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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十六章「園遊会」

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683/1003

第一幕(Central question.)

【用語】

『いただきます』

:「いただきます」で始め「ごちそうさま」で終わる。


ご多分に漏れず軍隊用語。特段の意味はないが、無意味だからこそ意義がある。無駄な同一行動を強いること。それにより、特異な組織の一員であることの自覚を促す。それは非日常的な統制に従いやすくさせる。特異な集団におけるイニシエーションのひとつ。

フリーメイソンのハンドサインや宗教的なジェスチャーと同じ……なのだが、それが一般に流出することも、よくある。

国家的アイデンティティーが無い地域では、唯一の国家的組織が軍隊。兵役、退役者の社会的循環、物理的な国家内移動の反復。その結果「敢えて造られた特殊な例外」が「あたかも自然発生した全国的な慣習」であるかのように多種多様な社会全体に誤認される……発展途上国ではよくある。

合衆国のような「国家連邦か統一国家か」を巡り内戦紛いに争い続けてる地域。ドイツのように第一次世界大戦敗北まで国家意識が生まれなかった地域。日本のような数百年間に渡って外国が無く国家も民族も必要としていなかった地域。

こうした場合も似たようなもの。


ただ「いただきます」は、こうした自然発生とは違う。


昭和恐慌の後に宣伝文書がバラ撒かれ始めた。これは人為的に定着させようとしたもの。当時の日本帝国は定着した政党政治が官僚制に転覆されていく時期。明治官僚制が大正経済成長で形骸化。豊かな社会には「資源の配分者(官僚体制)」が要らない。明治体制の見本だったプロイセンが皇帝親政で滅亡……危機感が高まったのは当然だろう。だから体制変更が求められ帝国統合機能として議会制確立。朝鮮や台湾などで「俺たち日本人なんだから帝国議会に入るべき」と運動が盛り上がったのも、この頃。植民地出身の議員はいたが、参政権が曖昧だった。なし崩しに出来たけど「帝国とはなんなのか?」という定義が進められた時代。加えて昭和天皇のパーソナリティーにより象徴天皇制が実質化した直後。それが明治国家体制、勅撰官僚制の滅亡を意味したのだから、プロイセン・モデルの官僚たちにとっての死活問題……この時点では死死問題とは気が付くまい。


クーデター勃発。

帝人事件……検察による議員大量逮捕。もちろん全員無罪になった頃には選挙終了。

議会制が国家的アイデンティティーになったばかりで、それをブッ壊した。


代わりが必要……クーデター首謀者にとっては。


だから皇帝親政に戻そうとしても拒否られる。代わりに導入されたアイデンティティーが軍隊だった。皇帝と選挙以外で「帝国全土共通の体験」が他になかったからだ。

仕方なく、別に国家的必要性ではないが、軍隊内ローカルな慣習が宣伝されていく。「政府の要請だから」で納得できる「()()()」は「当たり前/マナー」として奇妙な動作を広めていった。何が()()()()なのか考えられない、ってか、思考能力がない人型の動物はいつの時代もマスクつけてます。

あ「帝国の一部」はずの地域で「日本人としての議会参加誓願」はこの頃(クーデター後)潰されました。議会制を根絶やしにしなければクーデター政権の正統性が否定されるから仕方がないね。各総督府のポストと高給と無能と遊興等々利権を官僚で独占してたから民政化したら困るよね……当時の植民地は現在の特殊法人天下り。


これはその一つ。

「いただきます」で始め「ごちそうさま」で終わる。


軍隊特有のローカルマナーは数あれど、自然には流出しなかったもの。兵舎限定新兵訓練中の限られた期間しか使われなかったので。習慣化したら作戦中に困るじゃないですか。


だから軍隊関係者すら知らない。

一生懸命宣伝したんですけどね。

……そりゃ定着するわけないわな。


概ね満州事変前後がピーク。後は下火になり、第二次世界大戦末期に再興。末期戦に伴う国家統制強化の一環だろう。戦後は国家的アイデンティティーが「アメリカ万歳」に切り替えられたので不要になってしまう。なにしろ明治官僚制がアメリカに身売りしたんだから仕方がない。

持参金にされた日本にとっては仕方がなくないが

「勝てる戦争に失敗ばかりして有り得ないくらい敗戦しやがった無能な戦争犯罪者として臣民に吊るされるより、皇帝と臣民を敵国に売り飛ばして自分と家族の生命財産権力を守る」

という()()として当然の発想。

誰が責められるだろうか……よし、ギロチンだ!

