わたしは自由です/Brave New World．
【登場人物/三人称】
地球側呼称《曹長》
現地側呼称《騎士長》
？歳/男性
：国際連合軍/陸上自衛隊曹長。主人公の「俺」が困ったら、困ってなくても、まず頼る相手。
主人公の「俺」は着任以後、本土の友人知人を経由して曹長の家族に贈答をかかしていない。奥さんだと常識的に遠慮されてしまうので、世間知らずな娘に受け取らせる戦術を多用中。そのかいあってか主人公の「俺」は娘さんとはプライベートなメールをしあう関係。娘さんに曹長、お父さんの良いところを吹き込ん間接的に曹長の機嫌をとろうとしていることは間違いない。
わたしはいなかった、です。
誰かが
・・・・・・・・・・使い途を考えてくれました。
皆が
――――――――――何かから守ってくれました。
無視してもらえませんでした。
視て無い。
視ないならいる。
無いなら
・・・・・・・・・・いない。
わたし。
わたし？
昔のわたしを思い出せるのは、今のわたしが想えるから。
あの刻。
彼処？
わたしはいなかったんです。
あの刻まで。
だから、嬉しかった。
眼を覗き込まれた刻。
意見を訊かれてる刻。
意思を無視される刻。
だから、悲しかった。
わたし、見つけて貰えたんです。
ご主人様に。
〈証言終了〉
主の命令。
――――――――――答えたいと感じたことだけを応えろ。
自白剤投与。
――――――――――彼が偽られてないと証明してもいい。
いずれも同一趣旨の反応を確認。
日本列島/異世界大陸北東部での調査継続要。
署名。
メンゲレ（仮名）軍医大尉/合衆国太平洋軍。
《国産連合安全保障理事会/同化政策委員会》
【異世界大陸東北部/占領地域/軍政主府/軍政司令部/軍政司令官私室/青龍の貴族】
俺が与えたと認めるに吝かではないアクセサリー。
「悦こんでる悦こんでる」
眼を逸らすわけにはいかない。
責められる理由は、別として。
肢体に喰い込み過ぎてないか。
縁が盛り上がるのは許容範囲。
血行は体温と脈動で確かめて。
鬱血はないか目視触診を反復。
胎内体外同時に駆動試験を繰り返させる。
反応速度と可動域は毎回増加し続けてる。
――――――――――多世界共通――――――――――
「日本でも同格個体複数に
・・・・・・・・・・わざとヤってるなら許されてるのに」
まあ、実際に必要なプロセスじゃない。
命令を守らせているのは俺なんだから。
皆に強いてる首輪と腕輪と脚輪他色々。
ドッグタグと同じ様に長期装着が前提。
日々の手入れは趣味嗜好の範疇となる。
安全上外せないのが致命傷、な訳ない。
なにもかも戦場利用実績溢れる軍用品。
歩兵戦闘が何週間にも渡るなんてザラ。
いやまあ健康被害前提の失敗作は軍用あるあるだが、そういうのは使った記録のみ創って前線で破棄。
偶に命令を守った間抜けが被害に遇う。
守らせた阿呆を後ろから撃たないから。
ドッグタグは幸いにしてまともな装備。
モスボール化装備と試作品に外れなし。
うちの娘たちの監視装置は旧式後継器。
数十万の兵士で試して試し続けている。
旧式に成れた普及品と職人技の最新鋭。
量産品を敢えて特別に創った品なのだ。
しかも、いつの間にか経験豊富な主治医が日夜、娘どもたちを覗き見してるのは趣味だから外れ無し。
俺が弄り回すのは、単なる心配性。
俺が視てれば、どうにでも出来る。
俺が責任者だから、だけではなく。
・・・・・・・・・・俺のせいだから、です、はい。
地球人類の有価戦略資源。
拾った娘どもなんだけど。
うちの娘もメイドさんも。
ま、地球人類の都合は利用するとして。
繋いで置くのは安心と不安が半々。
繋いで置けば安心、ってことは。
繋いで置かないと殺されかねない。
アクセサリーっぽいだけの枷。
意味はともかく外形はネックレス。
