喰うてみぃ飛ぶぞ♪︎
【用語】
『海産物』
:海性魚介類や海藻などからなる食物。採取技術や保存輸送技術が未発達な時代は、獲れない/採れない/運べないと言うわけで広く摂り入れられたのは近代以降。そもそも人類は川河湖などの水源近くに居住する傾向があり、飲用水が採取しにくい海岸線には居住し難い。海水を淡水化するには技術や燃料が必須であり、労力もかかる。陸棲動物なら努力だけで獲れるが海上へ乗り出すだけでも技術の蓄積が大変でそこから海中を狙うなんてとてもとても。ましてや農耕が進めば塩害確実な海岸線に住まうなんてあり得ない。現代以前の海産物は珍味の類いであり、10km程度内陸に入ればわざわざ食べてみたいとも考えなかったりする。
――――――――――殺す――――――――――
我々にとっては単語でしかありません。
現代地球人類で言えば10億人。
まあ多く見積もっても15億人未満。
少数例外の、いわゆる先進国。
我々には何の意味も持ち得ない。
あるいは気分。
あるいは呟き。
あるいは気紛。
では、人殺しが禁忌ではない世界では?
地球人類の圧倒的大多数。
55~60億人前後。
異世界種族全て。
意味がある。
罵倒ではありません。
比喩でもありません。
言葉ではありません。
行動です。
コミュニケーションが取れる対等の知性体の生命機能を物理的に回復不可能に破壊する。
――――――――――殺す――――――――――
《国際連合統治軍軍政官講習会より》
【異世界大陸東北部/聖都/元帝国軍軍港/現青龍港湾/埠頭/青龍の貴族正面胸の中/エルフっ娘】
あたしって、こんなに気分屋だったかしら。
氷女、って言われたこともあるのにさ。
連中が気分を害したから憶えてる。
ざまをみなさい、ってね。
今日の好きが、毎日浮かびそう。
好いことも嫌なことも忘れないのがエルフ。
印象深いことが真っ先に浮かぶ。
それはそれは愉しい思い出。
たくさんいる嫌な奴等の嫌がる顔。
今日今それは楽しい想い出。
愛する独りに気遣われる後ろめたさ。
いつもみたいに求めてもらう、好さ。
足掻いている時に救われたのも好き。
でも、どうにもならないときに支えられたのは、スゴく好い。
気が付かれて当たり前なのに、気付かなかった、あたしだけ。
不覚の上に呆然としてしまった、あたしに伸びた、彼の指先。
失敗して落ち込むなんて百年ぶりかしら?
慰められて舞い上がるなんて初めてよね?
為して当然のことをしくじる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・彼が髪を玩んでくれた♪︎
自分の女から眼を離さない。
さっきも今も何時でもそう。
肢体に触って示してくれる。
欲しい時には焦らすくせに。
必要になり前に。
求める前に。
与えてくれるわ。
ダメなコトはダメなまま、ならもっとダメに成りたい、それが幸せ――――――――――。
「元気じゃの!」
最後に奴等が来やがらなければ最高だった。
「孕めたのか?」
まだよまだ!
・・・・・・・・・・相手にしちゃいけません。
「仕込めとらんか!」
なんでわか
――――――――――我慢ガマンがまん。
「抜かんのか?」
あんたらなんか斬らないし。
「抜けんのか」
!!!!!!!
・・・・・・・・・・すっごく両腕両脚頚を斬りたい。
「いかんのぅ」
むぅぅぅぅぅ
――――――――――後で関節外してやろうかしら。
「よく効く酒をやろう」
おさけ
・・・・・・・・・・駄目だめダメ。
良い酒は敵。
女は女だけ。
食は料理だけ。
酒は酒だけ。
彼は一つ一つを愉しむから、給仕しかさせてくれなくなる。
あの娘みたいに料理が出来ない。
妹分みたいな御茶も注げない。
愛でらるだけになって、立つ瀬がないわ。
「不甲斐ないのぅ」
無視むしムシ
――――――――――肩竦めんな。
視界に入る部分だけでも鬱陶しいのに、すべて観えちゃう。
音を視る。
青龍の発想。
エルフの耳。
あたしと彼。
二人の力。
青龍にも知られないように振る舞うこと。
――――――――――彼の命令、あたしだけの秘密。
風が伝える音。
耳を澄ませれば解る。
温度差が生む変調。
陽射しと色が生む風。
解れば判る。
遠く離れた音を聴くのは産まれた時からの習慣。
眼に映らない色が音に為ると教えてくれた貴男。
彼に判らせてもらえば、あたしでも解ってくる。
青龍が魔法で視ている世界を、あたしだけが。
そこ、重要。
あたしだけに。
他でもない彼から。
エルフなら誰でも出来る。
中から独り、女を選んだ。
黒旗団にだってエルフはいるのに。
あたしに教えて口止めしてくれた。
うん。
――――――――――♪︎♪︎♪︎♪︎♪︎♪︎♪︎♪︎♪︎♪︎♪︎♪︎♪︎♪︎
「笑とる笑とる」
あたしいつも笑顔だから!