かくして明治官僚制改めアメリカ官僚制、万歳されてる合衆国が困ってるくらいにアレ、な強制者が居なくなれば「いただきます」も、無くなるよね、そりゃ。


いまだにやってる奴は間違いなく経緯を知らない(笑)。




戦わない覚悟さえあれば、どんな勇ましいことも言える。

――――――――――(チンピラ)は我が身の安全を疑えない。


殺せない。

殺されない。

殺させもしない。


他人を()()

・・・・・・・・・・()()で済む、ってね。


チンピラは、そーいうもんよ。


だから悲鳴をあげる前に、呆然とする

・・・・・・・・・・困るわ~。


指が汚れるからイヤ。


チンピラ()()を怯えさせるために鼻を潰したのに。

素直に鳴かないから、両目を抉られる。

視界を潰せば、鳴き喚くから。


戦争を知らないジジイ(ミリタリー・マニア)たち。

――――――――――声がデカイ。


議員に居るから、鬱陶しい。

ま、無視されてるけれどね。

だから官僚(マスコミ)ウケはいいのよ。


トモダチいないから

・・・・・・・・・・何を()()()()てるか気が付かない。


だから高い地位(官僚の傀儡)に付く

・・・・・・・・・・辞任(交換)させられるまでは、ね。


有事だ、安保だ、脅威だ

・・・・・・・・・・知ったかぶりは、平和ボケの証。


相手からの攻撃を呼び込む危険性なんか、思い付きもしない。

貴方を殺します、って予告してから殺す馬鹿が何処にいんの。

相手に備えさせる為に努力した挙げ句が偶発戦争、って感じ。


軍事力の御利用(侵略戦争)は計画的に。


戦争ってのはね、平和を100回唱えた後で平和を1000回叫びながら殺るものよ?


だから平和憲法がある。

だから平和国家にした。

だから平和運動がある。


究極のカタチが国連中心主義(戦争責任の外部化)

――――――ミリタリー・マニア(知ってるつもり)には、永久に理解する必要がない世界。


そんなことは素人でも判る、から、アレ(素人)も準備してるじゃない。


自分たち(政治中枢)(主宰)

向こう側(敵中枢)(来賓)

主戦力(おねいさんず)保持(完全武装)


それを隠さないことで緊張緩和。

・・・・・・・・・・公然たる武装は儀礼()()なる。


生殺与奪を握ってるから、選択。

・・・・・・・・・・あえて握らせて選択肢を奪う。


ついさっきまでの銃砲弾と交代。

・・・・・・・・・・このくらいは出来ないと困る。


――――――――――これ、政治――――――――――






【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央暫定中立地帯/大神殿(改め建築楽器)/正面入口テラス部分/青龍の貴族】


俺の家系には食前の言葉がない。

所謂、いただきます、ってやつ。

あれ昭和初期から末期までだし。


―――――――いただきます―――――――


誰が始めたが判らない謎習慣。

敗戦直後に各種資料と共に抹消。

してみると、あれと同じ出自。


――――――――――欲しがりません勝つまでは?


