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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十九章「帰郷作戦」

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戦争の安全基準。

【用語】


『安全』

:危険が許容範囲に留まること。すなわちリスクに転じ得ないコストであれば安全の範囲に収まる。撃つのはコスト。撃ち合うのはリスク。撃たれるならば、それ以前。撃って良いのは撃たれぬ工夫をした者だけです。殺し合うのではなく殺すのが在るべき役割と理解しましょう。




同胞は、自ら死なせる者。

朋友は、この手で殺す者。

()は、どうあれ滅ぼす物。


風は昼、海から陸へ。

夜は、陸から海へ。

流れる向きは決まってる。


比重が重い気体は高みから低みへ。

丘陵の上から地を這うように河へ。

丘陵の上から街に満ちながら海へ。

比重が等しい気体は圧されるまま。


塩素ガスは呼吸器と粘膜を灼く。

催涙ガスは河中と海中へと導く。

一酸化炭素は揺蕩い満ちて着火。


開閉は遠隔操作で行われ。

起動は自動判断で行われ。

責任は指揮権限に由来する。


《国際連合関連施設設置基準の一般例》




【異世界大陸北東部/帝国辺境領/回復予定領/割譲可能領/作戦周辺領/低要度・高危険度区域/斥候周回範囲/???】


国際連合軍兵士には任務に合わせて装備が貸与される。


基本。

管制通信機能付きプロテクター。

自衛隊以外は野戦服を含め在日米軍装備を利用。


異世界転移時に自前の陸戦装備を持っていた国は少ない。

せいぜいロシア共和国(北方領土守備隊)大韓民国(竹島守備隊)くらいだ。

とはいえ全兵力と予備には足りないので装備は更新済み。


小火器はM14小銃。

あるいはM240機関銃。

治安維持(ハリボテ飾り)は想定されていない。

7.62×51mm以下の弾薬は想定外。


安い軽い殺せないを追求した5.56×45mm。

安い軽い味方の命を追求した7.62×41mm。


即成練習でコスプレさせた貧乏人を砂漠に棄てる為。

戦争ゴッコで土木作業をさせて予算を消化する為。


そういった目的の為だけに造られた既存兵器(モデルガン)を廃棄して、数十万丁の殺人装備を用意するとなれば他に無かった予定通り。

・・・・・・・・・・まあ、第三次世界大戦の計画には、装備の更新(最新装備破棄)も含まれていたんですけどね。


人殺しだけを想定した装備は、異世界転移後も有効だった。

7.62×51mm弾の連射なら大動物にもそれなりに効く。

近代戦を想定した装備に対装甲や陣地破壊兵器も多かった。


対巨獣、対ゴーレムといった装甲型標的の頻出。

都市区画破砕による掃討作戦が無くなった。


それにより破片攻撃型の手榴弾は予備装備へ。

携帯ロケット弾や指向性爆薬が日常装備になる。


魔法使いが事前に書いた魔法陣からゴーレム召喚。

遭遇した普通科自衛官がM72LAWを発射。

観える範囲に居るハズの魔法使いを探しに走る。

――――――――――戦場では良くある。


M72LAWが多様されるのは、在庫の多さだけではなく取り回しの良さが評価されてのこと。


歩兵兵器は一人で使えなければ全く意味がない。

それで倒せない標的なら対物ミサイルで片付ける。

飛ばない土竜や10m以内のゴーレムなら十分。


大質量で飛来する竜を直接照準で殺したら、誰が何処が下敷きになるか判らない。

・・・・・・・・・・よほどの素人だって殺らない。


在日米軍のドラゴンハント・マニュアルでは有線誘導のドラゴン対戦車ミサイルを紹介しています。


その為に第三次世界大戦計画に合わせて、最新グッズのロケット弾兵器は普通に廃棄された。


そうして造られた、というか流用された異世界侵略セット。


これら最新装備(プロテクター)ベトナム戦争(M14)ハイブリッド(第三次世界大戦装備)

巧く機能してはいるが、想定している使用者は地球人類。


異世界種族の参戦に対する適正装備は何か?

