死に甲斐。
【用語】
『UNESCO調査団』
:国際連合三大暴力装置の一つ。
研究員を中心に調査作業用機材専用技術者、専門工兵隊、戦闘部隊を保有する。国際連合軍が戦争遂行上の必要のみに注目して資料収集をしているのに比べ、異世界全体への解析を目的として資料集めをしている。基本的に国際連合軍の勢力圏内で活動する為に、戦闘部隊は歩兵や軽車両が中心。そのために国連軍部隊がバックアップに待機することが多い。研究員たちにはファナティックな者が多く、地球人だけではなく現地加入の異世界人も多数参加。戦闘部隊には国連軍からの出向組が多く、非戦闘員への殲滅戦に否定的な者が多い。
試料を減らされては精度が下がるからだ。
あんたは知らない明日を楽しみにしとろうが。
なら誰も知らない「死」をなんで恐れられる?
《国際連合/経済社会理事会/教育科学文化機関/調査団異世界浸透計測/異世界種族覆面ヒアリング》
【聖都南方/青龍の城郭/縄張り東海側/波打ち際から10m/青龍の女騎士団半円陣中央/青龍の貴族背中/エルフっ娘】
あたしには解らなかった。
戦場で先陣を斬ることこそ在れど、昂ったことはない。
いつもの場所。
軍の先頭。
戦いの切欠。
血肉が跳ぶ前。
いつもの人たち。
仲間が居て。
配下が居て。
戦友が居た。
いつもの顔触れ。
怯える者は判る。
諦める者も判る。
考える者が解る。
昂る者たちは、ついぞ解らぬ。
ただ呆れて苦笑していた
・・・・・・・・・・今日までは。
なるほど、ね。
天空に蜷局をまく青龍。
囲むのは青龍の女騎士団。
核心は青龍の女将軍たち。
世界が違う。
彼に護られ観ている、あたしたち。
観ていろ、ね。
あたしは無力だ。
あたしたちは無関係。
あたしは求められてない。
だから、視える。
彼が、あたしも視ていること。
あたしが、彼に視て欲しいこと。
自分だけを、視て貰える機会ぞ、今!
これだったんだ。
あたしが256年間、見逃してきたこと。
一刻と経たずに殺される、無数の誰かたちの渇望。
・・・・・・・・・・あたしは判った気になっていた。
死地に跳びこむ歓喜に満ちた姿の背後には、彼等の主君が居たんだ。
殺されるより。
生きるより。
どうするより。
なによりも大切なモノを獲られるかもしれないなら。
どれほど僅かでもいい。
矢に石に魔力の中でも。
掴めるかも、しれない。
無くはないなら充分に過ぎる。
ましてや成算が在るのだから。
あの昂りは、この昂り。
―――――――――――――貴男に捧げることができるかもしれない。
殺しに行く?
違う。
死にに逝く♪︎
そりゃ死地にも跳び込むわよ。
・・・・・・・・・・残念ながら、殺されないけど。
【国際連合統治軍第13集積地/駐屯地東外縁/海岸砂浜射撃場/水際から10m海上/青龍の貴族】
俺の背後にいたエルフっ娘
・・・・・・・・・・過去形。
俺の一歩前に出た。
脚捌きが、お見事。
摺り足と言うのか。
音が聴こえなかったんですがそれは?
しなかった訳じゃない。
足音じゃなくて。
海水を掻き分ける水音。
膝下までの水位は一番大きな音がする。
音は空気の振動。
海水が動けば大気が震える。
動けば動くほど。
股下までの水位なら余り音はさせない。
移動で最も動くのは下肢。
爪先から股まで。
下肢が海水を掻き分ける。
掻き分けられた海水が大気を震わせる度合い。
ソコまでが海中ならば余り音は鳴らない。
掻き分けられた海水が水中に留まるから。
海面に及ぶ振動は僅かすぎて波に紛れる。
爪先までの水位なら余り音はさせない。
掻き分けられる海水が少ないから。
よほど激しく海水を打たない限り。
震える物が無ければ音は鳴らない。
だから一番、音がなる水位は膝下。
――――――――――ちょうど今がそれだ。
充分に動く海水がある水位。
激しく動く関節。
中でも動作自体の中央付近。
それを鳴らさないのがエルフっ娘。
――――――――――波に紛れさせたのか。
寄せる波に合わせて脚を進める。
返す波が退くまで脚を留める。
波を分けない逆らわない。
元々鳴ってる波音の範囲。
しかもそれが、全身の所作を脚に合わせることに成る。
紛れさせていること自体、周りに気取られぬように。
擬装の一番大切なポイント。
擬装してると悟らせない。
擬装がバレないよりも大事。
人を騙す時、誰もが最も工夫する処。
どう騙す?
