幕間:種の絶滅という些事ではなく/Gott würfelt nicht.
進化の話。
我々は地球から来て、何処に行きましょうか。
決めるんですよ、貴殿方が。
操作は確認含めて、我々が。
仕組ですよ、しくみ。
世界は理屈通りにだけできる。
理屈。
何でもは出来ませんが、何でも解ります。
出来ない理屈。
・・・・・・・・・・不変です。
出来る理屈。
・・・・・・・・・・不変です。
全能に為れず、全知なら出来る理屈です。
結論。
起こせること。
起こること。
起こったこと。
起こしたこと。
あらゆる可能性を当たればいつか判ります。
――――――――――時間の問題でしかない。
十万年かかるなら、十万年ほど記録するだけ。
――――――――――いつか終わる程度のこと。
総当たりする必要なんかありませんよ。
初回に当たればそこで終わり。
当てる可能性は、あらゆるより少ない。
やってみれば済む
・・・・・・・・・・簡単じゃないですか。
私が、そして我々が、彼女たちに注目する理由です。
異世界に我々との同化を強いる。
それは我々が同化するということ。
ただし我々は民法改正に狂奔する法務委員会じゃありません。
婚姻制度や財産権、家族制度のような表層的な課題ではなく。
多世界の混淆とはマクロからミクロに至る生物学的問題です。
同時進行で不可逆なモノは、既に始まって、留めようがない。
しかし跳躍はさせられます。
させた時間は、ロスタイム。
しかもリスクでなくコスト。
何が起きるか知ってさえいれば、何が起きてもかまいません。
知性などには制御しか出来ない、生物学の現実です。
異なる遺伝子の混淆はウィルスが担う。
――――――――――知れたこと?
定説ではあります。
知られてはいない。
そもウィルスとは、類似自己生成が可能な、遺伝子断片。
一揃いの遺伝子すら持たない。
これは生きている、とすら言わない。
存在しているとは言っていい。
他の生体内の、限られた特定部位を培養基代わりにしないと、増殖どころか存在し続けることすら出来ない
――――――――――そりゃ、うがい手洗いが無意味な訳。
体外に出れば体液は変質する。
飛沫の中にウィルスが在ったら?
乾く前に存在すできなくなる。
くしゃみや咳で何百m飛沫が跳ぼうと意味がない。
だから飛沫感染は数m以内でないと起こるわけがない。
飛沫が直接体内に入れる範囲ということですね。
ウィルス感染が兵舎や家庭を舞台にしていた理由。
それが地球を、人類の生存圏を、何周も出来るようになった、のは?
地球上の極々、一部。
只でさえ狭い可住領域。
惑星上の点から点へ。
人間の距離が縮まったから。
産業革命で労働集約型産業が極端になり、都市と幹線に密集した。
都市が人々を求めれば、人々も都市を欲する。
人間の移動距離が延びたから。
産業革命で生じた過剰生産を廃棄する為には、輸送と移動が必要。
需要を溢れた生産が消費を創り生産を上げる。
まあ、頑張った方じゃない、ですか。
もっともそれすら飽和状態、ですが。
転移直前で物理的移動は数字に盗って換わられました。
要らない物者を動かさなければならない。
ならば動かしたことにしておけばいい。
――――――――――情報化――――――――――
急場凌ぎのハリボテ。
ウィルスすら動かない。
ましてや異世界転移で地球経済が無くなったとなれば。
だからウィルス起因のパンデミックは確率が低い。
パンデミックの大半はウィルス起因じゃないかって?
ほとんどのパンデミックは、ウィルスに因ります。
個々のウィルス。
一種のウィルス。
現在のウィルス。
――――――――――危険はありません。
コンスタントに毎年数百万人ほど殺す
・・・・・・・・・・たかだか、その程度。
ハズレくじなんか、どうでも宜しい。
問題は、常に、くじが拖かれ、つづけていること。
脆弱で取るに足りない存在が人類史上に輝く理由。
なぜならウィルスの数が多いから当たりも増える。
同じ理由で病性を持った場合、治療ができない。
次々に変異を続けるから、治療薬もワクチンも、意味がない。
時間と手間をかけて治療方法予防方法が確立する。
その頃になれば、当該ウィルスは別ウィルスに変わっている。
だからウィルス感染に治療薬なんかありません。
―――――――――人類史上、存在したことすらない。
理屈から言えばウィルスがウィルスである限り無理。
治療薬や予防方法が存在し得るなら、それはウィルスじゃない。
それすら知られていないが。
それは単体では存在出来ない。
それが増殖なぞもっての他。
だからウィルスは自分以外の生体を利用して増える。
一揃いも無い遺伝子を他の生体の遺伝子に組み込むことで、似た遺伝子断片を生産させる。
もちろん、同じ構造じゃありませんよ。
同じデータを、最初から持っていない。
それを、別種の遺伝子と合わせて造る。
すべてがデッド・コピーだ。
だから変異し易い、ではなく変異を前提にしている。
それが意味することは治療薬の有無なんて些事ではありません。
ウィルスが、異なる遺伝子の混淆を担っている、ということです。
異なる、とは?
