後か先かを悩むなら親子丼。
【用語】
『国際連合職員』
:〈国際連合の特権及び免除に関する条約〉第五条第18項。国際連合職員はその資格において行った陳述や行動について訴追されない。国際連合による報酬は課税されない。出入国制限を課してはならない。入国時も入国中も管理登録してはならない。国際連合職員は国民としての国家への義務を免除される。これは配偶者並びに扶養家族にも適用される。第六条22項。不逮捕特権。不押収特権。身分失効後を含む無制限の免訴特権。他、全て実際に全ての国際連合加盟国が承認している条約より抜粋。
証人。
・陸上自衛隊第一師団師団長。
・同第一偵察戦闘大隊偵察中隊該当小隊隊員(全員)。
・同第一後方支援連隊補給隊と偵察戦闘直接支援隊から若干名。
質問者。
・衆議院議員(常任委員会委員)。
・参議院議員(常任委員会委員)。
「最初に。国際連合参加中の国際公務員は国法の範囲外となります。国家意志により派遣であれ個人的決定であれ変わりません。所属国家への義務は無く保護は国際条約に従います。国内規定は改正即時発効させた国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律を、国際条約は国際連合憲章と〈国際連合の特権及び免除に関する条約〉、付随事項を参照してください。今回は安全保障理事会が軍事参謀委員会の意見を踏まえて承認しております。では、始めましょう」
「議員」
「貴男の役職を答えてください」
「証人」
『陸上自衛』
「訊いたことだけを、答えてください」
「議員は証人の発言を遮らないように。必要な場合は委員長がおこないます。証人は留意して答えてください」
『師団長です。第一師団の』
「議員」
「では、本件の現場責任者と言って差し支えありませんか」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「指揮下の中隊が竜を殺した」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「竜は帝国所属ではなかった」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「棲息域は人里を離れていた」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「人喰いの可能性はまずない」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「作戦上、排除の指示はない」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「敢えて回避することも可能」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「その竜を殺した、訳ですね」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「殺して食べた、間違いなく」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「その竜の卵まで食べた、と」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「その時、食糧は十分あった」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「即殺して食べる必要はない」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「中隊の判断でそれをなした」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「貴方は、それを追認したと」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「上層部の判断を、求めずに」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「報告し連絡し相談すべきと思わなかったのですか」
『』
「議員。判断は証言ではありません。再度許可されたら確認する質問をしてください。証人。応えないようにしてください」
「お詫びの上、訂正します」
『お詫びの上、訂正します』
