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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十九章「帰郷作戦」

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865/1003

信じられるということ。

【用語】


『信用創造』

通貨(信用)を保持したまま貸し出すことで供給量(信用)を増加させること。貸し借りが続く限りに置いて通貨流通量は増加させることが出来る。貸し借りの発生は資金需要に依るので実態経済に連動させやすい。但し日本銀行等々中央銀行は「通貨(信用)の量を操作すれば通貨(信用)需給を操作できる」と勘違いしているので、実態経済と解離した公定歩合操作を行って経済の脚を引っ張る。供給を増やしたから需要が増える訳がない。値段を下げたからといって消費が無限に増えないように。行き場の無い資金は大抵金融商品に向かい株価が上がると株自体を資産として溜め込んで資金として流通しない自家中毒。値段を下げても胃袋は有限なんだよ!誰か価格弾力性って概念から日銀の馬鹿に教えてあげたらまた理論値を現実にあてはめようとするんでしょうね馬鹿だから。じゃあどうすれば良いのかといえば需要そのものである国家予算を垂れ流さないと経済はこの通り破綻しましたが財務官僚は宗教的理由で財政赤字(信用創造)を許容出来ないから破綻するわな。無理やり口に捩じ込まないと食べてくれないんだな。

……そも必要の無い生産(供給)を続ける為に破壊的消費(需要)を捏造するシステムを前提にすればなにもかも成りたちゃしませんが。

誰かケインズ先生に「経済ってなんで必要なの?」って訊いてあげて。



武力を持つならば信用されない。

いつでも踏み倒せるからだ。

武力を持たないから信用される。

裏切る為の力が無いからだ。


()()()()()か、じゃない。

()()()()()()()か、だよ。




【異世界大陸北東部/帝国辺境領/回復予定領/割譲可能領/作戦周辺領/低要度・高危険度領/斥候周回処/???】


地球ではイタリア発祥。

というよりはローマ帝国は地中海経済圏の生まれ。


船主は皆が大商会から始めるもの。

一人や個人に意味など無い。

だからこそ集団から出る者がいる。


出たのか出されたのか。


商会が潰れる。

商会が分裂。

良くあること。


債務超過になる前に整理。

泥試合を避けて協議分割。


むしろ取り付け騒ぎや占有合戦になる方が可笑しい。

そんな良くあるケースで規模の利益を失った場合。


廃業売却。

移転移籍。

多くの商人は、そんな馬鹿をやりはしない。


売りたい刻は買い叩かれる。

買いたい刻に売る目がある。

そんな需要が在れば供給を造るのが商いだ。


それが商業組合(コンメンダ)


経済法則と物理法則。

魔法以外は多世界共通。

異世界にもある商業組合(コンメンダ)


ある程度の歴史があれば商都と言える規模には届かずとも、商街なら、必ずギルドとは別にコンメンダがある。


これは交易路共通で陸路海路は問わない。


ギルドは職能組合。

ある意味で公的な団体。

どの町街市都市であれ無ければ困る。


コンメンダは利益団体。

あくまでも私的組織。

街以上でないと生まれる余裕が無い。


豊かさの証。

無駄な余り物。


便利ではあるが必須ではなく、捨てるには惜しいが必死には守られない。


現在で言えば合資会社に近い形。

その原型というところか。


この場合、手段を持つが自営する規模を持たない者が、手段を資本として出資して造る組織。


海運であれば手段とは船、船員、海路や販路への伝手。


やむを得ずか。

敢えてか。


行き場が無くなり緊急避難で所定の利益を上げつつ有利な身の振り方を考える。

逆に大商会がリスク分散や会計処理の都合で持ち船をコンメンダに加入させる。


様々な使い方が出来る為に、良くあることだ。


太守領港街にも幾らでもある。

様々な使い方が出来る為に、怪しいのだが。


その海賊ではないと宣伝する怪しい船(スクーナー)

それが組合に所属していると。

それには、とても大きな意味がある。


無限倍の価値が在ると言えば解りやすい。

・・・・・・・・・・ゼロに何を乗じても、ということ。


名も知れぬ遥か南の商業組合(コンメンダ)

その手形には裏書きが付いている。

大陸沿岸部一帯の商港の商会。

その幾つかは太守領港街にも判る。


それが怪しい船(スクーナー)が持つ手形。


世界中から富強を集めた世界帝国よりも信用できる。

なにがしかの損害が生じた場合に請求できる先がある。


それは遥か南の彼方。

今も、かつても。

在るか在ったか。

無いか無くなったか。


そんな、観たことも聴いたこともない組合とのの話では、もちろんない。

見ず知らずの怪しい船(スクーナー)から債務が生じれば見知った相手から回収する。


いや、出来る、手形があれば。


裏書きをした商会や組合は知られてる。

昨今、世界帝国が転覆しているし。


様々な商家商会組合が破綻しているが。

近くの情勢は聴こえてきているし。


太守領港街では青龍の耳も宛にできる。

青龍との商談に便乗できているし。


連行されて港々に派遣された有力者ら。

行き先の港街が在るからこそだし。


交渉に行かされたのだから相手がいる。

今も在る可能性は低くないないし。


裏書きをした商会や組合に請求出来る。

昨今の混乱で消えていれば尚よし。


請求するために信書を出す必要もない。

相手の債権がこの港街にもあるし。


無ければ債権を持つ債務者の債権でも。

どうせ請求する時にしてる水増し。


法人個人を介した手数料分割引で上等。

怪しい債券を紛れ混ませられるし。


債務の取り立てる為に交渉すら不要だ。

裏書き主の債権など手元にあるし。


誰も損をしない、誰にも損をさせない。

誰もが儲かるかもしれない。

誰とは身内のことだけだけではあるが。


太守領港街。

大陸沿岸部一帯に取引がある穀倉地帯、その窓口。

取引がある全ての地域から決済用の証券が集まる。


それらは邦で一番歴史がある五大家最古参、最近は新しい支配者に愛娘を差し出しその愛娘が日々夜々最高権力者の寵愛を受けているという、大両替商の傘下氏族のどれかが管理している。