意味は教えてあるんだけどなぁ。
意味はともかくプレゼントっぽい。
縛っている内は守っている内に入らん。
「オマエを護る為に絶対に肌身離さずもってろとか２４時間常に位置が判り肢体の様子も解るとかマイナス距離からゼロ距離で日常的に距離を許して許されてる男から真顔で言い聞かされた彼女たちの気持ちが解りますか？」
親しい人と思いたいだけで信頼関係以前に嫌悪されている相手に合法的な強要でＧＰＳを無理やり付けさせる異常者みたい、商品化されてるアレ。
「おいおいおい」
プライベートでもＧＰＳを切るのは当然、基地局探知が嫌いで通信を止めるのがデフォルトな人には解らない。
位置情報発信の為だけにＳＩＭを自分名義で買って発信機能端末に挿し隣人の車に置いておくのは三佐の指示。
俺は嫌だって言ったんですよ心のなかでしかし偶々乗り合わせた車内に忘れてしまうのは仕方がないですよね。
危ない刻はタクシーに忘れて後で落とし物として回収してもらってますから彼女に危険はないんですよホント。
ともあれ実際に親しいからゼロ距離に居るんだが、此処は戦場、正常な人間の営みに反した枷を付けさせてる。
「大歓喜して超、悦び中」
キミたちの気持ちは、どうでもよいから。
本人の了承なんかで気持ち悪さがなくなると思ったら大間違い。
だいたい詐欺師ほど相手の同意に拘る輩。
他人に同意したと思わせることが如何に容易いことか証明済み。
故に嫌われるくらいの反応でもっとも当然、当たり前。
その方がまともであり、寄り一人立ちさせやすが。
嫌われ避けられたりしても何の支障もないし。
それでも守る守らせるのは簡単なんだよ。
相手の意思や希望に諾否とかなんとか無視して無理強いするしそれが出来る。
だから、嫌って良いんだよ？
むしろ、嫌われないと心配。
だから、嫌われるまで一緒？
「自分を尊重された挙げ句の果てに破滅ってよくあるよくある」
好かれてしまえば、嫌われるのも距離の調整でしかない、から我慢できるよ大人だし。
アクセサリーで喜ばせ。
監視装置で退かせて。
上げて落として微調整。
「離れたくない相手を力強く拘束するってなんの御褒美ですか」
監視装置の意味が伝わらなかったのかもしれない。
・・・・・・・・・・拘束具もデザインと解釈されたか。
以外や意外。
贈ると喜ばれます。
女や女の子。
ネックレスよりも。
チョーカー。
紐を付けようかと。
余りやらん。
紐で繋がれて悦ぶ男や男の子はいないけど。
・・・・・・・・・・やったことはないぞ？
観れば判る。
チョーカーも不評です。
そらそうだ。
ネクタイだっていやだ。
「いえ悦ぶ男もいましたよ？」
・・・・・・・それはどっちだどれだチョーカーかネクタイか首枷か？
マメシバくらい容姿が好ければホイホイされる輩もいるだろう。
俺なら拘りません誰とでも
「まあそうでしょうけど
・・・・・・・・・・同性までは嫌」
――――――――――まあ。
稀によくある程度です。
多くはない。
相手にもよるのだろう。
推測ですが。
「付けられたい、って女は？」
女や女の子に紐を繋ないで悦ばれることも余り無いが。
「偶にはあると確かめてるんですね
・・・・・・・・・・興味はないですから！あんまり！！」
だが、チョーカーは皆さん悦ばれます。
これは俺が贈って確かめてる。
「これもって前に、贈る男に由るから必ずしもＭばかりじゃないし自分で付ける娘も多いし贈る男に依るから」
男の子の知らない世界。
俺もネクタイは嫌いだ。
ネクタイで殺せるから。
不正規戦訓練基礎知識。
頚周りは空けておこう。
カッ捌かれるより安全。
喉を守るより頚の自由。
その方が殺されにくい。
そんなオフィシャルな話。
とは言えチョーカーは首筋に密着。
これで絞めるのは難しいかもなぁ。
