Ｔｕｒｋｅｙ Ｓｈｏｔ．

どうもどうも。

日本語上手でしょう？３年も留学してますから、これくらいは。今日の会見は動画投稿しますしね。ユーザーに言語を合わせます。

ともあれ、人民共和国と民国が統一された中華連邦をよろしくお願いします。

ええ、毎回、事あるごとに言いますのは広報活動ですので。なにぶん、在住国民を統合し国際連合での発言権を高める為ですから。

良い猫。良い猫。

さて、お待ちかね、クエスチョン・タイム！

質問に回答を。

常識問題です。

みなさん。

火打ち石が好きな方？

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いらっしゃらない。

川で水くみが好きな方？

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なし。

薪拾いが好きな方？獣を捌くのが日課の方？脱穀手作業に自信がある方？

ああ、説明中ですどうか最後まで！――――――――――まあ、笑いますよね。

いやいや、他人の想像力を揶揄したい訳じゃなく。

あえて、申し上げましょう。

中華連邦が、中華人民共和国であったとしても、異世界転移前でも。

中世世界で暮らせる人民は希少です。

暮らしたい人民は皆無です。

探す手間をかけるより、訓練を重ねた方がマシでしょう。

訓練を重ねるより、行かせない方が安上がりです。

そもそも、そんな場所に人民を送り出したら、その前に革命が起こります。

話を戻せば、中世世界で戦う軍隊が、手間暇かけて近代的生活をしていることなんか、常識以前でしょう。彼らだって、一時的だから耐えられるんです。

「永続的に中世世界に居ろ」なんて命じたらクーデターですよ。人民解放軍はデパートを経営するのが出世コースですから。

訓練した軍人ですらコレです。

人民に命じる勇気溢れる太子党なんかいません。

党に従う人民なんて大陸伝承です。

ブラウダを信じるソビエト人並みですよ。

まあ、ソビエト人ってなに？流木の見間違え？

とか言われそうですね。

もし実行したら？

上有政策下有对策・・・・・・・・・・・・上に政策あれば下に対策あり。

人民は身代わりをたて、警備兵は手数料を取って脱走を手引きし、ｅｎｄｌｅｓｓ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・新しい産業になりますね？

掘って埋めて的な。

書類だけで処理すればノーコスト。

徴税と違ってみんな進んで払いますしね。

如何です？

日本でも公共工事を書類処理にしては。交通規制も騒音もなくなり、暇が増えて消費が増える。余計なお世話？

失礼！

まあ、それは財政学のレポートにつかうとして。ええ、まだ現役の学生なんですよ。

話を戻します。

我が人民解放軍が、異世界大陸で解放区を作らんとしている、作っている、というファンタスティックな思いを迸らせる方々が、日本におられます。

ここは「はっはっはっ！キミはライトノベル作家になれるな！」と笑うのが様式美でしょうか？

しかしながら、目が真剣な方々には、あえて、野暮を申し上げます。

我々が東京の生活を知っている、という意味をゆっくり、常識にそって、お考えいただきたい。

中世で皇帝になるくらいなら東京で引きこもりになります！

人間として当たり前じゃないですか？

――――――――――え？

そんな質問はしてない？

ファンタジーじゃなくリアルのお話ですか？

中華連邦海軍の編成を聞きたい？

ああ！

残念ながら時間が！次の授業は落とせないんですよ！また！予定は未定です！

《中華連邦国際連合大使会見／海外特派員協会記者会見》

【太守領辺境/廃神殿近郊森の中/軍政・黒旗団混成戦闘部隊中央】

「標的は見張りを置いてないわ」

俺たちの苦労を返せ！！！！！！！！！！

わざわざ道を避けて、不整地走行したっていうのにまったく。

最短距離を踏破したから、一時間の見積もりが４５分かからなかったけどね？

偵察情報に斥候も検問も見つからなかったけどね？？

偽装されてるな、と思いこんだのは俺だけどね？？？

「戦場ならやくたつから、おっけおっけ」

と元カノに慰められてるのは俺だけどね？

帝国軍なら偽装くらいするらしい。最近は偽装検問所設置までしてくるとか

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・捕虜奪還／捕虜拉致の為に、元カノの黒旗団が前線後方の帝国支配領域に突入してくるからだろうな。

