シナリオって要る?/Etude&improv.
【用語】
『即興劇』
:シナリオやプロットが存在しない芝居。キャラクターやシチュエーションなど背景はあるエチュード。舞台装置はおろか衣装すらなく、なんにもないから演技だけで観せるインプロブ。創作に良くあるプロット不在って、こういうことか。なお本作はエチュードなので状況から必然的に結末は決まっています。それは物理法則と変わらない玉転がし。なにがどう変じても臨界量を超えたら連鎖反応が起きますよね。神はサイコロを振らないってこーいう。
国を守りたい
――――――――――腰抜けウヨクの世迷いゴトだな。
まず「る」のか「たい」のかハッキリしろ。
いずれにしても無意味だがな。
戦うことに怯えて脅威に備えるという訳だ。
備えてどうする、先に殺れ。
守るなんぞと吹く
・・・・・・・・・・戦争を考えることすら堪えられず。
信用できない。
共存できない。
その先がない。
では戦争だとは誰も言わない。
何れにせよ守れやしないが。
見透かされて殺られるだけ。
では、どうするべきなのか。
テロリストに百人殺されたら、どうする?
現代のファシストは、空爆する。
時には暗殺もするそうだ。
戦争が怖いからな。
どうするべきか?
簡単だ。
着剣させる。
M14を構えさせる。
突撃させる。
戦争をするんだ。
兵士を千人殺されてでも。
より多くの犠牲を払う。
殺した数より殺された数、
殺すより効果的だぞ?
抑止力というのは、敵地に爆弾を落とすことじゃない。
差し引き考慮せずに、実際に殺されて観せることだ。
殺されることを恐れている限り、必ず殺しに来る。
根絶やしにするまではな。
――――――――――強者と弱者の即興劇。
相手を根絶やしにしないのならば、話し合え、
敢えて殺される者同士だけが話し合える。
《異世界転移後国際連合軍事力の実質的指揮官である合衆国大統領の御言葉》
【異世界大陸北東部/帝国辺境領/回復予定領/割譲可能領/作戦周辺領/低要度・高危険度区域/斥候周回範囲/???】
仕立てるのではなく。
貰えないなら
購入する。
服は借りる物じゃない。
普段使わないから無い。
他人と同じで隠せない。
見映えを整えるためには物量と技術が要る。
商いが盛んな街。
商いそのものな港。
商いで集う市場。
そこに必ずあるのは服を扱う店と、専門職。
服屋とは仕立て屋ではない。
専門職も服職人じゃない。
現在風に言えば古着屋というところか。
今着ている服などを買い取る。
身体に合わせられる服を売る。
そう。
合うものを、だ。
・・・・・・・・・・仕立て無いのが基本。
専門職が見立てて一式整えて、見映え佳く、だ。
身体に合わせたら売値が下がる。
サイズ合わせは縫うか留めるか。
それでも減る傷むから最小限界。
つまりはそういうこと。
既成の服を買う。
用事が済むまで着る。
済んだら古着屋へ売る。
服屋というより、古着屋というより、貸着屋か。
――――――――服は天下の周り物――――――――
それで必要にして十分だろう。
化学繊維未発達な人類史の大半。
衣服は今以上に消耗品だった。
現代とて品揃え次第で服は虫に喰われてしまう。
着ようが着まいが劣化していく。
だからこそ資産にはならない。
だからこそ死蔵されず流通する。
無加工な布がしばしば通貨の代わりになる位に。
それは消耗品。
それは必需品。
それは贅沢品。
だから、価値の単位として流通させられる。
貴人が褒美として着ていた羽織やマントを、その場その刻に誉むべき者へ下賜。
これは洋の東西を問わない御褒美の典型、その一つ。
貨幣が浸透していない世界では、布で出来た服の方が扱い易いから、喜ばれた。
金銀などは純度の計りが面倒だ。
無しではとても使えないほど、混ぜ物が普及している。
宝飾品は価値の見定めが困難だ。
値を決めるカッティングや来歴なぞ素人に判るものか。
普段使いの布ならば誰でも判る。
見た目で劣化が判り、手触り一つで品質が読み取れる。
それぐらいに、布が身近な時代。
或いは布の限らず我身に関わる目利きを自ら為す時代。
着て好し。
売って佳し。
そのまま交換すれば尚、良し。
我が身に関わらないことばかりで、関わることすら風聞任せで生き残れた世界ではないのだから。
同じ服に袖を通さない
――――――――――比喩ではない。
虚構でも虚栄でもなく実用性だけの習慣。
特権階級は、そうあることで布の流通を促す。
信用ある貨幣が普及してからは、尚一層。
換金し易い贈答品としての付加価値が着いた。
流通するからこそ価値が維持される意味。
別に異世界には限らない。
――――――――――古着が要る訳。
そんな世界一般では、一張羅が軽蔑される。
いや古今東西、一般的に嗤われるだろうが。
服を仕立てるならば、服の為に部屋が要る。
服に見合うならば最低でも館が必要だろう。
服を手入れする役の使用人の服も仕立てる。
それが出来ねば貧乏を引き立たせるだろう。
一つのランクを上げれば全てが付いてくる。
いや付いて征かねば、その瞬間に終わりだ。
一張羅を持ち歩くだけなら罵倒して貰える。
服を運ぶなら布を運べ、と言われるだろう。
大が付かない商人、例えば行商人が。
・・・・・・・・・・仕立てた服など纏えば?
