表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十八章「帰邦事業」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

819/1003

レミング/dormouse.

【用語】


『催涙剤』

:低致死性化学兵器。普通に殺せるが余り確実性が高くない、という意味で()()()()とされるが勘違いしないように。催涙スプレーなどを利用するときは、それが第一次世界大戦で多様されジュネーブ議定書(戦時国際法)、化学兵器禁止条約に反する戦争犯罪に等しいことに留意すべし。なお治安維持の為なら戦争犯罪に等しい化学兵器を使っても良いと国際(化学兵器禁止)条約(条約第2条9項)で決まっているから国際連合武力制裁/平和創造作戦も広い意味で治安維持だから別に良いんですよと国際連合で決まったそうですがホスゲンオキシム(糜爛性化学兵器)や塩素ガスを使っているのはいったい……あ、対人使用してないから善いんですかそうですか。

なお異世界知性が人間かどうかは国際連合総会並びに日本国衆参両院法務委員会で毎日審議してますが結果次第であらゆる法律が変わるので時間がどれだけかかってもしかたがないね。

きっとクリスマスまでには審議が終わると評判です。


殺されまいとすることで殺される。


免疫反応は御存知かな。

身体を守る為に在る機能だ。


自分、それ以外を識別する。

自分以外を全て排除する。


IFF(味方識別装置)と自動機銃のように。


免疫が無ければ死ぬ。

免疫不全症候群だな。

ゆっくりと外界に浸食され身体は機能しなくなる。


免疫があるから死ぬ。

症状とは免疫反応だ。

急速に身体を消耗させて苦痛を撒き散らして自滅。


病死とは免疫が強かった結果。

医療とは免疫を弱める為の術。


無知な奴は

「免疫を強める」

などと恥を晒すがね。


アレルギーになりたいのかと。


身体を鍛える目的は

「免疫反応に耐えられるように身体を強化する」

ということだ。


医療とは、そういうこと。


病因が死ぬか?

身体が死ぬか?


免疫反応が引き起こすチキンレース。


これはミクロの世界。

マクロの世界も同じ。


内閣官房や外務省(頭が悪い奴ら)のHPを観れば、

「やったら殺される」

ことが推奨されてるがね。


参考にはなるか。

バカのうわごとの逆にすればいい。

最初から無視か。


殺されまいとすることで殺される奴が多すぎる。




異世界大陸東南部(太守領南2500Km)/国際連合軍大規模集積地「出島1」/竜の巣(格納庫)/青龍の水飛竜(海上自衛隊US-1)横下/若い参事】


僕らほどには、慣れていない。


(青龍)を恐れるようなモン。

恐れても無駄なのに。

むしろ危険(龍鱗)を避け難い。


青龍()を恐がるのは病気に過ぎない。


皆。

妹。

僕。

青龍の女。

青龍の水飛竜(海上自衛隊US-1)


