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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十五章「三竦み+」

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La cadeau de l’Ange/客観的主観。

【用語】


『メディア・チェック』

:24時間TVを観るだけの簡単なお仕事は実在する。

(誰とは言わないが霞が関の方向)

なお北の寒い国では「24時間単調な刺激を食事と睡眠以外のすべて間に絶え間なく繰り返す」という手法が多用された。具体的には「氏名住所年齢など同じ質問を繰り返し解答を強要させるが暴力(強い刺激)は使わない」という方法。回答者が「この行為に意味が無い」と理解できることが要点。なので、例えば偽名や偽の身分が予想される相手には意味があると誤解されかねないので「キミが捕まったのは何月何日だ?」と質問を切り替え毎日繰り返す方法もある。性同一性障害が予想されない場合は性別を訊いてももいいかもしれない。食事は塩分最小化した流動食で無音にはしないが自然環境音以外避ける。尋問する側は交代するが声以外の変化を与えないように尋問対象に強い光を当て尋問者を見えないようにする。回答を強要する暴行者は両背後に立ち声を出さず後ろから押さえつけ圧迫や関節痛で後に牽かない(刺激を与えない)苦痛を工夫。例外的に何年も耐えるケースもあるが概ね一週間ほどで人格が崩壊し自律性廃人となる。そのタイミングで与えられた刺激(質問)には完全(正直)反応(回答)する。

……「TVを観ると頭が悪くなる」というのは、こういう仕組みです。


「映画のワンシーンかしら?」

「ドラマじゃ観ないシーンではありますね」

「そうなの?」

「あ、TV観ない人でしたか」

「レポートも見ないわ」

「レポート?」

「いっちばん頭が悪い書生がモニターだけはしてるから」

「ああ、メディア・チェック」

「24時間全媒体を流し観させる」

「拷問じゃないですか」

考える葦(人間)にとってはね」

「波打ち際で穴を掘り続けるやつ」

「東洋風」

「魂は不可侵だから身体を責める西欧」

「身体が無価値だから魂を責める東洋」

「身体から攻めて魂を砕く(洗脳)は」

NKVD(内務人民委員部)か東京地検特捜部に、御実――――――――――」

「・・・・・・・・・・頭に悪いから連続30分以内の交代制にしてるわよ」

「ホワイト企業ですね御実家の事務所(与党第一党支部)は」

「・・・・・・・・・・殺さないであげる」

「――――――――――命乞いの先回りですか」

「映画の話」

「現実の話」

「立て籠る犯人、包囲する警察、介入する交渉人」

国際連合統治軍(三佐の手勢)UNESCO執行部隊(合衆国海兵隊)国際連合軍(三佐の子分)

「詰めかけたUNESCO調査員が野次馬ね」

「元凶の間違いでは」

「解消したじゃない」

「映画なら山場ですね」

「現実なら修羅場かな」

「夜が明ける前が一番暗い、と言いますから」

「夜は明ける、それを観られるとは限らない」

「良くご存知です」

「観たことない?」

「コーラとポップコーン片手に?」

「あら、貴女はホットドッグ派?」




【聖都/聖都市内/中央/大神宮内/巫女の胡坐/青龍の騎士団陣形中央/青龍の貴族前の三歩後/エルフっ娘】


あたしの肢体はキチンと留まれた。


彼の望んだ通りに。

彼に示唆されずに。

彼の身体のように。


世界中に自慢したい

―――――――――あたしの肢体は彼の一部なんだって♪︎


判断以前に反応出来たのよ!

愛撫されて意志が翔んだのに!

突然あたしの頸を掴むんだもん!


彼に急所を掴まれると、命を掴まれた心地良さ

・・・・・・・・・・・他人(ひと)前では止めて欲しい、気が、もったいないけど、しないこともない、かも。


閨と湯殿の中でなら。

二人っきりの刻なら。

貴男と女の時間なら。


あたし、たち、いつもの女だけでまた増えないなら二人っきりじゃなくてもギリギリ納得できないけど我慢

・・・・・・・・・・・・させられる、じゃなくて自ら、する、してみせる。


あたしの不満は貴男の愉しみ。

喜ばせるだけと判ってるけど。

どうせ隠しても読み取られる。


なら、好きなだけ悦ばせてあげようじゃない。


筋合いじゃないけど、文句を抱いて。

何様でもないのに、独り占めを望んで。

言うに言えない不満を、遠慮なく溜めて。


そんな普段をココ(刻/処)でする?

