第二幕(character arc.)
『サイズ』
:本作品カップサイズは国際標準規格。日本国内限定の呼称とは二段階差がある。日本国内限定規格で言えばFカップは国際規格でDカップ。なお国際規格Aカップ=日本だけの国内限定規格Cカップになるが、それ以下のサイズは国際標準では規格外と見なされる。
サイズを気にしない人類は存在しないので称賛するとき以外はスルー推奨。その資産価値を本人以上に自覚してる者は居ないので下手に称賛すると無対価利用扱いされて当たり前。
〈「いやらしい目で見る」=「性的に利用する」〉×〈「男の魅力がゼロ(ないしマイナス)」=「対価が払えない/損害を与える」〉=侵害。
なぜ相手次第でセクハラか否かが変るかということの理屈はそーいうこと。楽しむに値する対価が払えない男はスルー推奨。
自分の価値を誇示する試供品としてサイズをアピールする方法は一般的ではある。それとて利用には限度があること、試食売場に常駐して摘まみ出される乞食の如し。サクラとしてなら許されるかもしれないが、ボランティアもほどほどに。
あくまでも試供品は獲物を誘って狩りやすくするための技術。相手にとってか一般的に見てか「男の範疇に入ってない」と言われる前に気が付こう。
「同じ男だろ!」は「女だったらいいんでしょ」くらいに非現実的……優しい相手を「生物学的な性別と社会学的な性別は違うけど、どう伝えたものか」と困らせるのは道徳に反します。
「誰が観ているのかしら?」
「誰か観てる自覚が必要!」
「軍事参謀委員会委員」
「 」
「安保理とか?」
「 ?」
「指導者は計画外の事態に必要なのよ」
「想定外って大変なことですからね!」
「知ってるけど気にしない」
「知らないとどう違います」
「教えてくれるのよね」
「パーソナルスペースで8人の女が鍔競り合いすれば、よほどの鈍感以外は解ります。ましてや全力戦闘バトル・ロワイアル。こんなに静かな修羅場が在り得るとか!
・・・・・・・・・・こんなの初めて」
「会話が弾まない訳ね」
「一言もありません。食事には最高の環境ですね。在りと有らゆる思考を払って味に没頭する以外に選択肢がありません。
――――――――――皆さん、すごく美味しそう」
「後で付き添わせてあげる」
「修羅場の中でただ立ち竦むって軍曹と曹長ですか下士官だから何をやらせてもいいわけじゃないですよ断固拒否します牟田口二尉を立たせてくださいきっと邪魔に入って助けになりますけどあの最中で当事者に彼女たち一人一人の魅力を語らせて面白がれる三佐に助けは要らないでしょうけど普通に自分の女を自慢する彼と良い主従で大変お似合いですから一緒にしないでください」
「心地好い哀願だけど、他には?」
「次は嘆願する前にロケーションが最高です。街で一番高い丘の上で音響を集めやすい位置取りってことは遮蔽されていない。特に宴の舞台は屋外解放空間の端。セットは観客に向かって設えられています。見上げる位置取りは頚への負担。常に凝視されずに要所を確認される。印象に残りやすくて操作しやすい。観客はスナイパーやマークスマン以外にも狙撃必須で、スコープ要らず。索敵機器でアップ/ズームするより肉眼で視ますから、間接<直接で影響が強いです。しかも海兵隊は家族的、っていうより、一族的な紐帯で結び付けられた集団ですから共感伝播が圧倒的。直接視ていない全体の60%も視た仲間の印象で統一されます。戦友から戦友へリアルタイムで雰囲気が伝わりますよ。通信回線を無視して肩から肩へ、目から目へ、視ているアイツが騒がないなら自分たちも騒がない。言葉にしないからこそ伝わる非言語コミュニケーションの影響力は、言語コミュニケーションの倍以上が下限。彼らの意識に映るのは、信頼する指揮官が歓待される姿。お手伝いの子供たちが行き交う様子。伝統的友軍の将校宅でホームパーティーってアメリカンの郷愁に訴えますよね祖国喪失半年以内で泣かせにキテます」
「一瞬で殺気が収まるわけね」
「幸いに互いにプロフェッショナル同士が殺す気で撃ちあったお陰で誰も死にませんでしたからね」