とは言えそれが理由でもあるまい。
首筋顎下胸元をアピールできるし。
着けてあげるとなお、悦ばれます。
「実話だからって誰かが本気にしたらどうすんですか」
これはプライベートな話。
贈答品に最適。
遠い日本の中学生も大喜び。
着けてあげるのはまた今度の約束。
俺の生命線たる曹長の愛娘。
弱い俺が生き続けるための必須条件。
曹長は贈り物なしに頼れるけどね。
部下からの好感度ＵＰは大切です。
出来る上司の生存戦略、マジ生死。
今の俺みたい。
危機にこそ判るのが人望。
回答は生還をもって換えさせていただきます。
部下を篭絡するなら、その家族のハートを鷲掴み。
偉大なる田中角栄議員の必殺技として有名だ。
よって曹長の奥様に挨拶を欠かさず、愛しい余り眼に入れてる娘さんに贈答品を欠かさず、難しい年頃ながら父が大好きな娘さんに御父様をヨイショして遠回しに部下への信頼と高評価をアピールし、ダメな上官が生き残ったほうが都合が良いよねと思い込ませ任務以上に支えさせてあげるのである俺の命を。
娘持ちなら、うちの娘たちの保護にも役立つし、特に俺が殺された後。
――――――――――曹長の娘さんからは毎日動画付きメッセージが来るくらいに仲良し。
「自撮りで動画って」
曹長に宜しくね！
・・・・・・・・・・周り廻って曹長のヤル気が上がる間違いない。
「間違って殺る気が上がりそう」
そんな俺の処世術。
それは地球人類共通。
人と道具は合わせて最強！
・・・・・・・・・・片方だけだと無力以下の餌でしかない。
揃えてあるから問題無し！
そんなアクセサリー。
それ故のデザイン。
気持ちですよ、気持ち。
袖の下。
襟の下。
裾の下。
背伸びをしたい女の子に向けた女への山吹色の御菓子がフルセット。
もちろん監視機能はありません。
ＧＰＳ無き後に測位システムが日本列島へ再建されましたけれどね。
基盤は通信の基地局とかあるし。
ぶっちゃけ冷戦後、宇宙開発が下火になって以後、測位衛星も減少。
人工衛星って、夢があったよね。
異世界転移後、宇宙資産を全て失った地球人類が特に困らない理由。
哨戒気球みたいな衛星の代用品。
すぐに用意出来たのは既に実用化と導入が進んでいたからに過ぎず。
宇宙はミサイルでしか使わない。
だけどＧＰＳなのは固有名詞じゃなくて一般名詞扱いになったから。
ま、位置情報システムってこと。
だから贈り物は宇宙に繋がっておりません。
「男から贈られたら嬉しい
・・・・・・・・・・牡から貰って喜べるのは貧乏人だけですが」
そ～なん？
「貧乏って辛いんです！観たことあります！」
観れば判る。
居たたまれないよね、アレ。
自覚が無い。
本人以外には判りすぎてる。
だからこそ、貧乏人には通じない。
・・・・・・・・・・観て解るのが贈り物。
なるほど、皆さん特権階級ばかり。
地球人類と異世界の極少数派。
あるいは特権階級に合わせる立場。
異世界人へ、地球人類からの贈り物
・・・・・・・・・・を装った、監視装置。
気持ちですよ気持ち。
チョーカー。
ブレスレット。
アンクレット。
異世界でも大好評。
三揃えは、うちの娘たち。
二つ揃えはメイド五人衆、メイド長。
デザインはむしろ好い。
パチモンを発注するくらいに。
贈答品に贈っています。
だけど異世界では意味が違う。
職務上って不愉快だね。
贈ってなくて付けさせている。
せっかく仲良しなのに。
アクセサリーが拘束具とかさ。
三佐なら俺を部下に監視させていても可笑しくはない、けどね。
普通は視ない。
出来ると為るは違う。
監視とは、そういうこと。
視られている、かも、と意識させることで導く自主規制。
視ちゃいないけどな。
一応、記録しているか。
すぐに破棄するけど。
そりゃそうだ
――――――――――他人は貴方に興味など無い。
