表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十九章「帰郷作戦」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

862/1003

一度目だから偶然!

【用語】


『ガレー船』

:言わずと知られた手漕ぎ船。動力とは人力なのが人類史のデフォルト。文字通り人為的に動けたということで風任せ波任せ潮任せの帆船より便利だったが高く付く。筋力から体重を引いて×人数が出力なので単純に人数を増やしても無駄。しかも人一人を生産維持するのにどれだけ物資が必要なことか!これは奴隷でも奉公人でも変わらない。エンゲル係数がほぼ100%な時代。個々勝手にまとめて調理する場所で食うか持ち主がまとめて食わせるか。支払い方法が違っても総額は変わらない身体が資本そのものなので酷使なんかできやしない。奴隷でも雇用でも食扶持がほしけりゃ逃げないよね、ってアタリは食扶持なんかに不自由しないのに逃げ出さない不思議な社畜たちより自然です。どうせ同じなら奉公人の方が自主性がある分、奴隷より船主には好まれました。コストが掛かる分、高級品や貴重品の輸送や緊急輸送、軍用任務などで大活躍。つまりは船自体が高級品なので糞尿を垂れ流した奴隷に鞭を打ったりなんかありえません。ただ本来の役目以外の戦闘には戦う理由を持たない奴隷は役に立たなかったとか。ヴェネチア市民の漕ぎ手が戦闘員として優秀だったのは()()()()以外の動機があたから。()()()()ってひとの限界は、とても低いということ……だから容易く殺される。




一週間もしない内に、目立たない様に、誰でも出入り出来る様にするのに、なんで今なんでしょうか?


()()()ですな。


()()()ってこと?


かもしれませんが、ご婦人が着飾るのは引き立て役に為るためではなく、主役を引っ掛ける為ですよ。




【異世界大陸北東部/帝国辺境領/回復予定領/割譲可能領/作戦周辺領/低要度・高危険度領/斥候周回処/???】


「か~んぱい♪︎」

怪しい彼女が甲板上で愉しんでる不審船(スクーナー)


不審船を愉しんでいるのか。

不審がる船を愉しんでいるのか。


観てる観てる。

もう、その一点だけでも怪しまれているが。

ガレー船よりスクーナーの甲板は一段高い。


視えてる視えてる。

彼女ほどではないが船乗りは眼が良いのだ。

一段低い処からでさえ注目を集めている訳。


だからこそ怪しい彼女は無視される。

怪しいだけで既に迷惑。

むしろ深読みして対応する方が危険。

無視しきれない存在感。

だからこそ観て観ないフリをしてる。

専任の警備船団は無視。

やりたい放題だが大丈夫、問題ない。


プロフェッショナルしか知らないアマチュアがやらかし勝ちなこと。

プロフェッショナルを称する輩は皆アマチュアと視て間違いない。

プロフェッショナルであれば自分にラベルを貼らないのが本物だ。

プロフェッショナルは相手を無視することに過ぎるほど慣れている。


ガレー船団は先ず包囲を優先。

港の警備を担う船団(ガレー船)に囲まれた独航船(スクーナー)

スクーナー(不審船)との距離を詰める。


ガレー船団は正対し始める。


狙う船団(ガレー船)

狙われる船(スクーナー)

警備船団(ガレー船)

不審船(スクーナー)


スクーナーに向けるガレー船の船首。

――――――――――ガレー船は衝角戦闘の構え。


その船上(スクーナー)で状況を観ながら燥げる(はしゃげる)彼女。


それは確信的愉快犯かズブの素人か。

そう言う意味で言えば危険はないか。

眼を曳けば曳くほど馬鹿馬鹿しいが。


それでも怠らないガレー船。

漕ぎ手は腰紐を絞めていた。

身体を台座に固定しておく。


衝突の衝撃で海に放り出されぬよう。

決まった手順に身体が従い外れない。


身構えながら漕ぎながら身構えてる。

衝突の瞬間まで漕ぎ続けるのだから。


或いは怪しい彼女は、海戦に疎いのかもしれない。

――――――――――だから観ながら笑っている?