皆を心配させたりしないし!
客を警戒させたりしないし!
恋仇だって油断を誘うし!
無視すべきは、あんたたちくらいよ!!!!!!
「惚れた男に常日頃から可愛がられ続けとる女は判りやすいのぅ」
「「「「「「「「え!」」」」」」」」
皆が反応してしまう。
――――――――――あたしまで彼が視てる刻に!!!!!!!!!
このドワーフども~~~~~~~~~~~~~~~~~~。
【異世界大陸東北部/聖都/元帝国軍軍港/現青龍港湾/埠頭/青龍の貴族左手/お嬢】
わたくしは貴男を窺います。
視るのは不躾。
観るには楽しい。
そして見られてる。
常のことではありますけど。
判る歓び
解る悦び。
わたくしへこそわからせられる、御意志。
ご領主様。
他の青龍。
あら、わたくし風情が、思い上がりです。
青龍の皆様。
ご領主様の女、なればこそ自覚しますわ。
たかだか領民であることを。
きっとそのほうが、ご領主様の役に立つ。
女として楽しんでいただければ十分過ぎますのに悦ばされてばかりを愉しまれていますから仕方がありませんわよね?
ね?
ね?
ね?
・・・・・・・・・・何でも頷くのは貴女たちの悪い癖。
ともあれ、ねえ様。
御顔が怖いですわ。
【異世界大陸東北部/聖都/元帝国軍軍港/現青龍港湾/埠頭//青龍の貴族正面首筋/エルフっ娘】
あたしに聴こえる港の一面。
その一角は青龍の海竜。
大型船の三倍はある巨大な竜。
身動ぎもしないで波を割る巨体。
いったいどうやって泳いでるのかしら。
風を翼に受ける飛竜。
脚で踏みしめる土竜。
魔法で動くゴーレム。
――――――――――あたしたちの知る世界。
青龍の使役するモノは、どこか違う。
空を斬り裂く大隼に超雀蜂。
大地を鱗で踏み硬める土竜。
海自体を圧して退ける海竜。
・・・・・・・・・・あたしが知らされる世界。
訊けば教えてくれるのよね。
その前に感じて置かなくちゃ。
知識と感覚の差が解らないと。
理解出来ずに、使われるだけ。
――――――――――あたしを使うのは彼だけ。
それは貴男に任せて置けば良い。
今は観ること、眺めること。
アタリを付けて置くだけで。
だってのに、観にくいこと。
海竜、その背中からはみ出してる多種族。
ドワーフ。
獣人。
人獣。
人。
・・・・・・・・・・エルフまで!
関係無いのに、何故むかつく。
だいたいなんではみ出すのよ。
獲物を捌いて宴会気分かしら。
強烈な磯の香り。
海産物たくさん。
主にクラーケン。
また取ったのね。
原形が無いけど。
薄切りにしてる。
斧でぶつ切り、刀で小分け。
海水をかけて天日に干して。
酒を干して空けた樽には墨。
港まで乗り出して干物や燻製を拵えてる。
塩釜で塩を造りながら、魚と合わせて鍋料理。
煮ながら周りで炙ってるし、統一がないわね。
・・・・・・・・・・思い付きか。
それでも塩、酢、強い酒なんかを多用して青龍が食べやすいようにはしてるみたい。
水が合わない、なんて長旅の基本だけど。
遠征軍旅を常日頃にする青龍は注意深い。
熟成させた食べ物は必ず火を通すくらい。
だからドワーフたちもそれに合わせてる。
ドワーフたちが食べながら料理。
こいつらが中心なら集中しなさいよ。
当然、あたしたちを構わない訳がない。
「クラーケン焼きじゃ」
「割きクラーケンじゃ」
「クラーケン揚げじゃ」
「クラーケンの肝じゃ」
「クラーケンの煮付け」
「クラーケン墨シチュー」
「海藻はこんなに旨いんじゃぞ」
海を初めて観たドワーフじゃない。
昆布の味くらい知ってるわ
――――――――――クラーケンは食べたことないけど。
「氷魔法で硬めてから解呪すると生でもいけるらしい」
なにそれ?
