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もう意味分かんねえや。
外にいるハズのハルメイが、化け物になってここにいるってことは、どこにも逃げ場が無いじゃねえか。
あれは救援のヘリじゃない。
ソフホーズ内に数少ない安全地帯を求めてやってきた金持ち個人だ。
そして、ここも地獄と化していると確認して飛び去っていったと考えれば、もうヘリの音がほとんどしないのも頷ける。
部隊名が書いてなかったというのが何よりの証拠だ。
だが、もうそんなこともどうでもいい。
今まで色々考えてきたけど、何もかも無意味だった。
意味なんかねえんだ。
生きてることなんかさ。
どうせ、ここにいたってすぐにヤツらに襲われて喰われる運命。
なら、さっさと殺してくれ。
入って来れないなら、鍵を開けてやる。
今は足が痛いからまだ立てないけど、一眠りしたら、きっと。
ああ、そうだ。
俺はあの日に死んでれば良かったんだ。
そうすれば、出会った全ての人を犠牲にして今生き残っていることはない。
何だこの押し付けられた罪悪感。
なんだっていいや。
「クイル!」
あ?
……あ、ミラ。それに、カトラスも。
あの日死んだはずの2人が、あの日までと変わらない元気な姿で目の前にいる。
「探したぞ、全く。心配かけやがって。」
そう言って笑うカトラス。
「早く帰って遊ぼうよ!」
そう言って笑うミラ。
ああ、涙が止まらない。
2人とも―――
「!!!」
銃声?
カトラス……?
どうして、全身傷だらけで、倒れてるんだ?
ミラ………?
さっきまでの笑顔は―――?
「君、大丈夫!?」
何だ何だ。
左手の窓の外側に、銃をこっちに向ける女がいる。
すげぇ重装備で。
こいつが、カトラスとミラを撃ったのか?
いや、冷静に考えれば、カトラスとミラだった物だ。
ああ、何てことを―――――――
「助けに来たよ、もう大丈夫。」
何言ってんだこの女は。
助けなんか要らない。
せっかく友達に、仲間に入れてもらえると思ったのに。
ああ、そういえばついさっきマイクさんが言っていた。
神様は、善人には必ず救いの手を差し伸べるって―――
なぁ、ラス・ブラムとやら。
何でこう、余計な時にばっかりアンタは……
女は入ってきて、俺の手を引っ張って外へ連れ出した。
足が痛いのは気にならない。
生きてる心地がしないから。
そのまま外に止まっていた妙な乗り物に連れて行かれた。
乗せられた。
いつか聞いたヘリの音が間近で響く。
なんか、浮き始めた。
あぁ、これがヘリコプターか。
納得しながら窓から見たら、もうソフホーズは遥か下に。
――――――やめてくれ。
何処に行っても変わらない。
安全なトコに行ったって、何にも変わりゃしねえんだよ……
そろそろ真相編? 書こうかな…




