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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十九章「帰郷作戦」

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魔法とはいったい。

【用語】


『科学』

超能力(Fantasy)のことではないので念のため。様々な事象の仕組みに対する仮説の構築選別検証の過程。もちろん自然科学のみではなく、森羅万象すべてが対象。だからクラークはtechnologyってつけて限定したんだろう。でもtechnologyとsciencesはライターと小説家並みに混同されてるから不適切。




「高度に発達した技術は魔法と区別が付かない」


Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic.


はい、嘘です。

技術(technology)」ってところが良心的かな。

すくなくとも超能力(Fantasy)じゃないですね。


解る必要がないtechnology(技術)ならば既に国際連合が導入してるし、判れば済む。


正しくは、

理解(解る)を諦めたところから魔法が始まる」

ですね。


例えば?

そも燃焼の原理を誰が言えます?

――――――――――魔法と何が違うんですか。

でも火の付け方なら知ってるでしょ?

・・・・・・・・・・出来るかどうかは別として。


原理が科学。

方法が技術。

技術だけ知っていれば解らなくても使える、それが魔法。


ああ、()()としての「魔法」ですからね?


異世界の魔法は違います。

一般名詞としての魔法。


つまりは名前、タグの一つ。

リストアップ中の現象。


宇宙二個分の研究素材の中で、新しくて手が届く仮説(科学)の一つ。


はてさて。

魔法と括ってよいのやら。


いずれにせよ

「かつて魔法と呼ばれた」

とは書かれますけどね。


『それ魔法の意味を変えた方が良くないですか』

《地球では特に意味がない単語だしねぇ》

『魔法翻訳経由で、どう誤解されるか心配です』


言葉なんか使い手の都合に合わせりゃいいんです!

どうせ間違いに気付かない奴らは無意味なんだから!

勝手に似非科学ゴッコに浸るのは止めるだけ無駄!




