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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十九章「帰郷作戦」

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895/1003

我々こそ我なり/Regio.

【用語】


regio(レギオ)

:ラテン語。「地域」「支配」を意味する。ラテン語由来の各言語におけるレギオンの語源。



解り由るからこそ問う。

――――――――――道理じゃの。


()()は手足よ。


腕が落とされることもあろう。

脚が挫けることもあろう。

代わりが効く効かぬもあろう。


だが、違う。


氏族か否かではない。

従うか否かでもない。

産まれも故地もない。


剣でも槍でも、ましてや食器ではない。

・・・・・・・・・・それは民じゃな。


耕す民もおる。

造る民もおる。

戦う民もおる。


役を果たすのが民じゃ。

――――――――――ならば?


妾の力はアレらの力。

妾の功はアレらの功。

妾の咎はアレらの咎。


斬り捨てさせることも含めての。

・・・・・・・・・・主従為れば。


取引ではない。

利害ではない。

理屈ではない。

それは皆、民の分別じゃ。


我々、と呼ぼうか。

叶うは一人で足る。

皆殺さねば構わぬ。

是の頚と彼の頚は等しい。


(主君)彼ら(臣下)は一つの竜。

――――――――――主ら(現代軍隊)青龍と同じ。


《国際連合経済社会理事会/経済的、社会的及び文化的権利委員会/国際連合軍保護下にある異世界種族に対するヒアリングより抜粋》



【異世界大陸北東部/帝国辺境領/回復予定領/割譲可能領/作戦周辺領/低要度・高危険度区域/斥候周回範囲/???】


挿絵(By みてみん)


太守領は異世界有数の穀倉地帯。

領域と耕作面積は()()同じ。

広さは()()()()

収穫量も、絶対値では()()()()()程度。


だが収穫率は並外れている。

穀倉地帯の耕作面積は耕作可能の意味ではない。


単なる農村部と穀倉地帯の差。

農村部では収穫が見込めるだけ。

それでも惑星地表の極少数派。


穀倉地帯の農地は余剰生産が安定的に期待可能。

しかもそれが海路に繋がる。


ただ豊かな土壌だけなら、土地の人々を潤して終わり。

閉ざされていれば内部人口を飽和させることになるが。


だだ人が居る、それだけだけのことに過ぎない。

・・・・・・・・・・人口は力ではない。


まあそんなことを思い込めるのは、破綻するまでの日本帝国(明治日本)か、その残党(霞ヶ関)くらいだが。


だが、太守領は、それで済まなかった。

―――――――――此処には港があるからだ。


拙くとも航海造船技術に経験、というソフトウェア。

小さくとも舟や漁港というハードウェアがセット。


それだけでも価値があり、その程度では済まない

・・・・・・・・・・()()()()()()()()