僕が背後、すぐに集まるのは皆の意識。


その夜。

――――――――何を感じたのか――――――――


主観でしかあるまい。

集知で及ぶことじゃない。

人の耳目が聴き見た。


かまわんさ。


全体像は青龍しか解らない。

帝国なら起きたことは判ろう。

皆々様(ただの領民)には印象だけ。


さらに僕ら(部外者)は、それすら知らない。


隠してるのも辛い。

知ってるフリ。


綱渡りは短めに。

バレるから。


はよ話せ

・・・・・・・・・・と言えん。


僕にも気遣いはある。

妹や新議長(バカ女)が相手なら、何をしても構わないが。

相手は格上の大富商。


実利の気遣いだけじゃない

――――――――――僕が偉そうに出来る筋に非ず。


たまたま慣れてる。

いや、慣れてる者たち(シスターズ)に、近付いた。

だから開き直れた。


大富商の皆々様が躊躇う所以。


その夜の驚愕。

・・・・・・・・・・認知の前。

その後の恐怖。

・・・・・・・・・・認識の中。

今に至る残響。

――――――――――消えまいな。


悪夢を元凶(青龍)の前では言い難い、と。


青龍の行為だからなあ。

青龍の行いを語ること。

青龍の批判に聴こえる。


今いない皆が青龍に何をされたのか。


どれだけ殺されたのやら。

どれだけ壊されたのやら。

どれだけ何を感じたやら。


そんなことを青龍が気にするものか。


都市の殲滅。

住民皆殺し。

破壊に略奪。


ここまでは特に不思議はなし。


非難はあろう。

怨みも続こう。

もちろん警戒。


帝国や諸王国なら弾圧される。


黙っていれば問題なし。

忘れろとは言われない。

だから語るは赦されぬ。


占領軍への非難が反乱を生む。


戦争遂行への妨害。

戦争終結への阻害。

戦争再発への火種。


度合いはともかく反乱に同じ。

・・・・・・・・・・青龍以外には。


反乱?

反抗?

不服従?


青龍には縁がない言葉だな。

――――――――――残念でした。


無力。

無理。

無関係。

もちろん癇に触る刻はある。


青龍を怖がる必要は、ない。

・・・・・・・・・・無駄だから。


気兼してどうなる?

殺されないとでも?

生かされるとでも?


こちらの生死など気がついてしかいない。


殺してたな、と。

何故だろう、と。

後で考える、と。


過去を取り出せるのだから、青龍には簡単なことだ。


我々を考慮していない。

僕らには興味しかない。

殺してるとも思わない。


その辺りの距離感が、つかめていない、か。


皆が青龍の女を窺った。

それで解ることもある。

一度殺されかけただけ。


それで判ることが僕らには判らない。

――――――――――太守領は経験中。


大港湾都市の皆々様。

青龍と近しくはない。

他の地方は知らんが。


何度か滅ぼされかけないと解らない。

・・・・・・・・・・戻るまで邦があるやら。


無ければ無いだがな。

引き継ぎの手間が省けるだけ。


妹を連れて行くだけ。

船と船乗りを買う手形は十分。


太守領はそんなモノ。

いつ亡くされても当たり前だ。


此処は恵まれている。

まだ大港湾都市は在るだろう。


有難味に気付かんか。

とはいえ気遣ってもいられん。


僕は青龍の女を観た。

微笑み返されたが解ってない。


皆が咄嗟に反応した。

もちろん意味が判っているさ。


わざわざ観せたんだ。

僕が微笑みを求めたその理由。


皆々様に注意喚起を。

回答を求めたのは僕じゃない。


皆の一人が貧乏くじ。

咄嗟に押し付けられたくさい。


打ち合わせは無しか。

本当に寝込みを襲われた、と。


それもまた。


「何が起きたのか判らない」


気が合うな。

僕もだ。

妹も。


判っているのは青龍だけ。


「皆に確認はした」


擦り合わせ?

死なば諸とも?

百聞の集知?