そりゃ廃れるわ。

墨塗りされるわ。

今更、やらんわ。


俺の場合は、より古い習慣に慣れたからだけど。


うちは歴史がある一族ではない。

周りが旧家ばっかりだっただけ。

先の大戦(たいせん)が先の大戦(おおいくさ)って感じの。


あるんだよ、歴史が古い国、ってか国家成立以前

――――――――――記録じゃなくて、記憶。


都会から田舎に引っ込んだ歴史ない家の子ども。

田舎にありがちなことに同年代の子どもがいなかった。


そーいうところでは、其処にいる子どもはみんなの子どもになる。

集落村落ひとつで共同体(家族)って感覚は、それこそ半世紀前の常識。

住むか住まぬで識別される

――――――――――血族社会の真逆、地縁社会。


そーいうところは、郷土の後に出来た国家体制を馬鹿にしている。

西欧の都市文化でいうような、国民であるより前に市民、ってのと同じ。

フランスは敗けてもパリは負けない

――――――――――パリ・コミューンみたいな。


俺が田舎に居たのは第一次反抗期前後までの短期間。

だから歴史()()はある大人か老人の習慣に慣れ親しんだ。


いただきます、で始まり、ごちそうさま、で終わる。

そんな満州事変と一緒に始まった号令なんか知らんわな。


威厳の塊のような爺婆と一緒に、好きに食べ始めて満腹か料理が無くなったら帰る、か寝る。


ホントに近所の猫感覚。


で、都区内に戻って廃れかけた新古品染みた謎慣習(いただきます)を躾られたころには第二次反抗期。


合わせてあげるほど、親切じゃなかった。


どうみても若造でしかない先生方に言われても、笑うしかない。

・・・・・・・・笑ったのは、いま思えば気の毒だった。


初期慣習をインストールした爺婆の権威と比較にならなかったからだ。

・・・・・・・・教師っていうのは、気の毒な役だよね。


良い教訓を与えてあげたと思えば、まあ、いいか。

職業選択の自由を行使した結果なんだし。

児童(小学生)生徒(中高生)学生(大学生)の頃、馬鹿にした仕事を目指す自滅。


――――――――――それがプライベート。


郷土の宴席では来た順に飲み食いして終わったら帰る。

共同体が明確だから序列不要をアピールしてるだけ。

親しいからこそ別行動(親しまない)


――――――――――そして、フォーマル。


フォーマルとは他人行儀と言い換えてもいい。

敵ではないことアピールするために枠を造る。

出された料理を次々と食べる訳にはいかない。


親しくないから共同行動(親しいように)


(関係)があるフリ。

仕切り(偽装)が必要。

それが今、(演出)

――――――――異世界転移前から、会食(芝居)は慣れてる。


見知らぬ親友には、簡単に出会えるもんだ。




【聖都/聖都市内/中央/大神宮前/巫女の賢所(かしこどころ)/青龍の騎士団陣形中央//彼の背中/エルフっ娘】


あたしが馴染んだ彼の言葉。

――――――――――()()()()()()のこと


「苦手なものがあれば言え」


違和感のない、慣れた言葉

・・・・・・・・・・自然に皆を動かす(命令)

してみると、彼は誰に対しても、そうなのね。


好悪と誇りは尊重する。


好きな物を食べ。

好きなモノを飲み。

好きな者を抱く。


自分も、他人(青龍)も、あたしたちみたいな領民にも。


あたし(自分の女)たちの、常。

――――――――――身内の好き嫌いは、あの娘が把握してるけど。


参事会や西の山から来たドワーフたちとの会食。

青龍の公女(三佐)青龍の(アムネスティ)娼婦(ガールズ)たちとの宴。

領民にも、青龍にも、自分の女(あたし)たちにも、同じ。


機微ひとつで街ごと灼かれる、領民たちは黙々。

・・・・・・・・・その僅かな仕草から好みを読み取る、あの娘。

苦手な物は彼に押し付けてくる、青龍の女たち。

・・・・・・・・その上で尚、好みを訊きだそうとする、あの娘。


あの娘は彼の好きな物しか造らないけど。

あの娘は彼が楽しむように客をもてなす。

あの娘は彼の欲するようにだけふるまう。


殺し合った相手との、常。

――――――――――事前に好き嫌いは、あの娘に伝えてくるけれど。


皆が答える。

もし在れば。


彼が食べ始めると、ミラー卿、そしてツジ卿も続いた。


答えを待たない(またない)彼。

応えを持たない(もたない)彼等。


苦手は無し、っていうのは、別にめずらしくはない。

苦手が一品二品あるなら避ければ済むことだし、ね。


・・・・・・・・・・・それとも、一線を引いて観せた、とか?


食べようとしたとき、既に取り分けられている。

食べたい物を食べたい順に、適量。

食べきる前に冷めない、温くならない分量にて。


取り分けているのはColorful。

――――――――――あたしも見習いたい。


当然、客の関心を視線や仕草で読み取る。

ツジ卿は取り分けられること自体が嫌い。

ミラー卿は取り分けられるのに慣れてる。


好悪を覚った上で、不快にさせずに、受け入れるように。

・・・・・・・・・・剣や弓の技量より、役立つわ。


手脚の範囲は簡単に判る。

口の大きさでアタリをつけて。

咀嚼数を計り、多からず少なからず。


乱戦の呼吸、と同じように視れば、いける、かしら?