――――――――――実験中である。


それが目の前、怪しい彼女たちの。

国際連合軍独立教導旅団/黒旗団の作戦。


捕虜奪還や攻撃偵察等々は休業中。

休暇配置でもあるが自然休戦状態だから。


その間、別に遊んでいてもいい。

そう言われている。

だが、遊んでなければいけない。

そうは言われてない。


だからマメシバが太守領軍政司令部内の現地協力者の恋愛(性愛)指導をしていても構わない。

マメシバは国際連合軍独立教導旅団/黒旗団の旅団長副官。


だから旅団長以下旅団員一同大半が数千Km彼方に遠征していても構わない。

ボランティア(義勇兵)活動なのだから本業と余り変わらないのだが。


だからと言うわけではないが、外出していない旅団員を含めて任務中。

様々な化学薬品や機器装具を実践使用して実戦に備える。


試せば解るが確かめ判る

――――――――異世界種族に相応しい装備は何か?


撃つ癖を付ける為に、現地の鈍器や刃物に暗器は没収。

まあ、駐屯地の中ではね。


喧嘩は銃床か銃剣か拳で殺りましょう。


意外にも味方を撃つ奴は出ていない。

暴発で死ぬことはあるのに殺さない。


もちろん地球人類を含めて安全装置は使っていません。

敵を撃てないくらいなら自分を撃った方がマシ。

合衆国大統領閣下の御言葉でした。


だから異世界種族への装備品講習でも、安全装置をかけると使えなくなるから注意、と教えて不思議がられる。


何でそんな仕掛を付けた?

・・・・・・・・・・素人を無理矢理戦場に連れ出さないとならない時代があったんですよ、とは言いたくない。


実際のところ、暴発事故なんて大して起きない。

それで死ぬ奴も滅多にいない。

もちろん戦闘不能になったりもしない。

戦争を前提とすれば考慮に値する問題じゃない。


戦場まで殺さず死なぬ様に仕掛けを造ったんだから、それを外していた奴が悪い。

――――――――――責任逃れ(言い訳)


その辺りに興味が無いのは、異世界種族と国際連合軍。

現地協力者と密着生活の国際連合統治軍とは違います。


黒旗団は実銃を装備中。

フル装填初弾発射済み。

離さず、握るか背負う。


銃と弾薬を戦場パトロール中に置き忘れてくるような、イラクの米軍永久低所得層勧誘兵とは違う。


5.56×45mm弾しか使えないのに命中精度を低め威力を落とし壊れやすいから白兵戦を禁止され動作不良を向上させてコストを下げた安物の見本のような米軍兵士の大半が持たされてるけど殺されるのではなく殺すことを想定している部署部隊には与えられないM4カービンなので誰にも拾われませんでした。