「議員、再開してください」
「竜を殺して肉も卵まで食べた、師団の責任において」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「まとめましょう。第一師団は独断で、早急に排除する必要の無い貴重な竜を即時殺処分し、あまつさえ食べた。間違いありませんか」
「証人」
『その通りです。事前に規定の手順で呼び掛けを行い、異世界種族ではないことを確認しました』
「議員」
「手順など、どうでもよろしい。ここはスターリニズム社会ではありませんよ。政治的判断を手交する立場に相応しい考え方だとは思えませんな」
「それは議員が決定することではありません。意見は該当委員会に提議してください。なお、どんな形であれ国会の承認を得た国際連合の命令趣旨に叶っていれば、叶わずとも叶えようと最善をつくしたのなら、国際条約により免訴します。諸氏は理解されましたか」
『その通りです』
「はい。議員諸氏へ謝罪の上で同志に諮ります」
「議員」
「禁止されていなければなにをしてもいい、というものではありませんね」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「師団単独の装備で竜一頭他の冷蔵は不可能ですね」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「有事のマンパワーを考えれば竜一頭分の燻製塩漬け他の保存や輸送も現実的ではない」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「だから食べた」
「証人」
『その通りです』
「議員」
「該当の中隊、とりわけ主たる行為者は拘束しましたか」
「証人」
『禁足としています』
「議員」
「そこにいる」
「証人」
『おります』
「議員」
「比較資料は十分ですか」
「証人」
『多すぎるくらいです』
「議員」
「ならば証言をさせてください」
「証人」
『ニクトタマゴバカリハアキマシタオチャヅケタベタイ』
「議員」
「そんなことは訊いてません!貴重なイグアナの肉卵から鳥肉卵亀肉卵牛豚肉鰐鮫他まで用意したんです舌に残っているうちに近似値を出しなさい地球人類の運命がかかっているのにプレーンオムレツと称して甘い卵焼きとはどういうことですか茹で卵にして卵黄を味わった者がなぜいない!」
「証人」
『作戦主体であるプラントハンターが現地の甘味、甘蔓の様な植物を確保したところ砂糖水に近く単純利用より調味料向けではないかと思われ。竜の卵自体はサイズが大きく茹でる設備を造るのは時間と手間がかかりますので避けました』
「議員」
「だから殺る前に時間をとり保存輸送調理に必要な措置を上層部に要求すべきだったんです!」
「証人」
『その通りです』
《衆議院・参議院合同農林水産委員会改め(本年2月改称)食糧供給委員会が参加した国際連合食糧農業機関によるオンライン証人尋問》
【異世界大陸東北部/占領地域/軍政主府/軍政司令部/軍政司令官私室/青龍の貴族】
俺も魔獣の卵は喰ったことないなぁ。
「受精させるほうですもんねぇ」
無精卵も有精卵も味わいは同じだし。
「たいちょーにはそうですよね」
だから確認したりしないんだよなぁ。
「敢えて確かめたことを知らせ想い以上に体感させ有頂天にさせてるとかなんとか」
というよりも。
エルフっ娘が獲るのは肉だけ。
一般エルフも。
卵生魔獣は多いが、わざわざ採らない。
いやいや産み主よりは、採りやすいが。
卵は扱いが難しいから。
特に大きい、となれば。
運ぶの大変じゃないか。
小分けしたら、大作業。
時間を費していたら成獣に見付かる。
作業中に遭遇戦とか想像したくめない。
結局、成獣を倒さにゃ持ち帰れない。
持ち帰れる獲物なら倒せるということ。
肉をバラして持ち帰るのも、大作業。
だが邪魔を殺した後なら邪魔は入らぬ。
デカイ体を養うには広い土地が必要。
魔獣なんて密集して暮らさないからね。
保護が無くとも孵化するのが卵一般。
なら卵を採らずに獲物に育つのを待つ。
ハンターの作法。
殺し続ける為に殺し尽くさない。
持続可能な殺戮目標。
死なない様に殴ろう。
エコロジーって、そういうもの。
捕虜尋問研修で習う。
生かさぬように殺さぬ様に。
もったいないの精神。
大地と共に生きてるイメージのエルフも、そんな感じ。
卵より魔獣を獲る。
むしろ卵は採らん。
