エルフが狩る物たち。
【用語】
『免疫』
:身体を守る機能、ではない念のため。むしろ病気の大半は免疫反応。体内体外接触した異物を排除するために嘔吐下痢むくみ腫れ、抹殺するために発熱その他。アレルギーに至っては過剰反応。病死とは「免疫反応に耐えられない身体が機能不全を起こし停止」すること。空き巣に対処するために家に放火するのが病気。不審な気配を感じたから家を爆破するのがアレルギー。免疫の本質は自己同一性の確保。汝、何者なりや?何処から何処までが自分であるのか規定する。だから自分ではない異物を排除。その結果、異物を排除した身体が守られたのは結果論に過ぎない。身体を鍛えて免疫を高める?いや、免疫が高まると死にます。地球規模初のパンデミック「スペイン風邪」で五億人余りが感染し五千万人余りが死亡したが、死因は免疫反応の暴走。単体で増殖どころか存在も出来ないウィルスは、適合する生物の細胞遺伝子と結合しコピーを創る。遺伝子断片でしかないウィルスには造れないから、デットコピーを創る。全く同じ物は無く常に新型変異型。だから治療薬やワクチンが生まれた時には変異しており役にたたない。少しでも欠けたら鍵は開かないのと同じ。治療方法が無く対症療法しかない由縁。つまりはそれが免疫反応、の暴走。身体と、体細胞と一致したウィルスを排除するために免疫は自分自身を死滅させ始める。対症療法は免疫反応を弱め死なない範囲でウィルス排除を続けさせる為に行う。そう書けば簡単な理屈なのだが、うがい手洗いを欠かさない馬鹿には「ウィルスは体内でしか存在出来ない」とか「そもそも定義上、生物じゃない」と判らない。もっとも免疫反応が無いと自己の範囲が無くなる、つまり死ぬ。貴方が貴方でなくなること。死ぬとはなにかの科学的回答。自己の滅却ってそ~いう。
魔獣の定義。
まだ決めておりません。
人間の定義と同じように。
都合がありますから、色々。
よって魔獣らしき物の概略を申し上げます。
自律性を持ち。
主体的に活動し。
誰かが生成していない。
素材は何でも宜しい。
有機質。
無機質。
ハイブリッド。
何でもありえます。
関心がお在りなら、ハヤカワ文庫を辺ると宜しい。。
ここまでは単なる生物です。
ここからが魔獣たるところ。
身体組成動作が物理的に存在し得ないのに存在している存在。
つまり物理法則の多世界共通部分を魔法により超越している。
それを表現した言葉文章が、魔法翻訳では魔獣と聞こえてきます。
異世界種族にも魔法の獣と認識されている様子です。
まさに存在自体が魔法。
魔法生物、とでも名付ければ判り易い。
まあ生物の概念を広くとり
「エネルギー転換により存在を維持し、種たる大半が自己増殖し、自己保存の能力をもつ複雑な物質系」
と字義通り解釈すれば、です。
魔法ウィルスでもいたら、生物の範囲をはみだしますが。
例示しましょう。
異世界種族。
例えばエルフ。
例えばドワーフ。
例えばホビット。
彼らは生物ですが魔獣ではない。
獣人や人獣すら魔獣ではありません。
たかだか地球人類や異世界人を超えているだけの能力は、物理法則に忠実です。
エルフの鋭敏。
ドワーフの頑丈。
獣人・人獣のパワー。
科学的に解析できました。
単に神経伝達が速く脳の処理能力が高い。
単に筋肉骨量が多く組み合わせが合理的。
単に代謝が早くエネルギー量が多いだけ。
全て、我々、地球人類にも理解できる範囲、でしかないと。
では、魔獣。
竜が判り易いですね。
飛竜。
空を飛び炎を吹く。
土竜。
地を歩み炎を吹く。
・・・・・・・・・・炎に何か機能があるのか?
まあ、炎も、ですが。
問題は大きさです。
いわゆる恐竜並みのサイズ。
異世界は地球と同じ重力圏。
水中ではなく地上、ましてや空中まで。
浮力が無いのに高密度大比重のボディ。
在り得ません。
存在自体が、ですよ。
在り得ない。
どんな素材を組み合わせても、なんなら、鋼や新素材を組み合わせても動けば自重で崩壊。
巨大ロボットが不可能な理由などいくらでもありますが、それと同じように素材の問題。
地上にいるだけで圧死します。
単に歩くこと、いや、在ることすら不可能。
竜の話ですよ。
異世界の・
地球のファンタジーではなく。
・・・・・・・・・・恐竜、ですか?
