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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十九章「帰郷作戦」

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命の無意味/All equally worthless.

【用語】


『グローバル・スタンダード』

:先進国の常識。つまり地球人類の大半とは無関係。極最近ここ半世紀以内に普及し今後残るのかどうか誰にも判らない。つまり人類史とは関係がない。だが何故かそんな当たり前のことに気が付かない、らしい。

自分が産まれる前、一世代25年前から在る概念は宇宙開闢以来の物理法則に感じるのが考えない人間。自分の生活圏で見聞きする事物が宇宙そのものであるのが考えない人間。

そも考える葦なんですが人間は……それ、人間?



世界とは一人の目に映る範囲のことである。

正気とは世界の中の多数派でしかない。


病室の中の常識を疑う患者は稀であり。

その病院が精神科とは考えたりしない。


その場の()()()が「太陽は西から昇る」と言う。

太陽は東から昇り続ける。

観て気が付くことはない。

()()()は東と西の意味を考えたことは無いから。

――――――――――考えることも無いのだから。



「子供を嫌う人間」は()()()

・・・・・・・・・・嫌いと言う人は幾らもいるだろう。


実際に嫌われているのは子供ではなく「不健康な動物」だ。


肥育されていない(虐待されている)病気の同種(子供)を、好きな動物は居ない。

同種を傷付ける環境は自分にこそ危険ということ。

存在(病人)自体が警報なのだから、忌避して追い払おうとする。

それが正常な動物なのだから、人間という動物も同じ。


「子供は泣くのが仕事」

などと狂った妄想がある。


――――――――――あり得ない――――――――――


子供に限らず、泣き声は悲鳴であり苦鳴であり命請いだ。

保護されるべき子供が責め苛まれる様子(さま)は苦痛だろう。


子供の泣き声を嫌い、その元凶を糾弾するのは当たり前。

子供を泣かせてる親は「仕方がない」と信じ込んでいる。


それはそうだろう。

親には子供を保護する能力は無いのだから。

弱者を24時守る。

そんなことは、二人で足りる作業ではない。

2対1(親子)では不可能。

無理を通し子供に頚枷を嵌める(奴隷を所有する)破目になる。


もちろん仕方がなくはない。

不可能な役割を受け入れるのが悪い。

受け入れさせられたにせよ。

ペット(玩具)を躾て、動物(人間)を育てられない。


解決するのは、とても簡単。

古今東西、人類の大半が行っている。

親子関係を創らない、こと。


親はなくても子は育つ。

人類の三割以外(大多数)では当たり前の手法。

子供は社会が育てる。

人類史上、極、普遍的な概念の一つ。


地域(地縁)

血族(血縁)

2対1では不可能なことも、10対100なら容易いもの。


育児ノイローゼ?

「親子」制度があるからだ。

児童虐待?

親子「制度」があるからだ。

出生率低下?

親が子の負担で死ぬからだ。


特権階級(血族組織)の必要で造られた仕組み。

人類の大半にとっては無意味な形式。


成り上がり者たちが誤解したまま真似た。

ごっこ遊びに現実を合わせれば破綻する。


――――――――破綻にすら気付けない――――――――


子供が泣いてる大失敗。

それを仕事と言い繕うに至っては。


「飢餓で飢え死にするのは君たちの仕事です」

と思うに等しい。

「子供は泣くのが仕事」

・・・・・・・・・・なぜ?


そんなことを信じ込める動物が生まれるのだろうか?





