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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十七章「海のほうから」

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727/1003

五十七、八人の刺客。

【用語】

『シャコ』

:エビみたいな味のザリガニより身が多い泥中でも元気なザリガニじゃね?極めて攻撃的でハサミの上位互換としてハンマーを備え近付いて撲殺が基本動作な海の通り魔。ハサミを振り上げて大きく見せかけ平和的な恫喝をするエビカニロブスターザリガニを尻目に常にファイティングポーズで内側から抉り込むように打つべし射つべし撃つべし。必殺シャコパンチは直接打撃力だけではなくキャビテーションにより海水を気化してバブルパルスを発生叩きつけ対象のホタテハマグリホンビノスシャコなどを破壊するリアル二重の極み。水槽の分厚い専用ガラスを撃ち壊してのし歩いたりするのでザリガニとは似てもにつかない。


<龍が話してる>


そう読めた。

句読点まではっきりと。

読まれていることもはっきり判る。


そも異世界語が判らんのに、読唇術(唇の定型)なんて知らんがな。


利発な唇。

健康な薫り。

艶やかな仕草。


敢えて話さず会話できたから解ること。


視えれば読める。

魔法翻訳。

聴こえれば聞こえる。


異世界種族と地球人の間にだけで通じる。


異世界種族同士では効かない。

地球人同士では絶対に不可能。

近い同種には伝わらないこと。


異世界種族と地球人の間だけが判り合える。


わかる。

判る。

解る。

分かる?


