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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十九章「帰郷作戦」

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867/1003

木を森に隠すと行方不明。

【用語】


『スノッブ』

:珍獣。成金。半可通。ラノベ主人公。小金を拾った貧乏人が必ずこなす罰ゲーム。金以外の統一感が無いファッションを身に纏い学校(訓練所)の成績やIQの数をひけらかし鹿鳴館まんまの謎館に済み風俗ファッション(メイド服/執事服)を生き人形に着せて何故か携帯を買い換える為に携帯ショップに行くシーンを観たときは吹き出しました……いや、ギャグだけど、ギャグだけど、目が真剣だった。金持ちを知らないというより世間を知らないんだろうな……これがスノッブの特徴。



()()()()している/していない。

()()()していた/していない。

()()()している/していない。


それは大切なのだろう。

貴方にとって。

それが関係あるのかな。

私にとって。




【異世界大陸北東部/帝国辺境領/回復予定領/割譲可能領/作戦周辺領/低要度・高危険度区域/斥候周回範囲/???】


怪しい彼女が怪しい理由。

まあ、怪しい船(スクーナー)に乗ってたら怪しいよね。


だが、それなら彼女だけでない。

乗客たちは皆が怪しい。


いや、怪しくないとは言わない。


港の警備役(ガレー船)の観察の眼。

実際、乗客も港から警戒される。


それだけなら森の木だ。

それだけじゃないから厄介ごと。


警戒する側の頭痛の種。

彼女は一人で悪目立ちしている。


怪しい船(スクーナー)港の警備役(ガレー船)が一触即発の最中に一人カンパイ甲板で、ってだけじゃなく。


観れば判るほど一見、怪しい。


「ボクいい女だから♪︎」

確かに間違いないだろう。


顔と肢体が良ければ何を纏っても目立つもの。

着ぐるみを付けていてさえ輝くのが常だ。


身の捌きを視れば肢体の重心は看取れる。

そこから肢体の締まり具合を確認出来る。


肥満でなくとも弛んだ肢体はブレるもの。

皮下脂肪の締まりは健康で健康とは魅力の証。


周囲の物体との距離感を測れば、隠されても肢体のライン浮かぶ。

重心の位置から肢体の支点を割り出せばBWHのサイズも計れる。


そこに顔が覗けば全身の肌の美醜までわかる。

肌の色艶だけで匂いも感触も反応も何もかも。


・・・・・・・・・・などなど太守領の新領主は語ったと言う。


領民たちは青龍の魔法の恐ろしさを知る。

だが怪しい彼女は魔法で視ずとも美しい。


それを敢えて隠そうともしていなかった。

そういう意味で先ず眼を惹いたのは確か。


船乗りは基本的に男ばかり。

女子どもを置いておく余地など無い。


ガレー船の櫂はもちろん、帆の操作も人力。

船員は全員動力と見なされる。


これは機械化が進んでも変わらない。

二千馬力のエンジンは人力を組み込まないと機能しない。

機械が人力に頼らなくなったのは、二十世紀末だろうか。


そういう意味で船乗りは、女という性に無条件に弱い。

だが、怪しい彼女が魅了しているのは意味が違う。


惹かれたのは何日も何週間も禁欲せざるを得ない船乗りに非ず。

というか、そんな船乗り一般は港から出払っており誰もいない。


怪しさと妖しさに眼を奪われたのは、日帰り港内回航を常とする船乗りの例外、ガレー船の船員。


男女比が五分五分(自然状態)な港街に住まう彼ら。

性道徳(不自然)が無い異世界に欲求不満は無い。

極一部例外(ブサイク)以外の自然状態(欲求充足)による判定。


十人が十人、眼を惹かれて眼で追ってる。

怪しむより先に女に惹かれる男の眼。

男の眼、そのまま警備役のそれを兼ねる。


人混み、でこそ悪目立ち。

独りで立つより対比で目立つ。

彼女はそういう類いの目立ち方。


怪しい船(スクーナー)から怪しい乗客へジョブチェンジさせられた、出来た事情。


港の警備役(ガレー船の船長)の方針継続。

それによる乗客上陸許可。


わざわざ通りすがりの怪しい船(スクーナー)の調査航海に便乗してまで太守領に海路やって来た方々。


南の方から参りました、お客様。

異世界人類圏北端の太守領。

稀人(客人)は必ず南から来る。

つまりは何者とも言えない。

とはいえそれは乗客全員のこと。


まあ帝国の密偵なら元々太守領に残置されているだろう。

追加が配置されるなら竜か魔法で空から来そうなものだ。

産業の中心たる農業地帯の港だけに外来者は珍しくない。


怪しい船(スクーナー)VS港の警備役(ガレー船)

