占領された側の日常。
【登場人物/三人称】
地球側呼称《カタリベ/歴史家》
現地側呼称《青龍の史家》
?歳/女性
:地球側の政治指導者が定めた役割。すべての情報へのアクセスを許可されており、発表を禁止されている代わりにどんな情報も入手可能。軍政部隊に同行しているのはジャーナリスト志望の大学生。
初登場は第11話「幕間:自由と民主主義のために」
今一番心配なことは何ですか?
「枕が変わったら眠れないといわれること」
『そんなん簡単に片付きますよ♪︎』
「俺を永久に出張させようとしてもそうはいかん」
『枕に合わせて引っ越させればいい!』
今、戦争中、って解っていますか?
《カタリベのインタビュー/国際連合軍将校と国際連合統治軍将校へ》
【異世界大陸北東部/占領地中央/太守府/国際連合統治軍拠点/軍政司令部/軍政司令官私室/ベッド/青龍の貴族】
知ってる天井だ
・・・・・・・・・・俺は舌打ち、心の中で。
不機嫌だと周りが恐慌状態になる。
異世界転移で困ったことのNo1。
不幸な事件が起きると思われてる。
起こさないから
――――――――――殺る刻、機嫌は無関係。
王城の奉公人から皆々様へ風が吹く。
俺の様子は常に噂されてるのだとか。
恐るべきはコネと口コミ伝言ゲーム。
知られたら殺す
・・・・・・・・・・何故か殺し合いが生じる。
俺たちが殺す前に殺し合い始める皆々様。
そもそも殺す刻に知らせたりしないから。
俺たちを殺す理由にしてるだけかもなあ。
それこそ異世界文化不干渉原則によりスルー。
――――――――――異世界側からも言っては来ない。
異世界種族は地球人類を誤解してるんだよ。
誤解ではない面もあるんだが俺には無関係。
だが黒髪に黒瞳に黄肌が言い訳を許さない。
事前事後に確認すらされないっていうことだ。
・・・・・・・・・・まあ俺は元々カード強いけどね。
目立たない透かし彫りの天板。
急拵えの照明機器と空調装置。
すっかり見慣れた御城の天井。
文化財クラスの建物に電気を通す現代化改装。
もはや後戻り出来ない。
国際連合が。
俺は違うよ、Uターン。
例え王城の一間が見慣れた天井でも負けない。
日本列島。
東京都内。
アパート。
そこに帰る場所と待っている人達がいるのだ。
俺は目覚めた朝日を浴びて。
目覚めた後で後五分は様式美。
最近はやってませんけれど。
子どもたちの手前、敢えてやるのを止めている。
周りに子どもしかいないから仕方ない。
子どもに何かを頼むなど沽券に関わる。
俺はさせる側であってする側じゃない。
頼まないのにしてくれることは拝領してますが。
そう考えると、機会が少ない後五分。
同格か目上が居ないと成立しません。
女とか友達とか撃ったりしない上司。
後は任せた俺は寝る。
――――――――――眠るまでいかない、ここ重要。
同類じゃ任せられないから同格以上がポイント。
目下だと、まんま受け入れられたことがあります。
五分ごとに繰り返す。
何かのイジメかと。
退くに退けない。
異世界に来る前に体験して置いて良かった。
・・・・・・・・・・・・お約束を信じれば命に関わる、俺以外の。
郷に入っては郷に従え?
従えたら苦労せんわい。
観てるだけでも精一杯!
