おまじないとのろいはどうちがう?
【用語】
『王城奉公人』
:国際連合統治軍現地雇用者。占領下に置いて交戦団体である帝国資産は動産不動産を問わず国際連合の所有となる。異世界の所有概念に干渉しない為、特段の効果が無ければ奴隷も財産に含むが徴集者や雇用者は含まない。含まれない徴集者は退去帰還解散とし、雇用者は要不用希望有無により再雇用か退職手当を行って解雇する。
なお国際連合軍の作戦遂行上の必要があれば、この限りではない。
現在の王城奉公人は軍政司令官の判断で駐屯地運営に必要な人員を現地で雇用したもの。元々、帝国太守の奉公人で王城に仕えていた人々。帝国撤退後に放棄され、国際連合進駐までの間に行き場を無くしていた一部の者たち。即時揃えられ、王城内に詳しく、王城で占領を迎えそのまま雇用された執事長メイド長の人脈。よってそのまま雇用された。領民の中では上流階級に近い。帝国撤退後、仕える主を失った。行き場を無くせば所属氏族に救済されるのが常。しかし従来、帝国官吏に近く氏族と帝国の繋ぎ役でもあった。故に新たな支配者による残党狩りが恐れられ、実際に帝国没落後の一般的反帝国感情に晒されることになる。よって立場を失い氏族内ですら逼塞させられ追放された者も少なくない。逆に、取り残されただけではあるが故に暇を出されず王城に残された執事長メイド長。責任上、占領者を迎えた結果、そのまま王城の管理職とされた。その執事長メイド長に頼り迎えられた。故に上流階級に居ながら出身氏族に懐疑的な者ばかり。王城奉公人という執事長メイド長を頭に頂く氏族になりつつある。
支配というのはね。
――――――――――要らない――――――――――
ってこと。
何も必要としない。
在ってもいい。
無くてもいい。
なんでもいい。
必ず要るが、無い。
世界の終わりでもなければ困らない。
愛するから愛される?
与えるから得られる?
奪うから奪われたり?
嫌うと嫌われるとか?
実例、知らないけど。
愛さないけど愛されて。
与えないけど捧げられ。
奪い続けて幾年月。
好きも嫌いもわからない。
――――――――――よくあることじゃない。
利害得失。
Win-Win。
等価交換。
・・・・・・・・・・続きやしないわ。
代わりは幾らでもいる。
換わりは幾らでもある。
替わりは幾らでも払う。
そんなのに興味あるわけないでしょう。
代々続く政治家。
議員。
知事。
名家。
今代で終るも可。
だから代々、続いてきたのよ、うちは。
支持なんか要らない。
だから皆が支持する。
何も返したりしない。
だから皆が委ねてる。
勘定で済むなら誰でも出来るでしょう。
だから必要なの。
何も必要としない者が。
だから皆が殺してでも尽くす。
与えるも奪うも誰かが代わる。
なにもかも移動するだけ無関係。
得ないし喪わないし捧げらる。
其所で見下ろし続ける為に
――――――――――其処で見上げる一時の為に。
賛否。
善悪。
貴賤。
基準点が有るから在れる。
――――――――――否応なしにいずれかに決まる。
【異世界大陸東北部/占領地域/軍政主府/軍政司令部/軍政司令官私室/青龍の貴族】
俺の至近を往ったり来たり。
着いて離れてメイド五人衆。
朝の新宿駅ホームでの走りスマホくらい人間なら誰でも出来るが、この肢体捌きは、まさに一体。
マイナス距離のシスターズ。
ゼロ距離Colorful。
その合間を縫ってどうやって配膳を口実に観せても視えない肢体捌きを魅せ着けるメイド五人衆。
好カード。
シスターズ&Colorful。
メイド五人衆のターンでも譲らない。
だが負けないメイド五人衆!
一気に1m~十数cmに踏み込み。
独り占めオーラ8人分に逐い出し。
再突入きた、ヒット&アウェイ!
