表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第二十章「北伐」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

999/1003

幕間:「なぜ現職じゃなんですか」と尋ねてはいけない(戒め)。

【用語】


『強制徴募』

:徴兵制の一形態。死んでることに気がつけない程いい加減な戸籍すらなくマイナンバー程度の物も怪しい百年以上昔の時代……退化してるじゃねーか。貧乏な国が負け戦に必要な兵を集める為に行った。主に海軍なのは、陸軍だと逃げられるし、略奪の余禄があれば募集し易い為。艦船なら常時監禁状態であり敵に投降するために泳げるなら逃げて捕まってない。機械化以前の艦船は舵一つも人力だったので、生きてりゃ使い途があり人間がいないと無力だった。しかも死なば諸ともの海戦ならば、誰でも全力をだす。役に立つとは限らないが。もちろん徴兵制は軍事上の悪夢であり最初から役に立たない。思想的宗教的熱狂や利害得失による志願制を創りたくても造れもしないのに、戦争に持ち込まれてしまった間抜けな政府がやらかす。逆に志願制軍隊では徴募兵が敵より危険な邪魔になるので、基本的に馬鹿以外は考えない。

……馬鹿は少ないが声はデカイんだけれども。



高空に占居する偵察気球。

低空を行き交う偵察ユニット。


各隊員のカメラマイク他。

振動検知器群は設置されてる。

車両で、或いは航空散布。


集められ続く情報を処理するのは遥か日本列島の管制チーム。

もちろん今回に割り当てられた、だけだ。


動態。

静態。

味方。

味方以外。

予測。

機械が識別しオペレーターが要約。


観ているのは映像ではない。

数字と図表とパラメーター。

拡張現実と言われているが。


リアルに貼られる付箋(タグ)の群。


貼っていくのはシステムで。

剥がしていくオペレーター。


機械が選別し人間が選択し。

まとめてレイヤー(上下階層)に別ける。


処理された情報は整理されて各レベルの必要な範囲で共有中。


レイヤー(階層自体)の広さは上から下へ。

――――――――――全てではないが。


指揮所。

指揮官。

将校。

下士官。


隊員たちには何も知らせない。

――――――――――知る必要が無い。


与える情報は増やせるが、人間の処理能力を増やせやしない。


全能でなければ全知に意味は無い。

それこそ100%無意味なインターネットの教訓だろう。


人間の価値は頭にはない。

一部は全部に無関係。

兵士は機械の代わり。

頭以外が必要なのだ。

目の前の状況以外は指示。


後方から。

自動機器から。

訓練から。

戦闘システムの元になったランド・ウォーリアの教訓。

・・・・・・・・・・兵士独りが戦うのに、衛星画像なんか要る訳がない、って最初から気づけという。


――――――――――だから再構築(先進国の戦闘システム)――――――――――


人間に匹敵する動きが出来るアンドロイドは、未だに実現していない。


必要が無い、とも言うが。

撃ち殺すなら自動機銃。

対人対車両地雷の多用。

車両に操縦は要らない。

パイロットなど邪魔な物。


人間の脆弱性が兵器性能の限界になった、とは半世紀前からの常識だ。


車両。

航空機。

艦船。

自動機器。

生産は民間。

整備設置を担う施設・工兵は異世界でも大活躍。


人間を廃することこそ性能を上げることであり兵器という物の可能性。


歩兵を除いて。

ランド・ウォーリア。

ランド(陸軍)である。

でなければならない。

指揮官以外で。


人間が行う過程の99%以上は単なる作業なのだから機械に相応しい。


それを機械より安い貧乏人たちに任せる向きも在るが。

