表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十九章「帰郷作戦」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

909/1003

永遠の忠誠/Semper fidelis.

【用語】


『エルフ』:異世界の種族。基本形態は人と同じく四肢がある。手足指の数は同じ。全体に背が高く細身。女性は概ねメリハリがあり、男性は細身でありながら筋肉質。人間の美的感覚で言えば総じて美しい。異世界の他の種族と比べて圧倒的に長命、絶対的な不老。10代から20代を少し超えた程度で老化しなくなる。俊敏で器用、五感が鋭く、感染症になりにくい。世界を支配していた帝国から絶滅すべき種族とされており、大陸では奴隷として以外の生存が許されていなかった。

エルフを迫害してドワーフを優遇する帝国以前に歴史が始まる前からドワーフが嫌い。


『ドワーフ』:異世界の種族。基本形態は人と同じく四肢がある。手足指の数は同じ。全体に縦横サイズが同じで厚みがある体つき。背丈は平均160cm前後と低めだが横幅も同じくらいあるので小さい印象はない。体毛が濃いが獣のように全身を覆っているわけではなく、厚くごついが皮膚も露出している。全身が筋骨隆々としており腕力持久力耐久力が強い。服装装備もごつごつしたものを好む。力仕事も得意だが、細やかな細工や彫金、合金精製など器用さこそ最大の特徴。世界を支配していた帝国においては貴族たる騎竜民族に魔法使い、その資源扱いの領民(エルフを除く異世界全種族)、絶滅指定のエルフなどとは別のカテゴリーとして、優遇されている。

エルフを迫害する帝国以前に歴史が始まる前からエルフが嫌い。



他人からは、二つ、教わることが出来る。


彼の人には何が観えているのか。

彼の人は貴方に何を観せたいのか。


其処に善意も悪意も無く、意図すら無いかも知れない。

心を読んでも自白剤を使っても其所には何もあるまい。


さて、問題。

私は君に何を教えているのかな?


言ってくれるな

――――――――――人は自ら創った応えを疑わない。





【異世界大陸北東部/帝国辺境領/回復予定領/割譲可能領/作戦周辺領/低要度・高危険度区域/斥候周回範囲/???】


怪しい彼女は肢体の力を抜いている。


目の前に迫る黒旗団。

帝国最強の傭兵部隊。

最強なら別にいるが。


最強ならば近衛兵団。

数ある傭兵では最強。

正規軍以上の扱い方。


民草の中で最も有名。

正規軍より緩いから。

親しみ易いのだろう。


だから知られる戦果。

栄光も蛮行も十倍増。

怖れられて慕われる。


特に今回の戦の序盤。

史上初の帝国大敗北。

黒旗団が創った伝説。


青龍との緒戦に置き帝国軍最大の戦果を挙げ

――――――――――青龍に降伏した。


拍手!