俺から聴き取った長い耳は、ありとあらゆる波長が聞ける(読める)だろう。


見たことも無い象形文字が読めるなら。

聴いたことの無い言葉が聞けるなら。

魔法翻訳の適応範囲が解らぬなら。




―――――――デジタル化された波は?―――――――






【第七艦隊旗艦ブルー・リッジ(USS Blue Ridge, LCC-19)】


「これは魔法なのか?」

「物理的現象です」

「再現性がある?」

「単なるキャビテーションとバブルパルスですから」

「生物にそんなことが出来ると?」

「既知の生物もやっておりますから後程お食べください」

「殺されたいのか」

「ペスカタリアニズム的にどうなるのか」

「まだ撃っちゃダメ」

「あれを?」

「異世界知的種族の摂取は禁じられております」

「食べないわよ!」

「平和に対する罪か」

「人道に対する罪ではなく?」

「まだ人間じゃない」

「まだな」

「結果として地球人類の目的を阻害すれば人道に対する罪」

「どちらにせよ未遂から死刑だ」

「確認が済みましたら確認を続けます」

「いや何を食べるって?」

「食材がある範囲でお好きな物をどうぞ」

「あるのか」

「存じません」

「食べられると言っただろう」

「摂食制限がおありで」

「食事の話じゃない」

「後で食べればいいといいましたよね?」

「言いました」

「だから食べられるのかと尋ねているんです」

「知りません」

「何の話よ」

「厨房にシャコが在るのかどうか知らないという話です」

「キャビテーションとバブルパルスの話でしょう!」

「では話を戻します」

「その前につまりはキャビテーションとバブルパルスを使う生物が異世界転移前に確認されているのかね?」

「美味しいですが」

「本当か!」

「シャコの状態とシェフの腕にも依りましょうが」


「「「「「「「シャコ?」」」」」」」


「シャコです」

「キャビテーション効果とバブルパルスを使うのか」

「シャコパンチは脚部の力だけではなくキャビテーション効果で加速して打撃力をブーストしながらバブルパルスそのものを第二の破壊力としています」

あのサイズ(20cmほど)で拳銃弾並みの威力、でしたか」


「「「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」」」


「魔法を使わなくても再現可能であると判りました」

「具体的な確認を」

「シャコではありません」

「視れば判るからシャコとは違うどんな仕組みなんだか説明を!」

「喉から発した振動で先端部の海水を瞬間的に気化します」

「共振現象か」

「海水といっても種類が多い」

「温度が違えば密度も変わる」

「組成も濃度もバラバラだ」

「端的に言えば一滴たりとも同じ海水は無い」

「固有振動もバラバラだな」

「誤差の範囲内なのかな?」

「でありますから変温層や塩分濃度分布が違う場所を跨げば速度が変わりノイズが発生します」

「ノイズ?」

「速度は遅くなるわけではないのか?」

「気化効率が上がるか下がるかは移動元と移動先の差違次第です」

「速くも遅くもなりえるか」

「安定性は適応するまで確実に下がります」

「程度は」

「反射的に安定性をたもとうとしますから、身体能力と経験値が環境に対し得る範囲です」

「練度はあげられるか」

「ノイズは?」

「同じ理屈です」

「発生する?」

「はい」

「なら海水の性質が一定範囲ならノイズは起きない?」

「はい」

「声で海水を破壊、気化しているのに、音伝導効率が高い水中で響かない?」

「はい」

「理屈は?」

「振動が100%気化に消費されるからです」


「「「「「「「無音」」」」」」」


「ソナー探知不可」

「海水が完全に同じではないにしろ、実用範囲では問題ない」

「限りなく無音に近い静音」

「それも物理的現象だな」

「いっそ魔法の方がのみこめる」

「続けてくれ」

「キャビテーションで抵抗をゼロにしたとしよう」

「してます」

「してるのか?」

「速度を確認してください」

「してる」

「推力はなんだ?」

「水力です」

「水で進んでいると?」

「これも魔法じゃないのか?」

「キャビテーション推進です」

「詳しく」

「気体は液体に比べて密度が薄く圧力が小さい。よって液体から圧力を受けます。ある程度の水深があれば全周から等しく圧迫を受けます」

「前後左右の水密に比例するのでは?」

「二次元軸は無視出来る範囲だろう」

「作用反作用で平面上に圧力が逃げるからな」

「三次元軸では上下の水密で決まる」

「浅ければ下から圧し上げられる」

「深ければ上から圧し下げられる」

「潜水領域では浮上を強いれるのでは?」

「バラストを付けてはいないが」

「どうなるのか」

「潜水領域であれば重力が下方向への加重を増します」

「海水全体へのか」

「加速すれば上下バイアスの影響を打ち消せよう」

「つまり推力だが」

「つまり水力です」

「説明を」

「先端部でキャビテーションを発生()()()ことで前方の圧力が爆縮的に減少します」

「液体内から気体内に押し出される」

「自分が生んだキャビテーションに吸い込まれるわけだ」

「これが最初の推力」

「まさに水力だな」

「先端部でキャビテーションを発生()()()()()ことで前面の海水から圧迫されます」

「逆ロケット」

「キャビテーション層は後ろに向かいます」

「圧される本体は後ろに向かっていないが」

「本体表面、さらに密着しているオプション、を体液が覆っています」

「このエリアか」

「発見された時に身体を包んでいたゼリー!」

「単なる防具で在るが故に別な機能を果たしてもいるわけです」

「このカバーが先端部のキャビテーションを弾く」

「弾かれたキャビテーションは海水に圧し戻され拡散せずにゼリーと海水の間に挟まれ層をなす」

「発生し続ける先端部からのキャビテーションにと併せて前左右から圧迫されれば力は」


「「「「「「「後端部から解放される」」」」」」」


「水中ロケットだな」

「水中ジェットでも」

「海水、いや、水が在る限り推進剤には困らない」

「人間サイズだからこそ、だな」

「巨大生物で同じ仕組みはありえますが素材が生物の範疇であれば深海以外ではすぐに海面に打ち上げられましょう」

「まさに打ち上げ水中ロケットは大気中失速」

「水中に落ちたジェットの如くエンスト墜落」

「対処するまでもない」

「対処したくもありません」

「素材が地球型ではない生物だけ警戒すればいい」

「巨大生物ならぬ巨大ロボット?」

「それなら定置対潜哨戒網がそのまま使える」

「従来の戦術兵器で間に合うのなら容易いが」

「ならどうする」

「人間サイズに対処できるのか」

「サイズだけでも無理です」

「今はな」

「だけじゃないのか?」

「機雷源突入」

「なんだあの止まり方は」

「キャビテーションの解放方向を調節してる?」

「水中の航空機というより宇宙機の動きだな」

「水に乗るのではなく弾かれているからな」

「人間を乗せてあれか」

「いえ人間を乗せているから動けないし止まれないのですから誤解なきよう」

「200ノットに達しない理由?」

「静止するのを避けている?」

「航空機と同じか」

「全ての構成要素で一番脆弱な部品(人体)に合わせて性能を敢えて下げる」

「有機体なのだろう?」

「有機質でも強度は岩石並みに出来る」

「一見すると柔らかそうだったが」

「今も柔らかく動いている」

「いや有機質脳まで硬くは出来まい」

「サイボーグが人間並みの挙動しか出来ないようにな」

「人間以上の動きで慣性がかかれば内臓が潰れる」

「急制動すれば自己完結で交通事故死出来る」

「ならば水中事故死させないのはともかく、しない理由は魔法か?」

「物理的現象です」

「慣性制御技術?」

「単に体表を覆っているのは体液ですから体内にも満ちております」

「キャビテーションを弾いているあれか」

「細胞液まで同じ?」

「全身が細胞レベルで対Gスーツを着ている様なものだ」

「身体の外側から支える同種技術に比べて100倍以上の効率差が見込まれています」

「パイロットに最適だな」

「パイロットが必要かどうかはともあれ」

「水中急制動だけで十分です」

「あらゆる対潜兵器を無効化出来ますよ」

「ステルス以前にカウンターを当てられる」

「対魚雷魚雷なんて目じゃない」

「自爆ではなく兵器を破壊した上で離脱出来るでしょう」

「魚雷も爆雷も着弾起爆前に剣で弾頭を壊されるか」

トライデント(三ツ又の槍)では?」

「これがホントのトライデント(潜水艦艦種)

