幕間:育児ノイローゼの無い世界/先進国病に関する一般的考察。
【インタビュアー】
地球側呼称《カタリベ/歴史家》
現地側呼称《青龍の史家》
?歳/女性
:地球側の政治指導者が定めた役割。すべての情報へのアクセスを許可されており、発表を禁止されている代わりにどんな情報も入手可能。軍政部隊に同行しているのはジャーナリスト志望の大学生。
初登場は第11話「幕間:自由と民主主義のために」
子供が産まれたら、どうしますか?
「?
――――――――――ああ、ご心配をかけました。確かに普通じゃないです。ねえ様。わたし。我が家は二人しかいない家ですから。だから、お願いします。ちい姉さまに。助けください、って。おじ様は、なんだってしてくださいます。ちい姉さまに危険がないかぎり。何人産んでも大丈夫です♪︎二人で赤ちゃんを育てるなんて、無理ですもの」
無理、ですか。
「??
・・・・・・・・・・赤ちゃんは一日中守らないと、ですから、二人だけで視るのは、無理だと思います、けど」
普通、ならば?
「氏族の中で専任が数人で、えと、十人前後までかな、の赤ちゃんを視る、と思いますが
・・・・・・・・・・街や村なら、乳母はいないから専任じゃなくて、そのとき乳がでるひとが主に、でしょうか。うちに育てる役が出来るのは、家を再興してからですね」
貴女が、産む?
「わたし。ねえ様。二人で、たっくさん産みます♪︎ご主人様は女の三十一人くらい絶え間なく孕ませてくださいますから
――――――――――直前でイジワルなさらなければ」
三十一?!?
「だいじょうぶですから?きっとおそらくたぶんふえないんじゃないかと
――――――――――ご主人さまなら全員使い潰してくださいますから!」
そ、それは?
「だ、だいじょうぶですからね?まいにちなんどもなんどもなぶられてますけどそれだけもとめていただいてるんですからきっといつかすぐにあきれてさいごまでくりかえしながらイジワルしてくださいますとおもいますよね?」
・・・・・・・・・・ハイ。
「あ、いえ、わたしだけじゃないですけど、わたし自身の悦びだけじゃなくて、ちゃんと責められきることを目指しながら、ご主人様にも悦こんでいただいて十月十日ごとに二十歳くらいまでに十人くらい産んで、その後は無理がありますけど、ねえ様ならずっと十代ですから、ずっと産めますし、わたしたち一代で一族の再興も出来るんじゃないかと
――――――――――して欲しいだけじゃないんです!欲しがってばかりにならないようにしたいです!でも結果はおんなじなんですけど!わたし、ねえ様が産む者たちは絶対にお役にたてます!その前から、ご主人には、わたし、たちでたっくさん悦こんでいただきたいんですけど諦めてません本当に
・・・・・・・・・・わたし、欲しがってばかりで、ご主人様に呆れられちゃいますか?」
貴女が子供を産んでいるとき、彼は?
「??
――――――――――その都度、産む間しばらく離れてしまいますが、わたしが御相手叶わぬことを悲しむだけで、ご主人様には
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・他の
・・・・・・・・・・女も
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たくさん
――――――――――お赦しはいただけると思います」
父親は彼ですよね?
「はい。変に思われましょうが、ご主人様しか嫌です絶対に死にます殺されるなら、ご主人様に、死ぬのなら自分で
――――――――偏食みたいな物だと思っていただければ」
・・・・・・・・・・仕方がないですね、それは。
「わたしが一族の今は当主だから、姉さまと一緒に自分勝手できます。滅びるなら滅びても構いませんし。変には観られますけど、それは、わたしが産まれたときからです。今はソレを通り越してますね♪︎でも、大丈夫!わたしがご主人様の者だというのは、邦中が知ってます♪︎♪︎」
※第7話〈冬の日。春の日。〉にて。
「ちい姉さまには立場がありますけど、ご主人様の権力なら大丈夫です。他に氏族を背負う方々も同様に、ご主人様に
・・・・・・・・・・夢中ですけど、それが当たり前になっちゃいました。ご主人様なら皆を孕ませます」
孕ませた後は
――――――――――産まれた子供には、関係ない?
「???
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女が産むのですから、男の方には関係ありません、けど」
産んだ後は?
「あは♪︎我ながら変なことを考えていますけど、わたしも育てることに関わってみたいです。お乳の出が良ければ、ですが」
変、ですか。
「乳母って柄ではありませんし、家格として認めてはもらえませんよね。でも当主ですし、ご主人様に我が儘を言えたら
・・・・・・・・・・産んで育てるなんて、笑われそう♪︎」
いえ、彼は何もしないのですか?
「わたし、を孕ませ続けていただいて
・・・・・・・・・・その後、ですか?産まれたら楽しまれると思います。幼い者を構うのを好まれますし」
彼の子供では?
「????
わたしが産むんですから、わたしの赤ちゃんですけど
・・・・・・・・・・もちろん、ご主人様が孕ませてくださるのですけど
――――――――――あ、まだって思ってますね!すぐですから!!お役目の後に為ていただきますから!!!今度こそ最後まで意志を保って、ご主人様に孕ませていただきますから!!!!責められてしばらくすぐに失神して醒めさせて四半刻もかからなかったと途中の前なのに反応するだけの人形みたいになって愉しくないから寝かし付けておくって微笑みながら後からゆっくり繰り返し想い知らすのが愉しいとお考えですけど反応しかできないだけで意識はあってなにもかもぜんぶ憶えて刻まれて忘れようがないんですからずっとずっとず~~~~~~~~~~っと日に何度も何度も与えて頂ける機会を常に逃したことで泣いてるんですから!!!!!!泣き顔を褒められても嬉しいだけじゃありませんけどそういう苛められ方は
・・・・・・・・・・人形みたいでも最後まで、いえ、最後まで何回も頂いてから、苛め潰していただきたいんですけど、そういうの、どうしても、ダメなんでしょうか?ダメじゃないですよね??ダメでも赦して許してくださいますよ、ね????命懸けで 哀願すれば呆れられちゃうのは最期の手段で避けたいんですぅ!!!!!!!」
なぜ一人の男にこだわりますか?
