持っていなかったので撃沈。
でも〈魔石(大)〉が鑑定できれば問題ないことに気が付いたのでセーフです。
早速、〈魔石(中)〉よりも大きい〈魔石〉を『鑑定』しました。
すると――〈魔石(大)〉の文字が現れました。
どうやら〈魔石(大)〉を作るのも、〈解るクン〉の『鑑定』スキルのLV上げをするのも大成功だったみたいです。
ではでは、寮に戻って〈魔石(大)〉を大量生産しちゃいましょう!
後書きにカウントダウン告知失礼いたします!
〈ダン活〉本編の小説、第03巻の発売まで残り3日です!
早い書店さんでは明日には置いてあるかもしれません!
よろしければ、手に取っていただけると作者は大変嬉しいです!
よろしくお願いいたします!