より。
疑わせず。
もっとも優れた手品は、演じてると気付かせぬ。
海水を搔く音を波音に紛れさせた、だけじゃない。
それなら波に動作を合わせるまで、それも凄いが。
波に合わせた脚捌きを全身の挙動に溶け込ませる。
エルフっ娘と夕食後の話題は決まりだね♪︎
俺には出来ない。
出来ないからやらない。
代わりを頼もう。
うちの娘たちを護る剣。
異世界からは国際連合が。
地球人類からは誰が?
俺。
三佐。
元カノ。
マメシバ。
おねいさんず。
政治的な盾を幾ら用意しても足りない。
―――――――――最後はやっぱり物理で殴らないと。
俺は恵まれているなぁ。
食後の話題と褒め言葉。
しかも魅力的なんだな。
優れた者は頼りになる
―――――――――そして観ていて楽しい安心できる。
野暮かもしれないが。
絵を観たら感動しとけ?
ごもっとも、そりゃそうだ。
だが俺は吮ぶり尽くして舐め回すんだよ。
この色の造り方を知りたい。
このモチーフの背景を調べたい。
この画家の時代を考えたい。
だからエルフっ娘を隅々まで全部を味わおう。
【聖都南方/青龍の城郭/縄張り東海側/波打ち際から8m/青龍の女騎士団半円陣中央/青龍の貴族背中/エルフっ娘】
あたしは贅沢になった。
二百年前なら為したいだけだった。
それからは喜ばれるのも悪く無かった。
十年前からは為すべき者が産まれた。
今は
――――――――――褒められたい。
褒められてるけど。
足りなくないけど。
満たされてるのに。
・・・・・・・・・・もっともっともっともっと!
褒めて貰えるならなんでもいい。
今は、産まれて初めて、感謝してる。
エルフに産まれて良かった!
彼が教えてくれた、エルフにしか聴けない音で、彼を視る。
美しい肢体は彼の眼を惹く。
起用な手脚は彼の気を惹く。
ずっと衰えず彼と居られる。
何もかも、あたし自身とは関係ないけれど、眼を惹ければ何でもいいわ。
彼が此方を向いてる
青龍は、彼は、自分たち自分の持つ知識や魔法を誇らない。
それは過去の積み重ねを今たまたま手にしているに過ぎないから。
与えられた力を何故にして誇れるのか?
――――――――――そこが誇らしいんじゃない。
与えられた力を何のために振るうのか?
――――――――――それを決めて行うのは貴男。
誇りも恥も彼のモノ。
あたしみたいに浅ましくはない。
貴男に与えられた知識ですら、貴男に魅て貰うために費やしている。
あたしの浅ましさも愉しむ貴男。
誇りも恥も彼のモノ。
貴男が停めないなら、上手くいくわね。
あたしが為し得ることを、楽しんでよ♪︎
【国際連合統治軍第13集積地/駐屯地東外縁/海岸砂浜射撃場/水際から10m海上/青龍の貴族】
俺の目の前1.5m。
エルフっ娘。
意外に離れております。
ゼロ距離が基本な、うちの娘たち。
ちびっ娘はマイナス距離だが。
Colorfulは標準1m。
だがこれくらいに退いた方が、より魅力的かな。
エルフっ娘が魅力的なのはすべてだが。
仕掛けを視て解ると一層味わい深い。
距離が近く馴染んだからこその楽しみ。
重心が安定して背筋が伸びてる。
当然、ボディラインが綺麗にキマった。
剥き出しの下肢もラインが崩れない。
素早く動いている最中でも、だ。
捌きを習得してないと、こうはいかんな。
重心を整え上半身を安定させる。
武道舞踏の基本とされがちだが。
陸上自衛隊の普通科の必須科目。
必須を満たせる者ばかりとはいわんけどね。
でも出来ないと困る。
移動中の射線が乱れる。
停まってから照準は困る。
歩きながら撃て、とはいわんけどね。
撃つ時だけ留まるのは基本。
だから移動中に射線は合わせる。
アタリだけでも付けること。
留まるが停まるにならないように。
まあ出来るにしても個人差はあります。
個人差があっちゃ不味いんだか。
おねいさんずは皆できるんだろうなぁ。
俺?
