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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第三章「掃討戦/文化大虐殺」

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85/1003

7.62mm

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。軽装の革鎧や弓(短/長)は必要に応じて。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢》

現地側呼称《妹分/ちいねえ様/お嬢様》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。



【登場人物/三人称】


地球側呼称《元カノ/団長/だんちょー/一尉/一尉殿》

現地側呼称《青龍の女将軍/団長/主》

?歳/女性

:国際連合軍大尉/陸上自衛隊一尉。国際連合軍独立教導旅団「黒旗団」団長。『俺』の元カノ。ドワーフやエルフに異世界人と地球人類が同じ戦列を組む、多世界複合部隊「黒旗団」指揮官。



やっぱり、長さが大切。


おんなじで、太さもね。


早いのはだめよ、早いのは。


数はこだわらないかな。

まあ、多いに越したことはないけどさ。


ん?

どしたの??

アタシは十分満足してるよ。





えーとつまりですね。

全長が長いと銃剣戦闘に有利なんですよ。狭いところでとりまわしが・・・・って話もありますけど、基本は刺突ですから振り回したりしません。


口径は大きいほうが正面打撃力が大きいから戦闘時はお得なんですよ。貫通力が強いと敵の足止めはできないわ、跳弾のリスクが高まるわ、殺傷力も落ちて、ロクなことがありません。ガバメントやM-14だと撃った相手が吹き飛ぶんで、倒した敵をあちら側にはじくことで、こちら側の障害物扱いにできるんです。突撃するときは蹴りださなくてもどかせますしね。


発射速度は速すぎると反動がきつくて当たらないです。一時期、速さ勝負みたいな時期がありましたけど、実戦でボロボロ。女の細腕では特にきついです。刺突刺殺の方が楽なくらい。連射するときは手持ちじゃなくて、台になるものを探しますよ。私が使われるときも・・・・・・肩に載せられるとすっごく怖いですよ!!!!!


弾数は多いほうが、そりゃいいですけど、孤立して戦うようじゃそもそもダメですしね。

小口径弾なんか、一発一発が軽くて携行しやすいから数を持てる!な~んて、コンセプトが売りでしたけど、結局、威力不足で三連射、一回トリガーを引いて三発撃つ、なんて使い方が主流になっちゃいました。

本末転倒ですよね~。




というわけで、だんちょーがいってるのは、その話なんですよ?

大尉殿への要望じゃないですから!!!!




【太守領辺境村の集落の入り口/軍政・黒旗団混成部隊本隊/先頭】


俺は蒼空を見上げ想う。

UVケアが必要だろうか

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――違う!!!!!!!!!!


そうじゃない!!!!!!!!!!

オゾン層調査は始まっているが違う!!!!!!!!!!


中世では既に存在している!!!!!!

オゾンだボウガンだバリスタだ弩弓だ!!!!!!

なら異世界にだってあるに決まってる!!!!!!!



――――――――――俺は顔を動かさずに視線を走らせる。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それらしき影なし。

念のためにもう一度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なし。


OK!

クールにいこう。クールに。

行こう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何処に?


集落の外。


いーや、まてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまてまて。

不用意に動くなよ?誰に言ってる?

俺に。


動物は動きに反応する。人間も、だ。

釣られる、ってのはプロでもありがちな事。


中途半端に暴力に馴染んだ犯罪者なぞ、ブレーキもハンドルも壊れてるようなもの。新兵が反射的に引き金に触るよりなお悪い。


キッカケ一つで矢が飛び棍棒と鉈が振り上げられる。そうなれば、俺に矢が刺さろうが刺さるまいが、止められない止まらない。


乱戦だ。


さっきから見ているが、この集落には指揮官がいない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たぶん。


身分上下に関わらず、皆を従えている人間がいない。

囁きレベルですら声が聴こえない。身ぶり手振りを伺う目が見えない。

通信機がない世界では、それが答え。



皆が認める、皆が従う、戦闘時の指揮官がいないってことだ。



つまりは、個々人、体温が感じられる範囲の数人、その程度の判断に、皆が引きずられる。

一番、群集心理にかられやすいパターン。


彼らが前に出てくれば?

暴動。

俺が死ぬ。


後ろに逃げ出せば?

逃走。

集落の包囲を破ろうとした形になるから皆殺し。


考え過ぎ?

だといいな。

だと祈る。

だが答えは聴こえない。


カードは配られて俺のターン。捨てる?引く?コール?

カードを見てもルールが判んないんですけど!役があるなし不明って!


