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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十九章「帰郷作戦」

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914/1003

存在証明/probatio numen.

【用語】


『夜の闇』

:夜を明るく出来ればこそ解る言葉。光あればなんとやら。つまりは否定できるからこそ存在(肯定)できる。神が居なけりゃ死んだことにも出来んわな。つまり照明より前の世界であれば「夜は闇」なので重複してしまう。いやむしろ闇という意味があったのかどうか。夜は寝て死んだも同じ時代なら、闇も夜も認識されなかっただろう。もちろん経済的社会的富者強者の1割以下と、それ以外では世界観が違っていただろうが。

……ここまで記す迄の無駄な手間暇を味わって初めて、リニューアル(笑)以前の当たり前に感謝して「20周年」とやらの唾棄すべきメッセージに当たり前の侮蔑を抱けるように。

いやホント。

記念って馬鹿のヤらかす愚行の基本ですね。

……次の地獄は5年後か。

せめてリニューアルに関わった無能には相応しいリストラ部屋を手配して社会から隔離して編集開かないとプレビュー出来ない文字数みえないとか頭悪い仕様は止めて。


闇を恐れる動物はいない。

なぜなら、見えないからだ。


知らないモノは恐ろしくない。

なぜなら、気がつけないからだ。


夜の闇?

それは明るくなければ観えない(意識されない)


怯える?

その為には闇を見詰めなければならない。


闇の中?

誰かが何か視えているというのだろうか。


闇の中に居る間、此処が闇とすら気が付けなかった。

人が暗闇を意識したのは、照明を手に入れたからだ。

闇の中を恐れられるのは、闇の外に居られるからだ。


ロシアの文豪は記す。


「葬儀の参列者には喜びがある。()()()()()()()()という得難い安堵だ」


それは生の実感。

死を感じることでこそ。

自らは安全だからこそ。

己は生きている。


然れば葬式が近代以降に突然普及した理由も、判ろうというもの。


()を分かち合うため」


死亡率(死んで当たり前)が激減したからこそ、確かめられない()()()生きているという実感を、広く解り合うため。


なるほど。

意味は在るものだ。



【異世界大陸北東部/帝国辺境領/回復予定領/割譲可能領/作戦周辺領/低要度・高危険度区域/斥候周回範囲/???】


晴れた五月。

潮風。

危険な香り。

なし。


嗅覚は脳に直結している。

多くの動物がそう在るように。

多くの世界でそう在るようだ。


異世界転移から半年弱。

・・・・・・・・・・そろそろ半年。


異世界との接触から4ヶ月余り。

――――――――――公式には。


異世界知性体との交流(ファーストコンタクト)から2ヶ月半。

・・・・・・・・・・と信じさせている。


それだけの期間があれば、全く異なる生態系に生まれた全く違う知性体の、全く異なる内の認知から認識までのメカニズムが判ろうというもの。


などと供述するキチガイは、何処にもいない。

――――――――――だから誰も責任はない?


だが、言わずとも、そう思い込む輩ばかりだ。

・・・・・・・・・・それは正常な人間なのか?


などと解った上で従っていれば、問題(不利益)はなし。

――――――――――存在自体(生きてやがるの)が不愉快だが!


さて。

異世界との接触以来(約半年/転移直後から)医学(解剖学)的、心理学(精神神経学)的な調査(実験)で、地球人類と変わらぬ感覚を持つ(戦術が使えた)、人々に眼を向けよう。


穀物交易により財を生み続ける港街。


交易商人。

商品の出入りを司る。

銀行家。

代金の決済や資金を融通。

船主。

海上交易路自体を維持する。


そんな特権階級と奉公人たちが住まう街。


広い街路。

壁に囲まれた狭い城壁都市の中でさえ。

広い地所。

出入りする品々で倉すら足りないのに。

広い空間。

金を稼がず費やす為にだけ在る邸宅街。


単なる趣味。

周囲への演出。

当たり前の何か。


豊かな花々。

新鮮な樹々。

際密な枝葉。


土地の狭さを強調するような生垣は無い。

人目は遮るものではなく距離を置くもの。

見透せる庭園こそ警備上好ましいのだが。


だから香り高さは好まれない。

開放的な街に薫る香りは混ざる。

佳い香りも混淆しては悪臭だ。


微かな蜜。

満たす青葉。

乾いた枝。

街路を満たすのは、控え目な匂い。

――――――――――普段ならば。


今は?

独特な機械油の臭い。

微かな硝煙の臭い。

仄かな鋼の臭い。

以外は?