黒旗団がこんな辺境に下げられたのも、帝国への嫌がらせか？

奪還すべき捕虜がもういないのもあるが、帝国軍に徒労感を味あわせてやろうという

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・軍事参謀委員会は地道なのか嫌みなのか。

まあ標的が油断してるってなら、今回の野盗狩りに支障はないか。すでに殺させた野盗は、略奪中に道を抑えてたのにな。

最初に出会ったヤツらが優秀だったのか。

略奪中だから、用心していたのか。

地域外につながる村にいただけに、他地域の村人や行商人に出会う確率も高かったからな。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――俺たちに出会ってしまったから、皆殺し。

そして目の前に迫る、俺たちが迫っていく、アジトに籠もる野盗本隊。

想定より人数が多く、想定より不用心。

収穫に浮かれ、人数に甘え、迫り来る未来に気がつかない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・幸運なことだな。

【太守領辺境/廃神殿近郊森の中/青龍の野盗討伐軍/青龍の貴族の後ろ】

あたしは聴くだけ聴いていた。

青龍の女将軍は道中に確認した内容を、森を抜ける道々繰り返す。

変化は？

敵の人数がやや多く、輪をかけて不用心。

敵は神殿の中で略奪品を争っている。先行していた青龍の騎士が魔法で音を集めて、聞き耳をたてている。だから、野盗は間違いなく気がついていない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何年も何年も、頭を使い、目を凝らし、耳をそばだて、帝国の目をかいくぐってきたのに。

僅かな時間で弛緩するものね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、もてる全力をつくしたって、末路は変わらないけれど。

【太守領辺境/廃神殿近郊森の中/軍政・黒旗団混成戦闘部隊中央】

俺たちは、ゆっくり進む。

ブリーフィングの時間を組み込んでいるから、進軍速度を遅くしても作戦時間に影響はない。優先順位に従い、それも見込んで作戦は進む。

Ｃｏｌｏｒｆｕｌは兵士じゃないどころか、労働者ですらない。美容と健康に特化した愛玩奴隷。

シスターズの小さい二人はそれ以前、つまり子供。

よって皆さん、ゆっくり、しっかり、余力を残して活動させる。

それを、当たり前、と身に染みさせなくてはならない。

本人たちを護る為でもるが、この子らがへたばれば兵のフォローが必要。

疲れさせなければ、兵の負担が生じない。負担をかけあわなければ、体力的にも精神的にも互いに良い関係が築ける。

しばらくは俺たちと暮らすのだから必要なことだ。

――――――――――俺は元カノのチラ見を無視――――――――――

いまさらか？

本来はこの子らの得意分野、文化的な助言だけで力を借りたいところだ。戦闘時は後方にいて欲しい。必要な助言は部隊通信網でやりとりすれば、事足りる。

・・・・・・・・・・だが、不可能だ。

一緒に暮らし助言を受けるだけに留めて、作戦に同行する機会を無くすのは、無理だろう。

シスターズにＣｏｌｏｒｆｕｌ。

孤立気味、孤立無援の少女たち。

この子たちを護って軍務をこなすためには、俺が与えられた戦力が少なすぎる。

現地住民から信頼出来る相手を見つける？

・・・・・・・・・・・・・・・・・・まだ駐留から半月もたっていない。

無理無理。

――――――――――俺は元カノのガン見を無視――――――――――

シスターズやＣｏｌｏｒｆｕｌを任せられるってレベルの信頼関係を期待するなら、駐留している期間に現地住民と絆を結ばなきゃいけない。

何年かかる？

いや、年単位かけたとしても、出来るか怪しいな。

よって少ない戦力でカバーしなくては・・・

「頼ってもいいのよ？」

――――――――――腕をキメてきやがった！！！！！！！！！！

元カノ！！！！！！！！！！

おまーわ！！！！

一時駐留してるだけだろーが！！！！！！！！！！

必用なのは常備戦力だって！！！！！

※関節技の一種で、恋人や友人が腕を組んでいるように見えます。

が、ちょっと力を加えると、折れます。

腕が。

【太守領辺境/廃神殿近郊森の中/青龍の野盗討伐軍/青龍の貴族の後ろ】

あたしは青龍のじゃれ合いを無視。

まったく・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うらやましく、無いことはない。

けど、言わない。

「突入は開口部を塞いでから」

腕を組んで甘えながら確認を続ける、青龍の女将軍。

「うちの連中が突入、封鎖」

ドワーフ６人に青龍の女将軍、マメシバ卿。

視界が遮られ、錯綜する屋内戦闘。癖まで馴染んだ黒旗団ですべて仕切った方がいい。

「予備お願い」

青龍の貴族は、無言。戦闘に出られないのが不満、か。手勢の大半を連れていないから仕方ないけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・彼、青龍の貴族なら、一人でもいけるのかな？