ニンジャかな?
視線に先回り。
――――――――――前を取らされ続けてる。
空気に薫らせ。
――――――――――風下に立たされた不覚。
必ずワンタッチ!
――――――――――戦場なら殺されている。
「「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」」
うちの娘たちも順調に苛立ってる
・・・・・・・・・・数が合わない?
「「「♪︎」」」
シスターズは甘え中。
一人多い。
「違いますよ?」
アジテーターではない、と。
怪談かな?
・・・・・・・・・・ともあれ肢体捌き以外はちょくちょくよくあるよくあること。
だいだい押しくら饅頭になる。
マイナス距離に至る過程。
周りをぐるぐるタッチ&ゴー。
猫がたくさんいる人生を送るひとなら判る。
皆で、こちらを気にする姿。
この娘たち十代半ばだしね。
大人の評価が気になる年頃。
抱っ娘してあげられないから、気が退ける。
家事という名の演舞は続く。
躍りとは非日常ではない。
演じることこそ常日頃。
気にしないフリに決めたのか、逃げたのか。
無心、故に欲が溢れる。
無心、故に冴えに冴え。
無心、故に惹きつける。
――――――――――マメシバの逆。
「なにゆえ!」
気にしないを演じてますよって、魅せるならコミュニケーションの基本。
しかし、素かな?
観せてはいるが意識が跳んでるような。
観られることが身に付いているっこと。
観せて魅せるが存在意義なメイドさん。
だが全体が観えてない。
その所作じゃ俺だけに向けている。
ポイントをアピールするのはよし。
だがそのチョイスかな。
露な首筋から鎖骨から胸元。
敢えて言うなら脚の付け根。
佳い肢体から好い処を強調。
「魅せると魅るが完全一致
――――――――――舞台と観客、演奏と聴衆、作家に読者」
素肌に映えるアクセサリー。
肢体をアピールしている。
つまり偽装したドッグタグ。
「魅せてんのよ
――――――――――独りから己に贈って貰えたプレゼント」
意味が重なっているような気がするが、まあ。
・・・・・・・・・・贈り物だと想われてるのは知ってます。
一人〃デザインが違うのは凝ってるよね。
信号だけではなく形状でも識別出来る様に。
付与権限は軍政司令官に在るのは確か。
とはいえ通常は与えて動作を確認するだけ。
配布作業は軍政司令部文官に任せている。
いやもちろん責任と権限は俺が持ってるが。
わざわざ説明しないわな。
軍政司令部付きの者たち。
軍政司令官付きの者たち。
軍政司令官保護下の者たち。
彼女たちだけは特別扱い。
女ばかりは娘どもの都合。
男がいると服も脱げない。
異世界特権階級の習慣で。
メイド五人は男性恐怖症。
だからの配属ではあるが。
結果がこれである。
俺に権限が集まっている。
俺が直接に装着を命じる。
俺の手で直接装着をする。
俺は、それを続けている。
――――――――――意図は知らない保安規定の通り。
司令部に異世界種族を入れたくないんだろうな。
国際連合軍の拠点。
異世界の人里から離れた立地。
人里を絶やした場合もあるが。
異世界種族はいないか少ない。
捕虜、サンプル、志願兵とか。
此処は例外ですよ。
うちは異世界種族の中に居る。
異世界有数の大都会の真ん中。
邦中の異世界種族は御存知だ。
中の中にも異世界の娘たちが。
司令部を異世界種族の中に置いたのが原因です。
・・・・・・・・・・一番安全な場所に娘どもを置く。
付け外しは自分で出来るんだけど。
与えて付けさせる。
外すのは許可制。
与えて付けてやる。
外すのが俺とか。
付け外しをしてあげるのは規定外。
外して、付けてを頼まれ続けてるから応えただけ。
