レディメイド/pret a porter.
【用語】
『テイラーメイド/Bespoke tailoring.』
:人に合わせた服のこと。
和装洋装様式を問わない「服」の基本的な考え方。
人類史の長期間にわたり布地は通貨として流通しており、服というのは特権階級にのみ可能だった。
使い古して余った布地を詰めて接いで体に巻き付けることを服とは呼ばないのであれば、だが。
作中では「お嬢」がそのポジション。
同じ服を着たのは主人公の遠征に断固として同行し始めてからの人生初めて色々と。
特権階級にとって、あるいは本来的な意味において、「服」とはワンオフでなければ概念として成り立たない。誰が、いつ、何処で、何故、どのように、誰と、纏うのか?それが判らなけれ仕立てることができない。そして一度仕立てられ纏われた服は二度と使えない。同じ状況は二度と有り得ないからだ……風向きや陽加減一つとっても、同じなどということはありえない。千利休であるならば「一期一会」と笑ったであろうか。故に貴族や王族、帝室などの城郭館にはクローゼットは有り得ない。衣裳室とは工房で在り、衣裳係は職人であり、他の特権階級の衣裳係と互いのデザインをすり合わせて調和させる舞台監督を兼ねる。もちろん一人一人に複数の担当がおり競い合い、帽子から下着から外套はもちろん靴に小物にアクセサリーまで専任であり互いに競い合いながら必ず調和させる組織でもある訳だ。王族には「下着係」等々がいたのはそういう理由で、帽子係も靴係もほか色々もいた。彼らは在庫管理人やコーディネーターではなくクリエーター兼デザイナーを指すので当然、上級職であった……現代のデザイナー=「作品に人間を詰め込む」意味合いとは全く概念が違うけれども。
過去の特権階級。
日々使われる布地や皮革などが保管陳列された部屋。宝石そのものが剥き身で収納され加工を待つ宝石箱。刻一刻と構想され仕立て上げられ同じものが無い装具一式。
現代の「豊かな」生活。
多くのドレスや靴を仕舞った部屋。宝石そのものではなく成形されたアクセサリーが仕舞われた箱。無数でありながら有限でしかないカタログ。
「服」という概念が変質していない階層(現存してます)から見れば既製品そのものが「靴に脚を合わせろ!(旧帝国陸軍より引用)」と主張しているようにしか見えない。ソレを贅沢と見なしている人々が人間に見えなくても当然のことだろう。手間暇かけて金かけて「38式歩兵銃様申し訳ありません」と風雨の屋外で連呼している旧日本陸軍二等兵姿の人影の目つきがマジだったら、通報するようなものだ。
ある階層でも服やアクセサリーをステータスとして使う場合がある。祖父母以来のスーツや着物を仕立て直して纏う纏わせる慣習は、王冠とおなじような意味を持つ。合衆国のような歴史が無い国以外の特定階層では「服そのもの」が伝統や家風、権威の継承に使われる。
利己主義を極めれば利他主義にしか至れない。
――――――――――たいちょ~言われてますよ?
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央暫定中立地帯/大神殿(改め建築楽器)/正面入口テラス部分/青龍の貴族】
俺には出来ない、いつものこと。
出来ないことは出来る奴に回す。
偉い人に。
エライ人に。
うちの娘たちに?
ないないないな
・・・・・・・・・・あった。
俺の口先は喧嘩にしか通じない。
三佐の指先は戦争にしか通じない。
戦闘を留められるのは、うちの娘たちだけしかいなかった。
御陰で三桁が殺されなかった。
同じ数が殺さないですんだ。
これを棚ぼたと言います。
むしゃむしゃで終われないのが、困りもの。
――――――――――殺されたらどーする。
見知った侵略者。
見知らぬ侵略者。
仲良しな侵略者。
仲良し以外はどーでも良かろうと涙一つに墓参りに思い出話と美化して子々孫々語り継がれたら十分
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
やっぱりやめて。
殺されて泣かれる?
割に合わねーよ。
命が軽い、その利点
――――――――――殺されたら終われること。
世界で一番大切な俺の命。
それが亡くなるって、相当だよ。
辛いよ、俺が。
死んでるけど。
俺が殺されたら、うちの娘が泣く、間違いない。
俺の損害に倍プッシュ!
嫌がらせ此処に極まれり。
そんなに俺が大切なのか。
ちゃんと躾ないとな
・・・・・・・・・・形見の奪い合いくらいで宜し。
俺が辛いのはもっと困る!
宇宙で一番大切な俺だよ?
俺の無価値を解らせねば!
うちの娘が殺されたらどーなる?