・・・・・・・・・・可能だから出来る訳じゃないけれど

後で真似して、Colorfulに見て貰わなきゃ!


恋仇(あたしたちに)に譲って観せて協力し

――――――――――そんな自分たち(Colorful)を彼に魅せる。


あたしには見倣えないから、前に出る。

・・・・・・・・・・気持ちは、ね。


あたしは彼の背中。


彼の騎士長(曹長)は三歩後に直立不動。

ミラー卿の騎士長(海兵隊軍曹)は麓に合図してから、三歩下がって直立不動。


麓の騎士たちが動き出した。


貴族には執事。

王侯には侍従。

彼には、あたしも。


主か目の前の戦いに集中出来るよう、差配する。


ムタグチ卿は貴族(士官)だけど、今はツジ卿の背後で邪魔はしていない。

・・・・・・・・・・()()()、それほど、たいして。

あの娘の料理を凝視して当て推量を書きつけてるなんて、不審過ぎるわ

・・・・・・・・・・かえって誰も気にしないけど。


この場の誰もが、街外れの竜騎士(ムタグチ卿の家臣)たちも気にしない。

――――――――――ツジ卿以外は。


(後でつくって) (あげます!) (さがんなさい!)

この距離だと、あたし以外も聴こえてるわよ?

・・・・・・・・・・ほんとに誰も、気にしてないわね。




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央暫定中立地帯/大神殿(改め建築楽器)/正面入口テラス部分/青龍の貴族】


俺は立派な大人の手本(演技)を魅せる。

――――――――――実に旨い。


料理を楽しんで観せる。

お互いに。


魔女っ娘は御飯炊くの美味いんだな。


周りに示す。

相手と自分の立ち位置を。


異論の隙を与えなければ、是承認。


殺し合うのか。

仲直りするのか。

そんな必要はないのか。


――――――――――相応しい演出があればこそ。

お嬢、ありがとう。


全く通じ合わない合えない合おうとしないままに、お嬢は来客を取り込める。

お嬢、いや、旧時代の貴婦人と呼ばれる技能、その結晶でもあるんだな。


日本の感覚を端から無視される防衛駐在官(在外武官)

相手に合わされたら負けの在日米軍向け渉外。

三佐に出会(でくわ)させられる造られた他人。


お嬢を、そんな場に連れていったら?


どれほど失敗を、減らしてくれるだろうか。

いわゆる社交界ってのは、こーいうモノなのか。


場に合わせた(演出)所作(演技)で場を合わせる(支配する)


まるで皆と踊っていながら俺に向けてリード。


偶然背負った主婦や試験官僚の事務官には、実現可能性が無い

――――――――――世襲スキル。


お嬢に導かれし者たち。


ジェット戦闘機のエンジンフルスロットル。

直近でそれをくらった三佐の被害者仲間。


皆の心が、一つになった?

――――――――――この出汁って魚の骨だよな。


国土交通省の言う通りにしないから……時事ネタが古くならないうちに、一つ。


現代日本の基礎知識。


官僚が決め、議員が辞職。

官僚が実行、議員が追認。

官僚が聴せ、議員が聴く。


TVと新聞(政府広報)だけ見聞きして地元に帰らず(世間を遮断し)官僚の報告(教育)を受けていると立派な長期政権(奴隷)になれます。

逆らうと近しい人間(おともだち)が辞任したり逮捕されたり自殺したことにされたりするので気を付けましょう。


鎖国令(笑)の一部撤回後の報道でヤバいのが有りまして。


「前政権に比べ現政権は官僚に舐められてるから撤回などという事態が生じる」

……舐められるほど時間たってないよね。

つまりは「前政権までは官僚の事後報告を追認」してたから撤回が生じなかった、と。


つまり書類のミスではなく

「首相閣僚への報告は全部終わった後でまとめて」

が通常業務だったみたいです。


わーい、ルーマニアなみだ(笑)!


あれ?

その惨状がキチンと報道される国と、考慮すらされない国では、どちらがマシなんでしょうね。


馬鹿を馬鹿と罵りりつつ、止められない国。

馬鹿を馬鹿と罵ることすら思いつかない国。


これで一度しか滅んでないんだから、すさまじい国ですね。

これでハンデ(官僚)を背負ってなかったら、なにが成し遂げられたでしょうか?


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