さすがに手が届く範囲内からしか頼まれないけど。
周りに娘どもたちが集まったから、そうなるわな。
いや、子どもが全部ではないが。
異世界人の成長ピークは地球人類と変わらない。
つまり奉公人としての最盛期もそれに準じてる。
女性労働者の主力。
十代後半。
男性労働者の主力。
二十代前半。
当然、王城奉公人の多数派だ。
俺の手が届く範囲だけが子ども扱い。
特別扱いってことだが良し悪し不明。
悦ばれているのは判るがそれだけだ。
訳有りの娘たちばかりだから。
渡し方だけじゃなく装備も違う。
デザインだけじゃなく、数がね。
うちの娘たちは頚と両腕、両脚で五つ。
両耳防音イヤホンと喉元の骨伝導マイクは別。
現地雇用者。
司令部外はドッグタグが一つ。
司令部内はドッグタグが二つ。
普通の王城奉公人は、首筋のネックレスのみ。
司令部付きは別。
ドック・タグが二つ。
機能は一つで満たせる。
念のため、だね。
常にモニター、不具合があれば一つでも交換。
奉公人でドッグタグが二つ、はメイド長とメイド五人衆、他に数人のみ。
メイド長が基本的に軍政司令部常駐なので。
執事長さんは軍政司令部までこないからね。
現地軍属、王城奉公人たちの統制は現地の執事長やメイド長に一任。
執事長さんが王城奉公人全体の指揮を執るために城内の執務室。
出入りが難しい軍政司令部に常駐するメイド長が占領軍との連絡役。
だからメイド長と伝令役のメイドさんらにもドッグタグは二つ。
とはいえドッグタグ二つであれ、オーソドックスなメイド服を着てるから、頚基の一つしか観せてない。
全部アピールしている、させられている、嫌ではないが羞ずかしがってるメイド五人衆とは違う
――――――――――マメシバ印のメイド服、軍政司令部専用で司令官私室用の着こなしがあるとかなんとか。
今それ。
ドッグタグが好く魅える。
頑張れ。
羞じらいは辱しめを招く。
ホント。
「計画とおり♪︎」
眼を惹くのは俺が与えた枷軛。
特殊な形。
首筋にチョーカー。
脚の付け根にアンクレット。
メイド五人衆とメイド長向け。
要は軍政司令部常駐する民間人。
俺たち戦闘員は情報端末で生死が判る。
IFFとは別。
脈拍。
血圧。
位置情報。
プロテクターの通電情報。
殺せるか殺されたか、リアルタイムで判る。
――――――――――うちの娘たちの場合は、索敵装置が優先監視しつまいるから、プロテクター無しにアラート付きで外形がモニターされてます。
メイドさんたちの場合は、それほどではない。
誰か自動機銃には、すぐに判る。
誰が何処にいるか、すぐに判る。
誰かが殺されたら、すぐに判る。
誰かに外されたら、すぐに判る。
生死と現在位置の特定だけ。
チョーカーなら首を落とされるか。
アンクレットは脚を落とされるか。
二つの場合は距離が離れたらアラート。
一つの場合でも体温低下ならアラート。
日常的な洗浄は一つずつ。
それを無くしたら殺す。
自動で撃たれる形で。
それが国際連合軍属の証明。
――――――――――殺されないこと。
占領軍直接雇用の皆さんのドッグタグ。
彼女たち執事さんはコレを誇示。
出入りする他家奉公人。
王城のメイド執事。
各々制服が違うのだが、種類が多く判りにくい。
彼らとは違うとの証明。
特に、メイドさんたち。
常に周りに観えるようにする仕草が心得の一つ。
執事さんたちは必要に応じてチラ見させてる。
この辺は男女の様式の違いらしい。
電波識別だから俺らに観せる必要はないけど。
俺らも執事長やメイド長も干渉せず一任。
後で後悔することにならないといいが。
・・・・・・・・・・侵略者の側だという印。
付けさせてから仕草が変わるくらいに。
守護と呪いは紙一重。