確立された大航路。

物流拠点としての港。

邦土の狭さは寧ろ良し。


流通網が無くては生産は死蔵されて終わり。


単位面積あたりの収穫率が高い農地。

各地から港までの距離が近い。


人類史の大半と同じく異世界流通は人力。

運搬に家畜を使うなど効率が悪すぎる。


近さが持つのは絶対的アドバンテージ。

人力で手が届く港に、それだけではなく。


大航路には定期運行中の大船か通る。

嵩張る物質を運ぶのに、最適。


ある程度まとまった定期的で確実な生産量。


異世界にも穀倉は少ない。

穀物に限ったことではないが。

余剰生産力は無くて当然。


自給自足とは、そういうこと。

・・・・・・・・・・そこは地球と同じ。


普通の土地は税を奪われたら何も残らない。

普通以下の土地は税を奪うことすら出来ない。

普通ではない土地では税を奪う刻に殺しておく。


残った収穫で生きられる数まで間引くこと。

――――――――――いずれまた()()()ように。


だからこそ、特別なのだ。

輸出が出来るということ。

ましてや生存必需品なら。


そんな太守領には三つの要がある。


太守府。

旧王国首都にして太守府の中心。

東西南北穀倉地帯の中心にして集積拠点。

此処が中心。


西の山。

大陸内陸部の山脈、その東端の一部。

ドワーフ氏族が割拠する鉱物資源採掘場。

此処が西端。


港街。

大陸沿岸部、その東端の一部。

沿岸部一帯に繋がる航路の拠点。

此処が舞台。

――――――――――今は。


港街を南北に分ける河。

怪しい彼女が、当面は目指している。

ということにしている。


正確には南岸へ渡る為に河へ出たい。

この河は市内交通だけに使われる訳ではない。

太守領を東西に流れている河なのだ。


港街を支えている南北への交通線は港湾に不可欠。

だがそれはオマケでしかない。

本旨は太守領そのものを支えつづけている物流線


東から西を。

山脈から海を。


港と消費地とを結ぶ。

太守領自体の生命線。


河上を様々な物者、主に物が往き来する。

港街が無ければ太守領全体が貧しくなる。


太守領(穀倉地帯)が無ければ港街などは役に立たない。

だからこそ、優先順位は明確。

港街の為に太守領(穀倉地帯)を潰すわけにはいかない。


だから河上交通の主流は東西の船。

穀物が西から東へ。

――――――――――今は瓦礫が西(現場)から()へ。

輸入品が東から西へ。

――――――――――今は人足が(港湾地区)から西(北岸)へ。


南北の渡し船舟は、東西の船の合間を往き来。

注文が南から北へ。

――――――――――今は指示書が南から北へ。

品物が北から南へ。

――――――――――今は報告書が北から南へ。


そんな中でも、物流人流が街と周辺に限られている間、だからこそ複数運営されている渡し。


その一つへ向かう両替商人。

怪しい彼女たちは復興に無関係。

遠回りで迷わず河に向かう。


復興に無関係な者物の移動は一ヶ所河の渡しに一ヶ所集められている。


復興作業に関わる人や物の流れ。

複数のルートで河へ往き来。


向い

戻る。

運ぶ。

動く。


向きと用途に合わせ分かつ動線。

良く解っている者の仕切り。


遅滞も衝突も最小限だ。

帝国軍の正規兵なら当たり前だが。

十代になる前から選抜された精鋭。

その成長過程まで管理して訓練済。

それなら出来て当たり前。


斯くあれかし、斯くなる。

それなら驚くに当たらぬ。


たが目前で操られていないのは、雑多な領民。


想定されていない。

想定された結果。


レーション(糧食パック)と家庭料理の違い。

そこから判るのは?


港街だけじゃない、ということ。

周辺や広く農民たちも解ってる。


港の人足。

ベテランからアマチュア。


村の農民。

都市の周りから地方まで。


千差万別。

歩む速度からなにもかも。


――――――――――スムーズ――――――――――


ぶつからず。

遮らず。

競い合って。

譲り合う。


問題は最小限。


殺し合いには、至らない。

各々が動ける程度が判るから。

動線を途絶えさせずに回せてる。


怪しい彼女は、まだ知らない。


盗賊ギルドの新規加入者は、農村部を逃げ出した者が多いのだ。

帝国も、様々な階層地方の領民を使う機会は多いのだけれども。

各々を組み合わせるより、斬り揃えて動きを整えることが多い。


だから怪しい彼女は知らないまま。

それでもアウトラインはのみこめる。


最初に拉致された刻は、港から直接北岸に入った。

だから判らなかった、というより観えなかったが。

今は内側からたけ視える外部からだけの視え方だ。


それでも視て解るのは観たことがあるから。

――――――――似て非なるもの――――――――


似ていないと判らない。

比較しようと思わないから。


非ざらないと解らない。

その違いに気が付けないから。


怪しい彼女が産まれた刻から繰り返し。


間違い探しの教育的効果。

それは最高の比較対象。


築城作業には詳しくないが。

攻城作戦は観て学んでいる。


史上最大の長期攻囲戦。

聖都攻略は観る機会が多い。


怪しい彼女の同郷同世代なら大抵は観ている。


都市計画や都市建設より、破壊。

解体作業中の北岸はそれに近い。


だから人や物を視て追うだけで流れが掴めた。


そこから地図情報を思い浮かべる。

港街半壊前の知識だが地形は同じ。


何処の渡し場に向かっているのか。

渡河点にも辺りが付こうってもの。


今は、なのだろう。

街区解体作業の進捗に合わせて換えた果て。


河の東西ほぼ中間。

街を南北に分ける河は、東西に流れている。


今、解体最終段階。

あくまでも建てる前に均す、第一段階(30%)だが。


進捗率は29%位。

解体初期(0%)は作業スペース確保を優先する。


最初は北岸西から。

北岸にしては被害が少なくバラし易いから。


そこから段々開く。

最初は最低限の人員と場所を使って進める。


北岸均しの第一歩。

一番作業場所に近い処から瓦礫を船に積む。


瓦礫は港から沖へ。

湾口を形造る防波堤状の環礁、その外側へ。


外洋の高波を防ぐ。

均等に沈降させることで、その機能を守る。


最高権力者の嗜好。

港街はおろか邦内の各種利権団体も即服従。


面子や利権より命。

都市の廃材は貴重な資材として活用された。


命に等しい、作業。

これまでの流れは、予想と全く変わらない。


最初の渡しは西側。

運ぶ瓦礫と往き来る作業員の量と数に対応。


進捗すれば増える。

作業スペース拡大に合わせて作業員が増加。


瓦礫もまた増える。

それらを往き来させる船舟に必要な渡しも。


西から東へ向かう。

作業に使われる渡しも増えそれ以外が減る。


今は、そのピーク。


解体作業は、ほぼ終わり。

建設作業の準備に入った。


北岸西側から地盤を均す。

基礎造りを兼ねた解体だ。

それが西から東に至る頃。


西から建設が始まる計画。

区画割を兼ねた街路造りからだろうか。

――――――――――判るのは、()()()()()


その程度?


もっともそこは、怪しい彼女、

常と同じく自分に満足してる。

足らざるを補う者が居る故に。


老執事、怪しい彼女から観て爺やが仕草で示した。

普段ならば公然と怪しい彼女を小まめに諭すのに。


視線は変わらず主、怪しい彼女だけを視ている様。

忠実な執事は主と主の周りのみ関心があると誇示。


誰かへ。

先導しながら向き直る両替商人へ。

上空から記録する索敵機器群へ。

路上を行き交っている人足たちへ。


その陰で視ていないと観せる誰かに向けて観せ続け。

そのまま視ていないと判る主に視るべき者を観せた。


両替商人に気付かれず、怪しい彼女と魔女にだけ伝わる仕草。

真っ昼間、標的に気付かれぬ内に兵数十を馘り殺した熟練者。

それ(虐殺)は闇夜では目立ちすぎるからこそ、真昼の雑踏が似合う。


怪しい彼女は自分に心から満足して、触れ回りたいほどだった。

――――――――――また、虜囚にする理由が増える。



大きく息継ぎ

……個人的緊急事態発令中。


自分のリソースを作品以外に割く日が来るとは!

……年末年始なんか大嫌い。


経験値だけ増えているって、どうなのか。

……そんな訳で今年の最終更新です。


来年も宜しく御願いいたします。


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