「幸か不幸かプロフェッショナルなら当てるより避ける方に注力するから、か」
「彼女たちの前で殺戮が繰り広げられ自分の男が盾になって殺された方が刺激になったのかもとか考えてるかもしれませんが手遅れですから予定は未定にしましょうよなんでもします彼女たちの男が」
「今からヘリで乗り付けようかしら」
「止めてくださいキルゴア三佐」
「誰がサーフボードを持ち込んでるのよ……波は良さそうだけど」
《国際連合安全保障理事会軍事参謀委員会主宰実践観戦/〈Blue on blue〉Real time case study》
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央暫定中立地帯/大神殿(改め建築楽器)/正面入口テラス部分/青龍の貴族】
俺は知っている。
――――――――――――常に他人目を気にする人生はいけない、と。
いや、確認した上で逆走するのは処世術。
他人の跡には何も残らない。
他人が拾った後だからな。
株や債権と同じように、人気銘柄の利益率はゼロ。
何も得られないから進むだけの損。
何かが見つかるのは独りだけの道。
不人気だから安く、競合しないから利幅が大きい。
みんなが成功した時に独りだけ失敗するのは恥ずかしい。
みんなが失敗した時に独りだけ成功してしまえばお終い。
これがイギリス宮廷貴族の処世術。
現代日本人だけの気質かと思えば官僚主義とはね。
――――――――幸いに俺は官僚じゃないから無関係。
安心して全員を出し抜いて高笑いを目指せます。
他人なんか一瞥で口を閉じる
それで黙らなきゃ怒鳴るか殴る。
それで済んだし、それで済む。
付和雷同する奴らは俺たちの糧だから、居なくなると困るけどね。
うちの娘に限らず不幸に成ると俺が困る相手には、常々繰り返し教育。
道具に使われるな。
倫理。
道徳。
法律。
道具は使え。
他人に守らせる。
自分は守るフリ。
無視しても良い。
鴨に葱を背負わせてしまえば、こっちのもんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・必勝法は必敗法の裏返し。
常に他人目を気にさせる人生はとてもいい
――――――――――うちの娘たちには教えている。
これが勝利の方程式。
【聖都/聖都市内/中央/大神宮前/巫女の賢所/青龍の騎士団陣形中央/彼の背中/エルフっ娘】
あたしが知る、僅かな彼。
――――――――――これまでの二回。
一回目。
彼/青龍を騙そうとした参事会と太守府の市民。
※第10話〈冬の日。春の日。〉より
結果として嘘ではないことにされた。
最初から見透かされていたし。
謀議の密談を街中に晒された上で、事実を押し付けられ、騙せなかったことを皆の前で認めさせられ
・・・・・・・・・・たから、殺されなかった。
衆目の中、嵌めようとした相手に陰謀を暴かれた後で弥縫まで仕立ててもらったんだから
――――――――――罰以上なのかもしれない、わね。
彼、青龍の前では、何をどうしようもない、と太守領全体に知ら占めた。
二回目。
公ではない参事会と彼の会食。
※第20話〈インターセプト〉より
あたしたちが身の程を知らない陳情。
支配者を襲った暴漢、は、文字通り彼の手で、八つ裂きにされた、それだけ。
その生き残りを助命嘆願
―――――――――帝国以前だって、有り得ないわよ。
でも参事会前議長は、やらかした。
参事たちが顔面蒼白な中で。
彼が暗殺者に寛大だったから、勘違いしたんでしょうね。
明らかに自分の命を狙い、挽き千切られた刺客。彼は無惨な死体を隠した。
自分の上着で
――――――――――衣を与えるなんて、戦場で手柄を立てた騎士に報いる作法。
しかも刺客に氏族が、もし、居たらだけど、連座無用とまで命じて
――――――――――敵には寛大なんだから。
あたし以外が知ることも少ない従来の貴族なら?
謀議の有無はもちろん、氏族交遊取引まで糾明。
確かめ尽くした上で、利害に応じて量刑を決める。
連座させた方が得なら、顔見知りってだけで十分。
処罰するに値するなら?