――――――――――ご想像にお任せします。
子どもの罪は、大人の責任。
保護者の躾が悪い。
結果が良ければ善しとせず。
全員、肢体に躾。
・・・・・・・・・・理屈以に反射的に欲に動けるよう。
シスターズ。
Colorful。
一人一人、独り残らず。
自分と自分たちの都合以外は思い付けないようにしよう。
うちの近所のガキどものように。
うちの娘たちも、徹底的に、だ。
自分の欲を迷っても即座に実行出来る立派な子どもにな。
犠牲精神、在り得ざるべし。
そーいうの大得意だから。
向かうところが正しければ、時間の問題に過ぎないから、圧力をもっともっとも~~~~っと高めるだけ。
普通の子どもは、俺に感化されるんだがな?
一生、自分のことだけ考えてなさい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――なんでまだ、うちの娘たちは、優しいのか?
【聖都/聖都市内/中央/大神宮内/巫女の胡坐/青龍の騎士団陣形前方/彼の背中/エルフっ娘】
あたしの耳に映る街並み、いいえ、青龍たち。
旗印。
記章。
言葉。
動き、まとまり、まとまらなさ
――――――――――それが収斂していくのが判る。
今は。
街の中だけ。
耳に届くから。
これから。
青龍の使い魔は、彼が覗かせてくれる。
彼が全てを、この世界を教えてくれる。
いずれ。
彼の傍で世界を視聴き。
彼が必要なだけ囁き交わす。
――――――――――もっと。
あたしの好意を押し付けて。
あたしの能力を魅せ着けて。
あたしの利用価値を認めて。
――――――――――使わせてみせる!
彼が愉しむ女。
彼が慈しむ女。
それが、あたしたち。
戦好きの女好き、それが彼。
女としてなら
・・・・・・・・・・あたしが一番、不利。
彼が利用できる女。
彼が使いたい女。
あたしなら、なれる
武具であり、
彼が欲する全てを一人で満たせる、かもしれない、のは、独り。
イケる。
まだ、彼の差配と見比べて、やっとアタリがつけられただけ、だけど
・・・・・・・・・・自慢はするけど、まだ足りない。
彼が誉めてくれるのは待ち遠しい。
だけど、もっと巧くやれば、驚いてくれる。
いつもいつも弄ばれてるんだから。
悦ばれるのは、いつも。
悦ばされる、のもいつも。
・・・・・・・・・・あの娘たちなら、全て委ねるわね。
――――――――――悦ばせる――――――――――
彼を。
あの娘は殺されない。
彼が青龍に護らせる。
・・・・・・・・・・あの娘は不満だろうけど。
ならば考えることはない。
彼の一部が、あたし。
あたしが殺させない。
・・・・・・・・・・あの娘たちは怒る、必ず。
ならば、あたしが、考えることは一つ。
――――――――――欲しい――――――――――
彼が。
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央暫定中立地帯/大神殿(改め建築楽器)/正面入口テラス部分/青龍の貴族】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺は考えるのを止める。
目の前の棚ぼたを平らげてから、メインディッシュを味わおう。
大丈夫大丈夫。
経験者は語る。
慣れてるから。
――――――――幸運に――――――――
俺の棚ぼた体験談。
例えば?
・・・・・・・・・・さっき。
そう。
友軍同士が殺し合った場面を想像してみよう。
いや。
時制が間違っていた、な。
殺し合った、は過去形か。
殺し合ってる、進行形だ。
まず。
銃口と砲口を撃つ。
いや。
向け合う、じゃないぞ?
ちゃんと実包実弾実砲弾。
きちんと照準、精密射撃。
最後。
皆の見解は常にぶれずに皆一致。
いや。
仲良く決戦、揃って決着って方向でな。
現在進行形で理由はなんだか解らない。
過去完了形で行き着くことは、判った。
こんな感じ。
うちの戦死予想は五割超え。
おねいさんずに限れば十中八九。
友軍も同じ数は殺せる。
そしたら。
――――――――――魔女っ娘介入!
御見事。
暗黙の合意を一瞬で拐った。
・・・・・・・・・・皆の注目ごと。
だから俺がインターセプト。
一応、水増し国連大尉の、俺。
同格になる合衆国海兵隊大尉。
同じ扱いかもしれない、参謀。
三人が、続いた。
魔女っ娘ごはん仲間と名付けよう。
三人揃って移動。
巻き込んだらおちおち戦死できん。
死ぬのも嫌だが、生きる価値が無いことも多い。
移動ってか。
映画で言うと、投げ込まれた手榴弾を抱えて走り出す。
そんな感じ。
これで照準を俺 に戻した
・・・・・・・・・・小さい的より大きな的。
スナイパーなら、そちらを狙う。
――――――――――俺、カッコいい。
老後の自慢話が増えた
・・・・・・・・・・正確なメモを作って、整合性が高い脚色を造らねば!
カッコいい。
そりゃやる。
やらいでか。
そして全銃口砲口が集まった瞬間、急降下爆撃機動。
皆さん固まりました。
悔しい
――――――――――俺も。
いやエルフっ娘は固まらなかった、か。
海兵隊軍曹も。
――――――――――全員を動かした。
Present Arms!
