千年先から十年早い/compleat.
【用語】
『偵察ユニット』：ラジコン機４機と制御装置がセットで一ユニット。部隊の作戦行動中は常に周辺上空にいる。詳細スペックは「第110部分 ＤＲＯＮＥ ＷＡＲＳ/ラジコン戦争」参照
『哨戒気球』：国連軍作戦地域上空で常に滞空している気球。異世界転移に伴い、人工衛星のサポートを受けられなくなった地球人類が生み出した代用品。各種があり、偵察衛星替わり観測機能、通信衛星替わりの中継機能、ＧＰＳ代わりの測位機能（複数の哨戒気球の位置から任意の場所を特定できる）などなど。
知ることは支配することに他ならない。
何が何処に在るのか。
誰が何処に居るのか。
何処が其処なのか。
知ってしまえば何時でも奪える。
――――――――――青龍の支配――――――――――
【異世界大陸東北部/占領地域/軍政主府/軍政司令部/軍政司令官私室】
俺もこれ普段つかえねーかな。
ナンパに便利。
敵ってか。
獲物だけ探す。
俺を殺せる敵は居る来てる。
個人的にはたいしたことだが。
地球人類にとっては標的だ。
殺される価値が無いって理想的な防御方法。
――――――――――仲良く為れそう。
千年先行してりゃそうなる。
それと知られていりゃ安心だ。
敵を索めてない、んだよな。
剣と魔法ＶＳ機械と火砲じゃ勝負にならん。
・・・・・・・・・・あと十年くらい。
互いが殺す価値を生み出す頃には殺さない価値が生まれている。
今はまだ、殺すんだけどね。
俺に殺される価値は無いが。
俺が殺す価値はありそうだ。
――――――だから技術の戦争利用――――――
哨戒気球。
民生品もある。
私用不可。
宇宙産業の代替か軍事用だし、素人目には偵察衛星扱い。
法的な規制は、ほとんど無い。
日本では良くある法律以外。
なんとなく自粛で済ます。
憲法以外の自衛官が言うのに相応しい。
仲間意識さえ覚える、誤解が八割を占める道具。
まあ玄人目にも今は偵察衛星扱いだが。
上を見上げる勝ち気な表情を魅せつけているな。
子どもはそうじゃなくっちゃ♪︎
王城の内郭二階中央屋内からも視えるくらいに。
哨戒気球が視せてるんじゃない。
哨戒気球で魅せてるんだから。
殺すことに意味がある。
殺されない価値がある。
褒めてあげなきゃ飴食べる？
哨戒範囲は管制範囲。
ミサイル、空爆、１５５ｍｍ砲。
管轄外から支援範囲。
戦争の歴史から嫌いな物を何でも取り出せる。
哨戒範囲の中には攻撃範囲。
銃、銃剣、対人地雷に催涙ガス。
死体を改められる戦闘範囲。
最期に刺突する刻にだけ許される場合がある。
殺すか。
殺させるか。
まだ、殺さない、か。
何にだって理由は付けられる
――――――――――ゲストの動き。
正門内側すぐ。
門をくぐった先。
一番人とかが多い。
真上、斜め上から記録して、アイコンで表示。
親切設計。
女の子。
お付き。
増えた。
見分け易い。
その尻尾、毛並みまで視えるよ。
視に行かんでも良く視えるってね。
部屋の中は娘どもに挟まれたまま。
うちの娘たちには視えないけどね。
俺が何かを視てることは判ってる。
自分には解らないと伝わってるな。
拗ねてる拗ねてる拗ねてる部屋中。
娘どもと猫が怒るアレ。
自分だけ視ろや、ってアレ。
独り占めされるのが基本なアレ。
お嬢とエルフっ娘が締め付けて
・・・・・・・・・・アレ？
うちの娘たち以外にも波及してない拗ねるのが？
索敵情報は俺だけの網膜に映る。
――――――――――視て視ぬフリも出来なくない。
するとは言わないが。
知らせた方が愉しい。