【異世界大陸北東部/帝国辺境領/回復予定領/割譲可能領/作戦周辺領/低要度・高危険度区域/斥候周回範囲/???】


意外に小さな水音だった。


河面を叩かぬシャープな姿勢。

スムーズな入水は空気を揺らさぬ。

教本通りパーフェクトな動作。


惜しむらくは著者にも読者にも想定外なこと。


北国の春。

春でも北国。

河は冷水。


怪しい彼女は跳び込んだ。


それはそうだろう。

眼の下に人が居た。

歳の頃が近い少女。


少女は河面に居なかった。


怪しい彼女は舟の縁。

見知らぬ少女は河の中。

二人を別ける喫水線。


見知らぬ少女は完全に水没していたのだから。


華奢な肢体は成熟してる。

明らかに鍛えていない肢体。


健康的だが、それだけだ。

しかも水中で肌を晒してる。


服を着ないで泳ぐ馬鹿げた話が起きている後。


裸で河に入るなど、あり得ない。

水中も大気中で同じこと。


肌を曝すことは急所を観せること。

・・・・・・・・・・そんな甘いことではない。

肌を曝すこと自体が傷を負うこと。

――――――――――可能性ではなく確定済み。


着衣は先ず体温調整の為にある。

身体を脅かす外部の刺激。


それは先ずもって温度。

熱は、高い物から低い物へ。


当たらなければ済む石礫。

矢でも鉄砲でも銃弾でも同じだ。


だが避けようが無いモノ。

空気であり水であり肌の外全て。


完全に避ければ真空の中。

それを想定していないから死ぬ。


人体は単独で存在出来ない。

だから外部と距離を置く。

その存在は不変の前提。


あくまでもややマシにするだけなのだが。

気密服という物はあるが服と言う名の箱。


人間は独りで生きていけないとは、それ。

例え服を着てさえ完全無縁には出来ない。


海中活動専門職を観れば判ること。

海女や海人などに全裸など居ない。


暑い海なら身体を熱っされない様。

寒い海ならば体温を奪われない様。


身体を布で包んで肌との隙間を造る。

その空間を水や空気で満たす。

布で外部から遮り肌の影響を強める。

同じ温度なら熱が移動しない。

その水や空気が断熱材の役を果たす。


だから服さえ着ていれば、寒さ暑さが和らぐのだ。

――――――――――水中であれ大気中であれ。


だから全裸で居れば、水中でも大気中でも厳しい。

・・・・・・・・・・熱さであれ冷たさであれ。


なら、今日、今は?


渡し舟から河の中程。

川より広く、深い河。

一見して、ゆったり。


大きな物を観上げる視点。


速いは遅く。

多いは少ない。

広いは狭く。


比較対象が無い故に。


そう感じてしまうだけのこと。

俯瞰鳥瞰すれば嘘ではないが。

地面水面の生活には自殺行為。


モルモットの感覚ならば。


もちろん河の流れは実際、速い。

水量は大きく、多く、重く。


異世界人には櫂も帆も無い。

推進力が無い肢体なら流される。


そして北国の河水は冷たい。

暖流の海水と違って冷えた陸水。


河口から海水を圧す、河水。

港が海が近くても温められない。


暖流間際の港街でさえコレ。

しかも河の流れを横切る渡し舟。


舟体に掴まっても同じこと。

新しい冷水を次々と浴びること。


舟体は河水を分けてしまう。

慌てて帆を降ろして櫂を上げる。


冷たい水を撹拌し難いよう。

だが惰性で動くのは止まらない。


それに合わせて水中に居た。

流れに逆らい河水を掻き分ける。


河水中の肢体に当たる冷水。

次々と新しい冷水が繰り返し〃。


動物の身体は熱が必須条件。

隅々末端まで熱っさないと死ぬ。


だからとても高い熱伝導率。

だから体温が冷水に移ってゆく。


熱は高い物から低い物へ。

熱力学第二法則が異世界で通用。


体より温度が高いか低いか。


高ければ火傷か熱死できるだろう。

低いなら凍死しなければ低体温障害。


怪しい彼女は未体験だが、口伝と教育で知っていた。


そりゃ、冷たい河面に跳び込む訳だ。

観て温度感が掴める水中に居たのだ。

死体ではないのは観てとれることだ。


水の中から笑顔で手を振る死体など在るはずがない。


いやまだ笑顔を向けているし。

水の中からではないけれど。

怪しい彼女も同じ処にいるし。

笑顔かどうか怪しいけれど。

水面近くまで浮かべばいいし。

引き上げるはムリだけれど。

服一つで浮きを造ればいいし。

浮かぶだけで困難だけれど。

不可能でさえなければいいし。

気付かせるだけ、だけれど。

一人が浮かべば掴めばいいし。

それ以上は出来ないけれど。


脈動百回までは泳ぎながらも息継ぎ無しで耐えられ

――――――――――とっさに息をしないよう肢体を抑えた。


怪しい彼女の肢体は意志に従う。

とても珍しいことに。

厳しい訓練と才能のお陰だろう。

驚いて息を吐かない。


残り少ない水中稼働時間を費やして眼を凝らしたら

・・・・・・・・・・河水中の全裸少女の胸が隆起。


リアルタイムで成長してるんじゃない。

呼吸している時の、している動き。

口や鼻から気泡が出はしない。

息ではない物で呼吸している、らしい。


(ここまで)