戦士たる者、斯く在れかし。


敵わないなら殺されるべき。

敵うのならば殺し合うべき。

敵として、味方として。


どちらも殺して殺し合える。

――――――――――帝国の支配階級(騎竜民族)なら()()感じる。


考えは別として。

・・・・・・・・・・怪しい彼女も感じると考えるが別なタイプ。


気持ちで拍手。

心は値踏み。

今、殺されたとしても、どうにでもなる気楽さ。


旅人の常として遺書は完備している。

金と立場を持つ真っ当な旅人に宿。

地位に伴う名誉がある真っ当な証人。

目撃者が大勢いる真昼の雑踏最中。


なお遺言執行人最有力候補は街の名士に含まれてはいる両替商人です。


最期の様子は、所定の場所に、必ず伝えられるだろう。

複数の証書付き証言が複数造られ複数のルートで発送。

陸路海路、公用郵便から私用伝書に委託し一通は保管。


保管と執行は滞在先の関係者、が居なければ現地の参事会。


それこそ死が日常な時代に危険を侵す旅人の日常業務。

産まれ育った場所を離れるだけで動物は死に易くなる。

移動のコストだけではなく疾病以前に水一つでも死ぬ。


だからこそ人類の過半は産まれた土地から一生離れないが。


総人口ほぼ全てが旅をしない人類史のほぼ全てのこと。

旅のコストに耐え得るのは富裕層かその関係者だけだ。

証書商品、役割を抱えたまま旅の空で行方不明は無い。


必ず、指定された、場所に、届く。

――――――――――すると事前に決められた役が知る。

必要ならば追加で調査されるのだ。

・・・・・・・・・民間人でも例はあるので疑われまい。


その冒頭はこんなところだろうか?


大きな港街の通り。

富裕層の高級邸宅街。

道幅を最大限に生かす。


囲われた都市では広さこそが贅沢。


射線射界が広く空いている。

だから貫通できる火力を前へ。

空いているのか空けるのか。


7.62×51mm弾だけでも貫通しよう。


ナポレオン戦争並に火力支援担当が最前を進む。

適度に散開しているのは火力初撃を避けるため?

密集陣形は特に奇襲集積火力の良い標的だから。

・・・・・・・・・・な訳がない。


中段以下に控えていない、抜斧隊を通す為。

刃先を覆うカバーをはずしているから抜斧。


脂ではなく油でテラテラと滑って(ぬめって)いる波紋。

分厚い胸甲ゴツい兜に筋肉と骨太の固まり。


それを一発で仕留めるのが7.62×51mm弾

――――――――――その威力を知らぬ元帝国軍ではない。


斧身を斜めに構えて弾いて圧して参るドワーフ斧術。

当たらなければどういうことはないエルフ操身術。

最期の独りが咬めばいい肉球ジェット・ストリーム・アタックは流石に元カノに殴られた。


不可能と言われると殺りたくなるのは多世界共通。

青龍の魔法を使わずに青龍の魔法を凌駕する方法。


国際連合軍に従軍している間だけしか、試せない。

成功したら全団員にドや顔することが出来るのだ。


そりゃ命くらい賭けますよ。

――――――――――今のところは銃には銃。


それが国際連合軍異世界種族の統一見解。

・・・・・・・・・・試行錯誤で死ぬのは趣味嗜好。


地球人類の技術的アドバンテージを崩壊させる作戦?

同じ国際連合旗を仰ぐんだからそんなことはあり得ない。

民族主義や国家主義が創られる千年まえのことたから。

まあ千年後、そんな迷信が発生するのかどうか判らない。

少なくとも不定期自白剤チェックに、その傾向は無し。


だから国際連合軍に従軍する異世界種族は撃たれる経験を求めていても、撃たれる心配はしていない。


今のところ火器は地球人類の独占態勢。

魔法の一撃ならば対魔法で防がなくてはならない。


なら魔法を集中できる密集陣形が有利。

魔法同士の圧し合いなら、総量密度技巧で決まる。


広く薄く、か、厚く狭くの何れか選択。

その辺りを考えるのは、隊列中央の魔法使いたち。


もちろん魔法効果を避けて散開もある。

護れる護るの取捨選択、とっさの判断は魔法使い。


魔法使いが貴族に準じる理由であろう。

それは昔々の帝国時代の思い出、となって久しい。


国際連合軍に従軍した異世界種族たち。

その指揮官たちには、情報共有端末が与えられる。


判断するのは各級指揮官の考えること。

――――――――――そして邦ごと俯瞰して視ている、青龍だ。


だから、なのか。

怪しい彼女の眼に入る範囲。


目の前を征く黒旗団。

ドワーフ。

エルフ。

青龍。

・・・・・・・・・・青龍?