・・・・・・・・・・辺りを充たすのは、ソレだ。


微風。

漂う血匂(けっしゅう)


殺されたてで新鮮なため、単なる血肉の匂い。

好い匂いじゃないが、悪い臭いでもない。

・・・・・・・・・・調理前の肉魚など、こんなものだろう。


幸い、北邦。


春の陽気でも風は冷たく。

腐敗が始まる前に処理される。

これからも今も害はないだろう。


責任元の無いゴミ処理を含め、街が正常に機能しているからだ。


此処は平和な港街。

軍政下の安全な街。

武器が抜かれぬ街。


抜身の兵器を携行し使え使ったのは、占領軍の兵士たちだけだ。


兵士は常に部隊単位で行動。

個々に、街ごと自動で監視。


常に部隊単位での作戦行動(発砲)

一兵士で街路の殲滅が可能。


部隊ならば街を全滅できる。

だが命令が無くば殺らない。


国際連合軍の部隊なのだが。

国際連合統治軍の作戦範囲。


実際、抑えたオーバーキル(部隊の日常)

大斧一つしか使わなかった。


柘榴の様に割られたのは、小柄な身体一つ(30kg前後の肉塊)に過ぎない。


だが濃密な匂いとなって辺りを満たす。

血の匂いというのは、刺激的なものだ。

実際の濃度より認知の優先順位が高い。


だから先ず、意味より印象が認識される。


怪しくない皆が春に凍りついた訳。

自らが殺されるという誤解。


皆すぐに春の雪の様に弛緩した訳。

自らはまだ殺されていない。


そして、また気を引き締め直す訳。

自らの大切な命を守るため。


殺されるのは日常的な世界なのだ。

自らは殺されまい、とする。


認知から認識へと主体と客体が入れ替わり立ち替わり。


怪しい彼女は踵を返す。

浮浪児だった死体は、スルー。


死体に関心は無い。

これ以上、死なないのだから。


特別な発想でなく。

極々普遍的な知識なのだろう。


食えるなら食うが。

病気を媒介するから、だめだ。


経験から判ってる。

経験したから、こそ判ること。


共食い禁止ルール。

それが判る、その意味はコレ。


理由は在るものだ。

本能はソレを禁止していない。


無知である、こと。

野蛮というのは知らないこと。


死体に意味は無い。

食えない血肉はただの生ゴミ。


帝国だけ、だろう。

死体を合理的に運用するのは。


火葬ではなく焼却。

死体を乾燥させ、脂も燃料化。


高炉に等しい風炉。

衛生的焼却で、骨を取り出す。


後は砕いて仕分け。

邦内各地に輸送され保管活用。


街道整備資材の為。

重量物移動に相応な路面整備。


幾らあっても善し。

必要ならば必要なだけ、造る。


それは常識だろう。

それとて死体自体は無意味だ。


資材に、するまえ。

それは、やはり生ゴミとなる。


他人だからでなく。

戦友や氏族、主君でも同じく。


死は誰にも等しい。

それで御仕舞い何もかも無い。


遺された身体とか。

死体は誰にも属したりしない。


人間の形をした肉。

これは、異世界全般の感覚だ。


葬送も弔いもない。

死体はゴミ棄て場に持ち込む。


特段、珍しくない。

地球人類史上の大半でもそう。


貝塚はゴミ棄て場。

多数の人骨が見付かる場所だ。


食べた痕は、ない。

つまり人の死体を棄てただけ。


人が人の死体をだ。

隣人、家族、友人、仲間たち。


生きている間には。

死体は人格の無い人型の肉塊。


死んでしまえば物。

利用価値が全く無いなら廃棄。


とても、合理的だ。

衛生的であることのみ考える。


復活など考えない。

ミイラもピラミッドも、無し。


埋葬も無くは無い。

例外的な事例ではあるのだが。


意味付けは、不明。

安置し花を捧げた様子もある。


まあ解釈次第だが。

花粉があり寝かせてある死体。


そう解釈も出来る。

死体をゴミと遺体に別つ理由。


センチメンタルだ。

ペットや人形を悼む人もいる。


一般にはゴミでも。

個人には大切なことは、在る。


一般評価とは別に。

むしろ真逆だからこその情緒。


とても、文化的だ。

情緒に伴う代償行為、もある。


儀式ではない想い。

刻に花を捧げ刻には安置して。


死体の為の、作業。

やる奴も居なくはないが少数。


強いられたりせず。

そう為さないではいられない。


無意味に意味付け。

故に文化は個人に属している。


普通なら、しない。

故人を偲ぶなら遺品で十分だ。


無意味と知りつつ。

だからこそ意味が見出だせる。


価値など考えない。

それこそが、文化なのだろう。


売れる、売れない。

利害得失なら取捨選択でいい。


生きるか殺される。

比較できるならば意味は無い。


意味を捏造すれば。

強いてしまえば文化ではない。


だから、そこまで。


墓に葬式。

そはなんぞや。

それに即答出来ないならば

・・・・・・・・・・縄文人に嗤われる。


異世界種族は嗤わなかったが。

不思議がられただけで済んだ。

地球人類は恥を掻いたのだが。


相手から問いかけられない歴史的資料を今の個人的な常識で解釈しなおして研究と称している自称学者が、異世界に連れていかれなかった訳。


異世界文化は地球人類史と、ほとんど変わらない。


浮浪児が殺された。

死体はゴミとして始末される。


異世界の港街。

怪しい彼女の、すぐ傍らのこと。


どこでも同じ。

誰の前後左右でも起きてること。


誰も驚かない。

自分や知人には関係ないから。


嫌悪感はある。

同種の動物が殺されたこと。


それは嫌なことだ。

自分の死を連想させるから。


だが、知性は、それを宥め得る。

――――――――――火を恐れない動物のように。


怪しい彼女は立っている。


人が殺されるのは、珍しい。

――――――――――つまりは、日常だ。


それが問題になることは無い。

・・・・・・・・・・問題なら殺されない。


つまり異世界、非先進国では、だ。

――――――――――それが、自力救済。


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