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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十八章「帰邦事業」

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市場原理/Over shoes, over boots.

【用語】


『通貨』

:不換兌換を問わず信用で成り立っている。金貨銀貨銅貨なども貴金属の含有率は余り気にされず発行主体の信用が流通の決め手となった。まあ金貨や小判を鋳潰してたら手前がかかりすぎるし金銀銅の柔らかさを考えたら純度高めだと磨り減って流通に堪えないから仕方ない。逆に言えば流通が減り別な通貨に取って代わられたら発行主体の破綻認定後。これからじゃありませんよ、終わった後の消滅過程です。当然、発行主体が残っていれば代理通貨や仮想通貨など生かして置かない力と意思がある。例えば合衆国は実際の通貨よりクレジットカードの決済比率が圧倒した1980年代には消滅したと言っていい。それを止める意思も力も無い時点で国家足り得ず、後に残るのは利用されてる脱け殻。ならポイント全盛の日本はどうかと言えば言わせんなよ恥ずかしい。円単位の仮想通貨の取り扱いレートが違う金券屋に出来る行列を眺めると失敗国家の闇ドル買いと全く同じ構図のように観えたけど、よーく考えたら失敗国家は必死に通貨支配を取り戻そうとしてましたね。通貨主権を財務省が率先して放棄していることに気が付きすらしない。


(通貨)を捨てたのか?

(通貨)に捨てられたのか?


国家(日本)が国家公務員に捨てられたのは間違いない。

なら、わたしが拾ってもいいよね?