よそ見は可愛そうだ。
マメシバ以外にも関心を戻した、と判り易く。
うちの娘。
メイド五人衆。
メイド長。
まあ、子ども。
全員十代。
ゲストも、それか。
・・・・・・・・・・あんまり損在にも扱うまい。
わざわざ注視してなくていい。
そんなことせずに見逃さない。
尾行するくらいの手間でいい。
まあ百年前から時間が止まっている閉鎖部族では２４時間の行動確定ごときで複数人数を動員するとか、対象の撮影をデジタルなのにワザワザ指先で撮ったりするらしいですけど石器時代かと。
頭が悪いとカメラの放置もしない。
張り込むほど暇なら聞き込みしろ。
自衛隊なら歩哨に隊員を使わない。
民兵レベルじゃない現代の軍隊/自衛隊なら当たり前。
うちの部下たちは即応待機。
半分はＭ１４を抱えてフル装備。
プロテクターとフェイスカバー。
軍政司令部周りに分散して配置。
もう半分はＭ１４抱えて半装備。
プロテクターは着けなくていい。
軍政司令部内でまとまって配置。
毎朝の試射後は待機してる。
誰も誰かを見張ったりなんか、させられない。
一番多いのは見張るべき有無を見張る刻だが。
人間なんか使うならブービートラップで十分。
偵察と違って１００％機械化、可能。
視るべき刻は、機械が教えてくれる。
忙しければ、後から観ても良いけど。
今回はリアルタイム視聴推奨だから。
ながら視、出来る様システムを使う。
いつも通りに娘守りしてりゃいい。
索敵機能は勝手に動く。
感知して分類するまで。
事前設定通りアラート。
明確な脅威。
指定の対象。
分類不可能。
腰の管制端末が受ける。
アラートが内耳に響く。
屋内警備機器が光発信。
レーザーが網膜に映像を照射してくる。
普段ならグラス・スコープ。
眼鏡みたいなディスプレイ。
視界の隅に映されるデータ。
今は裸眼です。
娘守り中だからね。
手が届く範囲だし。
直接、視て、触る。
ナンパだって路上が当たり前だからな？
可愛、綺麗は肉眼で観たい。
元々、視力は良い方だけど。
美術や女は直接に観るほう。
だから肉眼、娘守り中。
映像なんか、何が楽しい。
加工や擬装を、暴けない。
触れる現実は逃がさない。
だから索敵情報なんか視たかない。
とはいえ、軍務中。
勤務中じゃないぞ。
サボってられない。
味方が殺されない様に。
視せられることまで拒否れんわな。
屋内各所に仕掛けられた監視装置。
それらは測距用レーザー発信器付。
だらけている俺の網膜に文字画像のアラートを打ってくれる。
おかげさまで異常に気付かぬ俺じゃない。
しかも同居の民間人には気付かれ
・・・・・・・・・・はするが、驚かさない。
ポーカーフェイスは得意なをやだけどね。
娘どもは大人の挙措に敏感だから、仕方がない。
怯えるどころか驚かせないから善し
・・・・・・・・・・無茶苦茶拗ねるけれど。
それも愉しいから好しとしよう。
指揮は曹長がとるんだけどね。
状況は曹長が知ってればいい。
それは曹長が取る責任でなく。
だから曹長が把握してることは、俺も知ることが出来る。
理解出来てるかどうかは別として。
知らなかったは通じないシステム。
銃殺になるところまでが俺の任務。
まあそんなレベルの低い言い訳せんけど。
責任逃れの基本。
やれって命じられました。
他人のせいです。
誰か上司に擦りつけます。
部下じゃ無意味。
結局、自分の責任になる。
上官が要るんだ。
無能な上官を常備します。
命令は常に無視。
ちゃんと聴いておくけど。
実行はしたふり。
上の上、直接の下は把握。
殺されない様に。
