きみたちの気持ちはよく判る！/「尚、判るだけで全く解らない模様」
地球側呼称《三尉/マメシバ/ハナコ》
現地側呼称《マメシバ卿》
？歳/女性
：陸上自衛隊医官/三尉。国際連合軍独立教導旅団副官。
ほとんど死傷者がいない国際連合武力制裁活動における実戦緊急医療の最多経験者。治癒魔法と現代医学複合施術のパイオニアにして、異世界人への治療を目的とした医療行為のスペシャリスト。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・というところはあまり本人を含む大勢に意識されていない。
顔とスタイルの良さに自覚的で魅せ方も巧み。異世界美少女、女性最盛期の十代後半ほとんど人類以上のスペックの中で眼を惹く為に可愛く振る舞える成人女性。周りの異質性に対峙し得るのは共通性。標的が日本人なら尚やり易い、のに女性に希少価値を付ける社会的アドバンテージを無視する男に苦戦中。
キラキラネームのせいで憐れまれ続けた全盛期の反動で男を手玉に獲る力で女から尊敬され処女を拗らせ性愛に詳しいからこそ恋愛至上
――――――――――と、どこかの男に見立てられた内容を聞かされてキレてる辺り、まあ、その。
貴男に私が隠し事を打ち明ける。
バレない。
致命的な。
簡単便利。
それを開示するのは何故ですか？
「より重要な秘密を隠すため」
満点！
・・・・・・・・・・らしいですねぇ♪︎
「秘密が無いのを隠したいか」
――――――――――零点。
ちょっとのぞきこまないでくれませんよねそ～いうとこだからそこがだめだからなによろこんでよろこんでませんぼうりょくならまけませんよぜんりょくだしたらだせますからださないだけで！
【異世界大陸東北部/占領地域/軍政主府/軍政司令部/軍政司令官私室/青龍の貴族】
俺は隠し事が大好きだ。
だが表裏なしもまた好む。
暴いて愉し。
欺いて楽し。
他人事であれ。
我が事であれ。
困らない？
困らない。
そりゃそうだろう？
いずれカードはみせるもんだ。
ゲームは対人でないと成り立たないんだよ。
――――――――貴女はどうかな？――――――――
「相応しい呼ばれ方は心地よいですね。こねられょぅι゛ょ童女に睨まれるのも」
睨まれて喜ぶ女は多い。
睨んで悦ぶ女も然り。
「たいちょーの周りだけです創ってるから」
マメシバは全員の思考を読んでるな、これ。
どうやって？
・・・・・・・・・・アタリは付く。
「人って考えるとき声帯が反応するんですよ」
つまり考えるとき内心で言葉に変換される。
それが発声されずとも準備段階で身体が反応。
機械的に読み取れば発声されずとも言葉が判る。
俺は呆れた方がいいのかな？
言語化された思考までは読める訳だ。
骨伝導マイクなら声帯の振動まで拾える。
理屈で言えば振動の蠕動準備まで可能だろう。
自白剤と併用すれば効果的。
より確実性が高い手段があるなら、そちらを使うと思いがち。
自白剤より簡単で判り難い。
確実性は低いが悟られずに済む可能性が高いなら奇襲効果有。
相手が知らないならばだが。
別な手段しか知らない地球人類に対してならアドバンテージ。
それだけだ。
だからマメシバも隠さない。
発音は口蓋で音を調節
耳で確認して修正してる。
声に出す刻には共通項。
だから互いに話が出来る。
声になる前の振動なら。
訛りや滑舌、言語の違い。
それに合わせた調整前。
個体差が大きい途中経過。
舌の手前で振動を拾う。
それを読み取るだけじゃダメ。
――――――――――その、個体差が大きい振動を、解釈し直すデータの蓄積。
味方や捕虜向け？
相応の期間。
相応の会話。
相応の情報。
それがあるから振動を言葉に変換する精度が上がる。
――――――――――実用レベルまで。
俺たち、うちの娘ら、皆が首筋までカバーするチェッカーとイヤホンマイク付けてるからな。
アクセサリーみたい。