黒い瞳。

黒い髪。

・・・・・・・・・・褐色の肌。


だが間違い無いのだろう。

わざわざ(フェイスガード)を下げていた。

青龍特有の滑らかな甲冑(プロテクター)


装具自体は青龍に降った者にも与えらることがある。


思えば黒い髪や瞳の黒い人間などいない。

赤や緑やピンクの瞳や髪なら異種族にいる。

ならば肌の色を含めて青龍と言う種族だろう。


つまりは誰にでも判りやすく示している

――――――――――青龍、此処にあり。


怪しい彼女の眼を惹くソレ。


ドワーフを使っているのもソレ。

動きが大きく騒がしく、一挙手一投足が目立つから。


エルフを同行しているのもソレ。

誰の眼も惹く上に仲が最悪なドワーフと居れば驚く。


人やホビットがいないのもソレ。

隊形の中に人型が居れば青龍が目立ち難くなるから。


これはナニ?


巡察。

警邏。

物見。


怪しい彼女は尋ねたりせずに考える。


黒旗団は作戦中。

ルーチンワークの弛緩がない。

敵を探している、訳でもない。

敵と戦っている。


誰と戦っているのやら。

・・・・・・・・・・出遅れたか。


撃たず。

殺さず。

壊さず。

生かして置いて、戦果を挙げていく。


珍しいこと

――――――――――注目すべき。


通りに馬車が居ない、通らない。

常に道を塞いでいる訳でないにしろ。

道幅全体を意識している黒旗団。


今は通りの中心、全体の幅半分くらいで移動。


馬車が彼らを避けるのも判る。

黒旗団より青龍を避けている。

彼らの邪魔になれば壊される。


いつ、何の気が変わって散開するか判らない。


怪しい彼女には見当が付くが。

商人職人船乗りなどの街人農民なら。

道を避け端に寄るのが賢明だ。


街中の馬車なら渋滞避けの先導が走っている。


馬丁や小僧が先行していれば、気付く。

ならば今、通りに馬車が居ない訳だ。

怪しい彼女が往路で気付かぬ理由。


と言うことは?


街の者たちにとり、予想内の予測不可。

予想外ならパニックになっているだろう。

実際、それで滅びた街があるくらいだ。


黒髪黒瞳のグリーンドレス(陸上自衛隊女性用正服)が街に出たから。


三佐を思い起こさせたのだろう。

異世界種族のトラウマ。

泣く子がショック死で済まない。


だが此処、港街では、黒旗団は予想の範囲。

・・・・・・・・・・グリーンドレス(陸上自衛隊女性用正服)は混じって無い。


しかし予測は出来ないだろう。

出来ているなら道を避ける。

ツイてないから端へ避難。


そう、道を空けているんじゃない。


怪しい彼女は街の者たちも観る。

大半が道の左右の端に走った後。

屈んで固めて動かずに防御姿勢。


袋叩きに備える、いや、真っ最中の態勢。

これだけ備えれば殺され難く為るだろう。

――――――――――這いつくばり背中を丸めて両腕で頭を庇う様。


なるほど。

拝跪拝礼儀礼ではなし。


(そも敬される覚えもなかろ)


恐れられてはおろうが。

構わない。


力とは、そういうモノだ。

それで十分、用は足りる。

ならばそれ以上考えない。


その辺りの感覚は、怪しい彼女や同族には、良く判る。

――――――――――怪しい彼女は、まだ知らない。


同音異義語の差違を。

恐れ。

怖れ。

畏れ。

その本質的な違いを。


企画をまとめたプランナーすら解っているのかどうか。

・・・・・・・・・・地球人類も考えていないが。


いや、それは地球人類多数派の日常。

いや、その実行者も気付くかどうか。

いや、眼に映ってはいるのだけれど。


誰かに命じられた訳もない。

支配者は気にも留めない、青龍だし。


誰か主導しているのではない。

その場その刻、独り独りが自ら判断。


誰かに合わせるなぞあり得ない。

むしろ替わりに殺されないかって位。


狙われたのなら、逃げられない。

確率論ならば、最初の犠牲が最大値。


皆、巻き添えを避けるために身を伏せる、と。

――――――――――怪しい彼女は納得。


ならば何の巻き添えか。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