【異世界大陸北東部/帝国辺境領/回復予定領/割譲可能領/作戦周辺領/低要度・高危険度区域/斥候周回範囲/???】


四人の会話。

会って話して双方向。


両替商人VS怪しい彼女、執事、魔法使い。


そう感じていると伝えている。

そう考えていると聴いている。


だから続ける両替商人。


「青龍に聴かれても、()()()()何もされません」


青龍への批判。

青龍の悪口。

青龍への嫌悪。


「青龍は我々(領民)に関心がないですから」


これは領民たちが日々、判らせられること。

――――――――――隠してもいない青龍。


居ても居なくてもいい。

むしろ居ない方がいい。

ならば手間が要らない。


だが居るのだから治めないとならないなぁ。

・・・・・・・・・・なるべく手間をかけずに。


「ただし興味は持たれています」


青龍には土地も人々も無意味。


帝国を滅ぼす役にも立たない。

帝国の代わりに支配する意味がない。

帝国を滅ぼす()など必要ない。


だからこそ純粋な好奇心。


聴かれ。

読まれ。

知られている。


それが危険。

――――――――――青龍以外にとって。


興味本位で知られたことが、関心を惹く、ではなく曳くことはあるだろう。


青龍へ、なんて無謀な話は聴いたことはないが、青龍と近しい者への悪意。


自分たちへ、ならともかく、そんなところまで笑って見守ったりはしない。


具体的な行動より以前に、意志の一つで街ごと消されかね無い、とわかる。


実際に街中で黒旗団、青龍の女将軍の家臣団に連行された者は少なくない。


そして連行された者は、青龍への敵意を抱いていた者たちばかり、なのだ。


何の変哲もなく帰って来た者たちも多いが、何も無かったと誰も思わない。


怪しい彼女は両替商人の言葉を聴くから聞く気にした。

今の話は彼女が知っている事実と符号するからだ。


ならば騙す敵意も誤認する無能でも無いかもしれない。

もちろん此処に居る誰もが知らないことはあるが。


顔認識システムが識別しているのは魔法使いの赤い瞳だけではないことなど。


瞳を含む表情や姿勢、動作一般から隔意を割り出すことは、とても容易い。


ハードウェアだけを挙げられたとしても信頼性が高い古い技術のパレードだ。


それを生かすソフトウェアは、もっと古い技能をハードウェアに合わせた技。


異世界に始めて導入された秘密警察の公然たる手法、先ず大成功を続けてる。


行使すべき警察権すら無い世界で正義にのみ生きている、国家戦略予備軍の下士官の薫陶。


これ観よがしに闊歩する黒旗団。

エルフ、ドワーフ、獣人、人獣、ASEAN諸国兵が装備したカメラにマイクにIFF。


飛び交う偵察ユニットや哨戒気球。

それを敢えて見上げなければ、それを知っているのか察していると宣言していることだ。


隠し果せるからこそ悪目立ちしてしまう。

知っている者ほど知らないことが命とり。


常に視られている。

水や酒や鏡だけではない。

誰かに観られていれば瞳に映る。


散乱した光に補正を掛ければ死角は無いに同じ。

屋内に閉じ籠るより、光を避けねば意味がない。

そんなことをすれば生きていけない留められる。


科学の無限を敢えて制約する者を置かなかった、異世界の地球。


他にも自白剤があるのに拷問の手順をレクチャーしてるとか。

・・・・・・・・・・そんな概念を、誰も知らない。


だから、か。

知る必要が無い。

隠しようが無い。

全て知られている。

それが前提、港街ルール。


「二つ」


一つ目のルールはある意味で簡単だろう。

言おうが言うまいが知られてしまう。

それで何かが起きるなら諦める。


あるいはこちらの方が面倒かもしれない。

むしろ知られることを言わない理由。

知らない者たちに知らせない為。


ご領主様(青龍の貴族)について、何も言わない」


それは()()()()()()とは違うらしい。

青龍の貴族は太守領が領主。


怪しい彼女には解り易い話ではある。

赤龍でも、良くあることだ。


帝国と帝国貴族はもちろん帝国騎士。

一体と思う方が、おかしい。


ましてや兎角(とかく)ウワサに絶えない青龍の貴族。


曰く、幼女性愛。

――――――――――異世界では変わった嗜好扱い。

曰く、性豪。

・・・・・・・・・・異世界でも自慢にはなる。

曰く、異種喰い。

――――――――――その種族次第では正に大問題。


つまりはColorful、ハーフエルフ。

帝国基準で忌避されるエルフとは違う。

むしろエルフを内心から嫌う向きは少ない。


だがハーフエルフは、帝国以前から異世界一般で忌避されている。

※第89話〈差別の起源/Half-Elves Discrimination〉より。


それを隠そうと思い付きもせず。

毎日かかさず魅せ衒らかし(みせびらかし)て同行。

全邦から集まった皆の前で寵愛する。

※第136話〈公開処刑/Nano Second.〉より。


だからどうした?

・・・・・・・・・・怪しい彼女は不思議顔。

もちろん敢えて、して魅せた。


それを視た両替商人。


怪しい彼女の疑問が判る。

普通の貴族ならばスキャンダル。

統治するのに、差し障る。

だから隠すなりなんなりするが。


青龍の貴族は強者。

なら、好きに出来るだろう。

そして好きにする。

何か問題があるのだろうか。


なるほど支配する側だ。


()()()()は表情に出易いんですよ」


貴女はどうだか知らないが、と両替商人。

・・・・・・・・・・話題を替えれば疑われる。


()()()()()()とは態度や表情も含みます」


ボディランゲージ禁止。

日常的な動作は、考える前に出る。

それが命に関わった後。

※第53話〈地球の流儀〉より。


ご領主様(青龍の貴族)を忖度する者たちは幾らでもいます」


むしろ、此処が重要。

生きる為の必須条件。

皆に疑われないこと。


青龍の貴族、その女を嗤えば殺される。

――――――――――当たり前で疑う余地がない。


肝心なのは、青龍の貴族が命じなかった、こと。

・・・・・・・・・・それは前例となり定着した。


皆が考えてる。


ご領主様なら、どうする?

命じられる前に、こうする。


止めておくだけでなく動く。

殺される前に、奔りまわる。


ほとんどは問題が無いこと。

港や邦が必要とすることだ。


それこそ、人手不足な農村部へ、十万人の領民を帰邦させるように。


皆の中で思う。


ご領主様なら、こうする。

命じられてからじゃ遅い。


逆鱗に触れる前に、殺す。

不快になることを、防ぐ(殺す)


ほとんど問題が無いことだ。

実際に放置すれば街の危機。


それでも、それを断じて殺して廻るのが、港街では愚連隊なのだから。


もちろん、異世界一般に、警察はない。


法の執行機関はある。

皇帝。

貴族。

騎士。

組合。

衛兵。

だがそれは自力救済。


調停。

鎮圧。

処罰。


まあ、近代国家が場所を移す前、ということ。

――――――――――だから、それは普通で当たり前。


そんな彼らの行動は決まっている。

自前の武力で自分の都合に基づく。

互いに力関係と前例で片を付ける。


怪しい彼女たちを連行した集団。

元々、あるいは今も、愚連隊。

盗賊ギルドの下っ端たちだ。


それが青龍ではなく、青龍の貴族、その意志を忖度して奔りまわる。


盗賊ギルドの頭目が、青龍の貴族が臣下ゆえ。

担いでいる童女幼女は青龍の眷族(フレンズ)であるゆえ。

明日も知らぬ者らが青龍の貴族に入れ込んだ。


彼らは新たな強制力として動いている。


青龍の眷族たちの氏族が内紛に介入したり。

港にやって来た怪しい彼女を連行したり。

青龍の貴族が気に入らぬ者を殺したり。


「三つ」


誤解や弾みで起こる殺人が、あの辺りで一番多く起き続けている。


「だから彼らとは関わらぬ様にしてください」


そんな彼らを率いる童女に招待された怪しい彼女たちには選択肢というか明日があるのだろうか。


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