それなら機械を使う方が巧く出来るので目的は異なる。

それは有事でも平事でも同じ理由で同じ目的なのだが。


()()を敢えて機械化させ()()に代えないのは、知性と向き合う可能性。


人間であれ。

異世界種族であれ。

なんであれ。


その為に、こそ訓練された機械的な人間。


普通科隊員。

異世界を征く。


春の木々が彩る石畳。

焼成煉瓦、あるは普通煉瓦の建物。

豊かな都市の中心部。


街路を進む散開した普通科隊員たち。


歩く。

訓練では走るが。

敢えて。

余裕を観せる為。

今は。


だから、訓練では、今も姿勢を低くして走る。


異世界が追い付く、明日の為。

ともあれ、今は、走らず、歩いて威圧。

敵対出来ないと知らしめる為。

であるかのごとく振る舞い敵対を防ぐ。


誰もが、好き好んで虐殺したい、訳ではないのだ。

・・・・・・・・・・別に躊躇いもしないが。


だから間隔だけが基本動作。

一人〃、十数m。

一組〃、数十m。

街区が許す限り広がり進む。


合衆国の使い捨て募集兵とは違う。


密集したり。

群れたり。

連れ立つとか。


警察か?

という有り様の、自称軍隊(連邦陸軍)とは違う。


まあ、その類いには、練度を上げさせる気が、運用上無いのだが。


そもそも軍隊、国策上の暴力装置、じゃない。

社会的無能力者ホイホイ、生還されては困る。


小銭で集め砂漠に捨てる。

捨扶持で遺族が食い繋ぐ。


反米分子と貧困層の潰し合い。

民兵以下の武装民間人同士。

敵に同等の戦力を想定しない。


だから遺族年金で安く始末。

いや生きられるより安くつく。

家族も生活保護よりも楽だ。


そもそも働かせる意味がない。

生産過剰社会の労働力廃棄。


産品を棄て。

労力を棄て。

道路を掘り返す様に、徴募して戦死させてる、数十年。


典型的な公共事業。

だが志願兵は違う。


海兵隊とか。

自衛隊とか。

死なれちゃ困る。


破壊と殺戮を期待する政治家。

人員は平均以上である必要性。


元職が少なくないことで、お察し。

必要な労働力に不良品は要らない。

要らないだけならマシだが有害だ。


地方協力本部のノルマは人数だけ。

合衆国(連邦)募兵事務所とは違う。

戦死させる為のゴミ集めとの相違。


自衛隊では辞職させるまでが訓練。

すぐに辞職するなら責任にならぬ。


地方協力本部もノルマに響かない。

愚鈍な動物は虐め殺す前に逃げる。


今、現職でないのはなんでですか?

・・・・・・・・・・って訊いちゃいけない理由。


選別し訓練を虐めに切り替え。

失せろ。

来るな。

忘れろ。

その段階を過ぎられた者たち。


それが異世界に送られた。

・・・・・・・・・・まあ、一般的、多数派、普通の日本人のこと。


だからこそ、ツーマンセル(二人組)が二セット。


二人は眼の端に観える距離。

従来ならば。

現在はフェイスカバーの端。

分割画面に映る範囲。


IFF(味方識別装置)は真っ先に潰されるから、視界を出ない。

異世界にECM(電子妨害)は無いが、まだ。


隊員個々は光学的索敵が中心。

非光学情報は後方からの指示。


撃て。

進め。

下がれ。


画像はフェイスカバー内側右下サブディスプレイ。

目視はフェイスカバー全体拡張現実表示以外全て。


妨害(スモーク)されても事前(投擲発射)に気が付ける。

フェイスカバーが中からは透明な理由。


二人ひと組。

古典的な常道。

続いている理由。


死角を無くす、為な訳がない。

無駄だからだ。

死角は無くせず無くならない。


科学の粋を集め合えば、待ち伏せ奇襲を防げやしない。

異世界には無いが。


敵を殺す為に必要な、殺すべき敵の位置特定。


どうやって、身を隠す、敵を探す?

