個人の誕生/Will you walk a little faster?
【用語】
『個人』
:あらゆる他人から自立した個人。自立は孤立ではないので注意。キリスト教文明圏の用語なので神と対峙する人という意味。そりゃ他人が入るなんて尊厳の否定ですわな聖務中の聖職者は人ではないからセーフかアウトか宗教戦争継続中お釈迦様に訊いてみれば中道を征けと答えてくれると信じてます。関係を主体的に取捨選択出来るのが人間。出来る人間ではなく出来るのが人間なので此処も注意。その辺り宗教というのは妥協を赦しません。そんなこと出来てる人間居るんかい!って返すのは或意味で明治以降のダメな意味で日本的。宗教の発想から視たら「出来る出来ない実例見本の有り無しがどうかしましたか?……やれ」ってことになります。早く人間に成りたいどころか一瞬でも人であれば第一歩だから二歩目三歩目を踏み出すだけの簡単な人生に乾杯♪︎
なおWikipediaでは例によってなのであのAI(笑)ロジック全般ってことは、日本語版に限れば日本語出来ないんですね。
親はコスト。
子はリスク。
血統に基づく家族とは強制が無ければ成り立たない。
そこに合理性がありませんから。
猫が犬に乳を与えることなんてありふれています。
強い、余力がある個体が弱い、余力が無い個体を守る。
その場で利用する必要がないから、取り置くだけ。
血統上の繋がりなんかこじつけです。
偶然そばに居た成体と幼体が、その刻に同行していた。
それだけで親子の出来上がり、ですね。
誰も確認していませんけど。
これを妄想、共同幻想と言います。
いいんじゃないですか?
それが役にたったなら。
誰の役にもたたなかった?
だとしても、過去形ですし。
最初から人類の大半には関係ありませんでした。
【異世界大陸東南部/国際連合軍大規模集積地「出島1」/竜の巣/青龍の水飛竜横下/若い参事】
僕らの都合これから先。
必要不必要の取捨選択。
青龍にとって。
僕らにとって。
氏族を棄てろなんて言わない。
優先順位を決める、それだけ。
しばしば例外を設けてしまう。
順番を決めることは最初の一歩。
自分の値札を貼ること。
己に値札を貼られる前に。
氏族とは便利ではある。
それに囚われない限り。
伝手は血に依らない。
信用は実績に由る。
氏族と己の優越順位。
当主なら解ってるだろ。
自分が居なくては一族は立ちゆかない。
一族が在らなくとも自分だけで商える。
取捨選択は此方が決められる。
貸し借り返すも踏み倒すも。
困るの僕らじゃない。
己が己である限り。
氏族は道具として使えば善い。
どちらが使われても構わない。
―――――――――僕らは独りだ――――――――
それが青龍の視線だと判れば済むが。
皆々様方に伝わってないから不味い。
都合より好悪が先に立つ青龍。
それが解るとは思わない。
それを判れば生きられる。
言って伝わる訳がないし。
慣れてくれたら一番なんだが。
・・・・・・・・・・無いな。
大港湾都市の青龍。
太守領は青龍の貴族。
青龍の貴族と青龍の差。
領民に関わりたく無いのはどちらも同じ。
興味は誰かに向いて皆には向かない。
とはいえだけでは領民が戦の邪魔。
故に役目柄の関わりはやむ無し。
だがその仕方なくは違い過ぎてる。
距離だ。
太守領に青龍は少ない。
重要じゃないからだな。
大陸全土、有数の穀倉。
唯一ではないのが残念。
だが両の指には入ろう。
全て自前の青龍に無縁。
海路に面し良港が豊富。
大陸中を物が流れる今。
穀物は金銀にも等しい。
保存が効き必ず捌ける。
金鉱銀鉱よりも大農地。
鉄鉱鉄工は穀倉を獲る。
貧乏人以外の常識だな。
つまりは青龍に無関係。
資産価値に興味がない。
戦争だけ考えればなあ。
その辺りの感覚は眼を視れば解る。
・・・・・・・・・・視えてないよな、そりゃ判る。
距離で。
大港湾都市の皆々様。
黒い瞳を視たことがあるのか?
――――――――――視ようとしたことは?
黒い瞳。
黒い髪。
肌の色艶以外は知られている。
それが皆に観えたということ。
兜の隙間。
竜の鞍上。
少なからぬ都市で人が半減される刻、姿を観せる。
緑のドレス。
黒い髪。
黒い瞳。
観たことも無い地方ですら黒髪一つで皆が逃げる。
大港湾都市は、そこまでじゃない。
緒戦で半分殺された。
むしろ噂が流れ出す。
大港湾都市の記憶に髪の色はない。
逆に周辺から伝わる畏れ。
出逢い頭の一撃だからな。
襲って殺さない刻の定番。
逆らわなくても殺される。
そもそも領民に従えと言ったことがない。
・・・・・・・・・・太守府では、そうなのか?
王城の奉公人すら雇いなおしたし。
請願に応えるか、無視はしないな。
殺させない殺るのを止めもしない。
何回か命じられてる大港湾都市の方が機会は多い?
・・・・・・・・・・太守領の方が青龍を視えるのに。
倦んざりした刻。
どうでもいい刻。
獲り狙ってる刻。
――――――――――眼で通告。
そーいう瞳で判り易す過ぎる。
――――――――――他の青龍は?
青龍しか視ていない青龍の公女。
青龍の貴族だけな青龍の女将軍。
青龍の貴族の女にはマメシバ卿。
青龍の騎士たちも主を視ている。
・・・・・・・・・・判りやすいな。
ならなぜ判らなかった?