通貨とは信用です。

信用とは価値です。

価値とは幻想です。


それを共有できなくなったら社会が終わった後です。





異世界大陸東南部(太守領南2000Km)/空の上(高度3000m)/青龍の水飛竜(海上自衛隊US-1)/若い参事】


僕は装飾が嫌いだ。


もちろん普段から装飾品を身に付けてはいる。

殺せば済む相手ばかりじゃないからな。

騎士貴族役人奉公人の類いに貴石宝石は効く。


忍ばせるなら剥き身が礼儀。


運び易く。

隠し易く。

贈り易い。


金より固く磨耗しない。


隠しに小袋。

袋に小粒。


金より軽く小さな粒々。


纏めるもあり。

粒ごともあり。


相手の値より少し高く。


それで他人を買える。

それが人の価値というもの。

そんな宝飾なら解る。


我が身を飾る

・・・・・・・・・・此れが解らない。


人は他人に買われる者だ。

値を付けられて一人前。


そうは成れない者は居よう。


売り込まれるならまだマシだが。

売り込むなどとは底値が知れる。


そうは為らない者まで居る。


持ち物を晒す。

我が身を飾る。


財布を曝してどうすると言うのか。

見せ金なんぞ賭場でしか見せまい。


――――――――――当座の金は在る。

付けが利かねば観せねばならぬ。


懐の薄さを視透かされてでも。

・・・・・・・・・・商いではないわな。


社交とは商いのこと。

社交に群がる田舎者。

社交の為に行う社交。

社交とは、いったい。


此れ観よがし。

――――――――――世辞の一つも言わねばならぬ。


自らを飾る。

――――――――――上げ底水増しは必要がない。


誘う蘊蓄。

・・・・・・・・・・聞きたくねーよ。


信用を示すなら、纏う生地で十分。

飾りを重ねれば肝心要が視え難い。

目利きに伝えるには比較を避ける。


判りやすい物で釣れるのは解らない者。

一見で終わる雑魚は手代までの相手だ。


その為に選別篩架け。


良い物一つ。

良い者一人。

良い客だけ。


だから飾りを避ける。


金を使い終わった者と商いは出来ない。

身を飾っている者は金を使った後だ。


懐具合を視ること。

懐具合を観せること。


目立たなければ逆に目立つ。

布の良し悪しなら判り易い。

金貨証券に代わる決済材料。


その為に生地だけに拘って観せる。

我が家の場合は多少行き過ぎだが。


船主だからな。

むしろ船乗り。

それは僕だけ。


船に乗れば流される。


風。

潮。

嵐。

波。


全て織り込み済みだ。


上手くいかない。

判っていれば巧くやる。

だから船乗りが成り立つ。


工夫の一つが、布。


材料は栽培しなければならず。

織る為には人を集めねばならぬ。

長持ちはするが、消耗もする。


しかも、わざわざ用意する必要がない。


船の帆となる消耗品。

軽く畳める良い商品。

何処(いずこ)も通じる交換品。


船は流され、流された先で金貨が通じるとは限らない。


品位(金含有率)を計る道具が無いこともあり得るだろう。

正確な秤が在る処はかぎられている。


計りを試みる手間暇を架けないかもしれない。

悪銭を疑われずとも門前払いはある。


貴金属に価値を見出ださない事もあるだろう。

交易路でなければ、それは十分ある。


帝国が通貨を護るためにどれだけ労力を注いでいることか。


支配下に居なければ判るまい。

互してみなければ解るまい。


支配する価値が無ければ。

支配する武力が無ければ。


なればこそ金の及ばぬ処

帝国の視界に入らぬ世界。


海の上。

波間の中。

海の向こう。


義理と恩義は船乗りの基本。

我が金(個人資産)など地に脚が着いた理屈。


船板が生死を別った船が上。

そこに金を持ち込む奴は居ない。


金銀銅貨幣は港に街中の話。

航海の最中に拘り様がなかろう。


陸地なら金が通じる、訳でもない。


嵐から外海を避ける為の避難島。

(とまり)が在るが港はない。


大陸(市場)に繋がっていない。

通貨が通じる試しなし。


それでも最低限、真水を得る必要がある。

真水は腐りやすく、海では手に入らない。


島に動物が居れば水がある。

誰か居るなら探すより買う。


物々交換なら何時でも何処でもやれる。


そこで予備資材の布を使う。

むしろその為に余分に積む。


普通、船体の補修修理は港で行う。


大陸沿岸は最大の交易路。

港も漁村も少なくはない。


そのように航路や日程を組むのは容易い。


航海中に行うのは最後の手段。

頻繁にはあるが必ずではない。

それこそ物々交換と同じ頻度。


船乗りとは、船を動かす者じゃない。



――――――――――商人のこと――――――――――



むしろ一番最初の商いは船からだ。


必要な物は身の回りで造る。

村から出ずに生涯を終える。


脚で周れる範囲など知れたものだ。


そも身一つでは知れている。

船があるから数量を運べる。


そして商人だから誰かが居れば何かを買える。

中には島民が観えない島などもざらに在る。


いっこうに構わない。

むしろ簡単な商いだ。


船乗りなら誰にでも出来ること。


昼間砂浜に、こちらの商品を置く。

瓶と箱に、布を一杯積めて置く。


船に戻り砂浜を視ない。


朝には交換が終わっている。

瓶へ真水、箱に果実や木の実。


交易路を外れても補給する方法。


