殺さないであげましたよ?/demonstration.
【用語】
『超信地旋回』
:キャタピラを左右逆方向に起動させることにより同じ位置で車体を旋回させること。元々は乗馬、ないし騎兵が馬をその場で回頭させる「信地」から来ている。旋回半径をゼロに出来るために工場車両には必須動作。都市部や整備前の山間部など機動範囲が狭い場所で、どれだけ役に立つのかはいうまでもなく。平均的に50tオーバーが当たり前の超重量車両がやらかすとどうなるのかはいうまでもなく。映画のごとき戦車格闘技でもするならともかく、実戦ではまったく意味がない。戦車は単独運用などしない。複数車両で歩兵砲兵の支援を受けながら戦う。戦車はミサイルや防弾をよけない。発射される前に隠れるか逃げて照準されることを避ける。超重量車両が機敏に動けば、動こうとすれば、足場を崩すことに機動力の大半を失い出力の無駄遣い。戦闘中以外、戦車は自走しない。貨物列車に積まれるまでは輸送トレーラーで戦場を移動。道路がキャタピラ以外に走れなくなったら戦車も終わる。市街地や森林で歩兵の盾になる軽装甲車両でもなければ、超信地旋回は禁止。敢えて使わないこの動作、何故か西側の主力戦車は皆出来ます。兵器は国内国外に流通していた商品だったからであり、資本主義あるいは商業主義特有のオーバースペック。カタログスペックが高いか多い方が買いやすく売りやすい。使い様もない回線速度で契約してたり空き容量が埋まる前に買い替えてすいませんでした。実戦しか頭に無かった時代の戦争準備以外の余裕が無かった国ではそうはいかない。ガチ東側戦車は「僅かな無駄」を省く為に超信地旋回を敢えて付けなかった。実戦では生産性や整備性の方が重要であり、機能の数は生産性と整備性に反比例。その後、旧西側と販売競争を始めたら旧東側戦車にも超信地旋回が導入され始めたあたり、そーいうこと。最新鋭兵器なんぞ売れない。だが軍用品の国際見本市では注目される。仲買人たちの前で性能や技術力をアピール。「旧東側ブランド」を底上げすることで、中古や旧製品も売りやすくなる。戦争が無い時代故に、というべきですね。
『!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
『――――――――――――――――――――――――――――――』
※第631話<こめかみに砲口を突き付けられた時のような静寂>の最中音声
「固まってるな」
「なかよきことはうつくしきかな」
「抱き いる方が涙目ですけれど」
「世界が静止したまま全力回転とは」
「戦車のワルツはを観るのは初めて」
「日本人は地震に慣れていると聴いていましたが」
「第7機甲旅団の将校なら紅茶も零さないのだが」
「戦車を踊らせて何の意味があるのでしょうねぇ」
「無意味を好まぬなら行進もやめさせることだな」
「軍の行進には大きな意味がありますよ」
「ならば戦車のダンスにも同じ意味あり」
「―――――――――――なるほど」
《東京都世田谷区深沢6丁目23番10号/国際連合安全保障理事会》
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央暫定中立地帯/大神殿(改め建築楽器)内/中央/青龍の貴族】
俺にもわかるその理屈。
状況が判らないうちは止まらない。
判らないうちに考えても仕方がない。
先がわからないならば、今が最良と考えるべき。
第四勢力がいるかもしれない。
第三勢力が第二勢力と手を組むかもしれない。
変数が増えないうちに解を固定する。
動けるうちに動け、は戦場の鉄則。
動けなくなったら負けだけどね。
戦闘指揮。
うちの連中は曹長。
本丸。
おねいさんずはNo1。
外郭。
共同作戦は二人におまかせ。
数が多く全体を包むのが、おねいさんず。
なら全体指揮はNo1だな。
壊滅するまでは。
最終防衛ライン担当うちの連中。
なら最後まで立っているべきは曹長。
全滅するまでは。
ほっといてもいい二人。
ほっとけないのは?
非戦闘員。
うちの娘たちは俺が動けばそれに続く。
常に同期しているのが、こういう時は頼もしい。
捕虜の帝国女騎士は
・・・・・・・・・・・・・・・・常に俺を見てますね。
大丈夫そうだ。
完全武装だけに狙われないとは限らないが。
鎧兜の兜なし。
長い髪を下した金髪美女。
脅威判定は俺の肩書より下。
俺個人はシステム判定されないし。
殺されるとしたら一番最後。
歴戦の兵士らしく、指図しなくても最適解を覚るだろう。
俺が邪魔しなければそれでいい。
ならば?