出来るよ。
一人でなら。
合わせられん。
弾幕張れないから、出来ないのと変わらんかもな。
視る目はあるけどね。
選抜作業に関わったから。
試験と違って可否だけ視る奴。
だから普段の生活でも歩き方が目に付くようになっちまった。
現代先進国の人間がズボンやミニを好む理由。
裾が長い衣装だと、観るに堪えない有り様になるから。
着物とかロングスカートとか、目逸らし必須。
大股で足先を放り出すように歩けばどうなるか。
布地が脚に絡まりバタバタしてます。
その分で動きにくいのは間違いない。
衣装の型を悪い意味で崩しています。
仕草って表現するには相応しくない醜い動き。
美しさとは合理性。
不合理は醜悪だ。
しかも無自覚って。
恥じらっているなら愉しみようがある。
・・・・・・・・・・一般的な人は気が付きすらしない。
自分を客観視出来ないと、恥すらかけないんだな。
美感が正常以上が理想。
精神力が人並み。
羞恥心は高いほどよし。
恥じてるところに介錯できたら最高かよ!
――――――――――ってなるよね。
いえいえ頸を括りたくなる前にフォローしますよ?
現代日本なら石を投げなくても出くわします。
恥をかく能力に欠けた気の毒な方々ですから。
異世界の場合は住み分けされてるから大丈夫。
侵略者の前に出てくるのは特権階級だけだからね。
俺が恥を搔かないようどれだけ苦労しているか!
具体的には余り人前に出ないようにしています。
俺の周りって、うちの娘たちばっかりだもんな?
異世界から先進日本を守るバリヤー。
儀礼って約束事じゃないんだな。
無理をせず自然に振る舞えばいい。
うちの娘たち皆そうじゃないか。
だから俺たちを心地好くさせる。
美しさは合理性。
合理性は理解される。
理解は安心を生み出す。
そんなうちの娘筆頭。
この娘は大抵、俺の背中に付いてます。
ちょくちょく背凭れにするくらいに。
抱かない枕にもしています。
正面に来るのは掛け布団にしたり入浴中、かな。
長身ではあるが俺より低い背丈。
だから俺の前方を覗かせるのが大変だ。
エルフっ娘は子どもたちの全体を把握したがってるからね。
ちびっ娘の手を曳く俺の腕越し。
俺が座っている時は背中凭れで肩越し。
気持ちはよ~~~くわかります。
自分が観てないと何が起きるか判らない。
俺が視てればどうにでも出来るってのに。
強いるから勝手に生きて勝手に死ぬなよ。
なあエルフっ娘?
またWHOがパンデミック警報をだしてましたね。
コロナじゃないけど。
なんて名前だったか忘れましたが死者が出てるとか。
コロナじゃないけれど。
まあ、いつものことです。
パンデミック警報を出さなかった年なんかないですし。
いや知らんけど。
毎年スルーされてましたからね。
……過去形。
WHOの気持ちは察します。
「コロナだけ気にされるなんて思わないじゃないですか!」
……信じられた狼少年はどうすりゃいいんですか?
死ねば善いと思うよ。
しかも「マスクは無駄」って言うと怒られるしね。
しかも「消毒は無意味」って注意すると脅される。
信じるのか信じないのかハッキリしろ(笑)。
みんなの娯楽と偉い人の責任転嫁と弾みと勢いで歴史は造られるんですね(嗤)。
そんな訳で週末、歴史を目撃してまいります。
コロナごっこに興じる馬鹿。
マスクを付けたフリで馬鹿に合わせる阿保。
わたしが観ている世界です。
マスメディアの中では別な世界があるみたいですが。
マスクを窒息するくらい付けているとか。
ワクチンをキチンと毎回射ってるとか。
そうしゃるでぃすたんすってるとか。
応援しなきゃ!
何処にいるか知らんけど。
日本語に堪能なので日本のメディアって受け付けないんですよ。
オンライン上には溢れてるらしいですけどね。
応援してあげるんだから、目の前じゃないと。
だから不要無急に外食して買い物して歩かないと!
というわけで更新スケジュールが乱れます。
しかたがないですよね。
頭が悪い奴を応援してあげないといけない。
コロナごっこ頑張れよ(嗤)♪︎




