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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十九章「帰郷作戦」

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915/1003

実存証明/probatio diabolica.

【用語】


『悪魔の証明/probatio diabolica』

:「無い」ということを証明すること。転じて「無いことを証明できないならば、在ることを証明したとみなす」という論法……では、まったく、無い。

どっから生まれたんだこの誤用。

元々「所有権」を成立させるために、完全な証明を不要とした法律上の根拠。

ある物品を所有する権利を証明するために「いつから」所有していたかを根拠とする例は多い。

より以前から所有していた方が原所有権を持っていた、という理屈。

品がある。

今の持ち主が占有者。

前の持ち主から譲られた?

前の持ち主は誰から得た?

何処かで窃盗強奪詐欺が行われていたら、所有権の移転は止められるべき……でないと窃盗強奪詐欺が罷り通る。

だが、前の前に遡れば生産者か?

生産に遡れば原料と労力は?

つまり入手過程の正当性を全て証明しようと思えば宇宙開闢まで遡れてしまう。

だから打ち切り。

無限に拡がる時間の範囲を定めて占有者の所有権を肯定する。もちろんそれは不法を認めることになる。窃盗強奪詐欺などが認められたりられなかったり。法律の公正は何処にある?……それを通すロジックが「悪魔の証明」。


人類史で語りましょう。


私有財産。

人格を持つ者が物を所有し、どのように扱うべきか。

その発想が世に問われたのは、ナポレオン以降です。

フランス革命ではなく、ナポレオン反動によります。

――――――――――19世紀になってから、ですな。


もちろん普及しませんでした。

今も普及したと言えるかどうか。

先進国、列強に知れ渡るまで百年。

・・・・・・・・・・ま、意味は理解されてませんが。


「ナポレオン法典を読め」

なんて野暮でしょう。


――――――――――先進国の法律は、これが母体、と諳じられる()()


どうせ読んだつもりでも御経(サンスクリット語)と同じ。

字面を追う、だけ。

音を発する、だけ。

素読してる、だけ。

それを()()()()()()()()()能力が無い。


・・・・・・・・・・専門家とは資格商法の犠牲者(自称)でしかありません。


さて「なぜ私有は難しい」のか。


私有が成り立つ為には財産を管理する力が必要。

安全な場所で自分だけが開閉出来る箱と鍵。


さもなければ身に付けている間だけの財産です。

条件に当てはまるのは住所と言うべきかと。


じゃあ箱と鍵と場所、家を私有しないといけませんな。

・・・・・・・・・・私有が無い世界で、どうやって。


異世界を観て観ましょう。


農民は集落の共同小屋で起居します。

職人は工房の共同部屋で起居します。

使用人は奉公先の片隅で起居します。

日雇い人は街区の一角で起居します。


起きてる間は立ち働き、夜の前に空いてる場所に戻る。

・・・・・・・・・・誰一人、住所がありません。


そりゃそうでしょう。

村の一角を自分の物と主張出来るのは、貴族だけです。

――――――――――武士の誕生!


そりゃそうでしょう。

場所を占有していたら動けず働けないじゃないですか。

・・・・・・・・・・貧乏への近道!


そりゃそうでしょう。

占有した場所に何を蓄えるほどの物が在りましょうか。

――――――――――必需品は共有。


とある街区。

港湾の日雇い人足の街。

朝起きて午後には帰る。

日銭は顔役に全て渡す。


皆が働いている間、顔役の配下が動く。

老人や女たち、肉体労働に向かない者。

夕餉の支度をしながら寝床を片付けて。

翌日朝からの食材なと消耗品を買付け。

子供を見張り、守り、叱り、繰り返し。


個人という贅沢を知っているのは特権階級。

・・・・・・・・・・知らなくても困らないから、地球人類の大半もコレなんですが。




【異世界大陸北東部/帝国辺境領/回復予定領/割譲可能領/作戦周辺領/低要度・高危険度区域/斥候周回範囲/???】


怪しい彼女に限ったことではないが。


血肉の匂いには慣れている。

むしろ新鮮なら佳い香り。

授業では腐らせていた。


それは怪しい彼女たちくらいだろう。


(あれはキモかったな~)