出たとこ勝負?賭?ギャンブル?比喩じゃねーじゃねーか!!!!!!!!!!


俺は身じろぎ一つしない。

いや出来ない。


このギャンブルは時間制。どうするどうしようどうにかしないと。ナニもしない、という事にしたら、バスもスルーもなく、コールだ。

俺の意志を越えたところで

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――顔も動かせないけどね!!!!

硬直してるから!!!!!!

声も出せないよ!!!!!!!!!!


我に力を!

死ぬから!!

体よ動け俺の身体!!!

俺か誰かが死ぬから!!!!




【太守領辺境村の集落の入り口/青龍の貴族の後~前~後】


青龍の貴族を追って、あたしが集落に飛び込む。

見回すとここ、入り口付近には数人しかいない。気配ですぐにわかる。青龍の貴族を追い越して、あたしは剣を抜いた。


ヤバっ!

動きが速すぎた?

遅すぎた?


怯えの気配が集落全体から沸き立つ。刺激しちゃだめ。あたしだけじゃないのよ。あたしは改めて、集落の様子を窺った。


耳を澄まし眼を凝らす。

奥には、百人をこえ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?


前――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――あたしの前に、青龍の貴族。

あたしがあわてて前にまわる。




【太守領辺境村の集落の中/エルフっ子たちの後~前~後】


危ない!

危ないって!


俺の前に出たエルフっ子。俺はとっさにエルフっ子の前に。エルフっ子がまた追い抜く。また俺は

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――いやいやいやいやいや、まて。


『ナニやってんの』

『競歩の一種ですね!』

『game!fight!』


何のだ!!

ルールは!!!

ゴールは!!!!

審判は!!!!!


ってか!!!!!!元カノマメシバ三尉神父!!!!!!!!!!

察して!!感じて!!!助言して!!!!


解決してくれると嬉しいですが!!!!!!

なんでもはしません!!!!!!!!!!


『よゆーじゃん』




【太守領辺境村の集落の中心/青龍の貴族の後~前~後】


あたしたちは集落の中心まで駆け込んでいた。

青龍の貴族。

あたし。

互いに互いの背後を守る。



――――――――――――――――――――――――――――――――なんでよ!!!!!!!!!!



「何をしている」

アンタもね!

後ろから青龍の貴族が訊いてくる。

なにをしてるのか、あたしが訊きたい。


周りの家々の隙間から覗く、目、目、目、目。すっかり囲まれてる。あたしたち、あたしと青龍の貴族に追い回されるように、逃げ出した村人たち。


時折もの陰から飛び出し、それでもなおすぐに隠れる。

結果、後ろの建物にも隠れている。


集落の路上にはいないけど、この辺りは狭い道ばかりで、突っ切りたくはない。


怯えて潜み、しかも、あたしたちから目を離せずにいる村人たち。

・・・・・・・・・・・・・・激発して襲いかかって来ないのが不思議なくらい。

そして集落を囲む黒旗団。

友軍の司令官が、兵を連れずに単身、敵地(味方の支配領域以外すべて)に突入したのだ。併せて突撃してきても不思議じゃない。


あたしの顎下の、いやふぉん、からは青龍の女将軍、他、誰の制止も聴こえない。何やってるのかしら?都合はいいけど。

――――――――――――――――――――――――――――――――むしろ、そこか。さっきまでいろいろ聴こえていた。ドワーフたちの動き、集落の中の様子、村全体の状況、前と後ろとは遥か彼方の青龍たち。



何も聴こえないと、いうことは。



そこで、いやふぉん反応。


『あー、エルフよ』


外のドワーフ。


『動くなよ』


舌なめずりをする音。

ちょっと、いや、だいぶイヤ。


『ヌシの想い人はさすがよの』


!!!!!!!!!!

もうバレてるけど!!!!!!!!!!

ああ、あ、あ、あからさまになにをこんなときに!!!!!!!!!!


『団長の男だけに、将器じゃ』


む゛

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・違う違う。

そんな場合じゃないし。


『的を、み~~~~~んな、集めてくれたわ』


集落中の人間が、周りに集まっているのは、感じていた。


『ここまでムチャしよるんは、ワシらの力を測っておるからよ』


ドワーフの実力で、出来るギリギリを見極めて、るの?


『誉じゃ誉じゃ』

『ここまで士を見切って使い尽くす』

『殺される狭間までワシらに預ける』


ドワーフが対応出来る限界まで身を危険に晒す。

だけど、対応出来る範囲をギリギリ超えない。

・・・・・・・・・あたしたちの動きは、どうなのかしら?そか、さっき聞いたわね。なにをしてるって。なら、邪魔しちゃった???


