殺して。殺されて。殺し合えずに、殺さない。
【用語】
『社交』
:「社会」そのもののミニチュア。それ自体が手段ではなく目的であり「あるべき社会」を参加者が確認する過程。式典、園遊会、宴会、ピクニックから巻狩などなど様々な形態をとる。「場」を創ること自体に意味があるのだから、交渉や諜報や宣伝やテロに使うなど以ての外。その一時を持ってパブリックエネミー認定不可避。知られているようで知られていないが無意識に自覚されている。例えば「酒席に仕事の話を持ち込まない」ことが出来るか否かはともかく、皆さん知ってはいるだろう。
珍しくWikipediaが役にたつ分野なので「社交」を読んでみると良いかもしれない。
戦争とは例外だ。
「殴ること」を知っている。
「殴られること」に馴れている。
「殴り合うこと」は理解出来ない。
十人が百人でも変わらない。
だから私のような弱い女でも勝てる。
殺る方が驚くくらいにな。
戦場ではなかなか巧くはいかないが。
決まりきったプロセス。
一人目の目玉を抉ると皆が止まる。
二人目の顔を潰すと逃げ腰になる。
三人目の関節を砕く前に走り出す。
十人いてソレだが、仕方がない。
血肉が跳び散る音。
歯を全て失った口から漏れる呼気。
骨が折れ砕かれ音。
同種が解体される過程で生じる鳴き声を知らなかったからだ。
鯨やイルカをコントロールする技術。
あれと同じ。
同種生物の断末魔の悲鳴を流す、と。
どんな動物にも効く。
決して、悲鳴に近付かない。
すぐに逃げ出す。
とても人間的な反応だろう
襲われたときに悲鳴をあげてはならない。
「助けて」は禁句。
危険には誰も近付かない。
「火事だ」と叫べ。
近付く危険は無視されない。
素人の感覚は常に一方通行だ。
殺すことは出来るだろう。
殺されることは出来る。
殺し合うことは出来ない。
人類の、いや、多世界種族の大半が素人。
主に殺す。
偶に殺される。
稀に殺し合える。
軍人の、いや、侵略戦争用の例外が玄人。
治安維持。
体制維持。
派閥維持。
かろうじて防衛戦には使い道はあるが、出来やしない。
民兵紛いを相手にするのが精々な民兵集団。
継戦能力も遠征能力も無いが最新装備を飾る。
出来ることは国家の存亡には無関係な紛争。
正規軍との総力戦など最初から考えていない。
単なる紛争ですら息切れして、国家が崩壊。
軍を名乗る集団、その99%がソレだ。
――――――――――戦争なんぞ出来やしない。
互いに戦えば何も残らないほどの装備と訓練。
同等の相手に攻めかかる前提で構築された組織。
我々だけが殺し合える。
・・・・・・・・・・だから、殺し合わない。
《インタビューNo77/合衆国大統領》
【聖都/聖都市内/中央/大神宮内/巫女の胡坐/青龍の騎士団陣形中央/ライアンの真ん前/魔女っ娘】
わたしに判ることは、ご主人様のことだけです。
解るわけがありませんが、判るのは本当です。
――――――――――だけ。
ねえ様。
ちい姉さま。
わたし自身より馴染んでるのに、やっぱり判りません。
・・・・・・・・・・なら、他のことは尚更、です。
でも料理に味以外の意味がある、って知らなかった訳じゃありません。
ずっと外から観ていただけ。
観る機会はありました。
望んだわけではないですが。
わたしが、ご主人様の物になる前。
半年くらい前なのに、いつか観た悪夢みたい。
何もかも終わったことですけれど。
あの頃。
太守さんが御存命だった。
わたしが帝国に閉じ籠められていた。
観せられました。
――――――――――偉い人達の仕来り。
わたしは太守府で社交からは遠慮が許されました。
場を白けさせるだけで、邪魔だと思ってくれましたから。
知らない人がこわい、わたしにはとても有り難く。
知ろうとしないから、怖かったのかも。
――――――――――そうも思うようになりました。
わたしに何もかも力付くで思い知らせてくださるのは、御独りだけ。
・・・・・・・・・・そんなわたしが、しらないこと。
園遊会。
猟競べ。
御披露。
何時から何時まででもない。
特別な理由もなく。
誰が誰とも曖昧に。
そこに大勢が集う。
なにがなんだか判らない、その時は。
――――――――――今は、だいたい、判ります。
人や家を誇示する。
人や家を切り崩す。
人や家が近く遠く。
