無視される努力/low observable.
【用語】
『黒旗団』
:国際連合軍独立教導旅団。ドワーフやエルフや獣人に人獣などの異世界人と、地球人類(ASEAN諸国兵大隊)が同じ戦列を組む、初の多世界複合部隊。元々は帝国軍最強の魔法騎士「黒騎士」(魔法使いと竜騎士を兼任できる異世界最強の戦士)が個人的に率いていた傭兵軍。決闘(?)で「黒騎士」を殺した(第24話<黒騎士>参照)元カノ個人が団員たちの個人的忠誠心を継承した。それに目を付けた三佐、おっと国際連合安全保障理、ではなく軍事参謀委員会が「実戦経験豊富で各級指揮官もそろっているが絶対数が少ないので部隊編成に難がある」ので「とりあえずまとめておいた」ASEAN諸国連合部隊を組み合わせて再編成した。「帝国最強」と異世界で知られている騎士団。「異世界人と地球人が一緒に戦う」姿を見せやすい。という訳で異世界と日本双方への宣伝素材としても活用されている。しかも元カノの私兵に近い(そのもの?)ことがかえって政治的に使いやすいと思われており、あえて所属があいまいなことになっている。捕虜救出などの活躍、軍規違反者の殲滅見せしめ、魔法の医学複合転用から科学的な魔法強化に人体実験まで勲章と戦争犯罪の宝庫。「三佐」がちょくちょく姿を見せることでお察し。
羆より強い人間は居りません。
羆に負ける人類は在りません。
人間より力が優り。
人間より精密器用。
人間より発想豊か。
なんなら、より美しく経験豊富で千年分の知識を学べると加えましょう。
地球人類に勝てる訳ないじゃないですか。
《国際連合経済社会理事会/国際連合開発計画/多世界種族関係部会議事録より》
【国際連合軍第13集積地/港湾区画/埠頭/青龍の貴族】
俺は笑顔を心掛けた。
くにさきなら日本列島へ一海。
目の前の船は、お馴染みだ。
コネもあるし顔も効く。
何食わぬ顔で乗り込めるだろう。
防疫上帰国は無理か。
船の中は日本だから。
これは帰国なのでは。
帰ってもいいかな?
――――――――――などと表情に示せば誰かが笑う。
とても善い笑顔で。
観せに来るだろう。
ますます笑える様。
貴方は太守領に帰るのよ、って口調まで判る。
・・・・・・・・・・嗤いじゃないのが余計に怖い。
本気なんだろうな。
悪気がないんだよ。
気持ちの問題って。
これを表情犯罪と言います。
ディストピアに犯罪はないとか。
法律もなければ刑罰すらない。
其処にいることで既に断罪済み。
おっと思考犯罪
――――――――――脱獄は計画的に。
復活みうら・あつみ型にも世話になった。
やっぱり海上自衛隊の艦艇ならこれが一番。
護衛艦艇に潜水艦は住み心地が悪いから。
いや、二千人以上を一隻にぶちこんだのはアレだが。
おおすみ型のキャパシティは民間人で千人程度。
とは言え現代想定だから余裕取りすぎ。
数日間くらいなら生ける活けた。
異世界の帆船だと時間がかかり過ぎるからな。
もちろん太守領と聖都はかなり近い
順風満帆なら速度に大差ないが。
異世界の操船技術は現代に近い。
地球人類史上の大航海時代。
あれは一度確立したローマ技術を再現する過程。
試行錯誤どころか基本失敗。
異世界の技術は暗黒時代前の中世で考えればいい。
風さえ掴めば20Ktは行ける。
しかも海流と風が絶えない沿岸航海。
海岸線で海流が収束されていく。
地形と海陸寒暖差で風が生じる。
しかも通年漁業や海運で既知の航路。
大陸東岸に限れば異世界側有利。
海運と海戦は真逆だからなぁ。
空輸と空戦がそうであるよう。
求められるスペックがちがう。
単純に新しいものが優れてやしないし勝てもしない。
輸送任務で全速出さない現代船。
風を掴んだら全速しかない帆船。
動力船と帆船の違いは長距離に出る。
24時間巡航推進出来る。
昼間だけ風を操れる。
稼働時間でざっと三対一。
昼夜を重ねることで生じる格差。
灯りがない。
これが現代との違い。
安定した強い照明は世界を三倍にする。
そこを利用出来た。
良かった良かった。
たった一隻と言うなかれ。
民間船舶異世界導入予定は未定。
揚陸艦艇だけじやなく、護衛艦艇は余ってない。
日本海の封鎖に忙しい。
防疫上の理由だから。
軍事作戦より厳重。
余ってる奴が無いこともないんだけど事故物件。
それ勧められましたよ。
使い途がなくて浮いてるだけの奴。
ひゅうがでどうだ、燃費悪いから一隻だけど
――――――――――断固拒否!