――――――――――怪しい彼女の命が。


想定外の冷水。

予想以上の水圧。

突発的な水流。


これだけなら単なる命賭けに過ぎなかった。


不測の事態。

不測の動作。

なにより予想外のナニか。


選び取れずに与えられた負荷に対応出来ない。


筋肉の急収縮。

痛みは無視すれば済む。

筋肉収縮停止。

これは無視されている。


肢体が意志に従わない?

――――――――――珍しいことに。


しかも腕と脚の両方が?

・・・・・・・・・・今は使えない。


怪しい彼女は筋肉を弛緩させるべく、努め無い様に務めるながら余技に耽る。


暴れなければ肢体は浮く。

筋肉質だが豊満だから。

脂肪分の浮力が勝る。


窒息しても水は飲まない。

肺が満たされたら終わり。

水面に出て息が吸えない。


運動機能は棄てること。

呼吸機能を守ること。

決めた方針に従うこと。


自分以外のことを考えない、怪しい彼女。


幸い河上通行が減っている時期。

瓦礫の搬出が終わり、建設は未だ予定のまま。


落ちた客を救おうとする渡し舟。

それが許されるほどに河上に空きがあるのだ。


最盛期の港街なら溺者は、無視。

救助の為に河を塞ぐなど許されることはない。


せいぜい泳ぎ達者が飛び込む位。

人が何人かなら河上通行の邪魔にはならない。


船や舟は溺者も救助者も、無視。

舟や船は、そのまま予定通りに進んでしまう。


河に落ちたら人力で河岸へ戻る。

船や舟は、河面の人などを避けたりはしない。


舟や船に弾かれることも、ある。

ただ狙ってはいないから滅多には起こらない。


それが往時であるならば、今は。

多少で済むならば、出来ることはしてくれる。


怪しい彼女の老執事と魔法少女。

二人が動く前に船頭が舟を止め流れに任せた。


河水中の者だって流されて行く。

大きく離されることはない、と考えてのこと。


客も船頭も櫂手も皆が眼を凝す。

何処に居るか判れば、水夫が跳び込めばよい。


回収か救助かは微妙な時間だが。

その程度の手間暇は惜しまない、余裕がある。


勝手に跳び込んだなら自己責任?

その手の発想が人類の一部で生じる前の世界。


自己という概念が生まれるやら。

或いは理解できずに振り回す輩が生じるのか。


だから怪しい彼女の連れも同じ。

何も言わずに舟客や船乗りたちと同じように。


ただ眼を凝らして、怪しい彼女を探す。

下水の整備が行き届いた、帝国統治下。

世界征服の為に造られる続ける仕組み。

外征と遠征、交易を旨とするシステム。

一番の脅威は敵ではなくて疾病・疫病。

顕微鏡が無い世界だけに病因が未発見。

だから治すより防ぐ方に比重がかかる。

公衆衛生の普及というより強制と消毒。

作戦拠点となる都市は清潔は義務責務。

衛生的でなければ焼却されるのが基本。

港街は残っている、つまり衛生的な訳。

十年近く港街の河は交通と取水に利用。

汚水や排水が流れ込むことはなく綺麗。


透明度は高く、陽射しは明るく、河底まで観えてる。

人数も居れば、探す時間はかからない。

その短時間を堪えきる力が人間には無いのだけれど。



{ъβγΠΛΜΥΥёдддЮЭЧдеббзож♪︎♪︎♪︎♪︎♪︎♪︎}


人間には、だ。





人はパンのみにて生きるに非ず

……いや、ホント。


書く時間が摂れない極限状態、継続中。


意外と書かなくても我慢できるんですね。

……我慢は大嫌い。


そんな訳で、今週も一話のみ更新。

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