・・・・・・・・・・嬉しくて困る。


あたしを一撫でした彼には伝わった。

あたしの肢体の心地良さ、と、あたしの悦び。

あたしが感じる快感以外の、視聴き。


状況に変化無し。

――――――――――だから、動いたのね。


皆には判らない。

エルフ(あたし)の肢体を、知るわけがない。

彼は勝負を畳む。


敢えて蹴りを付けずに長引かせてたのに。

まるで見込みがある若造に教訓を与える勝負師――――――――――あたしにも視せくれている。


彼と、青龍の貴族として面付合わせていた、二人。

――――――――――二人を避けないように観せる。


退いたように観せない為。

攻めたように観せない為。


二人と関係ないように動く。

二人は眼を離せる訳がない。


だから、前に留まった(あたし)を撫で回す。

あたしの肢体を周りこむことで二人を避けられるから。


あたしの肢体も、ついでじゃない、わよね?

・・・・・・・・・・愉しまれてる。


気に病むところも。

揶揄われる不満も。

愉しまれる喜びも。


新たな嫉妬まで煽って!


大切な妹分。

最強の恋仇。

頼りの家族。


彼の傍らでず~~~~っとくっついていて、あたしがされているときに、彼にしがみつく肢体にさらに力を入れて、羨ましそうにこちらを見上げていた妹分。


彼が自分の女(あたしたち)をイジメない訳がない。


妹分の(おとがい)を掴んで頸筋から胸元を揉む

・・・・・・・・・・あたしに見せ付けながら。

その上に、追い討ちを忘れないのが彼。


一瞬で脱力した女体(妹分)(あたし)に預けるなんて!


可愛そうに妹分は混乱。

とっさにしがみついてくる。

可愛くて悔し過ぎるわ。


大好きな妹分が、あたしを恋仇の女としてより、頼れる女として見てくれた

・・・・・・・・・・・・・・嬉しいのが悔しい、のは、お互い様?


それを背中で笑う彼が、更に追い討ちをかける。

あの娘を撫で転がして、あたしたちに指先で合図。

妹分と二人で、あの娘が付いていくのを留めた。


あたしは付いていく(行く)けど、着いてはいけない(ダメ)


あたしの耳は彼を視ている。

彼を観ている目を聴いてる。

考えにもアタリが衝いてる。


必要ないのは判るけど

・・・・・・・・・・・・今、前に出れば、邪魔になる、今は。


(将校)は恐れる。

古参(下士官)は呆れる。

(兵士)は讃える。


自慢したい

―――――――――――――――あたしは彼に奪われた女なんだ、って。


共に立てば映えるでしょうね。

跪いて見上げれば彼が映える。


我慢がまんガマン。


見せびらかして、見蕩れたい。

彼に魅せるか、皆に魅せるか。


堪えがたきをたえなきゃ。


あたしが傍に居れば盾になれるのに。

あたしが盾になれば彼は死なないのに。

あたしが殺されないように身を守るのに。


貴男独りを殺せば盤面が変わるのに

・・・・・・・・・・殺しやすい場所に出るんだから。


賢い相手なら殺らない。

強い相手なら殺らせない。

オマエはどうかと笑ってる。


(馬鹿)以外を味方に惹き摺り込む

―――――――――自分が殺されれば、殺した奴以外、全部味方。


あたしが(心中)してやろうかしら。

彼は殺し合いには向いてない。

だから戦争が一番似合ってる。


敵を牽き摺り、味方を惹き上げ、後に残るのは彼が好きな者(理想郷)だけ。


()()()()()()()()()()()()()()()()


って、叩きつけたと気付かれたい

・・・・・・・・・・判ってるくせに、解らないんだから。


いつか、じゃなくて、今、解らせる、途中。

彼の子を産むまで、その後くらいまでには。

今は死なせないだけで我慢する、しかない。


あたしのことは、いいのよ。

・・・・・・・・・・いいのよ、今は。


むしろ(青龍の貴族)に対峙する二人に同情してしまう。


偽名のツジ卿。

――――――――――影働き(不正規戦)よね?