「爆破しなけりゃ離脱しなくて良いくらいだ」

「彼女が人類の知識を得れば人類の優位性など吹き飛ぶ」

「それは彼女一人の話ではありませんが」

「彼女独りな訳がない」

「同種がいるでしょうね」

「日本列島に潰されていなければ」

「有り得るのか?」

「発見場所付近から同一個体が見つかっていない」

「食性からみて広範囲に広がる必要が無い」

「海洋調査の範囲でも未発見」

「伝承調査では転移前に日本列島に準ずる位置に陸地はなかった」

「異世界に同種の伝承が無いんだから人目に付く生態ではあるまい」

「浅海から深海の間での生息が有力では?」

「大陸沿岸から深海域の間に転移してますな」


「「「「「「「――――――――――」」」」」」」


「海洋調査に任せよう」

「単性生殖でも単体は有り得ない」

「むしろ増えやすいさ」

「卵は産んで、ないよな?」

「構造からみて卵生ではなく胎生と確認済み」

「性的刺激で受胎(卵細胞分裂)するタイプかもしれないな」

「確認中です」

「試さないと判る頃には手遅れになる」

「余計なこと」

「未決分野を発見したのでなければ黙って任せよう」

「我々の役目は?」

「今、進行中、いや、そろそろ終わる事態について」


「「「「「「「!」」」」」」」


「速い」

「速すぎる」

「乗員が生きてるのが不思議だ」

「生きて・・・・・・・・・・るな」

「全力をだしてませんし」

「乗員もゼリー状の被膜にとりこまれてます」

「だからボンベか」

「海中酸素を取り込めませんから」

「本体はキャビテーション化と一緒に気化した海水を体内に取り込んでいます」

「気化したままですと密度が薄く酸欠気味になるから体内で液化しなおします」

「被膜の中に永住出来そうだ」

「酸素水以外は被膜越しに取り込めませんよ」

「慣性衝撃以外は緩和されてる、のか」

「個人的な耐久性の可能性もあります」

「承認を得ないと触るどころか近づくこともできません」

「馬やイルカに兵士だって相手を選ぶさ」

「機械ではないからな」

「完成された自然は魔法にしか観えない」

「科学的に実用化は可能かね」

「再現可能と言いました」

「実用と言ったのだが?」

「不可能などありません、ましてや、実物が在るのですから模倣など容易なこと」

「次の戦争に間に合うといいのだがな」

「十万年もあれば確実ですよ」


「「「「「「「おい」」」」」」」


「異世界宇宙が億を超える歳月をかけた成果を盗めるんですから、百万年かかっても気になりませんね」




さていつもの。

今日何件店が消えていたかなんて暗い話題は止めておきましょうか。


日本の蘇生が始まるのが先か?

そもそもすでに死んでいるのか?


朝の電車が混雑気味で辟易しておりましたが……満員じゃないから御察し。

便数を大幅に減らしたのに、朝、遅延した電車でさえ人が溢れない。


要らない仕事がどれだけあったのかという事ではありましょうけれど。

仕事が要らないという経済原理を無視すれば行き着くとこまで逝きますね。


感染を予防しないワクチンの接種率が増えるとマスクが不要になると真顔で言える阿保が居る限り詰んでるようにも見えますが明治維新以来いくらでもいる阿保ですからまだまだ生けるのかそこまで繰り返したら逝ってるのか。


数字が回復した?

「何の効果もない」もの(ワクチン)で回復する数字ってのは粉飾です。

数字を検証した?


……梅雨時に雨乞いしたら雨が降った。

……季節の変わり目が終わったら風邪が減った。


梅雨時に雨が降る。

気候安定は体調安定。


説明が必要ですかね?

頭が悪いと判っても理解できない解らない。


もちろん日本だけのことじゃないから安心してください。

死なばもろとも逃げ場なし!


……わたしは御免ですけど、逃げても逃げられなくても馬鹿と阿呆を嘲ります。


人間の責任として!

人殺しどもめ!


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