地球は現代先進国なら、嗤われるが生きられる。
愚行を為す愚者を赦せる豊かさの証。
いや過剰生産を浪費する愚者が必要。
だからこそ無駄も醜さも見逃される。
だが需給バランスが均れている中世。
いや先進国以外では当然排除された。
嗤われるだけでは済まずに、取引を避けられる。
狂気の沙汰こそ金次第。
―――――――誰が破産したがりに関わるモノか。
分を弁える。
身の丈を知る。
身代を守る。
これが重要。
とはいえ非日常の演出が不要にはならない。
身の丈に合わせていたら、何処にも行けない。
常と変わらぬ世界に居るだけで良いなら別。
それで済むなら、それはむしろ職人たちだろう。
日々変わらぬサービスの供給を続ける職人たち。
それは金銭の遣り取りであっても商いではない。
商いの世界は拡大縮小を避けられないモノ。
変わり続けなければ現状維持もママならぬ。
商いは増減する金を乗り熟すことこそが肝。
波が高くても低くても海面に居続けるため。
とりあえず一段は上の相手に合わせて観せる。
視られはしまいが、観せることだけは出来る。
口先を生業にする商人など何処にも居ない。
三文商いの叩き売りなら別だが。
誰がそんなモノに成りたい者か。
言葉とは本来、証明出来ないモノだからだ。
全てを行動で示せると示す。
それをアピールする為には魅せねばならぬ。
此処に出入りは出来る金とセンスはあるよ。
物を調達してアドバイスを受ける人脈もね。
それを貴男貴女貴方たちへアピールしてる。
最低このくらい出来てこそ、初めてスタートライン。
アピールしてるとアピールすること。
アピールしていないとアピールすること。
思いは必ず伝わるモノだ。
どう伝わるかは技巧次第。
それを無視すれば、した方の沽券に関わる。
つまり気付かなければ、愚鈍を晒して侮られる。
舐められたら誰もが従って観せるだけ。
書類や報告だけが整えられ現実と解離。
大きな家や商会ほどに陥り易い夢の中。
気が付くのは思い知らされるのと同時。
先人が繰り返したからこそ必死に避る。
先人とて避けようとしたのではあるが。
だからこそ例え誤解であっても、気付いたフリ。
する方が大変なら、される方も大変なのだ。
それこそ普段使い出来る訳がない、非日常。
いやだからこそ日頃の行いが大切なのだが。
判りやすい日常を観せて置かねば、非日常が光らない。
よって儀礼を示すべき刻に使うのは新しい古着。
もちろん既成品と判ることが多い。
古着屋の商圏、同じ街中なら互いに使い周す品。
パーツごとに視れば誰かが観せた。
着ている服のラインナップから値段まで、知ろうと思えば誰にでも判ること。
だからこそセンスが問われる。
上下。
外内。
小物。
品揃えの豊富さは古着屋の命。
そして顧客に同じ、同じような装いをせない。
同時に在庫の組み合わせも肝心。
値段の上下は示す敬意の濃淡。
着る者の立場を示して遜る。
違う装いで同じメッセージを演出も出来よう。
身の程を知る範囲で、どの階層にアピールしたいのか。
アピールを周りに知らせたいのかどうなのか。
そもそも当人に合っていなければ全てが台無しになる。
どんな服にも合う体型維持は小商人の基本だ。
そんな刻に服を常用していない階層が頼る先は古着屋。
服屋は古着屋でいて仕立て屋ではない、という意味。
ファッション・コーディネーターを兼ねる。
街に出回る周回する服を全て把握しておく。
刻には同業者同士で在庫を融通するために。
着る者こそ気に入らねば魅せられはしない。
もちろん流行を無視しない。
知らないのか。
要らないのか。
他人には判らないのだから。
知ってはいる、と伝える。
それが始まり。
後は外し方。
自分を売りたいのか。
大きく外す。
自分たちを売りたいのか。
小さく外す。
相手を売りたいのか。
敢えて外さず。
敢えてを示す。
現代先進国でさえも、大衆以外は日常的に行っていること。
異世界なら特権階級は専属で役に付ける。
こればかりは代々とはいかない技能職。
小商人は専門商人兼職人に全て、お任せ。
そこでセンスを磨いて御抱えを目指す。
いつの世であれデバッグはエンドユーザーの役割。
・・・・・・・・・・エンド?
異世界では大衆の関与が無い。
必要なコト以外に関心も無い。
関わる余力が無いとも言える。
産み出した余力を全て過剰生産を維持する為だけの過剰消費に費やす世界もあったというのに
――――――――――過去形。
地球先進国は、そろそろ地球人類文明ごと全滅している見込みなので
・・・・・・・・・・詳細は国際連合レポートより。
異世界の服飾は産業化していないので、大衆向けのデザイナーなどは未成立
・・・・・・・・・これから成立するか誰にも解らない。
物理法則とは違う、なんとなく。
生じるも八卦。
続くかも八卦。
これからも八卦。
夫婦とか。
個人とか。
責任やら自由やら。
四五六が十連続キたら異世界にも生じるかもしれない。
合理性が無いこれらは全て、賽の目次第。
スカート丈に一喜一憂する必然とは、位置が違うこと。