――――――――――全て。
他人。
男女。
他種。
種とは、他の動植物を含みます。
・・・・・・・・・・異世界種族も、ね。
故に進化、と呼ばれる変異それ自体が、ウィルスの変異に捲き込まれておきた、起きていることになります。
判りやすく、単純化しましょう。
男と女。
別の人間。
その遺伝子を混淆が出来る。
・・・・・・・・・・異常さが、解りますか?
単なる臓器移植でも拒否反応が起きるんですよ。
たかが輸血、血液の共用すら困難なのに。
遺伝子レベルの結合が容易く出来る。
これは進化の一つ。
毎日、日常的に繰り返し繰り返されている、キメラの生成。
我々は生殖と呼んでいますが。
いやはや。
異種交配。
地球人類の範囲は何処までか。
決まっていません、生物学では。
それが日々遺伝子組換繰り返し。
これは当然、成否が起こります。
近似値が多いほど結合は容易い。
少なければ失敗やエラーが多発。
証明されている通り動植物の品種改良において特定血統、同一系統を重ねれば巧く行くのと同じです。
ましてや異種交配
・・・・・・・・・・ああ、ここで取り上げているのは、生物学的事実だけです。
生殖に関する禁忌などは社会学、迷信やデマゴーグに関わる研究に譲りましょう。
さて、異世界種族との交配で何が起きるのか?
それは地球と同じ。
誰もが持つ生殖器という遺伝子組み換え施設内で行われるウィルスの増殖を利用した遺伝子操作。
遺伝子的な一致が少なければ少ない程にプロセスが増える。
手間が増えれば間違いも増える理屈ですな。
同一遺伝子であれば安全ですが、それは無性生殖だ。
当人から始まり遺伝子の相違が大きくなるほど、コストにリスクが跳ね上がる。
もちろん組み合わせが増えればハズレと等しくアタリも増えますが。
それは、やってみないと、判らない。
くじを拖く前に得られるモノはない。
八百長は、元々あるモノを得たような気分にさせている、だけですから。
異世界人。
エルフ。
ハーフエルフは不妊とされていますが、果たして地球人類とはどうか。
いや、どの段階で不妊に至っているかによって、胎内ウィルスは活動していると見なすべきでしょう。
アタリかハズレ、それ以外にない。
人魚は単性生殖を兼ねる可能性が高い。
胎生の生殖器を持ち遺伝子組み換えが可能。
ながら同一種族との共生の痕跡が観られない。
高い移動能力も離散に役立ち集散に向かず。
ならば環境刺激による単性生殖が中心で、希に機会が逢った時だけ有性生殖。
その機会範囲は、やってみれば、判る。
――――――――――やってみないと、解らない!
生殖細胞への化学的アプローチ?
百年繰り返しても十月十日の一日分にも値せず!
十万年後に全て判明して何が楽しい?
地球人類にとっても、必要なのは只今すぐです!
・・・・・・・・・・我々の利害得失は不一致ですが、求める過程は同じでしょう?
無論、あらゆる犠牲を惜しまないにせよ、知る前に殺される訳にはいかない。
つまり!
実践は最少人数の最小範囲で行う。
地球人類最大火力が投じられる海辺。
具体的には、ロナルド・レーガン。
実践者全ての積極的協力が不可欠。
環境は互いに互いを求める状況です。
適度に不足しており適度に充足中。
個人と言うフィクションは必要ない。
生殖活動に最適な社会環境が整う。
選択ではなく反応が個体を支配する。
ああ、同性愛、ないし生殖の拒絶は環境の過剰適応か真逆により、生じます。
過剰な生産人口を減らす為。
人は無限に増えません。
過剰な消費人口を減らす為。
人は餓えで滅びません。
環境に対し不適応を造ることで環境に適応します。
・・・・・・・・・・バッタを指定の環境に閉じ込めれば飛蝗に変化するのと同じように。
はは!
またロマンチックな風説で。
――――――――――人間や人格に主体など有り得ません。
キリスト教世界で広言すれば、魂を否定する悪魔の妄言でしょうが。
キリストが、そんなことを言った記録はありませんよ。
暗黒時代を生き抜く為には、自らを理由亡く特別視しないと耐えられなかった。
大半の飢え死にするしかない人々のために、司祭が造ってあげた、キャンディ。
西欧キリスト教文明がローマ崩壊以降に成立したんだから、致し方ありません。
・・・・・・・・・・嗤うほどに下劣には、なれませんな。
幸い、転移した我々には不要な配慮。
異世界も。
日本列島も。
いずれでもない。
最も困難な要素をクリアし実践者の例外以外が過程に納得し殺されても構わないどころか殺されたいとすら繰り返し切望しているんですから、何を躊躇っているんだアンチクショー!