昔から、解答は、一つ。


オマエが殺されればいい。

――――――――――簡単だ。


隠蔽と攻撃は両立しない。

どれほど科学が進んでも、まだ。

殺す刻には、殺してると伝わる。


だから、二人二組。


一人が殺されてた刻。

それを報告する一人。


二人まとめて殺された。

それを報告する二組目。


報告しながら反撃出来る。

戦闘に思考は必要が無い。

撃ち返しながら報告可能。


そのように訓練されているからこそ、兵士。


もちろん、敵を倒せる、などと期待されない。

待ち伏せ出来るなら備えも出来る。

想定された反撃で犠牲を出すのは素人だけだ。


反撃の意味は、二つ。


先ず、被攻撃方向の指定。

正しいとは限らないが。

情報なんて、そんなもの。


次に、敵の注意を惹き付けること。

移動を躊躇う。

追撃を誘う。

躊躇、一つで殺し易くなる。


全ては、相手を殺すため。


敵。

味方。

民間人。


誰かを守る機能なぞ、軍隊には無い。

守るか否か。

それは殺す機能を使う権力者の役目。


刀に意志はない。

力に善悪はない。

命に有るのは害と必要。


例外も在るのだが、まあ、それはそれ。


職権乱用。

公私混同。

責任転嫁。


橋を爆破したり。

鉄道を爆破したり。

船を撃沈したり。


拾ったか拐ったか、まだ人間ではない娘どもたちに生涯を創ったり。


為せるままに、軍隊も使う。

それならそれは、政治家なのだが。

自衛官であるならば無関係。

・・・・・・・・・・意図も命令も知識も無く、状況に介入するようなキチガイに刃物(武装民間人)なら装いすら、せぬか。


フリをするなら語らない。

意味が判らずば処刑される。


此処には、いない。

装う裏切者。

装わぬ反逆者。

在るのは兵士だけ。


普段は銃弾を運ぶ道具(兵士)

――――――――――指定対象の体内まで。

現在は国連資産(標的)運搬役(拉致監禁)

・・・・・・・・・・資産(魔法使い)に拒否されているが。


複数のカメラに捉えられた標的はマーキング済み。

国際連合軍の指揮システムに登録された。


ソレは索敵ネットワークが本来の目的のオマケ追跡し続けている。

様々な波長で観測され記録したデータは、おおざっぱなモノだ。


だが、狭い範囲のこと。


定点に散布された爆弾の振動データで地下構造まで把握されている、一握り。

掌の中であるならば、特定個人を識別するのは、優しい。


地下道に入れば躱せるだろう。

地上にでるまでは。


あるいは、大陸東部を抜けるまで続く、秘密の地下道があれば。

――――――――――公ならば出入口を監視できる。


そも自然であれ人工であれ、地下構造には力学的な限界がある。

縦であれ横であれ、それほど広大な、地下構造は出来ない造れない。


――――――――――全域に魔法でも使わない限り。

魔法使いを大量投入すれば、如何な帝国でも秘密には出来ない。


そして平和的(非物理的暴力)な呼び掛けが続く。

指向性スピーカーで、ソレの周りだけに。


だからソレ(獲物)と、すぐに判る。

反応するからだ。

判るからこそ合わせる周辺。


幾千の人影。

幾万の足音。

幾十万の点。


ただ一つしかない標的。

解り易いから、すぐに判る。


これでは幾らリソースが余っていても、費やす必要がない。

・・・・・・・・・・逃げる方法はあるのに。


オペレーターはシュミレーション。

決まりきった作業の手慰み。


最適解はいくらでも。

似た体格を探せばいい。

空から見えね屋内で混入。

周りに合わせて逃げるだけ。


()()()、と一緒。


肉の盾(みんな)

デコイ(みんな)

遮蔽物(みんな)

なんと費い安い道具(みんな)が溢れていることか!


戦いにあたって、人間の森(みんな)ほど容易い戦場(消耗品)は、無い。

それを彼らが覚える刻に備える。


隠れられない。

逃げきれない。

選べられない。


異世界派遣後も続く訓練、とは真逆に歩いて観せる。

戦い方を崩さぬ様に観せぬ様に。


常に声が響く。

標的の周りにだけ。


強者(国際連合)より告げる(御知らせします)オマエは無力だ(抵抗は無益です)諦めろ(降伏しなさい)隷属せねば(抵抗しなければ)させるまでのこと(保護します)死ねると思うな(安全は保障します)終わりはない(繰り返します)