科学的には、あり得ません。
エルフは居ました。
ドワーフは居ました。
獣人人獣不死だって科学的に可能です。
恐竜が、地球上に、居られる理論は無い。
皆さん、御存知の、あれ。
翼竜も。
恐竜分類ではありませんが。
同じ無理ならもっとでも同じ。
毒を食らわば皿まで、でしょうか。
まあ大小あるので一概に、とは申しませんが。
竜脚類、全長数十~数mの大半は、無理ですね。
ファンタジーとしか言い様がない。
化石が無ければ科学的に否定されているところです。
――――――――――科学が間違っている?
まさか。
検証し続けられる法則は、間違っていません。
むしろ、認識が間違っている、んですよ。
られる、と言いましたよね。
居られない。
居られた。
矛盾しませんよ?
今と昔。
現代と二億年前。
地球が同じな訳が無いでしょう。
貴方が産まれる前から続いている地球は、宇宙開闢以来不変ではありません。
むしろ恐竜は、その証拠。
恐竜の化石が示していること。
恐竜がいた?
いやいや。
僅か億年前の異世界について。
二億年前は現在の地球と全く異なる星だった、ということです。
恐竜が居られたということが、その証拠。
では、どんな惑星だったのか
――――――――――それは古生物環境学に任せましょう。
映画の様に現代に恐竜を再現することは、出来ません。
途中で死にます。
タイムマシンでジュラ紀に遡れば生きられない。
宇宙服でも無理。
なにしろ現在の環境と全く違う
・・・・・・・・・・と、いうのが科学的常識だったのですが、ね。
これは考えどころです。
現在と同じ星だったのかもしれません。
――――――――――ならば。
異世界の魔法使いたちは、どんな魔法か検証中。
地球の恐竜化石を当たり前に受け入れてますよ。
国際連合に徴集志願した皆さん。
異世界では魔獣、つまり魔法により存在できる生物、が当たり前ですから。
魔法を発動させ続けているのか?
血肉骨に魔法を込めているのか?
あるいは、その両方なのか?
今、骨格に魔法陣の痕跡を探しています。
魔法陣は自然発生するそうです。
まあ、図形ですからね。
身体的特徴が遺伝するのと同じ。
同じ動物は似た姿です。
共通項が魔法陣になっても普通。
まあ、彼らは魔法を前提から外せませんから。
魔法が無い世界を知りませんからね。
お互い様ということでしょう。
さて、地球に魔法があったのかなかったのか、それはともかく。
――――――――――従来の「地球は地球ではなかった」説の方が、考え易いので。
現在。
異世界、魔獣について。
爬虫類類似の巨大生物。
昆虫類類似の巨大虫類。
海棲生物は魔獣ではないようです。
あれらが居られる理由は魔法です。
存在自体に魔法が必要とは、難儀なことですが。
サイズ以外の魔法要素、物理法則無視、もありふれています。
炎じゃなくて。
いや、あの吹いてる炎、あれも科学的手順で出来るのに、科学的方法ではありませんでしたが。
他にもあります。
竜サイズまでいかずとも、機能自体が魔法頼みな物もいますな。
音速で飛ぶ鳥。
現地では伝書鳩のように使う場合もあります。
100m以上から落ちて平気な猫。
現地部隊から輸送機の使用申請が出ています。
分断記録更新中の不死者。
同種属に聴取しても上限を知る者がおりません。
つまり初めての検証です。
他にも魔獣を食べることで魔法が高まるとかなんとか
・・・・・・・・・・いやいや、迷信とは限りません。
生物と言うのは確固たる存在ではなく、曖昧なものです。
免疫とは病気への耐性ではなく自己範囲の規定でしかない。
食べた物が、どの段階で同一化したと見なすのかは解釈。
成分を性質と見なせば今ここで話を聞いている皆さん、それを、そのまま、生かしてらっしゃる。
はは。
そのうち判るでしょう
・・・・・・・・・・瞳が赤くなるかもしれませんな。
《国際連合安全保障理事会/日本国与野党幹事会/同化政策小パネル議事録(コード不明)》
【異世界大陸東北部/占領地域/軍政主府/軍政司令部/軍政司令官私室/青龍の貴族】
俺の食卓メイン担当。
――――――――――Colorfulはお勉強。
シスターズが教わることもあるけどね。
「房中術一般」
おまえも習えば?
――――――――――教え学ぶものじゃないけれど。
「そのこころは」
目覚めるもの。
「・・・・・・・・・・」
騒がしくするのは後回し。
「なにする気!」
教わることじゃないと言うに。
――――――――――実践イク?