――――――――――大港湾都市の皆々様。
僕より経験豊富で技能が高い大商人。
圧倒的強大さ故に隠さない青龍たち。
言わないと判らないのは無能だけだ。
快不快好悪殺意有無が視えなかった。
遠いから。
文章言葉を待っていた、だけ。
近くでも。
眼を合わせたら殺される、かも。
僕らの刻は力ずくで押し入って来て隠れ家から牽き摺り出して椅子と卓につかせて眼を覗き込んできたもんなぁ
――――――――――青龍の貴族が。
眼を視ればってことは望みなしと。
せめて僕らの真似をしてくれ。
でないと僕らの負担が増える。
その意図が僕らに判るからな。
僕が考える次々の商談。
貨客が聖都の労役者。
労役者も、また大勢。
十万人は最初の積荷。
太守領だけじゃない。
穀倉地帯の人手不足。
聖都解体の為に帝国が狩り集めた労役。
あの莫大な人数を集められる元は一つ。
食うに困らぬ穀倉地帯の領民しかない。
言うほどではないが、それは農夫たち。
だからこそ今年の収穫が危ないのだが。
既に春先、農繁期に人手が足りんから。
聖都から人が帰らぬ限り、解決には何年もかかる。
だから穀倉地帯の村々は労役者たちを返して欲しい。
当の労役者たちとて帰りたかろ。
ずっと聖都で暮らす物資はない。
聖都周りの耕地には帝国が塩を詰めている。
意図は判らないが間違いなく自活出来ない。
百万の労役者を半年生かす物質はある。
聖都攻囲戦の包囲側たる帝国軍の兵糧。
一番近い売り手である太守領。
顧客の需給を把握するのが商い。
労役は三ヶ月位のはずだったからな。
余りが売り出されるのに備えていた。
別に隠さないのが帝国らしい。
相場の操作より安定が最優先。
余剰穀物最大の顧客は帝国。
相場は使うもので儲けはしない。
労役が始まったのが十二月。
青龍が来たのが二月末。
食糧は後半分だ。
そこから残りの労役者が半減。
帝国支配崩壊で縛りがなくなった。
徒歩で帰れる者たちも居ただろう。
帰る必要を無くされた者も多かろ。
差し引きを均しても良い筈。
単純計算、そこから半年程度。
七月八月までは保つ、かな。
それまでに帰らないと、死ぬ。
あとは帰邦費用の問題だが。
相当な負担でも惜しむまい。
だが金はなくても構わない。
穀倉地帯は金が育つ場所だ。
信用取引ならば十分に成り立つ。
戦禍の最中で付け売りが出来るか?
――――――――――出来るさ。
明日をも知れぬ刻に掛け売りは出来ない。
むしろ出来るのは信用売買だけしかない。
誰もが望んでいるからこそ、信用が為る。
戦火を起こした存在を巻き込めば、なお固い。
元凶ほど被害者に信頼されるモノはない。
なにしろ力があることは証明されている。
誰よりも被害者自身たちが思いしること。
青龍は聖都の領民を持て余しているとか。
僕らが片付ける分には歓迎するだろう。
青龍は観ているだけで取引は転がりだす。
それを交易再開の呼び水にする。
船か行き交い始めれば当たり前。
漠然とした不安を曖昧な安堵へ。
つまらん葛藤を忘れさせる。
殺されるか。
生かされるか。
誰にも判らんが。
者と物が動き出せば皆、それに跳び着いて忘れようとする。
それにかかる時間はどうか。
都合が良いことに、すぐじゃない。
今年は最初の積荷だけだな。
その間に片付けていただこう。
知らんが判る第二の投機。
人手不足の穀倉地帯。
足りぬを売ることは商い。
ならば人を売る。
南北大港湾都市だけの話じゃない。
大陸沿岸部全体の港と周辺での話。
幸い口減らしが行われなかった処。
海に関わる全てで人手が余る筈だった。
・・・・・・・・・・海運が再開しない限り。
船乗りたちを陸兵に据える。
飢える前に強いる為に。
港湾。
港街。
漁港。
周りの町々からも人を狩る。
飢えて働けなくなる前に。
穀倉の村々。
陸運の要地。
河川の着場。
金と武力、武力と金。
交渉と詐術、詐術と交渉。
人手。
取引。
積荷。
陸だけで回す為に大移動。
数十万人を内陸へ逐う。
沿岸部の中心は、まだ大港湾都市。
大陸富裕層の一番は、まだ皆々様。
生き残った大氏族が纏まり動く。
生き残りたい氏族らが続く。
訳も解らぬ輩が判りもしないで流される前に走り出した後に残るのは?
――――――――――農奴と荘園――――――――――
諸王国時代かよ。
実例があるから再現し易い。
見知らぬこととは違ってな。
問題点もハッキリしてるが。
儲けが減る。
相場が荘園ごとに細切れになる。
荘園単位で売買が行われるから。
差額が増えれば利益が決まらぬ。
増えるのは差額を利用した投機ばかり。
荘園の確定に移住。
農奴の監視と強制。
荘園の確認と守備。
個々に別々に人手と金が費える。
何も生み出さない。
金額人員が不安定。
帳簿の悪夢が必然。
初期費用が莫大。
継続費用不安定。
換金すら出来ない。
証券化すればなんとか
・・・・・・・・・・って、詐欺の計画は最期の手段。
損金なんてもんじゃね~ぞ!
――――――――――帝国が自作農しか許さなかった理由。
諸王国の貴族騎士は大変だった。
・・・・・・・・・・統治の経費を減らした帝国。
広さに拘る騎竜の民。
狭さに拘る農耕の民。
僕ら海の民は、陸の上で生きるべきじゃない。
さて皆々様。
そこに領民回帰しようと投機を始めていれば、また青龍から財貨を投げ付けられますぞ?
なにしろ青龍は例によって領民という金づるをまったく必要としてませんからな!