二人。
ライアン。
教官。
【聖都/聖都市内/中央/大神宮内/巫女の胡坐/青龍の騎士団陣形中央/青龍の貴族前/跪くエルフっ娘】
答を知っていれば、あたしにも解る。
手脚は彼の一部だもの。
肢体は欲される前に動ける。
その動きは意思に依らない。
それぐらいには、躾けられてる。
個々の青龍。
隊伍の青龍。
一団の青龍。
皆を一軍とした、彼、青龍の貴族。
青龍だからこそ。
龍を従える身だからこそ。
龍に比肩しえる力を持つからこそ。
その恐ろしさを知っている、青龍たち。
出来ること、出来ないこと。
戦えること、逃げられること。
何一つ手の打ちようがないこと、も。
龍と日常を過ごし、龍に対する魔法をもつ青龍
・・・・・・・・・・だからこそ、具体的な脅威が解る。
あたしたちは彼の傍に居るから判るだけ。
竜など観たこともない者が世界の大半。
出くわしたところで呆然とするのが普通。
他人事、と言えば、あたしたちも同じ、か。
――――――――――ただただ、彼に庇護されてるだけだもの。
だから、だ。
皆が浮き足立つのを抑えているのに、独りだけ微動だにしない。
怒鳴る?
煽る?
命じる?
何をするより何もしないことで注意を惹く。
皆が意識を集めて観せ。
皆に意識を惹いたと知らしめ。
皆の意識の基準となる。
場を支配。
青龍には序列と階級がある
この場には、彼の幕下にない青龍が大半。
そんなことは無関係になった。
支配というのは、こういうもの、ね。
従わせる支配もある。
従える支配もある。
従いたい支配、が、あるとか、あたしが今更かしら?
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央暫定中立地帯/大神殿(改め建築楽器)内/中央/青龍の貴族】
俺のほうを向かずに外を注視、あえて情報端末を開かない元教官殿。
椅子ごと蹴り転がされてから15秒、まだ立てないじたばたライアン。
俺の恩師。
海兵隊軍曹は、ほっとけない。
俺たちの中に居るのに俺たちじゃない。
海兵隊は海兵隊の都合で動くだろう。
プロフェショナルだけに極端な行動は考えにくいが。
何も言わなくても此方の行動を察している。
こりゃ、勝手に動くに決まってるな。
俺が何もしなければ。
そしてライアン。
UNESCO調査団の都合
・・・・・・・・・・・・そんなものはない。
自分の興味と反応で動くに決まっている。
他人様の子どもを解剖したがっているのはどこのどいつか。
聴くべきことはいろいろある。
殴りつけて従えるのは簡単だが、軍曹との関係が読めない。
俺が軍曹を牽制するとしても、穏便に協力を強いたいところ。
連れて走らせれば手間がかかる。
縛りあげると俺たちの突撃が外に察せられる。
そもそも部外者なので危険を犯させるのは憚られる。
ここに残ってもらうなら、脚を撃つのが一番か。
【聖都/聖都市内/中央/大神宮内/巫女の胡坐/青龍の騎士団陣形中央/青龍の貴族前/跪くエルフっ娘】
「ん」
あたしじゃない。
椅子に挟まってジタバタしていた女を、引き摺り起こして立たせる女。
あの女がナニやら頷いて見せたのは、あの女。
ややこしいわね。
彼が殺す気を無くした以上、青龍に敬称をつけないのも
・・・・・・・・・・・・・・立ち上がって身だしなみを調えたライアンが、痛そうな涙目を青龍の老騎士に向けた
――――――――――無視。
それはまあ、助けてもらって、恨みがましい。
その過程で椅子ごと蹴り倒されたにしても。
そこは感謝すべきところじゃないの。
にしても、場違いな二人。
彼が敬意を払うほどの戦士。
――――――――――青龍の老騎士。
鎧なし。
短剣あり。
騎士服。
何よりも屈強な身体が経てきた歳月以上に若々しい。
若さ、ううん、若々しさは青龍の特徴。
誰も彼もが耐えたことがあっても、堪えたことはない。
経てきた歳月ほどに磨り減っていない。
エルフの感覚でなければわからないでしょうね。
あたしたちから見れば剣に相当する、小銃。
傍らに立て掛け、最初から使う様子がない。
相手、青龍の貴族に対する礼儀、かしらね。
虚構と現を地肉とした老練の極み。
銃を奪う。
それを見越して、放つ彼。
それを交わさせる老騎士。
土龍の乱入。
彼の銃を返して、最初から。
・・・・・・・・・・これが、隙。
結果より大切なことがある、そう疑わない。
地肉と化しているからこそ、自由が効かない。
不自由としりつつ受け入れて、それでも闘う。
勝利より戦うことが大切、それが当たり前と。
だから彼、青龍の貴族には決して及ばない。
だから彼、青龍の貴族からは殺されない。
感心するぼど、青龍よね。
――――――――――共感は、出来るけれど。
その真逆でまとめられるライアン。
・・・・・・・・・・戦いを知らない、か。
青龍にも戦士以外が居る、とは聞いていたけれど。
あたしが生きてきた世界とは、ちがう。
諸王国以来の文官。
武装を禁じられた帝国の民。
武器を構える者を相手にするときは、生きようとする。
開き直るにせよ怯えるにせよ、まず生きなければ、と。
青龍の文官は違う。
殺される刻まで考えもしない。
命が惜しい、そこだけ、同じ
・・・・・・・・殺される段になって改めて取り乱して、あの娘に庇われるのはやめて欲しいけど。
じゃあ、コレは?