それで船乗りは命を繋げる。

当然、島への手出しは禁止。


全ての船乗り漁民が倣い。

破りそうな者は皆で殺す。


承知で破れるとすれば青龍か赤龍(帝国)くらい。


ヤれるとヤるは別だが。

幸い共に無駄が嫌い。


帝国は海に関心がない。

だから問題はない。


青龍は海を支配してる。

つまりは用がない。


今、僕ら(船乗り)に風が吹く。

――――――――――特に僕へ。


青龍は海を独占してる。

ずっと続けるつもりはない。

こうして僕らを連れ出す様に。


ほどなく珊瑚や貝殻の買付も再開出来よう。

・・・・・・・・・・貪欲なことだ。


我が家の商い、その一つ。

皆には単なる避難港。


嵐から逃れ補給が出来る。


無数の島、その中の一つ。

我が家には独占仕入れ先。


そんな島も中にはある。

何故なのか誰も知らない。


まったく姿を観せない誰か。

絶対に視ようとしない僕ら。


もちろん僕も観たことはない。

他の船乗りには何時もの補給。


僕らだけが珊瑚や貝殻、香木を取引する。


何故なのか僕も知らない。

皆が利用している島の一つ。


昼間砂浜に置く。

朝になれば入れ換わる。


やり方は皆変わらない。

違いは一つだけ。


指輪、だ。


僕の氏族、直系当主家紋。

港なら誰でも知っている。

だから誰にも気付かれぬ。


ただ置く。


鍵箱に入れて。

鍵を持たぬ船長が。

鍵は島の誰かも持つ。


箱を開く。


朝には布の代わりに入っている。

真水や果実や木の実の代わりに。

珊瑚や貝殻、香木に代わってる。


代々続く。


鍵を交換する手順が口伝されているくらいに。

つまり何処かの誰かも鍵と手順を口伝してる。

何処かの誰等と知らぬままに取引は続くのだ。


その為にも、交易路を再開しなければならない。


青龍により塞がれた海。

それは解放された。

外海へ向かうのは禁止。

認可された船のみ。

元々外海に向かわない。

認可数に限りなし。


好きにしていいってことだ。

――――――――――今は仕方ない。


船主に不満はあるまい。

僕ら太守領だけじゃない。

沿岸の港全てが解放された。


青龍は、そこまで。

――――――――――殺さないから好きにやれ。


今まで通りか、より以上の商いが出来る

そうするのは青龍ではなく僕らの役割だ。


我々は、何処まで?

・・・・・・・・・・殺されない範囲は、青龍次第。


幸い、不足と余り在り。


今、太守領には小麦が溢れている。

大陸南部に出荷されるはずだった。

それを前提に帝国軍は小麦を徴発。


西方遠征の為に全軍を西進させる。

兵糧を沿道で調達するのが効率的。

遠征準備期間を最小化するために。


新しい小麦は軍で消費してしまう。

大陸南部の需要は穀倉地から移動。

古い小麦の備蓄物質は予備とする。


不測の事態は起きるに決まってる。

だが備蓄と海運力ならば対応可能。

その最中に東から青龍が侵攻した。


しかも、海を塞いで。


大陸南部の帝国資産は青龍が接収しただろう。

太守領と同じように。

徴発された物質も灼かれたか接収されたかな。


元々大陸南部は穀物の買い手。


売り手の海運が止まってしまえば穀物不足。

大陸沿岸部全体で青龍と赤龍が殴り合い。

物者知らせの流れが途切れるに決まってる。


今、大陸南部を覆っているのは?


物不足。

運び手不足。

状況不明。


市場が開けば最悪だ。


投機が始まる。

後先を考えない博打。

馬鹿と阿呆が殺し合うか。


青龍の眼の前で

・・・・・・・・・・双方皆殺し。


そうなれば大損。


減作前提の今年はいい。

来年から作付は回復する。

小麦を誰に売ればいい。


皆でパンを食い発泡酒でも飲むか?


食って寝るだけか。

嗜好品贅沢品なし。

海運商は終わりだ。


航海に出にくくなるのは不味い。


だから船を出すつもりだった。

現物がある太守領は強い。

売り込むだけでも効果がある。

派手に商談を重ねるだけ。

小麦の出荷は後でも構わない。

大商会は協力するはずだ。

信用があれば中身は要らない。

必要なのは急ぐことだけ。

まだ大陸が残っているうちに。


なんで僕が、と妹に言われたが。


方法は誰でも考えつく。

信用は皆に借りられる。

口先一つで済むだろう。


ヤれるとヤるのは違う奴。


どうせ皆は、生死の損得勘定で横並び。

怯えて立ち竦んでいるのが目に浮かぶ。

だから眼で視て目に者を観せるだけだ。


嵐の後と同じ。


誰かが進めば誰かが続く。

誰かが儲ければ誰もが続く。

誰もが競えば誰も皆が忘れる。


誰でも良いなら僕でいい。


誰も居ない海へ乗り出すこと。

誰でもいいから売り付けること。

誰かと競り合い儲けることを。


だったんだがな。


舞台を用意してくれた青龍の貴族に感謝しよう。

ご領主様の女(魔女っ娘)を後援することで。

もちろん我らが奥方様(魔女っ娘)の欲望にも応えましょう。

青龍の貴族(貴女の男)に最も愛されなさい。

顔と肢体と性格の他は我ら氏族が後援出来よう。


お礼(返済)は結構。

感謝(利子)だけ願う。


貴女(魔女っ娘)は唯々、彼に甘えて愛されて、片時も離れられない様になさい。


そのうち彼女の装飾として、僕も青龍の帝国に行きます故。


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