竜より小さい魔獣。
魔の付かない獣の三倍くらいのサイズが、狙い目です。
大きいから、得られる物が多い。
肉は味が好く多い。
角骨の素材も多い。
魔力効果の在る物も、あるかも。
獲れるなら狙うわな。
人間がクジラを獲るより、リスクは無くコストも安い。
エルフにとってだが。
そういう魔獣を狙う訳だけど。
竜の様に固い鱗も火炎も無く。
ただデカイだけの魔獣だとか。
無いも同然のリスク。
魔獣の小さめは人間サイズと比べて巨体。
巨大自体の慣性力と動かせるパワー。
象に槍で向かって行く感じだよね単身で。
あるだろ、リスクが。
火器なし弓矢槍剣徒手空拳。
俺ならやらない、やりたくない。
何が悲しゅうて吸着爆雷で対戦車戦。
それを、むしろ、独りでこそ、一種の武器で、いつも、やるのがエルフ。
エルフの腕力は異世界人並み。
異世界種族の中では非力。
間接技や投技が得意だが。
対人戦闘以外なら無意味。
瞬発力で優り打撃は苦手。
耐久力人並み持続力高め。
異世界種族との比較だが。
魔獣とは比べる術もない。
だから機を待たず作り出す。
足りないのは攻撃力。
人や獣なら一撃なのだが。
魔獣狙いだから十撃。
二桁以上以下。
だが、問題ない。
先制の一矢。
魔獣は逃げない。
・・・・・・・・・・最初はね。
強弱を大小で観る獣
エルフのサイズは人並みだ。
舐める魔獣。
向かい来る魔獣。
魔獣の突進と正対して射る。
初手ダメージはそれなり。
魔獣の体格なら逃げたりしない。
怒り狂える適切なレベル。
余力が十分にある。
怒りで最大値に至る。
逃げないエルフに真っ直ぐ突撃。
それを、真正面から、射る。
砲弾の破壊力は質量と速度の乗数。
それと同じ。
全ては相対値。
来ると行く。
向かい合うなら合成速度。
大質量と小質量。
巨体と鏃の衝突質量。
エネルギー保存の法則。
速さと大きさを大小が共有。
大質量はエネルギーの大半を吸収する。
コストパフォーマンスこそ弱者の味方。
ダメージの絶対量は弱い方が多いのだ。
鏃は砕ける。
魔獣の体内で。
巨体は残る。
全て受け止め。
破壊力全て。
魔獣の力と速さを威力とする。
獣であればオーバーキル。
魔獣でも深手を負わせられる。
巨体だけに内臓には届かないかも。
鏃に正対させれば頭蓋を砕ける。
頭蓋の曲面に弾かれなければ。
力の軸線の平面へ必ず命中。
動く的にエルフの妙技の魅せ処。
無理をしなければ重傷は一撃。
最初から最期まで暴れつづける巨体。
――――――――――エルフには無関係。
魔獣の圧倒的な破壊力は軽く躱す。
エネルギー保存は鏃と巨体の間だけ。
当たらなければどうということはない。
「赤い角付きかな?」
エルフは早い。
邪魔の入らぬ独りなら最も。
自由に動ける。
「三倍くらいかな?」
優れた五感で先に見つける。
器用な見立てで先に動ける。
得意の体捌きで先に躱せる。
「撃たれる前に避ける天パみたいな」
むしろ魔獣を怒らせてからが本番。
怒りが怯えに代わったらフィナーレ。
魔獣が逃げても先周り。
全力逃走へ正対して射る。
これを繰り返せば済む。
留まられたら、手の打ちようがないが。
そんな獣はまだ居ない。
怒り突進。
怯え疾走。
魔獣は大きく選べない。
エルフの一方通行。
早さを支える軽さが導く必然性。
取り分け森の中ならば高低立体移動も容易い。
例えていえばバルクール。
エルフバージョンアップ。
魔獣の打撃力を逆用した上で、手数をかけられる。
メインは武器が弓矢な由縁。
頑丈さは人並みなエルフ。
距離を置いて最大威力。
全てのエネルギーを獲物にぶつけ自分を守る工夫。
魔獣の強さ。
それは100%以上で魔獣を殺す力に出来る。
それがエルフ。
・・・・・・・・・・それで尚、必殺されない魔獣は凄い。
近所の手頃な魔獣でも、あれだ。
体長10m弱。
体高6m弱。
象よりでかいんですが、それは。
そりゃ魔法なしで象より速い時速60Kmだせないよね。
それを数時間の数十撃で確実に仕留めるエルフ。
それを一撃一閃で殺せるのが、うちのエルフっ娘。
「青竜なら誰でも出来るじゃない♪︎
――――――――――〆ヽゐヴяゐ々ゐヾゑヾссфヽ」
ドや顔エルフは耳が弱点。
「女の子の性感帯も毎刻無造作に蹂躙するスタイル」
「「「「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」」」」」」」」」
「最後列はこちら~~~~♪︎」