貴族のミラー卿。

――――――――――彼と同じ位階(大尉)か。


彼は二人を観ていて、二人は彼が観えなかった。

ソレよりなにより彼はソレを知っていた。

二人はソレを知らなかった。


駆け引きでいうなら、そっちの方が致命的よね。


勝負に有利不利は当たり前。

それだけなら勝負は着かない。

やりようはいくらでもあるもの。


それが出来る二人だった、と、思う

――――――――――だから、狙われたのね。


相手の眼に気が付いていれば、隠せなくとも何とかなる。

・・・・・・・・・・そしてそうはならなかった。

有利不利を片側だけ知っていれば、勝負にすらならない。


最初から

――――――――――賭場の嵌手じゃない。


ここ(彼の女)エルフ(あたし)がいる


狡いって思わないのは身贔屓

―――――――――――――青龍の見方を知っている、あたし(エルフ)が。


青龍に参陣、陣借しているエルフはいるでしょう。

黒旗団以外にも、それなりに。


だから此処にいるエルフ(あたし)を気にしない。

日々いつも愛されてるエルフ(あたし)なんか、一人しか居ないのに。


一方的に甘やかされて可愛がられて玩ばれている身ではあるけれど。

・・・・・・・・・・すぐにほどなく出来るだけ早く速く深く不覚可愛く甘えて弄ばれる日にするけど。


今じゃないだけで!


閨や湯浴み以外も常に肌を合わせていれば、交えなくとも、感覚が解る

・・・・・・・・・・・・すぐにほどなく出来るだけ早く速く深く不覚肢体を交え続ける日にするけど。


睦言以外も聴いているし

―――――――――あたしは聴きたい、彼は聴かせる。


言葉を。

呼吸を。

鼓動を。


常に何もかも見ているし。

――――――――――彼は魅せるし、あたしは視る。


彼が書くもの。

彼が詠むもの。

彼は隠さない。


――――――――彼が魅せる青龍の世界―――――――


いつもその視線を追っている。

だから、判らないまままま、解る。

ほかのエルフたちとは、違う。

もちろん、エルフ以外の種族とも。


たまたま従軍しているエルフ。

彼らは、青龍を解りやしない。

力だけ見て、こと足りるから。


青龍も非ざる者も、互いに支障がない程度に判ればいいこと。


青龍でなければ力は無い。

青龍が所有する()は興味を持たれる。

力無き者を無視する青龍は、興味深い物は見逃さない。


だけど(青龍の貴族)ソレ(あたしたち)が青龍を出し抜けるように仕立てている

・・・・・・・・・・なんて、思い付かないわよね。


強い相手が欲しい?


青龍が赤龍(帝国)に戦争を仕掛けた理由かしら。

青龍の公女(三佐)が主に青龍を殺す理由かしら。

青龍の貴族みたいに誰彼構わず鍛えるのは異端よね。



(青龍の貴族)はその意味を同じ青龍にさえ晒さなかった。

だから観たものの意味がわかったし、伝えられた。

だから他の青龍は、エルフ(あたし)の意味が解らなかった。


あたしには視えて、あたしは観えない。


健気な敵。

動く石ころ。

憐れむべき生物。


こと闘いにおいて、これほど優位はない。


もちろん青龍は間違ってはいないけど。

あたしにも青龍の一人二人は殺せる。

それは誰にも、特に青龍に意味はない。


あたしたちは無力だから

――――――――――彼なら言うかしら?


力は無いなら有る者を探せ。


青龍()の一部になれば

――――――――――その時だけ、切り札(最強)になる。


それに気が付いているのは?

ソレを始めた青龍の貴族。

彼を従える、青龍の公女は?


だから二人に()()()()不意打ちだった。


聖都の外れにいたツジ卿。

大神殿の麓にいたミラー卿。


二人は竜の巣穴(彼の縄張り)に奇襲をかけた、つもり

―――――――その流れが、あたしには聴こえていた。


青龍同士の聞き耳、覗き見は防ぎあってるみたいだから

・・・・・・・・・彼と互角のつもりだったでしょうね。


あたし(エルフ)が彼の(モノ)と知らないわけがなく

・・・・・・・・・・意味を考える訳がない。


添い遂げている(青龍の貴族)(あたし)


互いの意図が判らないわけがない

・・・・・・・・・・解ってくれないところは在れど。


だから二人は動かされた。


あたしが思った通りに。

彼が意図したとおりに。




―――――――三頭の龍を一つに―――――――




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