港内を行き交うガレー船は小型船。

むしろ船より舟に近いだろう。


スクーナーに比べて小さく、驚異に観えないかもしれない。


甲板が無く、漕ぎ手は露天。

漕ぎ手を縛る太い腰紐も、隠さない。


或いは奴隷に観えれば、ガレー船の人数が戦力外に感じる。


それなら素人考え。


戦闘前提の船に奴隷は乗せない。

漕ぎ手を奴隷にするのは商船だけだ。


だがガレーの商船は少ない。


積載量と容量を漕ぎ手の為に費やす。

これに漕ぎ手の生存必需品が加わる。

奴隷にしても人件費が省けるだけだ。


ガレー式の商船が運用されるのは、内海や湖の辺り。

それも緊急輸送やコストが賄える特殊な積み荷のみ。

沿岸航路だが外洋に面している地方では有り得ない。


ここは外洋に面した太守領。

港街ガレー船の漕ぎ手は単に船乗り。


接舷時は手斧で腰紐を断つ。

漕ぎ手を交代する時だけ紐をほどく。

全員が船乗りで戦闘員兼用。


普段は漕ぎ方を指示する太鼓打ち。

戦闘時は軍楽隊代わりに突撃退却の合図。

船長が隊長で水夫長が士官となる。


進退を決め、突撃と殿をするだけだが。


中世準拠で考えれば海戦の主力は人。

陸戦ほど工夫の余地はない。

ただ人を、人数を敵船に突入させる。


回り込み誘い込んだりするスペースは船上にない。


防ぐ方も人を並べ防ぐだけ。

盾は補修資材の船板そのまんま。


専用の盾に商品を積めるスペースを使いたくない。


盾じゃ船は直しにくい。

船板なら盾代わりになる。


厚い船板で銛の矛先剣先に鎚を抑えて入らせず。

逆襲時には船板を渡し板に変えて敵船に押入る。


弓矢以下、飛び道具なんか有り得ない。


それらはすべて陸戦兵器だ。

海戦の遠距離攻撃は火薬の普及以後。


まあ遠距離と言っても()()()()()()()()()のことだが。


弓矢が交わされる海戦幻想。

船戦でそれは不可能。

剛弓を操る名手でも無力だ。


海は広い。

船は速い。

風は強い。

波は揺れる。

船間距離は遠い。


固定された足場が無い船上。


しかも風も波も船も強さも向きも刻一刻と変わる。

しかも変化は一点一要素ではなく相対的な変化。

三つ以上の点と要素が常に不可分に連動する。


弾道学が成り立つ理由。

火薬の力が問題を単純化したからだ。

弓矢に適用出来ない訳。


矢が当たらないと言うより、敵に届きもしまい。


よほど近付けば船体には当たるかも。

なら斬り込んだ方がよほど早かろう。


それでも敢えて弓矢ならば?


陸戦なら数を揃えればなんとかなる。

面制圧射撃の真似事が可能。


それは物量作戦

――――――――――海上なら?


面制圧の為に射手を揃えるとしよう。

・・・・・・・・・・大型船なら出来なくはない。


船倉から甲板へ移動して陣形をとる。

制圧射撃なら換え弓矢必須。


矢は射れば無くなる。

射られた矢を回収再利用などファンタジー。


鏃は欠ける。

箆は歪む。

矢羽は乱れる。

一から造るくらいなら在庫を用意。

放ち終わればそれで御仕舞い。


弓も壊れる消耗品。

切れる折れる歪むたゆむ他色々。

一から造るなら以下省略。


消耗品は並べて置くのか船倉から運ぶのだか。

何れを選んでも船からスペースが消える。


甲板は狭く船倉は一杯で船員が大勢。

動かない貨物貨客なら良い。


船乗りが走り回るスペースが出来る。

それが無くては船が停まる。


舳先の見張りから船内船尾の舵取りまで。

舵一つ動かすのにも伝令が走る世界。

もちろん船の舵は油圧式機械式ではない。


伝声管の普及まで後五百年。

ドワーフが鉱山の中で使っているが。

一般はおろか船にも未導入。

金属加工と精錬、技術と製品の普及。

それらが合わさって出来る。

出来上がった伝声管が普及した理由。

人の大声なぞ届かないから。


伝令が留まれば船も戦闘も止まり誰も何も出来ない。


それを防いで船も戦闘も続けるなら。

許容出来る弓兵なら少人数。

面制圧どころか狙撃も何も出来ない。


まあ弓矢というのは基本的に槍より長い程度の間合いで使う物なので銃器と混同するのが間違いなのだが。


結局、海戦は船乗りが主力。

だから近接武器を使う肉弾戦になる。


基本的にド突き合い。

度胸と体躯だけ。

喧嘩である。


戦と喧嘩の違いは、殺すか死ぬか。


殺し合い自体は日常の延長。

集団で喧嘩をするのもよくある。

船上行動に慣れた者同士というだけ。


歩兵兼水兵なぞ有り得ない。


殺人の専門家。

航海の専門家。

両方とも専門性が高い。

でなければ成り立たない。

両立を目指せば虻蜂取らず。


銃器が発達していない世界の戦闘員。

M16系統やAKシリーズ。

子供でも使える素人利用前提の凶器。

それらがない世界での兵士。


人力と人体を不可欠とする技術体系。

機械と計測器機の発達以前。

継承し得ない体得するしかない経験。

それで成り立つ世界の人々。


選択肢は多くない、のではなく無い。


陸棲動物が海、上とはいえ、に居る。

だから船上では船乗りで在ることが最優先。

船乗りで在らねば文字通り溺れ死ぬ。


水上戦闘は専門外の素人の、ついで。

主力兵器は剣、銛、鈍器一般あたり。


ついでに火矢も有り得ない。

燃焼剤未発達な上に湿度が高い海上。


帆に火をかけるなぞ、無い。

希に火が付いても燃え拡がらない。

まあ一応は消すだろうけど。


湿気った物に火を付けるのは難しい。

キャンプでもやれば判るが。


単なる油だってそう簡単に燃えない。

火を付けてみれば判るけど。


食用油ぐらいだと十分に熱して蒸気にしないと爆発しないだろう。

ガソリンのような揮発性の高い物じゃないと、燃え上がったりはしないのだ。


ならば海戦に置ける火攻めはどうあるべきだろうか?