背後から撃たれ無い様に。
人の役に立つ人。
役に立てば、殺されない。
殺したくないよ。
相手が人間でさえあれば。
人間のアピール。
役に立つから人間ですよ。
だから状況は常に把握しておく、必要な範囲でだけど。
だからこそ最高のコストパフォーマンスが出来ます。
だからこそ自力を温存して必要最小限に留められる。
だから装備を外していても、情報が送られて来る。
指揮系統の結節点。
俺しか視ちゃいまい。
記録はともかく只今は。
監視範囲内にいる限り俺も監視されている。
逃れられないのは俺。
逃れるとするば俺。
逃れようとしない俺。
だからゲストの様子が良く判る。
アラート後も、ながら視。
注視するほど暇じゃないし。
娘どもで遊んだり忙しい。
俺の注意は機械が惹いてくれる。
時々、位置情報が通知。
一定範囲に入れば通知。
特異対象と接触で通知。
ゲストは此方へにじり寄って来てる。
上空に浮かぶ哨戒気球。
衛星に換わる測位機器。
定点三角測量繰り返し。
正確な相対位置が常に更新され続け。
ミサイルも。
砲弾も。
滑空爆弾も。
ｃｍ単位で誘導ができるし、してる。
普通科隊員の前後左右に一応は爆撃。
瞳を隠し接近してくる魔法使いにミサイル。
市街戦中に目前で生成されたゴーレムを砲撃。
いや、殺ったことないが、まだ。
まあ普通は距離があるからね。
街ごと虐殺しますけれども。
戦うからには相手がいる。
馬鹿じゃない敵は距離を詰めた。
開戦から半年未満でコレ。
目撃者を皆殺しにしてコレ。
帝国に限れば魔法で視るコレ。
当然、敵は帝国なので工夫が多い。
戦線正面は音無の構え。
遥か後方で散発的な戦闘。
特攻的な威力偵察で瀬踏み。
地球の現代兵器との戦い方を探ってる。
探られる内が華。
まだバレきってない。
時間の問題だが。
街や都市を消す前に魔法使いが情報だけ持って逃げる。
幾つもの地域を全滅させてきた、国際連合軍。
大量破壊兵器を使わない限り面殲滅は準備が要る。
そんなもん使うなら、侵略戦争なんかせんわ。
プランＡ、異世界全種族を絶滅させるだけで済む。
国際連合は、そこまで殺らない、今のところ。
異世界環境に優しい侵略戦争。
――――――――――国際連合スローガン。
細かく。
素早く。
確実に。
ピンポイント攻撃の需要は、多い。
何処でも。
何時でも。
出来ること。
哨戒気球の測位機能。
ＧＰＳなんぞ比較にならない。
観測点の密度が違うよ密度が。
通信すら阻害する大気圏内の最低三層から。
桁違いの数で測定機器が常時発信受信して。
世界的産業を動かしていたシステムが処理。
測位機器と通信拠点の群体が星を覆い征く。
哨戒範囲は異世界大陸の一部。
逆算して惑星全体を計算可能。
つまり現状、異世界惑星をすべてカバー。
何処でも。
何時でも。
ｃｍ単位で特定、出来る。
実際、視る機能より、測る機能の方が重要なんじゃないかな。
観えるモノより観えないモノの方が大切って、そーいう。
――――――――――それをゲストと共有するのは、早い方が佳い。
とはいえ相手には相手の都合がある。
・・・・・・・・・・サプライズの準備中。
それは観せられてるが、内容は解らない。
視える。
これは最初から。
聴こえる。
集音マイク圏内。
事前の仕込みが目の前で行なわれて尚、何が起きるか解らない。
――――――――――自白剤を使っても、知らないことを話せやしない。
盗撮？
盗聴？
自白剤？
・・・・・・・・・・それと知られてしまえば、どうにでもなるもんだな。
俺に出来ることは、魔女っ娘に任せるとしよう。