だから、わたしには関係無かった。
でも、魔法使いは無視できないこと。
招待は必ずされました。
魔法使い至上主義を尊重して観せる。
わたしを招き、わたしが断る。
それが必要だと、判ろうとすらしなかったのが、わたし。
だから謝絶状は、ちい姉さまが用意してくださいました。
家御抱えの書家を使えば脚がつく、だから懇意の工房へ。
陽気が好くなると、ちい姉さまに引っ張り出されます。
――――――――――普段と異なる理由。
冬の前、収穫が仕舞われた後。
冬の後、乗り越えられた後。
・・・・・・・・・・社交の季節。
多くの家々が別々の日に。
家の前庭。
御茶と御菓子。
大きな籠に印章と。
招待されたと認める為に、使いを迎える。
各家々。
区々な集い。
一刻程。
わたしの目の前、庭先で繰り返される儀式。
ねえ様が従者のふり。
いろんな家々の執事長さん。
わたしに捧げ出される招待状。
ねえ様が受け渡す、招待状と謝絶状。
受けて読んで書いて渡した、わたしが、ということになります。
思えば、いえ、思い出しても、御迷惑だっただろうと、顔が赤くなります。
ちい姉さまが招待状の半分、お家の関わる方々を手前で穏便に片付けてくださっていたのですが。
でも、式典は許されません、でした。
特に帝都からの客を迎える時。
太守領で独りだけの魔法使い。
一番偉い太守さんの次が席次。
世馴れた帝都の高官の方々は、わたしを放って置いてはくれました。
決まりきった置物。
留まらない視線にすら怯え。
必死になって、なお隠せない。
冒頭で仰々しく、みんなに誇示するように魔法使いに儀礼を演じる偉い人。
帝国の国是、魔法使い最優先を、みんなに躾るため。
騎竜民族らしい姿で、帝国に属さない在野の魔法使いにも最上級の礼儀をとる。
それが全員に伝わった、そう視てとれるまで。
その上でなら、ねえ様が覗く控室へ連れて行ってくださるくらい。
不変の国是に依るのだから、わたしの席は無いのと同じ。
だから関係は無いのですが、聴こえては来ました。
順番の上がった下がった。
変わらないから叶わない。
変わったのに、叶わない。
そう言う人たちは、わたしを引き合いにだします。
――――――――――ちい姉さま曰く。
本当に罵りたい相手に本音が聴こえたら殺される。
だから、言い返しさえしない相手にかこつける。
大きな声で言えば、伝えたい相手にも聴こえる。
でも別人に託つければ嫌みくらいですむ。
あらゆる順番。
椅子の場所。
立ち位置。
それが殺しあいにつながる。
そんな世界で生き残る手順。
・・・・・・・・・・わたしにはさっぱりわかりません。
まだ、ちい姉さまの怒りなら判ります。
親しい相手を揶揄されたから怒る、とか。
命だけはたすけてください、とお願い。
だから仕返し、というのは、仕返しなのかな~~って思いましたけど。
ただ、わたしには関係ない、あまり
――――――――――って、思いたかった、です。
ご主人様に奪って頂いたから関係がある。
ちい姉さまがずっと教えてくださること。
あるいは青龍の世界では違うのかもしれません。
でも、ご主人様に確かめるわけにもいきません。
どーでもいい
・・・・・・・間違いなく、それで押し通す方ですから。
それが出来る力がある、だけじゃないのが、仕える女としては困ります。
――――――――――すっごく困ります。
有利不利なんて考えない方ですから。
自他を問わず、生き死にに興味が無い方
―――――――――ご主人様に殺されないで欲しいの。
でも、お願いが通じたことはありません。
いえ、ご主人様の生き死に、ですから。
わたしごときが望むべきではないのです。
・・・・・・・・・・・・・・・でも、止まらないのは、ご主人様のせい。
ご主人様がワガママになれ、ってめいじられたんです。
なにもしなくていい、も、ご命令。
だけど、わたしたちが立ち回る分には面白いがっていただけます。
なにもしてはいけない、と命じられてませんし。
自分の女、たちに、一つ一つ命令する方ではありませんから
・・・・・・・・・・それが困るのですけれど。
信頼の証、と解釈したりはしません。
どう転んでも、ご主人様が何とかしてやる、ということ。
わたしたちや敵以外には寛大なんですから。
期待も心配もされないからこそ、それを上回ってみせましょう!