野盗と同じ程度のチンピラを素手で８人引き裂いたものね

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダメダメ。

数が違い過ぎる。

しかも勝手のわからない屋内なんか、自殺行為よ。だから、青龍の貴族も後方配置に納得している。あたしたちを護りながら、不足の事態に備えるって。

【太守領辺境/廃神殿近郊森の中/青龍の野盗討伐軍/青龍の貴族の左後ろ】

「あんたたちは片づくまで森の中で待機」

わたくしたちは頷きます。Ｃｏｌｏｒｆｕｌにあの娘とねえ様。森から建物を窺える場所でお留守番。ご領主様、青龍の騎士お二人がそばについてくだされば安心。

ねえ様ならともかく、わたくしに戦場でできることなどありませんものね。あの娘を護って、皆様をお待ちしますわ。

「神殿の開口部を抑えたら突入。合図するからおとなしく――――――――――」

――――――――――ご領主様？どちらへ？

【太守領辺境/廃神殿近郊森の中/青龍の野盗討伐軍/青龍の貴族の後ろ】

あたしは青龍の貴族と同じ音を聴いた。根拠は無いけど確信出来る。

女の悲鳴。

女の嗤い声。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――そう、そういうことね。

青龍の魔法をかけられたヤツらは、嘘なんかついていなかった。４人揃って同じ勘違いもしていなかった。最初は７０人程度と予想された野盗が８０人以上に増えた理由。

――――――――――きっと、もっと多い。

【太守領辺境/廃神殿近郊森の中/青龍の野盗討伐軍/青龍の貴族の右後ろ】

ねえ様が駆けだして、ご主人様を追われました。

わたしたちも続きます。

「いけ」

マメシバ卿の号令に頷いたドワーフさんたち。

「護れ」

ご主人様がサトウ様、シバ様に命じます。

――――――――――なんでなんで！！！！！！！！！！

お二人の騎士様がとおせんぼ！！！！！！！！！！

ちいねえ様！！！！！！！！！！

【太守領辺境/廃神殿近郊森の中/青龍の野盗討伐軍/青龍の貴族の左後ろ】

あの娘をわたくしが止めました。

「任せな！！！！！！！！！！ここはマメシバ！！！！！！！！！！！」

青龍の女将軍がマメシバ卿と道化から銃を受け取りました。そのままご領主様、ねえ様を追います。青龍の騎士様方は、わたくしたちにＣｏｌｏｒｆｕｌの皆を護って視線を走らせます。

「だいじょーぶ、にするために、動かない動かない」

マメシバ卿がみなに呼びかけました。あの娘も我慢して

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ドワーフたちが、居ませんね？

【太守領辺境/廃神殿近の前の草原/青龍の貴族の後ろ】

あたしの耳には青龍の女将軍の声が聴こえた。

全体の指揮をマメシバ卿がとるらしい。

ドワーフたちは森を突き進んでいる。姿を隠せる最短距離で、神殿跡の出入り口を塞ぐのだろう。あたしの横に青龍の女将軍が追いついた。

あたしたちは彼、青龍の貴族についていく。

彼は急いでいる。

だから、走らない。

４００歩先で、悲鳴を上げさせる為に殴りつける音。それをはやし立てる嗤い声。

耐える事など考えない青龍の貴族。

彼が両腕を上に向けた

――――――――――雷鳴――――――――――

【太守領辺境/廃神殿近の前の草原】

俺は我に帰った。

自分の銃声で・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっちまった。佐藤、芝の設置していた集音マイク。それが集めた余計な音を聴いてしまったのだ。

ついカッとなって前に出てしまいました。反省してます。今後気をつけます。どうしたらいいでしょうね。判断がまとまらないと・・・・・あ、前進してるわ、俺。

つくづく、戦闘指揮向いてない。

無意識にガバメントをぶっ放したのは上等。もちろんあたる距離じゃないし、上に、だ。わざわざ屋外に獲物を連れ出した野盗たち。こちらを見ている。まあ、銃声がすりゃ、みるよね。