『青龍は愉快じゃ』

『それよそれ』

『ヌシらは昼寝しておれ』

『好いた男の腕の中じゃ』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あたしたちを危険にさらさない、っていうなは、彼、青龍の貴族らしい、けれど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・悔しい。


『団長の男だけに、自分は勘定しとらんな』


は??????????


『団長に近いの』

『団長は突き抜けるからの』

『何度死にかけたかの』

『わしらの寿命が縮むわ』

『エルフよ?ヌシらだけは毛ほども傷つけんぞ?青龍の怒りは楽しいが、憎しみは怖いからの』


へ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。

あたしたち、だけは、だけは、だ、け、は、傷つけないんだ。

そ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――なんだ。


許さない。


ぜ――――――――――たいに、させない!!!!!!!!!!

あたしたちは、青龍の貴族に身を寄せた。


彼が、結果として死ねないように。

貴男が自分に関心がないなら。

あたしたちが生きている事を望むなら。


貴男が死ぬ時に、あたしたちが死ぬと解らせてあげる。




【太守領辺境村の集落の中/エルフっ子たちの前】


俺には正確な知識はない。


軍人は銃に詳しくてはいけない。スペックなど弾数残弾数だけで十分だ。取り回しは知るな。慣れろ。ただ与えられた道具を使える事。それ以外考えるな。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・訓練教官のお言葉でした。いや、まじ、実戦訓練を受けたことはあるんだよ??

俺も。


とはいえ、ある程度は兵器についても知ってしまった。これでも事務職。当たり前だが、書類屋は物には詳しいのだ。

敵兵一人当たりいくらで殺せるかとか考えさせたら日本一である。他にこんなこと考える業種ないしね。

まあ、64とか89とか言われている代物についての知識は、廃棄予定/リサイクル予定/償却予算のアレコレだけだが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・防衛省官僚と一体化して、流行り廃りしか考えずに、実地検証もトライアルもせんと、耐久試験をスルーしていた国産兵器なんぞで戦争させられるくらいなら、クーデター起こすわ。元カノが。



「戦場でアメちゃんから貰うか敵からかっぱらうかどちらかなんだからさ、手作りなんかじゃまだってーの!いっそAK買ってよAK!!」

とぶっちゃけトークを駐屯地でかまして、一部の方々に追いかけまわされそうになったのは、いい思い出である。


いい、かな~~~~~~~悪い思い出だよな~~~~三佐にとりなしてもらわなければ、傷害事件だったよね。

うん。

関節を外すと人間がどこまで曲がるか演出して見せた。

元カノが。



こういう時に事を荒立てるのは元カノ。

俺は言ってない。


すでに他国で開発されてるもんまた開発からってどんだけ無駄だよ!なんならОАО (Компания „Сухой“)を誘致すりゃいーじゃん。バカ高い国産機なんていらねーよ!スホーイ買おうよスホーイ。スホーイJ作れば最凶じゃね?


※ОАО (Компания „Сухой“):超有名な格安高性能軍用機スホーイシリーズを創ってるロシアの会社。


などと戦場ではひとかけらも役に立たないし監査も入らないし装備も増えないし俺たちの待遇もよくならないから兵数も増えないという無駄金技術開発予算。

それをこよなく愛する方々にいいように使われている国粋主義者の頭をパーンとさせるようなことは言ってないと思う覚えてないし。



俺たちの兵器。

訓練キャンプで、一に小銃、二に部下たち、と仕込まれた一のほう。


M-14。

国連軍の主戦兵器。在日米軍の兵器庫でモスボール化されて弾薬と一緒に保管されていた、年代物。俺たちの思いやり予算で米国議会の厳しい眼を逃れていた各種兵器の一つ。

俺たちにもおなじみだ。


弾倉一つ20発、連射2秒で打ち切りだが、反動が強いから普通単発で撃つ。


AK-47J。

黒旗団に配備されている実験兵器。戦後をにらんで、国連軍の次期主力兵器トライアル中。たぶん本命。国内兵器メーカーがすべて倒産したので、下町の金型板金プレス工場で作っている。

与党系の『国際連合活動支援議員連盟』から監視だか管理だか広報役だかが配置され、予算ブローカーだの与野党議員秘書などを追い払ったり整列させたりしているらしい。


弾倉一つ30発、連射3秒。弾丸をM-14に合わせた為にやっぱり連射に不向きだが、発射速度を下げたから多少まし。



でまあ、今俺たちがいる、集落を包囲している限定主戦兵器。


M-134ミニガンは?