よほど近付いて可燃物を敵船に放ればどうにかなるか?


自分に出来ることは相手にも出来る。

逆に火をかけられて終わり。


運び手がカモにされて可燃物は海へ。

そんなことを誰も試さない。


元々陸戦で飽和攻撃が火箭の大前提。

火が付けば儲けモノなのだ。


それこそ飛んで来て火を吹く竜や彼方から爆発させる魔法を前提とする帝国とは違う。


だからスクーナーに正対するガレー。


船乗りが船で戦う唯一の方法である。

船首にある衝角を使えば、船の進退で足りる。

喫水線直下を破壊して浸水させれば比較的安全に殺せる。


船を沈めれば水上から突き殺すだけ。


失敗しても次善の策へと進み易い。

衝角で食い込み自船で固定。

動けない敵船に向かって接舷戦闘。


素人の殺し合いを次善に回せるのはデカイ。


巧くやれば安全な処から一方的に殺れる。

――――――――――だから皆が一生懸命。


見張りの半分がスクーナーを注視。

前か後ろ。

右か左。

残りの半分が互いと外港側を注視。


スクーナー側の見張りは包囲されるまま、全周警戒。

・・・・・・・・・・言うほどではないか。


何れにせよ怪しい彼女の怪しい観戦を邪魔する余地はない。


ガレー船は漕ぐのを止めれば、ほぼ、停まる。

スクーナー進路上。

スクーナーの左右。

漕ぎ方、止め。

潮に流されるまま、舵を当てて正対を保った。


回り込んで後方から近付くガレー船。

近付く?

そう。

追われて速度を落とす。

スクーナーは帆を畳みはじめていた。


ただし、帆を降ろさない。

いざと為れば一気に広げる。


船体の大きさでガレー船を弾くことが可能。

殺るとは限らないが。

船体のサイズと風の向き強さで判る旋回半径。

殺れない範囲が判る。


その範囲を取ればスクーナーと距離が開く。

ガレー船の加速が間に合わないぐらいに。


風と潮に乗られたらスクーナーは逃げられる。

すると出来るの間に関係は全く無いけれど。


潮の流れが同じ範囲に集まる。

ガレー船団とスクーナー。

相対的な停止状態。


ガレー船団は距離を詰めて停まった。


助走距離が必要な衝角戦闘を放棄。

最初から接舷戦闘の構え。


スクーナーが帆を広げたら、舵を何方へ切ろうと其方側のガレー船に衝突。


数隻弾かれても自分たちの港の中。

泳いで帰れば良い。


当てられた船が沈むまで、航路が塞がる。

当たった衝撃の分、船脚が鈍る。


ガレー船団の大半、外洋警戒継続の一部を除いて、スクーナーを数で圧倒している。


逃げられないようにすれば逃げない。

コツは選択肢を一つだけ残すこと。


迎合するな。

隷属するな。

諦めるな。

自由を求めろ。

……良くある詩歌です。

いや、数十万ばかり売れた詩を観たんですけどね?


ついつい嗤ってしまいます。


詩を聴いたり読んだりした人。

感動したり共感したり賛同したり。

その後、なにもしなかった訳。


何百万部も売れたストーリーもあります。


それを買ってまで体験した奴らは、恥ずかしく無かったのかな生きてることが、と。


いやいや不思議です。


昔、こんな文章を読みました。

()()()がマスクを付けている電車にマスク無しで乗る勇気はない」

……ナニが(笑)!

意味わかんない。

勇気が要るようなことですかね?

勇気ってナニ(笑)!


犯罪組織には無くて組織犯罪には良くあること。

「誰の命令でもなく()()()でなんとなく」

それで利益を得たわけでもないのに、何故か。

むしろ責任を取らされる奴が、何故か。


いや。

個人的利益があるなら判るんですけどね?

コロナ対策なら無視した上で小銭に出来ましたし。

ノーリスク・ローリターン。

なら。


自分、自分たちの不利益しかない恥ずかしいことを銃口を突きつけられて脅されたわけでもないのにする輩は、何で生きてるんでしょうか。


その疑問を解消すれば解決がつくかもしれません。

そうすれば唄われている()()のことが実現しそう。


なわけで恥ずかしい輩の観察を続けています。

具体的にはマスクしてる虫けらども。

暑いのに出歩くわたしもアレではありますが。


観察中は作品以外のことを書いてますので、執筆速度が落ちます。

ので、更新スケジュールが乱れるというお知らせでした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