・・・・・・・・・・言い方を変えれば密着型高感度センサー２４時間装着。
本当に外さない。
手入れは一つ一つ外して着けて。
「そっすね丁寧に磨く以外に肌身離さず四肢と耳と首筋を飾る」
声帯の振動を拾えば良いなら。
たくさん喋っているのなら。
「聴いてますよね聴かれてると思いもしない乙女の囁き」
全て記録し検証をしてるなら。
魔法翻訳を利用出来るなら。
「蓄積してから本人と一緒に視聴しようと企むこのドＳ」
まだヤってない。
俺の老後のささやかな愉しみ。
なるほど、発音に寄らないコミュニケーションが機械的に、可能。
機械的に可能ならば。
――――――――――とりあえず新たに長い耳も俺に当ててくるエルフっ娘。
再現出来そうだなぁ。
その見本。
俺を読んでいるのはオマケか。
はい。
皆さん。
あなた方の思ったことは筒抜けです。
これまでも。
これからも。
――――――――全員注目すらしない――――――――
「はい、拍手」
ぱちぱち。
シスターズとメイド五人衆とメイド長忙しいので、気遣う役目に必要以上に忠実な、Ｃｏｌｏｒｆｕｌが対応。
娘どもたちのマメシバ師匠。
（（（（（（（（（（（（（（（？）））））））））））））））
なぜ拍手？って感じ。
そらスルーされるわ。
拍手はしてくれます。
付き合いが良い娘たち。
誰かに考えていることを勝手に読み取られる。
彼女たちには、当たり前。
俺たちに心を読まれるのこと。
異世界種族たち共通認識。
青龍は何もかも知っている。
・・・・・・・・・・誤解を糺す予定は未定。
索敵機器は千里眼。
盗聴盗撮記録はタイムマシン。
自白剤に至っては嘘をつけない魔法に観える。
間違いなく誤解なんだがそれを教えていない。
だから地球人類の一般的能力の一つと思ってくれた。
他人の心を常に読むことが出来る、と異世界の皆さんが、お考え。
だから皆さん驚かない。
マメシバが俺の心を読んでいる。
そりゃそうです、扱い。
青龍が自分たちの心を読んでいる。
なら青龍同士でも読めるだろう。
――――――――――そんな感じ。
実際、俺から観ても驚くべきことじゃない。
マメシバの突っ込みで判ってるしなぁ。
俺自身が心を読まれることに禁忌感もない。
日本人だからね。
キリスト教的な制限。
人の内心に触れてはならない。
信仰は神と人の間だけの問題。
――――――――――カルト集団が社会から身を守るために拵えた、教義とは無関係な言い訳。
黙秘権？
内心の自由？
プライバシー？
苦労したんだねぇ。
・・・・・・・・・・ローマ時代なんか観たことないが見当はつく。
圧倒的多数派の豊かな多神教社会の中に居る極例外被支配民族出発選民宗教の扱い。
・・・・・・・・・・同一民族からさえ、キワモノ扱い他人のフリ。
だから。
そら、訊かれたら困る。
――――――――――貴方は反社会的カルトの一員ですか？
ローマ時代数世紀の嫌われ者。
心に触れられたら困る。
それが権力を握った後も伝えられたトラウマ。
さん、はい。
他人の信仰を尋ねてはいけません。
他人の考えを明かしてはいけません。
他人の秘密を暴いてはいけません。
神に問うなかれ。
それを前提にしていない日本人。
キリスト教的な建前を無視する環境。
それは無視する自覚すらなしに。
異世界に転移したんだから仕方がない。
斯くして解禁。
自白剤に２４時間監視記録。
チェックする自由とされない不自由。
地球人類にも異世界種族にも、全く無制限に。
異世界に転移したんだから仕方がない。
自白剤との違い。
読めるのは、言葉で考えたことだけ。
「心を読まれたら困ります？」
ファンタジーの定番ではあるな。
――――――――――困らなければ困る。
物語が盛り上がらないからな。
他人の心なんか、普通は読める。
だから、その程度に困る訳がない。
読心が怖い奴は生涯独身。
友達。
女。
男。