認識出来なきゃ従うすら出来ない。
だから娘どもたちには好き任せ。
無理やりしてるから大丈夫だろ。
今日は珍しく娘どもらが朝寝坊。
それに合わせて俺も寝たまま眠むらず。
本当に珍しいが、あるべき姿。
俺より先に起きて朝食の用意とか。
あるべき子どもの姿じゃない。
昨日までそうだったんですけどね。
美味しい料理を食べさせる喜び
――――――――――解る。
相手の希望を視てとる楽しさ。
――――――――――解る。
欲しいことをしてやる悦び。
――――――――――解る。
大人にも子どもにも通じる人類普遍の娯楽。
それだけなら判るんだが。
それだけでもなかった。
それは皆にも言える。
それがなにかはいずれ解るが、一歩前進。
子どもが寝坊できるってこと
仲が深まり遠慮が無くなる。
ここからどうしてあげようか。
とりあえず、起きると起こすから、可愛そうだ。
合わせて眠る訳にもいかない。
寝てるだけ。
二度寝に向かない体質なんだ。
今は何時だ。
風呂上がりからどれだけ経過。
翌日だろう。
三日間眠過ごしたりはしない。
どうだろう。
多分していないと思うんだが。
昨日から寝過ごした。
それは確かでほぼ寝転んでた。
風呂上がり。
食事をして。
待機に入る。
ほとんど休日ってこと。
ゴロゴロ寝ながら遊ぶ時間。
時々眠たが。
標準的24時間の過ごし方。
最後は眠た。
そこから48時間、ってことはない。
それならもっと疲れているだろう。
じゃあ今何時間経ったんだろう。
一度は日を跨いだので間違いないが。
寝休日とか。
娘どもらが乗ってたからな。
俺も乗せる。
あんまり重くない方向で注意。
いつものこと。
俺ならできた。
今朝も大丈夫。
思えば真夏の盛りにクーラーを入れられずにカーテンを閉じ忘れた陽溜まりの中で猫たちに埋まってしまったことがあったじゃないか。
一番デカいボス猫は顎下に入り俺の首に嵌まってました
――――――――――生きてるって、素晴らしい。
ましてやまだ春。
しかも北国。
多少温暖。
風がよく通る広いスペースは放熱効果め万全ですが、ちびっ娘二人の肢体がより冷えないか心配だが暑い。
部屋に問題が無ければ寝癖の問題。
ちびっ娘の二人は俺の腕に絡んでいる。
・・・・・・・・・・左右から腕を両腕でホールド。
俺の肩を挟むのは彼女らの顎。
手は脚に挟まれ指先が肉の中。
脂肪層が薄いから内臓の熱さ。
身長130cm未満の拘束具。
――――――――――どうしろと。
エルフっ娘は俺の背後か正面か。
今日は掛け布団じゃなく枕かな。
背後から抱き抱えられてる感じ。
・・・・・・・・・・逆じゃね?
当然エルフっ娘サイズは、俺を包める訳がない。
俺の上半身を包むソファーベットみたいな位置。
長い脚が背後から俺をホールドしてるが寝てる?
耳を当てると鼓動は平常。
――――――――――いつも通りのドキドキ感。
Colorfulには上から観て全周包囲。
白は右側。
朱は左側。
翠は右脚。
碧は左脚。
橙は脚下側。
ローテーションがあるらしい。
シスターズが上半身を塞いでいる。
だからってことで脚側からツンツン存在感アピールはダメじゃないけどさぁ~。
こうして考えるとエルフっ娘が一番ツラい。
エルフっ娘。
俺の背中にいつものとおり。
起床中はね。
だいたい一歩退いて地球人類を観察。
時々ピッタリくっつくのは甘えてる。
オカンと娘のハイブリッドって最強。
だが寝たり眠たりの背後は珍しい。
鍛え上げても女の子だから。
瞬発力は高いが耐久力は高くない。
どうした枕。
抱き枕以外になる時もある。
俺の役だが。
大の男は子どもくらい平気。
数人ならば。
だが枕にする時も偶にある。
今みたいに。
枕になりうるのは、おっきい娘。
ちびっ娘だと潰れるだけだから。
珍しくも有り得るから慣れてる。
膝枕に非ず。
俺は正座が苦痛じゃないが。
――――――――――異世界だし。
文化不干渉原則に忠実にする。
胸枕か腹枕。
まあ胸が一番無難だけどね。
・・・・・・・・・・腹は骨無し。
頭一つ載せるだけでもキツイ。
女の子だし。
内臓にダイレクトアタック。
――――――――――しないから。
載るも載せるも胸が一番だよ。
特に女の子。
胸なら肋骨が支えてくれる。
・・・・・・・・・・乳房を挟む。
載せかたが悪いと痛いんだな。
肋骨と乳房。
挟んだら大変なことになる。
――――――――――頭を肋骨に。