いつか立派な核兵器を造る為に建てたけどそれ自体が利権化して暴走しちゃってコストもリスクも無視して金だけかかる原子力政策ってのがありましてね。
いつか立派な航空母艦を造る為に建造したけどテスト用だからって言い訳してサイズ的に母艦にならね~よってのに多種多様な機能に加えトラックも運べる。
空母、何処?
要らんけど。
しかも既成事実の積み重ねと技術蓄積のハズが二隻目起工済み。
試製にしちゃ高すぎるし、二隻要らんだろ。
金を溝に棄てるのがそんなに好きなのかと、異世界転移に合わせてスクラップ。
ただ解体の予定は決定調整中。
しかも後続艦計画があったとか。
もちろん中止されたが、頭がヤバい。
いずも型、だっけ。
多用途。
最新鋭。
汎用性。
兵器開発の死亡フラグ。
オスプレイとか。
統合打撃戦闘機計画とか。
うちの戦車とか。
偽装空母目指してヘリ空母モドキに辿りついた半端設計爆笑スペックの軍艦ゴッコなんか呉に沈めて漁礁にすればいいのだ。
揚陸艦の癖に無駄航空部隊を積んで輸送力全捨て。
第二次世界大戦じゃあるまいし洋上航空戦力って。
対地支援にしか使えない空母より潜水艦増やせよ。
それすら出来ない偽装空母ムダと言ってんのによ。
だからチャーチルに軍人は終わった戦争の準備中って言われる。
それならマシだが。
終わった戦争の終わった戦術を目指し終えてるって終わってる。
半世紀以上前の夢をもう一度!
・・・・・・・・・・いっそ石器で戦えや。
ネコ型ロボットの夢を今一度!
―――――――――IT技術ゴッコすら理解できんで。
サイズ1,5倍で戦車積めないとか。
兵は便乗のみ揚陸艇使えないとか。
輸送ヘリを同時離発着できるとか。
お値段倍掛けですまないんです。
乗員だけで通常型の3~4倍。
ランニングコストって言うね。
上陸戦する気がないのは良く判る。
空母転用もゴッコ遊びレベル。
本気で空母とか言われても困るが。
今時、洋上航空戦力ってさぁ。
征海覇権を暗黙の当然とした発想。
昔戦艦、今空母。
制空権を前提にラジコン機で戦争。
それそんな感じ。
タイムスリップでもさせないと出港させる意味がない。
素人ウケが最高。
考えず感じた形。
帝国海軍の怨念。
現代の八八艦隊。
観艦式専用神輿。
強訴に使えそう。
曲がりなりにも侵略戦争中に出港させられない。
させなかったけど。
瀬戸内海で浮いてる。
だからこそ、おおすみ型。
だけどなぁ~。
良い船だが亡命生活にはやや狭い。
帰国解禁まで。
うん、無理。
経験者、もちろん戦闘なんかしない、は語る。
これでも普通の自衛官。
戦場は専門外です。
せいぜい平和維持活動。
自衛隊が戦場なんていったら日本は詰んでる。
本土決戦じゃねーか。
やるやる詐欺が講和の道。
降伏したら話にならん。
したんですけどね、前回。
ともあれ自衛隊が戦っちゃ終わりなのは一般論。
だから国際連合が在るわけで。
戦争してるのは俺たち国際連合軍。
だからと言って戦うのはやだ。
上陸戦なんかしたことない。
したいとも思わん。
強襲じゃなくても。
戦場は嫌いなんだ。
と主張すると俺の為に上陸戦を仕掛けかねないパワハラの神様がいるから要注意だが気を付ければ回避可能と信じてる。
普通科だけど。
事務担当だし。
過去形だけど。
書類と言葉の上での昔馴染み。
もっと馴染んでいたかった。
配船業務で終えたい職歴を。
まだまだ活躍の余地はある。
いやいやいやいや、監視記録装置が視てる。
港と船に意識誘導。
ドックの整備は進んでも、限りはある。
別に異世界だからじゃない。
日本列島だって何処でも良い訳がない。
だから揚陸艦艇は役に立つ。
いつでも。
何処でも。
いつまでも。
水路が無ければ?