誰もが逃げる。

標的の周りからは。


彼らが青龍と呼ぶ者は、見えない。

耳元で舌が囀り。

瞳で囲みながら。

全く、観えない。

先回りして確実に距離を詰め来る。


指向性スピーカー。

獲物の周辺にも響かせる。


「青龍だ!」

「こっちに来る!」

「あっちに逃げろ!」


すべて、現地の言葉。

短文だけ。

合成が追い付かない。


イントネーションや、訛りや、偏りの有り無しで、バレる。

しかも魔法翻訳が発動。

多世界間コミュニケーションならば、自動的に効果を示す。


聴こえる音。

感じる意味。

理解を分ければ判ってしまう。


追い詰められながらできれば、だが。

それも偽装と判るだけ。


そもそも逃げながら話す者がいるものか。

普通は黙して全力疾走。


だが、それだけ。

言葉。

意味。

向き。

全てが擬装なら。


何処から来るのか、ヒントにもならない。

使い魔、らしき鳥や獣は、真っ先に殺られる。

虫では感覚が狭くて何の役にもたたない。


だから在るのは時間だけ。

だから魔法の準備は出来た。


殺される役目の普通科隊員への、お出迎え。


そして誰も居なくなった。

街路の端。

路地は退路に限りがある。

諦めない。

魔法を操る為に見通せる。

伏せない。

真ん中に居る度胸はない。

物陰だが。

すぐに走り出せるように。

身を低く。

見付かり難くするだけは。

観えた刻。


――――――――――魔法発動。


石畳が溶け合い盛り上がる。

身の丈数mのゴーレム。

一気に立ち上がり眼を牽く。

勝てなくとも逃げる為。


――――――――――爆散(10秒)――――――――――


M72E9。

66mmロケットランチャー。


M72の改良型。

装甲貫通力を増したタイプ。


もちろん、対戦車戦闘等は想定外。

単に破壊し難い、し難い様に造った目標を壊す威力を増した物。


石造建築。

戦闘陣地。

魔獣や竜。

こうした物に有効なので、手榴弾感覚で一人二本以上持ち歩く。


一本2.5kgくらい。


中には7.62×51mm弾を減らしてM72を増量する者も。


ゴーレムが上がったら、普通科隊員は下を視る。


歩みは留めない。

射程は短い。

走りもしない。


その間にM72をスライド。

狙うほども無いデカブツ。

放ち飽きているM72。


異世界転移前は、触ったことも無かった。

・・・・・・・・・・それは実銃も同じだが。


すっかり慣れてる。

肩も痛くなくなった。

手榴弾を放る感覚。


無造作に放つ。


バックブラストの範囲など、考えない。

素人じゃないんだから。


巻き込まれる様な愚鈍は、隊を蹴り出されてる。


敵を撃てないなら味方を撃った方がマシ。

国際連合軍は巻き添えなんか気にしない。


後続の一組二人も、当然、無事だか結果論。


崩れ落ちたゴーレム。

物陰の魔法使いも特定されている。


逃げず。

留まり。

隠れて。

見通せる場所にいれば、ゴーレム主の魔法使いと確定。


普通科一組目の二人。

しばし

・・・・・・・・・・待つ。


ゴーレム再起動に備え、一人はM72の準備。

魔法使いに備え、一人がM14を構えて警戒。


この段階では呼び掛けない。


無駄な抵抗は自暴自棄で起こるからだ。

反射的なら抗うのが普通なのだから。

考える余裕を与えた方が良い。


急かしてはいけない。

ついでに全周警戒の訓練に充てる。


5分後。


魔法使いは回収された。

M72E9の貫通力。

ゴーレムを破壊した指向性の爆発。


後方にいた魔法使いの意識を刈り取っていた。

物陰に居たから怪我もなく。

急激な体温変化(大量出血の傾向)がなく即救出指示もなかった。


ただ、頸骨骨折など、感知し難い致命傷もあり得る。

死ななければ遠隔治癒魔法(マメシバ印)で治せるが、待ちすぎても、良くない。

――――――――――今回の戦訓。




なお、国際連合の現地募集活動(野良魔法使い狩り)()()()()とも呼ばれている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