・・・・・・・・・・一般的ではないのでしょう?
「ご主人様を、わたしの、一生の、特別にさせていただきたいんです
――――――――――ご主人様の特別、であるだけじゃなくて」
《カタリベのインタビュー記録/分類χψДπДытуффтутттшыыфхьшщщщ》
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以下は参考人、身近で彼女たちの受胎管理を命じられている医師、に収まっていない軍医の証言。
※根本となるのは「子供」という概念がないこと。それらしきものは先進国であるようなないような。キラキラネーム一つで皆様お判りいただけるかと。あれ、子供を人間扱いしてないよね。ペットか人形扱い。さもなければ「子供の権利条約」など存在しない。「子供とはなんぞや?」から始まってるあたり、先進国レベルでさえ共通認識が無いと再確認。締結時「子供の定義」は文章化されたが、何を言いたいのか解らない内容。つまり人類共通の「子供とはなんぞや?」は成立し得なかった。なんだか誰にも判らないが「子供は存在するんだ!」「ナ、ナンダッテー」となったが存在したから変わったかと言えば、法律には概念を創る力などない。相変わらず「子供」は地球人類社会に存在していない。ちなみにキラキラネームが多発しだした時期と児童虐待増加は一致しているあたり、子供が共同体の手を離れたからだろう。強者と弱者を密室に閉じ込めたら何が起きるか当たり前。
以降、便宜的に子供という単語を使う。
※異世界を含む非先進国一般。男は孕ませるだけ。女は産むだけ。育てるのは共同体で行う。共同体は血縁なら氏族、地縁なら村落。実務は老人や子供、その時点で授乳可能な女が行う。
故にリスクやコストが分散され、妊娠自殺や育児ノイローゼや児童虐待が生じない。
※出産適齢期。女性の身体の最盛期、つまり十代後半のこと。異世界を含む非先進国では十代後半に孕むのが一般的。産めるなら産まれるので意識はされないが。人間の品種改良が定着している異世界の場合、迷信が無いので「子供の質は母体で決まる」と理解している。特権階級の女性は十代後半に出来るだけ大勢産むよう心掛ける。受胎可能期間は地球人類と変わらない為に二十代以降にも産むことが多い。最盛期の十代後半は厳選された相手と子を成し、その子が直系として氏族の主力となる。二十代以降は血統管理こそあれど制限が弱くなり、産んだ子は傍流として氏族を支える。基本的に老衰期に入ると胎児に与えられる要素を母体は再生しきれないために基礎疾患の原因になる。よって二十代の妊娠出産は趣味嗜好の範囲。三十代以降のそれは正気の沙汰か母子心中とみなされる。治癒魔法は再生なので、母子の欠陥を添加で継ぎ足すことは出来ない。この点ありもしないものを、化学的に充填できる現代医学とは違う。
とはいえ氏族が壊滅していることを理由に産めるだけ産むと決意決定不退転な十歳児は一般的思想ではないが社会的に否定は出来ないのでナニがとは言わされるが欲しいだけではないかと後々ずっと大きな声で自白させられ続けるとは思わなかったょぅι゛ょ。
※女系社会。広範囲で活動する特権階級。血縁を組織化した氏族。血統を絶対視しないと組織が維持できない。故に「誰が産んだのか」が最重要。子供は母に属し父は意味を持たない。むしろ父親は血縁関係に関わらず「母子の保護者」が父と呼称される。異世界では人間の品種改良が一般的なので、血統上の父も「子供のデータとして」重要な意味を持つ。もちろん血統上の父は子供に何の権利も義務も理由ない。実際のところ家父長制というのは錯覚。歴史上の氏族社会では実務上の必要性から男が当主であっても、氏族の継承は母方の血統で決められていた。日本史で言えば将軍や天皇の相続で大前提だったりする。
※一夫一婦制が掠りもしない世界では恋愛に終わりがなく、男女を獲り合う競争も一夫一婦制社会より激しい。だが、だからこそ、痴情のもつれから暴力沙汰という発想も無い。男女だれもが誰の物でもなく、誰かの物にもならないから競い続けても奪うという発想にならない。
※31人。魔女っ娘ちゃんと御人形さんとエルフさんとハーフちゃんたちにメイドさんたちとメイド長さんに港街の頭目さん母子とファンクラブ一同で、あと、だんちょーで三十人ぴったり
・・・・・・・・・・一人足りない、怪談かな?
【注釈者】
地球側呼称《三尉/マメシバ/ハナコ》
現地側呼称《マメシバ卿》
?歳/女性
:陸上自衛隊医官/三尉。
Q「女は子宮ですか?」
A「それ以外は男でも足りますよ?(笑)」
と爽やかに答えた後で、
「自分の魅力的な性は磨いても、それ自体に価値を求めてないんでぇ(笑)。むしろ求められたことしかなかったしぃ♪︎私だから女であることに計り知れない値を付ける男が多いんです
――――――――――貴方は残念でしたね」
と煽り無しに哀れむ女の敵は女。
なお医師がそれでと言われ
「障害を無かったことにするのも在ったことにして病名を創るのも。お医者さんの仕事じゃありませんから――――――――――お医者さんの役割は病気を癒すことですよ」
とかなんとか。