だからといって、だからこそ、異世界種族の装備はM14一辺倒ではない。


エルフはSR-25を良く使う。

排莢再装填機構の関係でブレるセミオート。

なのにエルフが撃つと異常に集弾性が高まる。

地球人類には何がなんだか判らないのだが。

弓で矢を放つのと同じように感じるのだとか。


異世界でも長弓を狙撃に使うのはエルフくらい。

異世界人の大半は大量発射面制圧として使う。

帝国くらいしかコストに耐えられないのだが。

エルフの環境把握能力があればこそなのだろう。


・・・・・・・・・・その辺りを知っている軍政司令官はそれを報告していない。


なおプロテクターは使わない。

耳や顔はもちろん、全身を覆うこと。

それが嫌なのだそうな。


それを言えば革鎧だって覆っているが。

地球人類のプロテクターはレベルが違う様子。

つまりは防御力の高さがエルフの感覚を遮断する。

・・・・・・・・・・そういうことらしい。


実際、火器管制が必要無いエルフ。

通信機さえ付ければ作戦行動に支障が無い。


赤外線から呼吸まで隠蔽するステルス・スーツでもなければ、装備させなくていい、と考えられいる。


後は防毒マスク。

呼吸器と顔面粘膜を守る程度の簡易版。


ドワーフはM134(ミニガン)が御気に入り。

地球人類ではカリフォルニア州知事(シュワルツェネッガー)にしか出来ない手撃ち腰溜めフルオートが大好き。

重量は本体だけで20Kgオーバー。


Mk19フルオートグレネードのベルト給弾残弾無しまで手撃ちも大好きだそうです。

重量は弾抜きで30Kgオーバー。


ジャベリンのような20Kgオーバーの二人以上でないと使い物ならない対戦車ミサイルも一人で振り回せます。

演習すら出来ないくらいにコストパフォーマンスを無視した兵器なので戦争を前提とする限り使い物にならないが。


そんな重量兵器を抱えながら斧を手放さず、大火力を実現したからこそのドワーフ。

ミニ戦車と呼ばれるのは大きくも寸詰まりな胴体にプロテクター無しでゴツい肌のせいだけではない。


ギリギリ人型なドワーフに合うプロテクターは無い。

エルフとは別の意味でプロテクターの装備が不可能。

なのでプロテクターの素材を元々の鎧の増加装甲化。


防毒面はゴム伸縮可能な物を支給。

すぐに被れるように首から下げる。

この辺りはエルフと余り変わらない。


獣人もプロテクター無しは同じ。

人型の獣と言うべき外見。

人類よりやや大きい。


ドワーフと違って、形より大きさの問題。


二足歩行も出来る。

手指で掴める操作出来る。

だが特徴は怪力。

そして牙と爪。

どうしろと。


ドワーフ並みに器用な訳が無かった。


そんな獣人に渡された兵器は煙幕と吸着爆弾。

接近戦最強なので細々とした火器は必要ない。

人間サイズは牙爪で以上や装甲は指向性爆薬。

距離を取られても見えねば問題にはならない。


防毒マスクは、ほぼ被り物。

頭部というより首からから上を保護。

耳元にはジッパーがあり、後から牽き出せる。


異世界種族全体が対NBCに()()向かない。

よってNBC戦闘時は事前にシェルター(隔離防御装置)に入れる。

陣地であったり車両や機体に艦船など。


まあ低致死性(催涙ガス)や呼吸器系ガスならば、異世界種族との共同作業にも問題はないが。


そしてそして

・・・・・・・・・・奴隷市場の中の光景。


SR-25をバラして組むエルフ。

M134の部品一つ一つを虫干しするドワーフ。

吸着爆弾を布団にして寝る獣人(ワーウルフ)

耐Gスーツに身を固め箒に跨がる魔女は急上昇。


M14を抱えて走る人間が金髪ならば、さて青龍に在らざるものなのか。

――――――――――黒髪以外の青龍がいる、と一部に知られている。


更に大勢。

あからさまに青龍ではない金髪碧眼の連中。

これは青龍ではない、そう誰にでも判る。


構える槍は帝国規格。

青龍による占領時に略奪されたのだろう。


男が多いが女もいる。

身に纏う布はマチマチ、典型的な領民。


逞しいが肌艶は劣る。

体格が良いのは鍛練よりも素質に因ろう。


殴り殴られ慣れてる。

知性に欠けるから迷いがまったく無い。


近付いて離れて行く馬車と騎馬の隊列を観ようともしない。


怪しい彼女は思う。

港から着いて来ている愚連隊と同じ連中。

全員が青い布を首に巻いている。

以前は奴隷市場として名高い場所だけに。

まったく違う様子は一目で解る。

竜殺し抱えた青龍や、その配下の黒旗団。

此処は青龍の拠点となっている。


少ない青龍。

大勢の領民。


―――――――なにを観せたいのかな?―――――――



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