皆の銃口が一つになった。
その瞬間だけは撃てない。
その瞬間に一斉に突撃。
うちの娘たちが。
武装を解いたうちの連中を率いて、うちの娘たちが。
そりゃ御茶になるわな。
【聖都/聖都市内/中央/大神宮内/巫女の胡坐/青龍の騎士団陣形前方/彼の背中/エルフっ娘】
あたしは皆が彼を視る眼を追った。
今さら?
今さら!
我ながら
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・遅いわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
彼を視るのは彼を狙う奴だけでいい
――――――――――だから、よ。
ここは彼の劇場。
彼は主演。
あたしは書き割。
殺し合いは中止。
・・・・・・・・・・にしてもいい、って思ってるわね。
あの娘のおねだり。
あの娘の勇気。
あの娘のワガママ。
だから、殺らなくてもいいかな、と。
―――――――――――――自分の女には甘いのよね、あたしにも♪︎
それまでは青龍を殺ることしか考えなかったくせに。
青龍だから青龍を殺さない、ってことはないけど。
むしろ青龍が一番、帝国より青龍を殺してる、とか。
最初から、そんな気はしてた。
・・・・・・・・・・じゃないと殺し合いにならないし。
青龍って、殺すのが嫌い、なのかもしれない。
彼だって、わざと殺してはいない、気がする。
それって、殺し合いが好き、ってことだけど。
だから殺されようとする。
隙を観せて。
気を抜いて。
今目立って。
単に返り討ちにしたいだけなら、絶対に留める。
――――――――――そういうときは、止まってくれるから。
だからよね。
闘いが終わるように隙を見せ付けてる。
たちが悪い。
あたし、たちが縋り着いてこれないようにして。
自分の女たちには甘い男。
彼にだけは甘えたい女たち。
特に、あたし。
甘えさせない意地悪。
甘えて魅せる意地でも。
うん、負け。
彼が青龍たちに観せつける演技。
あたしが彼の役に立つ舞台配置。
彼に夢中で全然ダメな、あたし。
すっかり魅いられてた。
色ボケするのは、閨か湯殿か、弄られるのは、ちょくちょくあるし、耐えられたことがないし、我慢なんかできないけど、とにかく、両方。
やりたいこととされたいこと。
――――――――――我慢は禁じられてるんだから。
愛する相手を視る幸せ。
それは二人のもの、でしかない。
それこそ望むところ、だけど。
愛する相手を視る者たち。
それが二人を引き裂こうとする。
あの娘たちばかり牽制しちゃだめ。
教訓
・・・・・・・・・・気づくのが遅い。
あたしは彼しか視なかったから。
魅れなきゃ、あたしが死ぬ。
視えなきゃ、彼が死ぬかも。
なら、選ぶのは簡単だから。
・・・・・・・・・・やり遂げて観せる。
優位にぬれば我慢、出来なくない、しゃない。
あたしだけ。
出来るだけ。
彼に、だけ。
・・・・・・・・・・彼が許してくれる範囲で。
正常化にはまだまだ遠い今日この頃。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
24時間営業の喫茶店が無いと困ってるんですが。
これでもまだマシなんでしょうね。
……って発想がおかしい(笑)。
何処の国でも政府が追い詰められてる国はコロナ対策が継続過激化。
ドイツとか英国とかオーストリアとか。
幾ら強化してもワクチン接種率は上がらないんですけどね。
「コロナ感染者の急増加で対策が強化されている」
ってニュースを見て喜ぶコロナ馬鹿は同じ記事中で
「同国ではワクチン接種率が一向に上昇せず」
って書いてあることに意味は考えない。
反ワクチン、とかそーいう話じゃない。
だって感染しても何も起きないんだもん。
命がかかってたら射つよ、普通。
天然痘ワクチンだったら争って射つよ。
判り易すぎ!
であればとりあえず現政権を支持しておけばコロナが収まるようです。
わっかりやす(笑)。
あ、フランスやスペインみたいに
「現政権にとどめを刺してコロナが収まらなくても無視する」
という解決方法もありますね。
アメリカみたいに「ワシントンは無かったことにする」という諸州もありますが。
民主主義的にはそれが正しいんですけどね。
警官隊とノーマスクが殺し合ってることも含めて。
「コロナで死んだ人間はコロナが無ければ別の原因で死んだだろう」
ってそーいう(笑)。
「殺す気が無いなら殺されてろ」
が民主主義の基本原理。
スターリニズム国家では
「自己責任で自主的にマスク付けるよね?」
で自殺餓死病死等々が増えてるんですけれども。
まだ増えてますよ?
わたしは我が(嗤)スターリニズム国家を今日も散策して舌打ちしてます。
先進国は人殺しでいっぱい。
警官に殺される国。
デモ隊に殺される国。
世間に殺される国。
死に方くらいは選べますよ?
……わたしはゆっくり百年くらいかけて選びましょう。
後は書き終るだけの作品が三本くらいあるので、仕方ありませんね。
だから本作の更新スケジュールが乱れてしまうんですよこれが。