直接ゆっくり載せれば大丈夫。
・・・・・・・・・・重くはある。
挟まぬ為に、左右へ開くこと。
真ん中に頭を配置して肋骨直結。
これで重いが痛くはない形になる。
左右の山盛りで頭が固定の安眠枕。
乳房が小さいと開けないから。
頭を載せたら乳房が挟まる。
寝返り厳禁。
硬直してたら眠られない。
どちらでも。
他人の痛い苦しいは苦痛だ。
俺の趣味で。
恥ずかしい悔しいはアリだが。
三佐の趣味。
だから枕にするより為る方が楽しい。
今もそうだ。
ちびっ娘らにとっては抱き枕。
ホールド中。
エルフっ娘は苦しくないか。
・・・・・・・・・・すやすや中。
巨乳のメリットはこーいう。
――――――――――な訳で、我が家の主な枕と掛け布団がエルフっ娘になるのも当たり前だな。
人間ほど寝具に相応しい者はいない。
人が産まれて最初の布団は人である。
人って言っていいのか、異世界種族。
「ナニを召喚してるんでしょーね?」
――――――――――心無い人の心無い偏見。
三人が密着して中央。
五人が周りで丸くなる。
何かの儀式に観えなくもない。
屋内の索敵機器。
占領地の占領下住民住居の中に居る駐留軍。
王城は特殊な処。
だから国際連合管制地域の中にも監視記録。
そんな訳がない。
国際連合の索敵網が一番濃いのは味方地域。
人間の敵は人間。
地球人類は最初から異世界と戦っていない。
戦争を外交の一環と勘違いしか出来ないのは、19世紀のミリタリーおたくだけ。
だから観てみることはできるのだが。
現地協力者へのプライバシー規制。
うちの娘たちと俺の間では解除済み。
昨日試して観たからビックリです。
リアルタイムで観ている訳でもないが
――――――――――想像してみよう。
俺たちの寝姿、ねすがた?
やたら広い部屋
とてめ高い天井。
真ん中にベッド。
寝具以外はなにもない部屋。
皆が真ん中に集まっている。
ベッドの上で雑魚寝なのか。
バカでかいクッションの上
小さい娘、二人
大人の男が一人。
女サイズが六人。
全員が大の字になれる大きさ。
それでもまだまだ余るな。
ふかふかふかふか。
シルクのような布で包んだ羽毛みたいな何か。
肌触りが最高で、お子さま連れにお薦め。
俺の場合は接地面積の大半が子どもだが。
うちの娘たちの方が絹より気持ちいいよ。
ベッドっていうか寝床だがベッドでいいや。
その真ん中が俺。
美少女ハーフエルフで創った魔方陣。
真ん中がエルフ。
両サイドが魔女と人。
エルフの上に俺。
どう観ても儀式の対象は
・・・・・・・・・・俺、どうなっちゃうんでしょう。
誤解されるのは間違いない。
李下に冠を整さずと言うが。
普段から整すと言い訳可能。
疑われないより疑われる方が簡単。
疑わせて潔白を観せ続けるのがコツ。
損を被らなければ疑いは持続しない。
疑いが疑いでしかない内に仕掛ける。
手品師と詐欺師のテクニックです。
とはいえ魔術のアリバイを創っても、使い途が見当たらない。
というより、ずっと寝てられるほどに疲れて居る訳じゃない。
どちらかと言えば、充分眠たから身体を動かしいたいくらい
・・・・・・・・・・とはいえ。
フカフカベッドで動けば載ってる皆が反応してしまう。
猫に載られる人なら解る。
起きようとして爪を立てられる予感。
女の子は噛みついて来る。
――――――――――致し方なし。
泣く子と地頭になら挑めるが、うちの娘たちにはダメ。
雑菌培養器を付けて出歩くな、臭いから。
……まあ自分の臭いには気が付かないもんですけど。
元々マスク相当の絵の具で顔を造っていた化け物(笑)には、炎天下のマスクは救いなんでしょうね(嗤)。
病気になる方が病気を晒すよりマシとか。
……犠牲的な自己犠牲の発露と言うべきでしょうか?
そりゃ観たくないけど。
すぐ目を逸らすから。
顔を出しても良いのよ?
汗自体は単なる体液なので清潔。
布地に温存すれば腐敗します。
そりゃ有害微生物の培養液。
風や陽光で乾かせば問題ないんですけど。
ウィルスはもちろん、微生物だって培養液無しに外気に耐えられませんから。
汚れの中に隠っていれば、ウィルスはともかく、細菌はかなり長持ち。
つまり汚れを落とさずに消毒しても薬の無駄(笑)。
……まだまだバカは生きてます。
そんなこんなを啓蒙してあげないとなりません。
そんな訳で暑い中出歩かねばならず更新が遅れます。




