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星斬りの剣士  作者: アルト/遥月@【アニメ】補助魔法 10/4配信スタート!
二章 魔法使い狩り

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四十五話

二章登場人物一覧(現時点)

感想に要望があったのでかなり簡易的な人物紹介しておきます。

邪魔等ありましたらこの前書きは消しますので、感想にて一言お願いいたします。


・ユリウス

 今作の主人公。星斬りを夢見る剣士。


・ソフィア

 ユリウスの幼馴染み。〝治癒〟の魔法の使い手。


・リレア

 ユリウスに世話を焼く冒険者の一人。剣士であり、魔法使いでもある。


・ロウ

 リレアと行動を共にしていた冒険者の一人。粗雑な口調の大男。


・ヨシュア

 リレアと行動を共にしていた冒険者の一人。寡黙で、痩躯な男。


・アムセス

 冒険者の一人。〝魔法使い狩り〟に対抗する為に多くの魔法使いを集めている男。

* * * *



「————それで一体、どうするつもりなのかしら」

「どうするって?」

「……〝魔法使い狩り〟の事に決まってるでしょう」


 あれから人気のスイーツ店〝プロッソル〟を後にした直後、隣を歩くリレアからそう問い掛けられていた。


「視認不可の魔法だなんて聞いた事がないけれど、もし仮に本当にそんな魔法を〝魔法使い狩り〟が使うとすれば……万が一も十二分にあり得るわよ」

「だろうね。でも、本当に相手がそんな魔法使うとして。なら、そこには何かしらの欠陥が付き纏っている筈だよね」


 それは二年間の猶予の際。

 リレアから教えられていた魔法についての知識の一つ。



 ————欠陥のない魔法は絶対(・・)に存在しない。



 という発言に基づいた上で出した結論であった。

 たとえば俺の魔法である〝刀剣創造(クリエイト)〟であれば、己の肢体のすぐ側にしか得物を生み出す事が出来ないという欠陥がある。


 〝ミナウラ〟で出会ったフィオレの〝屍骸人形(マリオネット)〟は、魔法使いには使用出来ないという制限が。


 彼女の妹であるビエラやシヴァの魔法については知らないが、恐らく何かしらの欠陥を抱えていた筈だ。

 それが、魔法に付き纏う〝絶対〟であると他でもないリレアが教えてくれたから。


「……ええ、そうね。恐らく何かしらの欠陥はあるでしょう。でも、」

「————なら、きっと何とかなるって」


 リレアの言葉を遮って、楽観的に俺が言う。


「それに、ずっと謎めいたままにしておく方がよっぽど怖いと思わない? 姿を隠せるなら、何処かに逃げ隠れても無意味。なら、その五日に一回の周期に則って魔法使いを殺してくれてる今のうちに、堂々と餌になっておいた方が良いと思うけどな」

「……キミにしては珍しく正論を言うのね」

「俺はいつだって正論を言ってるつもりなんだけど?」

「その認識は間違いなく正しくないから改めておいたほうがいいわよ」


 そう言って目一杯呆れられた。


「————にしても、予想外に予定が早く終わっちゃったわね」


 リレアは空を仰ぐ。

 まだ日は暮れてもおらず、時刻は昼を少し過ぎたあたり。

 予定していた魔物の討伐と、アムセスとの話し合いも終了してしまい、当初の予定は全て終わってしまっている。後は、討伐の証明をギルドへ提出しに向かうくらい。


「何かしたい事はあるかしら?」


 王都に来たばかりの俺を気遣ってか。

 したい事はあるか、とリレアが俺に尋ねてくれる。けれど、ソフィアのように何処かのお店に興味がある等も特にないので一瞬考え込むも、やはり良さげな答えは浮かんでくれない。