と怪しい彼女でも思う。


思い出したくもない。

だが慣れきっている。

必要な技能その一つ。


その最中で飯を食えるくらい。


合衆国海兵隊の訓練と変わらない。

――――――――――目的は多世界共通。


ありがちな状況で兵士の機能維持。

・・・・・・・・・・リアリティーの違い。


異世界では人間の死体を使うだけ。

――――――――――最も入手が容易だ。


合衆国海兵隊ならば豚の臓物だが。

・・・・・・・・・・人間に一番近いから。


エルフやドワーフ、他種族の死体も大して変わらない。


エルフは絶滅寸前であり入手が難しい。

ドワーフは貴重であり死体は難しい。

他の種族に至ってなお、いわんや。

権力が在れば何でも出来るとはいかず。


だから人間でいいじゃないか、生き死にとわずとなる。


それで困ったことはない。

殺す刻も、殺したあとも。

筋腱の流れ、骨格の主旨。

さほど人間と変わらない。


ならば刃先を入れる向きも、さほど変えなくていい。


ドワーフの筋腱脂は固いが。

流れを知れば解体は容易い。

斬り折り潰すのは力に非ず。


だから皆から青龍の貴族の所有物と観なされ本人も日々無理にでも機会を増やして自分の所有者は幼女嗜好(ロリコンぺドフィリア)だけどそれは人間相手の刻だけで異種族は成熟し永久に若いエルフだけが好きで特にエルフの中でも特別に美しい人間には区別し難いエルフ内の美醜を見分け選んで()()()()()()を刻々欠かさずに寵愛しているのが青龍の貴族(自分の所有者)なんだと太守領の有力な事情通で広く話を拡げることで生業を維持している者たちを相手に明言を繰り返し繰り返している青龍の貴族が所有し続けているエルフでも、黒旗団のドワーフ複数を連続して関節技を駆使して叩きのめせる。

※〈ep.63休日の過ごし方〉より


不安定な気がする立場(処女)危機感(ライバル)を増やし、刻々と実力不足(弄ばれてるだけ)思い知らされている(24時間一緒なのに!)為に焦燥(欲求不満)に駆られているエルフにだってドワーフを一瞥もせず(好きな男だけを想い)出来るのだ。


尚、怪しい彼女にはエルフが全部同じように人を超えて美しく観えるし、同じ様に美しいのに何故か皮膚感覚でエルフと見分けこそ付くハーフエルフに美しさでは変わらない様に感じるが。


その辺り、バラして腐らせれば皆同じ、という支配階級特有の、感性。


殺す側の感覚

――――――――――決して殺される側と替わらない。


はてさてジコセキニンを唱える輩のどれだけが、自己責任を理解できるのやら、だが。


異世界、あるいは、非先進国。

此処には細かな法律など無い。

自力救済は常識以前のことだ。


現代地球の非先進国。

・・・・・・・・・・発展途上か後進なのか。


自己責任とはソレだろう?

――――――――――負えない奴ほど囀ずるソレ。


法律が形骸化しているとか。

警察が頼りにならないとか。

腐敗している、いないとか。


単なるルールの違い。


武力を持つものは顔役であり。

力を借りたいなら礼が必要。

縄張りに居るなら挨拶も要る。


盗人を捕まえて欲しい?

――――――――――なら、代価が必要だろう。


盗人が納める代価以上の。

・・・・・・・・・・盗人も共同体の一員なのだ。


国家や政府はいずこに?