偽装はない、か。


再度、僕は青龍の女を観た。

皆を、それに続かせる。

今さら通じないはあるまい。


嘘は通じない。


敵意なら見逃される刻もある。

殺意すらあやされたりもする。

軽んじることは、赦されない。


青龍の貴族を騙そうとした僕らには判る。

※第9話〈トリガー〉~第10話〈冬の日。春の日。〉まで。


生かされてる。

赦されていない。


邦の命は魔女(自分の女)への贈物。

ここには居ない。


居るのは別な、青龍の貴族の女。

気に留めてない。


どうか舐めた真似をして皆殺しにされないでくれ

・・・・・・・・・・判ってないかも。

その間合い。


「記憶で話すが」


解ってない。

――――――――――逃げを打ったか。

記憶違いと言い得るよう。


「何かを観ることが出来た者がいる」


理解は出来ないから何か。


「鐘楼に居た者、高台に居た者」


逃げ上がった訳で無し。

見張り役。

皆様方邸宅街(高台)住まい。


「夜半過ぎに気が付いた」


まだ判らなかった、か。


「怒号、悲鳴、あらゆる叫び」


なるほど。

人だけが殺された。

建物や船は壊されなかった。


「直接、聴こえてくるほどに」


報告を待たず。

街から離れた高台へ。

舘の中心に居る主へ。

耳まで届く声。


晴れて居ただろう。


青龍が上がって来た夜だ。

わざわざ嵐は起こすまい。

ならば夜の海辺は無風だ。


風に乗らず遠くへ轟く人声

――――――――――何万人の苦鳴だったのか。


すぐに殺して貰えなかったか。

いや、青龍だ。

殺す気なら何万でも瞬殺だな。

殺意は無しだ。

ただ殺す、ことになっただけ。


何万人?

大港湾都市全体が、一息?


船渠、いや造船所は大丈夫か?

船大工や職人は使えてるのか?

周りの工場がやられていたら?


おいおい。

船だけあっても使えないぞ?


補修が出来なきゃ船は動かせなくなる。

しかも時間はそれほどかかりはしない。


使い潰し前提の探索行なら補修具満載。

船団を組み放棄する船から資材を得る。


商船として貨客を運ぶなら、港湾が、商船団を維持するならば大港湾都市が必要なんだ。


船渠。

造船所。

宿舎。

商店街。

街道。

作業路。

資材に金に商品。

職人。

人足。

商人。

衛兵。

女たち。

ただ船を動かす為に必要な陸

――――――――――残っているんだろうな。


僕が必要数を数える間にも話は続く。


「物見は街に近付けなかった」


帰ってこれて良かったな。


「炬火では何かが居るとしか判らない」


居たと判ったなら。

見慣れた型なら判る。

人の大きさまでは判る。


なんだか判らねえな?


「朝になって、やっと観えなかった」



「街中から見下ろすの鐘楼からも、街を眺める高台からも」



「港が在るハズの場所を含めた街全体が、濃い霧、いや、昇らない煙に埋まっていた」


煙獣。

※第165話〈玉手箱/Pandora’s Box〉第167話〈集積・隔離・殲滅/UNF doctrine.〉~第170話〈味方というモノ〉より。


妹は何やら判らない様だ。

報告を読んだだけだから。


僕も解る訳じゃないが。

報告を聴いたから判る。


「生き残った者たちの、一番、多い証言」


西の山のドワーフたちの証言。


目、鼻、口、喉、肺、肌を刺すような痛み。

息が詰まり胃の腑がひっくり返り涙が止まらない。

何も考えられなくなり、じっとしてはいられない。

身体の内側から蹴りあげられるように気絶しない。

息が詰まり死に向かいながら苦しみ続ける。


同じかよ。

――――――――――生き残れたのは、良かったな。



「皆、それに追い立てられて逃げ回った」


船乗りは船に意識を繋いでいる。

風は無くとも開けた埠頭や船内。

一気に全身を舐められはしない。


肌を刺された刻に、気が付かなくても、飛び起きれば考える前に身体が走る。


身体に染み付いた船を守る船乗りの癖。

船乗りは、咄嗟に船内へ逃げ込んだ。

積み降ろしが終わった船内は空いてる。

足元を視ずに走れるようにしている。

船の通路には物を置かれはしないもの。

嵐の最中でも浸水を防げるよう密閉。

反射的に扉を閉じ隙間を塞ぐ常の動作。


陸で暮らす者たちは、そうはいかない。

寝ている時に屋内で丸飲みにされる。

何故に何がと考えてしまったか。


十万人以上が同時に錯乱する。

何も観えない夜中に。


視界が残っていても意味がない。

暴れたら表に出たか。


屋内ならば息が詰まって殺される。

屋外ならば運が良ければ流される。


人並みに圧され、踏み潰されずに、自分たちを、もっとも開けた方に押しだした。


海へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