 口を真一文字に引き結び、んー、と考え込む俺を見兼ねてか。


「……あぁ、そういえば、ソフィアちゃんってばあれから随分と魔法が上達したのよ?」


 突然の話題転換。

 あたしは口出す気ないから、と言わんばかりに一向に話に交ざろうとしていなかったソフィアの名を突としてリレアが声に出していた。


「今なら、多少の傷程度ならすぐに治せるんじゃないかしら」

「へえ」


 二年の猶予の間にも、己なりに試行錯誤していた姿は見ていたけれど、リレアの言葉を聞く限り王都に来てから更にソフィアも己の魔法を上手く扱えるようになっているらしい。


「だから、ソフィアちゃん次第ではあるけれど————」


 そう言いながらリレアの視線がソフィアに移動。


「————やりたい事が見つからないっていうなら、相手をしてあげても良いわよ? 私も定期的に魔法を使っとかないと鈍っちゃうし」


 聞こえてくる乾いた金属音。

 リレアが終始腰に下げていた剣の柄を僅かに持ち上げた事で生まれた音であった。


 そしてその提案は、これから無為に時間を潰すより余程、俺からすれば有益なものに思えた。

 ただ、問題はリレアがソフィア次第であると条件をつけた部分にある。


「……んー」


 俺とリレアの視線がソフィアに集まる。

 当の本人はというと、何やら悩ましげな唸り声を漏らしていた。


「あたし的には別に良いんだけど、条件が一つだけ」


 ここでもまた、条件。


「その手合わせで、もしユリウスがリレアさんに負けた場合は、〝魔法使い狩り〟の餌になるって言ってたやつ。あの言葉を訂正して貰うから。もちろん、二人とも魔法は禁止。ユリウスは〝流れ星〟も禁止」


 ……とんでもない条件である。


「あ、それ良いわね。私に勝てないのに噂の〝魔法使い狩り〟に勝てるわけもないもの。その案、乗った」


 良い事言うわねえ! と言わんばかりに、声を弾ませて楽しそうにリレアは同調。


「でも、キミも少しはソフィアちゃんの気持ちも分かってあげたらどうかしら? 冗談抜きで言うけれど、アムセスのあの言葉が本当なら、キミと〝魔法使い狩り〟の相性は最悪よ」


 ソフィアはソフィアで、俺の身を案じてくれているのだとリレアが言う。


 ……言われずともそんな事は分かっている。

 自分勝手に〝ミナウラ〟に向かった事に対する制裁として、いい感じのグーパンチを貰った後に、ソフィアから怒鳴られていたから。


 ————あたしにとって大事な人達を死なせたくないから、あたしはこうして治癒の魔法を学んでるのに、あたしの知らないところでそうやって無茶されたら、……もうどうしようもないじゃん。


 無茶をする事を止められない事はもう分かってる。でもせめて、勝手に無茶を敢行する事だけはやめてくれ、と。


 そう責められてはもう何も言えなくて。

 俺自身ですらも反論出来ず、リレアを始めとした面々からも袋叩きにあったのはまだ記憶に新しい。

 お陰で先のスイーツの件も断り切れなかった。


「……そんな事は分かってる」


 剣士とは己の得物()を振るって対象を斬り裂く。ただそれだけの行為を自身の攻撃手段に据えている者達の総称である。

 描く剣線は一本。

 見当たらないからと闇雲に振るったところで偶然当たる確率なんてものは万が一にもないだろう。


 アムセスも言っていた。

 歴戦の猛者であろうと、最早案山子であると。


「でも、そっちの方が俺にとって都合が良いし、なら尚更、俺のタイミングで仕掛けたい」


 相性が最悪な相手に、俺から仕掛けるならまだいい。けれど、これまで殺されてきた魔法使い達のように相手のタイミングで仕掛けられては一溜りもないだろうから。


「……ま、それが正論でもあるわね」


 こういう時に限って、キミってば人一倍合理的な考えが出来るのずるくない? と、忌々しげにじとっ、と見詰められる。


「とはいえ、それが正論と私自身も頭では分かっていても気乗りしないのもまた事実。先のスイーツでは恩恵にあずかったけれど、私も剣士の端くれ。剣を握るからには手加減してあげないわよ」


 さぁ、どうする。

 負けるかもしれないといって、尻尾巻いて逃げるのかしら? と、やって来る挑戦的な眼差し。


 それらに対し、俺は口端を柔らかに曲げた。

 微笑むその行為の答えはつまり、


「あぁ、そうだった。キミには愚問だったわね」


 ————上等、である。


「んふふ、ロウやヨシュアは私の剣の相手は絶対にしてくれないし、キミは知らないだろうけどこのひと月、結構溜まってたのよねえ」


 恐らくフラストレーションが、だろう。


 二年前より、リレアが俺に対して積極的に世話を焼いてくれていた最たる理由のひとつに、剣を振るう事の出来る相手が欲しかった、というものがある。


 とどのつまり、彼女が俺に世話を焼いていたのは俺の為でなく、己の為。

 俺という存在が、己のいい鍛錬相手になりそうだから、というものであった。

 そして事実、村にやって来るたびにお互いがお互いのためにお互いを利用して鍛錬に励んでいた。だからこその、一言。


 今でこそ理性的に見えるが、リレアも煎じ詰めれば俺と同類といって相違ない人間。

 所謂、戦闘馬鹿と言われる側の者であった。

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