弱い者。
――――――――――彼なら眼に入らない。
豊かな者。
――――――――――彼には関心がない。
ついでに敵対する者、だ。
・・・・・・・・・青龍なら喜んで、生かして置きそう。
どんな形であれ戦いを挑まれるのが、好き
――――――――――返り討ちで殺すけど。
だから勘違いさせた。
参事会前議長からすれば、刺客すら赦されたんだから、と観えたんでしょうね。
あたしには観えなかったけど
――――――――――これは、感覚的なもの。
あの時の暴漢たちは、間抜けながら青龍の姿を知らなかった。
※第19話〈Rules of Engagement/ROE/交戦規程〉より
新しい支配者、青龍の貴族とは思わずに喧嘩を売ってきた。
殺してしまったとしても、殺すことなど考えもしない与太者たち。
そう、殺す気もなく、脅すだけしか考えない
・・・・・・・・・・だから彼の癇に触る。
しかも戦うだけの力も無かった。
よりによって数を頼んだ素人揃い。
その時も一方的に潰されただけ。
だから傍目には、罪が軽いように観えた、わけよね。
殺意もなく。
危険もなく。
ただ殺されただけ。
無礼は死罪に値しようが、その場で殺されたんだから、済んだようにも観える
――――――――――無礼討ちで御仕舞い。
だから参事会前議長は思った
・・・・・・・・・・・・暴漢に便乗していた女ごとき、目溢しされるだろう、って。
暴漢どもの取り巻き、囃し立てていた女たち。
頭も悪く力もない、脅威ですら無かった連中。
自らの命を狙った刺客にすら寛大な領主様。
なら、こんな連中、赦してくださるに違いない。
命を担うことすらしない奴らが、どれだけ不愉快か
――――――――――商人には、解らない。
こんな、であっても太守府富裕層の子女。
愛玩用と持て余し者の徒党。
助命を願われている娘は、親の愛玩動物。
それを助けてやれば、礼がなされる。
参事会にも領主にも役に立つ。
太守府、太守領を支配する為に
・・・・・・・・・・・・・だから、前、議長にされた。
でも彼は、なにもしていない。
罰せず。
責めず。
話を聴いた、と、示して
――――――――――青龍の貴族は聞き返しただけ。
聴いていなかった体で、もういっぺんいってみろ、と。
すでに恐慌状態の参事会。
若い参事がその場で前職となった議長を引きずり出した
――――――――――彼は、殺さなかった。
陳情は忘れられ、助命を願われた女たちは朝日を待って吊るされた
・・・・・・・・・・皆に良く観えるように。
助命を願った出身氏族は夜の内に近しい氏族に襲われた
――――――――――街中邦中へ知らしめるため。
皆が、自分たちは無関係だ、と証を立てる。
・・・・・・・・・・・・・誰も何も求めらていない、と知りながら。
そのまま数日。
暴漢の同類。
取り巻きの同類。
近い連中、皆殺し。
出自の氏族が近しい氏族の監視を受け、参事会の管理の元、身内の恥を吊るして廻った。
最初から最後まで
・・・・・・・・・・青龍の貴族は気にも留めなかった。
何も起きなかったのだから、青龍には無関係、真実とは彼が決めたこと。
戦えば殺す。
――――――――――刺客のように。
癇に触れば殺す。
――――――――――暴漢どものように。
邪魔なら殺す。
――――――――――港街の暴徒たちみたいに。
何か有れば殺す
・・・・・・・・・・何もなければ殺さない。
殺さないことにしたから、何も無かった。
何もないことにしたのは、殺さないため?
彼が決めた理由は、今ひとつ、解らない。
それは、今、この時と同じ。
さて、いつもの。
TVや新聞を観ないと何が起きていないかよくわかりますね。
例えば「コロナ対策の効果で香港の内戦が防げた」とか。
コロナ対策が無ければあんな選挙は実行不可能。
なるほど「コロナが中華人民共和国発祥」と言われる訳。
……一番利益を得たものを疑え、程度の話ですけどね。
じゃあメルケル、マクロン、ジョンソン、トランプ、アベはどーなんだ(笑)。
もし陰謀であれば、どれほど素晴らしいか!
「馬鹿がいっぱい」より「悪党ばっかり」のほうが希望あり。
つまるところは「オリエント急行」に、みんなが飛び乗っただけ。
「そうあった方が都合が良かった」
だから
「みんながバラバラにそう信じた」
陰謀も了解も口裏合わせトリックも犯人もない。
「そして誰も居なくなった」の真逆。
やっぱりクリスティーは最高です。
……結末まで同じようになりそうなのは、最低ですが。