――――――――――そも、先に在るのが地域。


その一つが此処。

皆が自己責任に励んでいる。

殺されないため。

それこそ正しく自己責任だ。


・・・・・・・・・・権利と義務(便利な道具)()()()に意味を造らずに見出だしてしまう(めくら)には、何一つ視えぬ。


晴れ。

五月()の陽光。


夏の陽射しは強すぎる。

眼を消耗させる。

冬の陽射しは弱すぎる。

眼を疲労させる。


見えるとは光の反射を受け取ること。


光源があり。

反射体があり。

受容体があり。

解釈がある。


光源が強ければ受容体を棄損。

光を受け辛ければ反射を逃す。


光源が弱ければ反射が少ない。

光が少なければ反射も少ない。


怪しい彼女は立っている。

街頭を征く黒旗団。

観るべきはソレじゃない。


街路に伏せる人々。

巻き添えを避ける為、だ。

妥当な姿勢だろう。


街の人々、大半の奉公人。

皆、五体投地。

とにかく動かず、身を低く。


偶々、銃撃はなかったが。

撃たれるのも自然。


怪しい彼女を狙ったのだ。

物盗りの浮浪児が。


怪しい彼女は保護される。

青龍の貴族、から。


なら狙う者は青龍の敵だ。

敵は殺すのが青龍。


オーバーキルは当たり前。

浮浪児が撃たれる。

もしもそうなっていたら。


無数の銃弾が街路上を通過しただろう。

子供の胸から上の高さ、0.8~1.3m。

怪しい彼女のことは射線から外すだろう。


配慮されない通行人

・・・・・・・伏せることで避けられる、かもしれない。


まあ、跳弾の危険性を避ける為に、大斧。

もちろん怪しい彼女のみへの配慮。


ドワーフたちは跳弾を恐れたりはしない。

肉や皮が厚くても当たれば死ぬが。


敵を殺すことは身を守るより優先される。

いや、身を守ったりは、しないか。


怪しい彼女は青龍の貴族に護られている。

そんな都合は知らない、街の人々。


青龍の貴族、その持ち者である人魚と怪しい彼女の友好関係を知らされた両替商人。

――――――――――安全を見込んで動かない。


青龍の貴族、その意志に逆らって観えてしまえば、族滅の危険に晒される特権階級。

・・・・・・・・・・危険を受け入れて動かない。


青龍の貴族、そして青龍を素直に畏れてかまわないのは街行く多数派の使用人たち。

――――――――――それは素直に身を伏せるわな。


異世界で銃を撃つのは統制された組織。

意図的で計画性の高い虐殺だ。


銃声を聴いたら走って逃げる。

距離を置くだけで命中精度は激減。


間違えても伏せたりはしない。

動かない標的は当然よく狙われる。


それが無差別ならなおのこと。

皆が逃げればかえって目立たない。


他人に合わせて逃げましょう。

潰されない程度に人波に紛れ込む。


遮蔽物に隠れるのは基本です。

しかも逃げる方向へと勝手に動く。


跳弾だって吸収してくれます。

人の体の防弾性能は土嚢に等しい。


そんな地球の常識が知られるのは、異世界では、まだまだ先。

――――――――いずれ知られること――――――――


銃火器が単なる科学と知られたとき。

科学の普遍性再現性が知られたとき。

誰でも何時でも使えると知られたとき。


考えれば判ることは、どの世界でもすぐに身につけることだろう。

――――――――――その分、騙して利用する余地は無くなるが。


地球人類にとって、話し合える相手というのは貴重な資質だろう。

・・・・・・・・・・必要なのは一過性の棄て駒より末長い取引先。


だから異世界には理屈がある。

知らずとも考えれば判ること。

迷信とは無知から生まれない。

考えないから無知が生まれる。


もちろん怪しい彼女たちは重大な考え違いを()()()()()()()のだが。


まあ素人(日本国外務省)考えの役立たずマニュアル、それこそ体内でしか存在出来ないウィルスを手洗いでなんとか出来る並の無知が生む迷信、を信じているわけではないだけ、マシ。

・・・・・・・・・・異世界には迷信がないのだけれど。



ファンタジーに生きる怪しい彼女(幻想世界の住人)たち。


剣と魔法。

奇跡と竜。

試行(Trial)錯誤(&error)


徒労は幾らでも繰り返そうが、()()()()は生涯、最初から最期まで、縁が無い。


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