その探り合いは、まだ続いている。


だが、それはそれ。

これはこれ。

それはこれでもある。


怪しい船(スクーナー)の乗員は上陸待ち。


指揮系統が明確で戦闘経験豊富。

そんな連中は慎重に対処。


いや、上陸させないとは言ってないが。

むしろ、その方が諍いの元になるし。


海の男と言っても陸が在ってこそ嘯ける。

海陸で戦闘になる切欠の代表例が上陸禁止。


大きな船でも閉鎖空間。


日中は帆走。

常に船を動かす。

夜間は停泊。

寝る以外不可能。


照明未発達の世界の非夜行性動物。

日中しか生きられないのは海陸共通。

船だって明るい昼間だけ航行する。


外洋沿いではあっても、沿岸沿いの航路が主要な航路。


眼で視て舵取り出来なけりゃ、すぐに座礁する。

だから海中が視えない夜間や悪天候時は停船。

夜間や天候不順時に停泊する入江は港じゃない。


単に利用出来る自然地形。

多くが無人で水もない。


居ても在っても極小規模。

商業交易の価値はない。


取引しようがない入江に昼間一日潰して上陸したりしない。


天候不順なら回復即出航。

夜間なら日の出即出航。


船乗りは見張り以外、船の中。


忙しく立ち働くか。

閉じ込められるか。

どちらかしかない。


そんな船乗りが港に入れば上陸を求めるのは命がけ。


上陸制限が船の刑罰に当たるくらいだ。

その辺りは港も判っている。

プレッシャーを与えて探っているだけ。


怪しい船(スクーナー)に良からぬ企みがあれば、効く。


船長や士官が首謀者ならば、船乗りには心中する義理はない。

上陸出来ない苦痛に耐えかねた船乗りが吐くかもしれない。

そうでなくとも船の乗員に分裂圧力をしかけられるだろう。


・・・・・・・・・・・圧力が弾ければ爆縮一体化暴走、しかねないが。


港側も、そこまでやるつもりは、無い。


金は噛ってみろ。

剣は叩いてみろ。

人は殴ってみろ。

その延長線上にあることだ。


噛り叩き殴って()()手順。


港の警備役(ガレー船の船員)たちも怪しい船乗り(スクーナーの船員)へ接触している。

プレッシャーの効き具合を見極めつつ、船外の空気(情報)を入れて圧力調整。


何かあっても言い訳できる程度にジラしたら、終わり。

だからそれもガス抜きなのだろう。


怪しい船(スクーナー)の乗員は船内留め。

怪しい船(スクーナー)の乗客は上陸開始。


仮に怪しいならば乗客と称する一群を分かれさせれば扱い易い。

何しろ港側との人数船数差は圧倒的。

ならば分散されても対応は可能。

まとまられたら寧ろ厄介だ。


仮に怪しく無ければ、同乗者の上陸開始で順次上陸の印象操作。

元々その方向で進めている。

可能性や恩恵は小出しに徐々に。

順番に与えることで序列を仕込む。


そんな駆け引き。

その真っ最中。

それの一部。


艀舟に移乗した怪しい彼女。


現代先進国以外の港で、揚陸船でない船から陸へ向かう。

揚陸用の専用機材とはガントリークレーンではない。


無数の。

用途別の。

専門職人付の。


艀舟。


怪しい船(スクーナー)の乗客用に港の警備役(ガレー船の船長)が手配した。


船客用の頗る(すごぶる)上品な舟。

貨客、荷物扱いの客ではない。

だから貨物用の艀舟は使わない。

乗客扱いとして運ばれて行く。


船荷とは別扱いなので舟賃が掛かる。

艀舟に乗る前に払うのだが、どうか。


本当に船客ならば当たり前に支払う。

船客を装っているならば戸惑うかも。


ガレー船の船乗りたちが視ている

――――――――慣れない船客が海に落ちたら大変だ、とばかりに。


怪しい彼女は躊躇わない。

使用人に舟賃を支払わせる。

自分は艀乗りに心付けを弾む。


まるで金はオマケの様に。


礼を受け流す。

喜びを示して。

感謝を示して。

物腰ひとつで。


感謝を受け入れて魅せた。


()()()と伝わる様に自分の使用人は使わない。

役を与える態で顎ではなく態度で人を使う。

手荷物ひとつまで船乗りに運ばせる徹底ぶり。


金ではないモノを与えてあげている

――――――――――役を与えてあげる者、の態度。


その最中も軽く手を摂らせて()()()が、形だけだ。

それを隠さないのも、()()()を観せて与えるため。

船上舟上で危なげないのは、バランス感覚の故か。


船にも舟にも慣れている?


いや、眼の輝きが違う。

初めて眼にした物に浮かれている。

いや、肢体全体で表現。

都会に出て来た田舎者そのまんま。


人の使い方は旅慣れよりも富貴さ慣れ。


与えることが当たり前。

累代を重ねた特権階級に特有の仕草。


怪しい船(スクーナー)の船上甲板で一人ワインを空けていた時も、ワインを開けたのは使用人。


飲む主人。

注ぐ執事。

だから一人で飲んでいた。


いわゆる、傘を()()()()方、だ。


傘は使用人に支えさせるモノ。

扉から馬車まで周りを囲わせる。

本人を含め誰もがそれを疑わない。


稀に成り上がりが日傘をさして恥を晒す。


肌を労るべき階級ならば、日傘は使用人がさす。

自ら日傘をささねばならぬ身分が肌を気にする?

その肌にいったい誰が価値を見いだせるのかな?

市井の民や貧民から観ても嗤える見世物なのだ。


・・・・・・・・・・それでもやる奴(スノッブ)は居るのだけれど。


特権階級には成り上がりが珍獣に観える。

だから嗤えずに不思議がるだけなのだが。


そんな特権階級の幼女童女の感触、いや感覚が24時間続く日本人将校は「貧乏人が描く金持ちって成金(スノッブ)なんだよなぁ」と嘆いたが。


目に入る範囲に無いから描けない、などと言ったら観たことも観ることも無い天国極楽を描けた創作家なんか山ほど居るから、無駄な足掻き。


想像力って言うより思考力の問題でしかない。


ならばこそ、怪しい彼女の振る舞いは、経験由来か判断由来か。


そもそも不定期独航船(怪しい船)の乗客。

特権階級ならば船団を組んだ定期船に乗る。

定期船が無い昨今ではあるが。


ならば結果未確定の調査船団には乗るまい。

ましてや行き当たりばったりの調査船など。


生きていることに莫大な価値がある階級。

此処は生きてるだけじゃそれだけの世界。


特権階級に相応しい立場ではない。

なら何故?

居るのか?

装うのか?

何れであっても、ただただ怪しい。


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