日銭以上を扱う商家は皆、口座を持つ。

現金は手元に残して証券は口座に入れる。


額面以上の値上がりが期待出来る債権なら預け任せ。

手数料はかかるが、経費の内。

値下がりが懸念されるならば額面以下でも預金換え。

手数料で減るのだが、損金扱。

値動きの少ない優良証券であるなら預託し運用する。

手数料を差し引いて利息付き。


怪しい船(スクーナー)


商船は移動する商家だ。

だから行き来する港に口座を開く。

或いは懇意な商家の口座を借りる。


借りられる相手がいたら怪しまれない。


母港が遠くて連絡も困難。

太守領港街に常駐出来ない。


商用口座の管理は難しかろう。

ならば当座を開けばこと足りる。


持ち込んだ手形は、当座に預け任せか預金換えにする。

停泊中の決済、補給補充売買現金化も、それで済む。


もちろん損壊賠償も、だ。


港が、港の警備役(ガレー船の船長)の雇主が怪しい船(スクーナー)から損害を被った、とする。


その補償は怪しい船(スクーナー)の手形で受けられる。

その手形をすぐに現金化したいなら手数料が必要。

そのまま証券として端数以外を受けとるのが普通だろう。


港と怪しい船(スクーナー)のやり取りは、それで御仕舞い。

裏書き先に債務債権を持つ地元の商会組合は幾らでもある。


証券はそこら経由で使える。

そこに債券化した損害を売ればいい。

せいぜい色を付けて倍増し。

富裕な港は高いタイミングで使える。


買い取った側は手持ちの裏書き先債務債権で相殺決算。

現金は動かず帳簿上それでなにもかも終わり。


後は交易(本業)正常化のついでに優良債券で回収すれば済む。

決算は済んでいるのだから、利息分は丸儲け。


一倍でも利益は出るのだから、代理業が幾らでも買う。

書類上のやり取りだけでリスクもコスト最小。


だからといって敢えてトラブルを起こさせたりはしないが。


目先の小金を拾うより、商う方が利益が大きいからだ。


十円投じて百円儲けた

――――――――――それは繰り返せない。

人が集まり金が逃げ出し市場規模が小さいからだ。


百万円投じて百万一万円稼いだ。

――――――――――何度でも繰り返せる。

金が集まり人は限られて市場規模が大きいからだ。


大切なのは利幅(利益率)じゃない。

必要とするのは利益なのだから。

――――――――――それが金持ちの考え方。


中世最大の製造業である穀倉地帯(太守領)

その港街(金持ち)


だからトラブルで確実に得られる小金なぞには価値が無い。

だからこそ怪しい船(スクーナー)も裏書きを証したのだが。


怪しい船(スクーナー)の船長の魅せ証券。

それは()()()()こと。


つまり小金に関心が無いお金持ちな太守領港街としては、身の丈に合った小金を持つ怪しい船(スクーナー)を受け入れて問題はない。


では、怪しい船(スクーナー)自体は()()()側なのか。


小金を持っているのは確かめた。

――――――――――ならば?


小金になる小金狙い?

金持ちの代わりの小金狙い?


最終的にどちらでも儲けに出来る。

だが事前にアタリが付けば楽だろう。


港に雇われた港の警備役(ガレー船の船長)はそう考える。


怪しい船(スクーナー)

同業者(金持ちの代わり)なのか。

小金狙い(換金物)か。


港の警備役(ガレー船の船長)の船長は港の中しか知らない態で、外港の様子に話を移す。


その辺りも話題にはなる。

むしろ互いに知りたがる。

船乗りが一番に気にする。


怪しい船(スクーナー)の船長は他の港の様子を交えて当たり障りの無い様に経緯を宣伝。


沿岸部航路の様子。

沿岸部港湾の様子。

互いの利益が一致。


港が空、港の船が検分中。

港の中、怪しい船(スクーナー)が検分中。


観れば判るなら騙す余地はない。

互いに自分はそう観た、と伝える。


怪しい船(スクーナー)は大陸沿岸部の南端が母港。

何故、通常の商圏を離れた北端までやってきたのか。


御多分に漏れず海から締め出された。

二ヶ月半前のこと。


青龍から航路航海の許しを得る。

それが一ヶ月半前のこと。


交易再開の為に調査船団が出る。

南端の母港からなら北へ北へ。


調査船団参加には条件がある。


独立心旺盛な船長。

――――――――――母港の名が通じるか判らない。

小口の商いに長けていること。

・・・・・・・・・・現状で大商いはハイリスク。

不定期航路に慣れていること。

――――――――――調べるべき範囲が不明ゆえに。


後はベテラン揃いで腕の良い船乗りが乗った目立たないが輸送より航海に長けたまとまりの良い船が選抜されたのだとか言う話だが、自慢まじりでも嘘ではないのだろう。


選ばれた船団の船に対する母港からの報酬。


調査結果は航海日数港数で支払い。

重複した内容なら割引で査定する。

船乗り一人に至るまで経費は持つ。

調査中の商いは自由で利益は自儘。


期間は特に定めない。

――――――――――つまりはそこか。


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