「こころの準備が必要だっていってるじゃないですか予告予約予定出して取って調節して!」
今は警戒されてるからやめとこう。
ささ。
朝ごはん。
「油断させて十発とか」
大丈夫。
警戒させて叩き潰す。
――――――――食べ終わるまでは安全――――――――
さて。
「じゃない!」
魔女っ娘が料理。
お嬢が仕切り。
狩るのはエルフっ娘。
「無視かスルーか放置か」
俺もエルフっ娘の狩りを観たことがある。
眼にも留まらぬ素早さ。
流石じゃないから見えん。
動作も所作も凄いんだ。
いや、記録データでトレースしたんだが。
「寝てるときに感じても一部しか視えない視てないフリして誘い込まれてることに気がつきながら開き直って色々してからしぶしぶ閨を出る刻の痴態だけではなく」
娘どもならあれくらい普通ふつー。
「そうなんでしょうねたいちょーの中では女の娘たちとの後朝の別れが日常でしたね日本に居たときから」
俺、日本に住んでるからね?
お城は仮の住まいだからね?
出張みたいなもんだからね?
「ハイハイ彼女たちを日本に持ち帰るんでしたね国家予算で」
その後の生活も国家丸抱えにして暮らせる金を稼げるようにして国が敵に回ったらトンズラさせますよ。
「一生所有してくれますから安心してます~って、当たり前なニッコニコ顔で蕩けてる〃思考力消失肢体で反応毎朝〃みたいに擦りつけてますよ只今」
毎朝これだけ甘えた後で自然に剣士に成るんだぜ?
――――――――――カッコいい!
「甘える意味を考えなおしましょうか?」
二度と戻れないように甘やかすとどうなるか?
――――――――――やってみよ!
「視線に反応、いつもより余計にパタパタしております」
狩りエルフ。
エルフ狩りではない。
「毎日毎刻狩り続けてるクセに」
ちゃんと狩ってもらってるときの方が
・・・・・・・・・・回数の問題じゃない。
より難しい方。
「エルフ娘はチョロいとな?
――――――――――あ、違いますよ、そうですよね、彼だからだよね」
娘どもと親しくなるのは呼吸と同じく難度じゃない。
エルフっ娘に殺意を向けられてる大人は反省して。
つまり難しい狩り。
エルフ一般の場合。
獲るのは異世界人が避ける魔獣。
魔獣に有るのは大きな体に強い力。
人里ってか近隣に居る範囲の魔獣。
魔獣の中では小さく、おとなしい。
それでもデカイが。
恐竜サイズは人里に出てこない。
そんな場所に人が住まないのか。
人が邪魔で魔獣が住めないのか。
恐竜サイズになれば餌が、たくさん必要。
人間サイズじゃ狩る手間の割に身が少ない。
人より大きく恐竜より小さい獲物は人が狩る。
巨大植物も人間が切り倒して消費してしまう。
人が狩るか耕すか。
大植物も大動物も人里にいない。
人サイズは、ダメ。
巨大魔獣の餌にしろ獲物にしろ。
獲り難く少な過ぎ。
餌にするにはコストパフォーマンスが悪い人間。
人間せいで餌が減っては生活圏が離れる訳だよ。
住み分ける巨大と人。
その狭間にいる魔獣。
巨大以前だが小さくも無い。
人サイズと比べた話だが。
獣。
魔獣。
カテゴライズはサイズに非ず。
筋力で身を支える獣。
魔力で身を支える魔獣。
だから魔獣は大きい、ことが多い。
重力によるサイズ限界の超越。
その、魔獣でも最小ではないが小さい方。
人里範囲ギリギリには生息してる。
魔力で支えても傾斜は苦手。
身体を支える魔力。
地面には及ばない。
転び易く安定性に欠ける。
だから山には魔獣がいない。
人があまり立ち入らない、森の中。
そこがギリギリ、テリトリー。
王城付属の狩場も、その一つ。
居るのは最大でも、バッファローの三倍くらいのサイズ。
火器が無い異世界人なら殺すのに軍が必要なレベル。
軍でなんとか成る範囲、とも言える。
まあ、地球人類にも常識の範囲。
象だって槍弓剣斧で倒してるからね。
異世界種族にしても、竜も魔法も無しで倒せる。
けれど、わざわざ挑みたくは無かろう。
異世界でも、普通の猪や牛みたいなのは居ます。
普通は狩りならそちらを狙う。
異世界人なら魔獣は避けます。
ギリギリ人里ならおとなしい。
そういう問題じゃなく。
大きさそれ自体が脅威になる。
大動物は、なかなか死なない。
傷付ければ魔獣だって暴れる。
暴走どころか向かって来たら。
樹々や地面を、えぐって走る。
踏み潰されずとも破片で死ぬ。
それが常なら放置できないが。
暴走させず近付かねば大丈夫。
狂暴じゃないから駆逐しない。
草食でおとなしいから、わざわざ刺激せずに暴れさせないよう。
異世界人と魔獣の、つきあい方。
付き合わないようにしてる、か。
むしろ魔獣を狙うのが、エルフ。
「練馬が竜の卵をオムレツにしたら美味しかったそうで」