相手がいないって人間か。
もちろん人類なら必ず相手がいる。
社会的動物とは良く言った。
科学とは、自然の再現のこと。
科学的読心術も、また然り。
うちの娘たち、他の娘ら、やっていることを科学的に再現。
常にマイナス距離だと思考が読まれるよね。
Ｃｏｌｏｒｆｕｌはシスターズを読んでるな。
一緒に生きるなら当たり前。
メイド五人衆は主の気配を読む専門家。
メイド長は、その上位互換。
他人に仕えるプロフェッショナル。
人の思考を読む。
古典的な原理。
確立された理論。
わざわざ実用化したんかい。
まあ、親しくない相手へ考えを読ませれば、親しくなりやすくなるからナンパには使えるかな？
俺にとっては同じこと。
仲が好いから心が解る。
判るから仲が好くなる。
セックスが先か付き合うのが先か？
肢体の関係になる時点で嫌いじゃない。
だが別に好きでもない。
よくあるよくある。
お見合い結婚。
一夜の成功。
政略結婚。
娼婦娼夫と客。
他色々。
その後、終生に渡る好い関係を築けた事例のなんと多いことか。
いや、多数派。
そもそも恋愛結婚って人類史の少数派だったからね。
それを言ったら結婚自体が人類社会の今でも極少数過激派なんだが。
魔法翻訳でもそれ。
結婚はけっこん。
Ｍａｒｒｉａｇｅはマリッジ。
固有名詞は翻訳されない。
そこに意味など無いからだ。
特殊な宗教ではなく特異な宗教団体を維持する為に造り出された特別なキーワード。
そりゃ政略結婚の方が永続きするわ。
気持ちの繋がりより利害の繋がり。
離婚率より同盟破棄の方が確率は低いよね。
そこまで確たる繋がりは要らない私人と私人。
肉体関係は人間関係のバリエーション。
鶏と卵の関係。
競争や戦争や取引には無関係。
なあマメシバ。
「結果はおんなじ」
挫けん奴。
「取引で終われなくして魅せますよ？」
オマエになら簡単だろう。
処女だけど。
愛して来る男に困るまい。
処女のまま。
オマエが愛せるのかねぇ。
心配だなぁ。
「取引から愛着を経て執着させてみせますよ！」
執着って。
原義だが。
それ煩悩。
お釈迦様が不幸の原因に挙げて毎年祓う１０８の一つが、愛だからな？
「祓えないから毎年繰り返すんでしょ
――――――――――貴男に逆らえるとでも？」
いつもより余計に自信満々。
「愛させて挙げますよ
――――――――――光の戦士たちが♪︎」
絶対他力。
「オマエを処女厨にしてやんよ！」
自分でもヤってみいや。
――――――――――ヤったら処女じゃない矛盾。
「千里の道も一歩から」
千里の道も一歩から。
女に心を読まれる、ねぇ。
女に限らんか。
考えが読める。
だからどうした、何も変わらん。
雨が降ると判ったところで傘が生じる訳もなく。
それと同じ。
相手の役がフルハウスだって判るとしよう。
いったいどうしようがある？
手元のフラッシュにストレートが着いたりはしない。
公平なゲームですら、それ。
戦争ならどうだ？
敵と向かい会った刻には勝敗が決まってる。
単なる答え合わせが戦闘だ。
そこで相手の心が読めるとしたら。
撃たれると判れば苦痛が倍以上。
撃つ相手の恐怖を知りたいかな。
駆け引きを考えてみよう。
相手の考えを読む。
相手の考えを理解する。
自分の可能性を検討する。
――――――――――もう、その前に、相手はカードを切り終わって、投了。
常に先手を獲られるだけ。
同じ条件なら読めない方がマシ。
むしろ読ませてあげたい。
俺以外の皆が心を読めたら楽だ。
誤解させずに話す手間が省ける。
殺す為に罵倒する手間が省ける。
説明論破説得する手間も省ける。
他人に心を読まれるなら歓迎だ。
他人の気持ちが読みたい？
――――――――――なんのために？――――――――――
ま、判るんだけど。
「皆さんが餓えて涙眼上目遣いで欲しいアピールしてることを与えない野郎がなんか言ってますよ」