手が止まれば無事じゃなくてもこれ以上

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヤバ！！！！！

少数で多数を一網打尽にするチャンスが！！！

屋内の野盗が逃げ出したら作戦が破綻する！！！！

少数のために多数を犠牲にしたら本末転倒じゃねーか！！！

【太守領辺境/廃神殿近の前の草原/青龍の貴族の後ろ】

あたしと青龍の女将軍が続く先を、青龍の貴族は悠然と歩みを進めた。

野盗たちは、ぼんやりとみている。

銃声は、雷鳴かなにかと解釈したようだ。だけど、あたしたちを放置して、獲物をいたぶる遊びに戻る気にもなれまい。

もっとも、あたしの剣は背中。銃なんてわからない。素手の三人、しかも二人は女、が近づいて来ても危険とは思わない。

・・・・・・・・・・・・・・さすがに、黒髪黒瞳は仲間とは思わない、か。

神殿前にいる野盗は男が５人、女が３人。

他の連中は、神殿内で獲物の取り分を決めてるんでしょうね。そして地に這わされた女が２人。３人の女たちとおなじ、ヤツらの獲物。

３人の女にはやし立てられ、男たちが向かって来た。獲物上がりの女、その前でも格好をつけようとする、バカ。

――――――――――あ、死んだ。

【太守領辺境/廃神殿近の前の草原/野盗たちの前】

俺の耳には銃声が聴こえなかった。１ｋｍ以上離れた場所にいるのか。

俺たちが今日この時間にここに来る、どちら側からどんな作戦で接近する、ってのは軍政部隊も黒旗団もだれでもわかる。

あいつらが部隊共有データベースにアクセスしてるのは当たり前だし、先回りしてポイントをしつらえるのは簡単か。

俺がそんな事を考えている間に、野盗たちは減っていた。

先頭にいた身長１９０ｃｍはある巨漢。この場ではボスであろう、彼は左右を見回した。

異音に気がついたんだろう。

頭蓋骨が砕け、中の半固形物が噴き出す音。

仰向けに倒れた子分４人。

額に穴があき、砕け散った後頭部を地べたに叩きつけている。

７．６２ｍｍ。

あまり死体らしくみえない、な。

仰向けだと傷が目立たないしね。

巨漢は事態がのみ込めずに、仲間を怒鳴りつけた。

死んでる死んでる。

３人の女たちも、巨漢にあわせて倒れた４人がふざけていると解釈したようだ。

死んだ後に叱咤されるのはどんな気分だろうか。

そして、巨漢は目を見開いた。

３人の女たちが、順番に頭を失ったからだ。１２．７ｍｍ？２０ｍｍ？またまた銃を替えてるのか。

レコン（合衆国海兵隊長距離偵察）のスナイパー。

しかし俺も成長したな

――――――――――――――――――――硬直するだけで済むとは。

【太守領辺境/廃神殿近の前の草原/青龍の貴族の後ろ】

微動だにしない青龍の貴族。本来あたりに気を配るべきなのに、あたしは彼に集中してしまう。エルフの、あたしの他よりも鋭敏なはずの感覚ですら、仕草も気配もしない青龍の貴族。

まるで――――――――――ここにいないみたいに。

瞬く間に７人を殺し、最後の一人に視線を向けた。

野盗の巨漢はまだ理解していない。

だが本能なのだろう。

目の前に立つ青龍の貴族。

彼を敵と見定め、巨漢が剣を振りかざす。

あたしは青龍の貴族、その前にまわり剣を受け流す構えに

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ソレを至近から見た。

巨漢は凄まじい力で、その巨体をゼリーのようにえぐられた。

胴体が千切れ、人形、いや、千切れた砂袋からあふれる砂のように、臓物を撒き散らして崩れ落ちる。

上半身は血を吐きながら呼吸している。

その目に映るのは青龍の貴族。

何も、死にゆく巨漢を、肉塊とすら感じていない青龍の貴族。

自分が死ぬ事よりも恐ろしいモノに怯えて、半分になった巨漢は死んだ。

あたしはとっさに振り返る。

「汚れたな」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大丈夫だとは思ってたけれどね。彼はあたしの頬に着いた血を拭う。

青龍の女将軍が、彼の背を優しく叩いた。

「落ち着いた？」

あたしの髪を梳く青龍の貴族。

やっぱり、か。

青龍の貴族は怒りに我を忘れると、誰も追いつけなくなる。

――――――――――――――――――――独りで殺しつくす。

「その二人を見張れ」

野盗だった骸の中で怯えて固まる二人。この辺りの村娘。保護すべきと、まだ、考えない青龍の貴族に、あたしは頷いた。

野盗が増えた理由を、あたしも彼もわかっている。

青龍の女将軍が、銃をひとつ彼に渡した。

「いこ」

この期におよんでなお、神殿から誰もでて来ない。

青龍の二人はゆっくりと神殿に向かっていった。