――――――――――――殺される段にいたってなお、コレ。
似て非なるモノは在る。
苦労知らずの愛玩奴隷。
希にある趣味人の玩具。
まるで全てを自分の息吹きすら、絵空事としか感じられないような。
呆れるほどに、青龍なの?
・・・・・・・・・・理解の範疇外。
青龍は、こうしていたら勝ちつづけてる?
こうできるのは、青龍が勝ちぬいたから?
・・・・・・・・・・なら、これはその、好みの違い?
青龍の老騎士。
学師ライアン。
軍使が敵陣のなかで内輪揉め?
あの暴言で軍使かどうか?
二人とも同陣なのやら?
いずれにしても。
青龍
――――――――――だから、かしらね。
弱者は殺しても、戦えない相手は殺さない。
弱者を殺してる自覚は微妙だけれど
・・・・・・・・・・靴底で死んでいた、そんな風。
だからライアン卿は周りを気にしない。
自分を殺せる範囲は無視。
だから彼の騎士団全員の筒先の向きに無反応。
指一絞りで挽き肉でしょうに。
同じように青龍の女騎士団の殺意がライアン卿に集まっているのも。
気が付かないのか気にしてないのか。
そんな中に割り込んだ帝国女騎士。
敵国の騎士なのに、青龍の騎士たちは筒先を外す
・・・・・・・・・・虜囚を辱しめたりはしない、か。
ライアンは別として。
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央暫定中立地帯/大神殿(改め建築楽器)内/中央/青龍の貴族】
俺の仕草が都合良く解釈されたらしい。
帝国女騎士はライアンを引き摺り起こした。
パイプ椅子の隙間に挟まっていたのか。
突いた腕と腰が上手く動かないのかな?
撃ち殺されかけた自覚ある?
おかしくね?
って言うか、気付いてたら、もっとおとなしいよね。
緊張感がなくてなによりです。
すぐに走るも伏せるも自由自在。
俺は思わず7.62mm弾のフルオート連射を喰らった100kgの単一肉塊を思い出した。
それを見せてくれたのは、ライアンの傍ら。
教官ですが。
異世界派遣前戦場順化訓練でね。
生きた牛一頭丸ごと、って案もあったが。
勿体ないから中止。
骨も内臓も混じりあったら台無しじゃないか。
人体に似てるから選ばれた腐った豚の臓物も別な訓練に使うが。
それは、ちゃんと食肉解体した残骸です。
死体の海で普通の野戦生活が出来るように、ってだけ。
その最中で飲食睡眠するけど、食べない。
人体破片の山の真ん中で気にならないようにする基本訓練。
残った残骸はテルミット焼却の実習に使われました。
大地をガラス化する高熱で人体と同じ組成の骸を処分する。
その過程を綺麗な記録として残す。
国際連合軍/統治軍/WHO防疫部隊の基本スキル。
で、みんなで食べた方は牛肉の塊。
豚の腐った臓物に囲まれた中でバーベキュー。
ちゃんとピーマンも玉ねぎもありました。
M14の乱射で人体がどうなるのか?
それを知るために持ち込まれた巨大な肉塊。
射撃訓練は終わって、自分を含む自分たちは撃たない程度に仕上がった、研修生たち。
全員でワン・マガジン、7.62mm雨あられ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほんとにミンチになりましたよ。
バーベキューってか、肉野菜炒めになったもの。
御飯を用意しておいた俺を褒めてもいい。
ライアンをミンチにしても仕方がないんだがな。
ワクチン、射ちましたか?
わたしは嫌です(笑)。
もれなく100ドルくれても嫌。
最高100万ドルの豪華賞品各種でも嫌。
ワクチン接種証明書なんて「私は頭が悪いです」と首から看板を下げて街灯から吊るされる趣味はないんで。
……観てみたいですけれど(笑)。
中には何の根拠もない相手から接種を強要される場合があるとか。
頭が悪い虫ケラはこれだから。
そーいう阿保に出会ったら「全責任をとる」と一筆求めればいいんですよ。
出来るもんならな(笑)。
ガチのワクチンですら、強要出来るもんじゃありません。
直接、相手の目を観て嗤って罵倒するのも愉しいもので。
自粛なんぞに従うバカには命令なんかくだせやしません。
それを言ったらマスクもですが(笑)。
馬鹿は自分の馬鹿な主張が否定されるとすら思っていません。
「なんで」って驚かれた時は、こっちが驚きました。
自分が発した言葉の意味を何一つ理解していない訳。
TV新聞の見出しを聖句と思ってるんですね……世界がソコで完結。
政府の要請?
……命令してみろよ(笑)。
会社の方針?
……業務命令だせや(笑)。
決まったこと?
……決めた奴に会ってやるから名前と居場所は(笑)。
言えるもんならな(嗤)。
「みんな」が一番キライなのは「責任」ですからね(笑)。
答えられる馬鹿を見つけたら御一報ください。
わたしも皆さんに一報出来るように、まんぼ破りにかこつけてうろちょろしてきます。
というわけで更新スケジュールが乱れるのは馬鹿どものせいなんですね!