・・・・・・・・・・・・・・何もないところからなら、出来るよね?
麓の人たち、少なからぬ青龍の方々以外。
青龍非青龍の混淆。
ならば習い性や感覚も、青龍の皆さんに見えやすいはず。
元々わたしたちの世界を調べ尽くしてから、攻めて来てはいますけれど
――――――――――知る、より、感じる、方が怖い。
わたしたちの世界、その流儀か伝わらなくても気配りは伝わる、伝わってしまうと思います。
だから、こちらから積極的にはっきり示します。
ご主人様の女、その 代表、わたし。
ご主人様に 独り占めしていただいている女。
ご主人様の女が気を使えば、ご主人様の気遣いに見える。
わたしが走り回る分には、ご主人様の配慮にならない。
わたしが歓待することに意義がある。
ご主人様が儀礼を無視仕勝ちなこと。
青龍なら対峙する相手を確かめてから来る。
だから、知っているから、効き目がある、と思います。
普段が普段なのに、御茶だけはだすような。
いつもの味付けに香草を散らすような。
普段は鎧姿の女が、ドレスをまとうような。
そして何より大切なのは、わたしが勝手に勧めること。
場を暖められれば、それでよし。
場を冷やしても、笑い飛ばせる。
わたし。
ご主人様の女。
青龍ではない者。
ご主人様が生かしているから生きている領民。
どんな結果も、青龍の世界には関係がない。
ご主人様の負担無しに、ご主人様に捧げられるかもしれない。
ちい姉さまが見立てた通り。
―――――――こんな好機が、またとあるでしょうか?
わたしには、ご主人様の欲しいことが、わかる。
なら。
捧げられるなら。
わたしは幸せです。
。
「お酒だします」
……禁酒法かな?
ここ半年ほど、お馴染みのフレーズ。
「緊急事態(笑)」
終わってたんですねぇ。
マンボもやらないんですねぇ。
……わたしが知らないだけかな?
で?
何が変わったんですかね?
濃縮還元コロナと同じ。
射っても感染は防げません。
(大本営発表より)
……ってことは、感染を防げるのかな?厚生労働省が言ってるくらいですからね(嗤)。
「抗体」って単語知ってる?
って言ってやりたい(笑)。
まあ、確信犯でしょうけど。
感染を防げない?
それ全く関係ない抗体作ってるだけだから……「抗体」って、呼ぶのは日本語として可笑しい。
いえ厚生労働省は「病気」の定義すら出来ない連中です。
まあ「ワクチンを射った患者は余り重症化しませんでした(当社比)と製薬会社が言ってます」と厚生労働省がいってるんですから、いいんでしょう。
「ワクチンを射っても射たなくても患者は重症化しませんでした」が正しい日本語。
で?
何が変わったんですかね?
酒を禁じる前と後
……半年前から酒の提供は再開してましたが。
緊急マンボの前と後。
……不要不急の散歩夜遊びが流行ってましたが。
総裁選挙の前と後。
……顔と名前が変わりましたか(笑)。
だから観ておかないといけませんね。
何も観えないことを。
何も起きていないことを。
何かを観せたい起こしたい阿呆どもに「バーカ」と嗤ってあげるため。
だから無用無急の外出は、しばらく続きます。
たとえ更新スケジュールがみだれるとしても。
皆さまにも、宜しくお付き合いいただけますように。