「クラーケンはスゴいのぅ」
「知らん魚の兜焼きをだな」
クラーケン関係ないじゃない。
初めて海を観た田舎者じゃない。
とりあえず全部料理じゃない。
「喰うてみい、いくぞ」
「「「「「「「わぁ♪︎」」」」」」」
あの娘たちが喜んでるのは、まあ好いか。
【異世界大陸東北部/聖都/元帝国軍軍港/現青龍港湾/埠頭/青龍の貴族右手/魔女っ娘】
ご主人様は好きかな?
わたしは見詰めています。
他の物も観ろ、って言われますが。
わたしの至らないところ。
海の幸はクセが在るけど美味しい物が多い。
クラーケンは風味が大人しいような。
合せる。
併せる。
和える。
食材は尖っている方が扱い易いです。
あ、頂きました。
ドワーフさんたちは料るより仕込み。
干す。
燻す。
凍す。
でも素材のママでも美味しいですね。
これはもしかしたら。
基にすべきなのかな。
描くなら、頂くなら。
貴男の為にだけ在る料理
・・・・・・・・・・・・色々な物を知らないと、もっと楽しんで頂けません。
ご主人様の知らない味。
ご主人様を驚かせる味。
ご主人様が健やかな味。
わたし自身だけを愉しんで頂きたくはありますが。
贅沢はいけません。
我儘にならなきゃ。
選んで欲しいです。
たくさん沢山の悦びから、わたしを、わたしだけ。
・・・・・・・・・・それこそ贅沢ですね。
ドワーフさんたちは凄い。
火加減、味付け、調理法。
お酒の使い方が上手です。
わたしは余り強くないので、もっと慣れなきゃです。
ねえ様に味見してもらおうかな。
ドワーフさんたちが嫌いだから。
ちい姉さまに頼んだ方がいいか。
わたしは傍ら、ご主人様の指を咥えます。
「さきっちょだけかの」
・・・・・・・・・・?
「さきっちょからじゃ」
――――――――――――――――――――!
そ・そ・そ・そういう意味はあんまりほとんどそれほど無くて入れられるのではなくわたしからの時は肌の味わいで味付け加減が解るからという方が主なんですよ?!?!?!?!?
言い訳コーナー。
知ってる人はスルー。
最近、物の値段が面白いです。
値付けってのは元々不思議なものですが。
この作品なら正規価格で観たかったな、とか。
二回観るほどでなければチケットを買い直すだけですが。
コレを忘れさせてくれるなら、プラス正規価格十倍支払う!とか。
お陰さまでアカデミー賞と聴くと避けられるようになりました。
値は需要と供給で決まる……訳がなく。
気分と偶然の産物です。
市場という成立し得ない仮定は、さて非アカデミックで、未だに語られてるんですかね?
わたしは視聴しないから知りませんが。
そして今!
わたしが嗤って観てるのはマスクです。
安売りが始まった……売り抜けようとしてるな?
空き棚が増えたな……生産と仕入れどちらが減った?
必需品ではない浮き草商売、水商売。
通気性重視のコロナ対策専用マスク。
在庫も生産ラインも医療転用不可能。
顔を晒せない女性向け需要に賭ける手もあり。
同業者が撤退し尽くすまで待てば隙間産業独占?
チキンゲームか肝だめし、或いはロシアンルーレット。
ギャンブルの醍醐味はギャラリー。
ここ数ヶ月が見世物ですね。
チューリップバブルかな?
歴史を見届けねば!
正確には馬鹿の足掻きを嘲笑する責任を果たしているだけですが。
と言うわけで脚を使って嗤い歩いております。
と言うわけで走りスマホで人混み余裕ですが。
執筆はし難いです。
よって更新スケジュールが遅れるハズ。
以上、お知らせでした。