AK-47Jが毎分600発、M-14が毎分750発、ミニガンは3000発であり、弾帯と銃身が保つ限り撃ちっぱなしである。

ただし個人携行できるような兵器じゃない。重すぎる。本体も弾帯も。普通は車両かヘリに載せる。

本体だけで18kgオーバーですよあなた!

とりまわすなんてとてもとても・・・・・・・・・・・・・・・・。


そんなことができるなんて人間じゃない。

サイボーグか、ハリウッド映画の中のムキムキマッチョマンなど、人間以外だけだ。



しかも弾丸が7.62mmNATO弾。


この、国連軍標準装備はハンパない。どのぐらい凄いかと簡単に言う。鍛え抜かれた屈強な戦士を想像してほしい。

身長190cm。全身筋肉。なんなら鋼の鎧もつけよう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・イマジネーション、OK?


一発だ。

運が良ければ死ぬ。運が悪ければ苦しんで死ぬ。


5.56mmと違って、万が一にも鎧に弾かれたりしない。まあ、5.56mmも正面からなら弾かれない。板金鎧に局面が多いのが不幸だったねー。


7.62mmなら一発で十分。


一発でお釣りがくる。つまり、屈強で俊敏で訓練を重ね人間の運動能力の頂点を極めた熟練の戦士。

が、それが。

直径1cmに満たない弾丸、ただ、たった、一発で終わり。


鎧付きならなお不幸だ。


鎧を付けた騎士は、鎧の破片で体を切り刻まれ、ひしゃげた弾片で体を内側からかき回され、死ぬ。

たまたま側に、魔法アシスト付きのマメシバ三尉が居たら?

助かる可能性は五分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これ、すごい高確率ですよ?


7.62mmNATO弾を一発喰らって闘い続けられる人間などいない。


虚仮威し(制圧射撃って言えばいいか?)が主目的な5.56mm弾とは意味が違う。

扱い易さを追求した人に優しいソビエト連邦製7.62mm弾(威力を落とした弱装弾、まあ、もともとのコンセプト通りだから弱装って表現は違うかも)じゃない。


7.62mmNATO弾は一発必中一殺必殺がコンセプト。


殺人に必要な破壊力から逆算して産み出されたような、完全な戦争仕様の最後の弾丸。


以後の弾丸は威力が弱くても、弾数で、兵数でカバーする。それが、現代仕様。戦争が可能性でしかなくなり、無意味無価値不毛なテロリズム対策が軍隊に押しつけられた結果。

高度に発達した産業社会同士の全面戦争が無くなった、殺人は結果でしかない時代のあり方。


そんな現代戦ではすっかり廃れ、それでも決して無くせない、近代戦の残滓。


あくまでも、人間を殺す、だけを追求した時代。

殺人の為だけに開発工夫編成された、機器に方法に組織。


俺たち国連軍は、現代をすて近代に回帰してしまった戦争そのものだ。


軍用の弾丸とは、一人の人間を殺す為。

道理である。


7.62mmNATO弾は目的から産み出されただけに、使い手に技量と素養を求める。発射の反動を吸収する強靭な肉体、肉体と銃器を制御する練り上げた技量。

それは、しばしば、徴兵というド素人に頼る国民軍隊には重すぎて。だからこそ、脇に追いやられたのではあるけれど。


ここ異世界で、適性者が見つかった。

史上最古の職業軍人、黒旗団の傭兵、ドワーフたちに。人類が育成を重ねてギリギリ使いこなす銃弾を。その体重と筋肉で軽々と制御する。

だから、試製AK47Jには、トリガーガードがない。ぶっとい、ドワーフの指に合わせたのだ。とはいえ、AKはもっぱらASEAN兵が使っている。

トリガーガードが邪魔になるように、ドワーフにはやや小さすぎるのだ。


だから。


彼らに適正な兵器。

一秒で、掛け値なしに、50発、50人分の死をもたらすミニガン。

一発一殺は当たればだろう、って?

そのとおり。


オーバーキル。国連軍の基本原理。


たった一人の村人に、千人分の死を与えて何が悪い?それを受け止める肉片が残っていればではあるけれど。


起こらなかった世界大戦のデットストック。

地球人類が地球人類を絶滅させる計画に基づく在庫品。

さきに絶滅させた方が勝ち

――――――――――――――――――――――――――――――そのルールが、異世界の、辺境の、一つの村に持ち込まれた。




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