そんなところで大規模な軍事作戦なんかしない。
ってか、出来ない。
大量の予備部品と燃料と砲弾と支援部隊を運ぶ。
内陸部じゃ無理だ。
大規模な鉄道網がある西ヨーロッパは特異例外。
戦車戦なんか異常。
迎撃なら事前集積出来るが攻撃なら全く不可能。
なら迎撃も無意味。
欧州と太平洋以外では世界大戦が出来ないわけだよなぁ。
水路があるなら?
それは船が通れる隙間のことじゃない。
道ってのは出発点と到着点のこと。
コンテナ船でどれだけ運べても。
降ろせなければ意味がない。
降ろす時間で無意味になる。
揚陸艦艇ならその心配が少ない。
岸で十分。
だから内海沿いに進撃したんだか。
内海沿いに進撃できるから、かな。
一体異世界の何を先ず視たのやら。
異世界転移に気が付いた政治家、軍事を一任された合衆国大統領の眼。
生物?
文化?
軍備?
地形なんじゃないか、と予想。
ここなら輸送機を降ろせる。
ヘリの積載量じゃ話にならない。
ここなら揚陸艦艇が使える。
重機降ろしじゃ作戦にならない。
ここにまでなら前進できる。
後は物質を山ほど空輸して大規模集積地に積んでしまえばいい。
後のことは後で考える。
・・・・・・・・・・ってところか。
兵は拙速に如かず。
それも一つの計画性。
準備出来れば準備される。
時間は両方の味方だから。
今は十万人規模の現代軍隊に侵略戦争をさせることができた。
後は港湾、ってか積み降ろし施設だけ出来れば、良くはある。
港自体は魔法を駆使した異世界の岸壁規模強度で十分だから。
鉄道まで望んじゃ贅沢だ。
敷設準備はよ終わらんか。
街道が十分整ってるしね。
大規模輸送車両群の行き来に耐えられる帝国流道路網。
土竜やゴーレムが自走するだけのことはある。
舗装技術だけじゃなくて民間委託の整備体制。
沿道の村々街々が街道整備することが習慣化。
しかも軍事的な都合で消耗が増減したら、それにも対応する出来る。
別に予告は要らない。
街道はただ使われるだけ。
使い辛くなれば処刑。
ならない限りは免税特権。
街道周りの経済効果を考えれば垂涎の役目だとか。
ここでも助かる帝国行政。
異世界侵略最大スポンサー。
なにもかも帝国の奢りで進む異世界侵略。
国際連合の異世界侵略部隊。
帝国が整備し続けてる道。
その道と帝国を踏み砕いて進んでいる。
まあ聖都の場合は進路上に無いが。
舗装資材と作業員だけ有り余る。
国際連合の大規模集積地としての意味も違う。
国際連合の異世界最北方拠点。
もっと北には太守領があるが。
勢力圏北端は第13集積地だ。
異世界大陸東北部。
異世界大洋北部。
全体を統括。
日本列島の北部方面隊と連携しながら北の侵略を担当している。
つまり太守領。
でも俺たちは聖都指揮下にはない。
侵略済扱いってのもあるが。
国際連合軍と国際連合統治軍の住み分け。
俺の上役が三佐だからな。
さらに太守領以北に侵略は出来ない。
異世界人類の生活圏、その最北端だ。
領土主張の為だけに無理矢理旗を立てる習慣。
19世紀以降、国家が生まれてからのモノ。
異世界文明に、そんな訳判らない習慣はない。
これからも生まれないだろ。
地球の先進国で、そんな馬鹿な習慣は廃れた。
立てたがりはいるけどねぇ。
例えば揚陸艦の旭日旗と国際連合旗よりデッカイのに並んで立ててある黒い旗とかな!




