作法。
【用語】
『通貨』
:通貨には「信用通貨」と「本位通貨」がある。判りやすく言えば紙幣と金貨を考えればいい。信用通貨は兌換不換を問わず「価値を保証する主体」が不可欠。本位通貨は素材その物の価値が不可欠。信用通貨には紙幣手形証書の他、銅貨やアルミニウムや電子情報でもいい。それ自体は本質的に無価値であり、権力が無くては成り立たない。実効性はゼロから無限であり、最初から安定性はない。不安定であるからこそ運用の選択肢が広い。本位通貨は貴金属や素材、食糧などなど、それ自体にこそ価値がある。物々交換の延長線上にあり、実効性だけで成立するので安定している。安定しているからこそ、運用には制限が強く限度が狭い。
異世界では世界帝国である帝国軍軍票が最大の信用通貨。建国以来負け無しで70年以上。帝国軍が進攻する前に軍票が浸透していたくらい。これに次ぐのは大商会や銀行両替商の手形債権証文。海陸の交易ルート上に限れば帝国軍票以上の価値を持っている。補助通貨は存在せず、すべて本位通貨となる。優先順に挙げれば一定単位の貴金属、塩、鉄や布などの素材、穀物、干物などの保存食が代表格。塩鮭がボーナスだった時代みたいなもの。
つまり金銀鉄銅などの塊や粒、言い換えれば金貨銀貨鉄銅貨は中流から下層民しか使わない。総人口の90%を占める、農村部などの都市以外では貨幣経済自体が知られていない。中世世界に余剰生産なぞ「ほぼ無い」からではあるが。太守領のような商品作物生産地でも、余剰穀物の販売は大商会経由の債務交換か手形決済。帝国の収奪が始まる前は、年間通して掛売りで購入した債権を秋の穀物出荷代金から相殺。余剰分を銀行に預けて置く。農民一人一人が通貨を手にすることは、まずない。……そも、私有財産どころか個人の概念が無いのだが。
お嬢のような富裕層は本来、金貨銀貨の類いは一生手に取らない……見る機会もない、かも。そんな彼女が多様していたのは「はしたない」ことと見なされる。※第7話〈三人姉妹〉より。
なお「権力は通貨を保証し、通貨は権力を保証する」と唱える魔法使いにより、通貨発行権は帝国に一元化されている。このあたりは地球の先進国が発展過程で試行錯誤した道をスキップした形。モンゴル帝国が塩を軸とした紙幣を普及させたパターンに良くにている。
代理貨幣、仮想通貨、などなどを許せば権力の正統性が失わる。
……20世紀までの先進国政治家並みの判断力はある訳だ。
もしも異世界帝国統治下、あるいは江戸幕府体制下で「ポイントサービス」を始めたら、その提案段階で死刑にされるだろう。
「私に視えている索敵情報は、海兵隊にも観せてますからね」
「我々、第七師団に恐れるものはない」
「第七師団は貴男がた三両だけです。今は軍事参謀委員会に分派中」
「仲間外れにはしないから安心しろ」
「一緒にしないでください不安です」
「不安なら索敵情報を隠すか?」
「殺すときは」
「殺した後にしろ」
「タイミングは任せます」
「我々の視界はいつでも隠せるんだろう?」
「隠せますよ」
「隠さないのか」
「隠しません」
「隠せると相手も知っているのに、敢えて見せ付けているわけか」
「隠せることを隠さないから伝わるんです。あと我々ってなんですか」
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿(改め建築楽器)内/中央/青龍の貴族】
恩師は俺の前に女を降ろした。
肩から。
ここまで担いできたから。
肩に。
どさりと心地よい、女の子と違う重量感。
比較対象は、不機嫌そうな二人。
俺の膝から胸にかけて覆い被さってる。
肩掛けかな?
魔女っ娘。
お嬢。
ちびっこ。
目の前に女と筋肉がいるから、余計に小さく感じるんだろうなあ。
ちびっ娘は、ふわふわしたドレスもあって軽い。
旅装は部屋着や寝間着と違って凝ってる。
うちの娘たちの普段着はシンプル。
まあ俺たちに侵略される前は、けっこうゴツゴツした衣服だった。
魔法使いローブは防御力もあるくらい。
縫製技術に素材開発が中世レベルだからね。
薄く柔らかく丈夫に造るのは不可能だ。
それすら、うちの娘たちが富裕層だからこそ。
もちろん異世界人口の90%以上は服なんか着ない。
常に裸って意味ではなく着る、っていうより、纏う。
資材で余った布切れを集めて固めて詰めて巻いた物。
防御力を高めたら、動きにくい。
動きやすいと、防御力が無くなる。
厳しい自然環境に対抗する防具であり作業着
――――――――――だから、現代素材が大ウケ。
マメシバが個人的に持ち込んでる分だけだけどね。
それを使える異世界人/種族は、うちの娘たちくらいだが。
日本でも布は基本的な通貨だった時代がある。
けっこう最近まで。
現代でも貨幣経済が浸透していない社会はある。
けっこう広範囲で。
――――――――――今は無き地球の話は、置こう。
国際連合の異世界文化不干渉原則。
侵略戦争に必要な異世界経費は異世界産物で。
だから日本の製品素材は流出しない。
全部、帝国の奢りです。
・・・・・・・・・・マメシバは例外。
国際連合に参加した異世界人/種族は、少なくない。
だか、基本的に異世界の装備のままだから。
戦争中に装備の更新なんかしない。
ドワーフだってM134と戦斧とスタングローブを併用している。
この場にいたら、筋肉勝負になっていたな。
横広がりVS縦見下ろし。
ファイト!
――――――――――今は無き筋肉はさておき。
ちびっ娘たち。
太守府王城、国際連合統治軍軍政司令部
俺の部屋と披保護者の生活空間。
異世界初のエアコン導入。
太守領自体は北国だが室内温度管理によって、裸で過ごしても大丈夫。
だからラフな格好が少なくはない、家では。
異世界では、屋内着なしで裸に近い装いも多い。
これも、しっかりした家を持つ上流以上は。
一張羅とは良くいったもの。
遠征中はしっかり着込んでるけどね。
露出に寛容な異世界でも例外。
庶民の夏は真っ裸だそうです。
夏以外は寒い涼しい異世界大陸北部。
布の塊で隙風に耐えるのが、総人口の90%。
家屋で身を守れるから、着衣イコール外出が5%。
ステータスとして服を山と揃えるのが富裕層。
富裕層は肌を晒さない。
女系社会の女は特に。
誰が産んだのか、で氏族の内外上下が決まる。
さらに帝国風の交配技術が浸透している階級。
性のタブーが無い異世界。
趣旨がちがうタブーあり。
誰の子を産んでも良いが、追跡出来ないと困る。
――――――――――交配への影響検証の為。
誰の子を産むべきか、も氏族血族の都合がある。
――――――――――政治的効果検証の為。
血統管理が為される極少数派。
まあ、女の側で抑えないと血統管理なんて出来んわな。
庇護者しかいない時しか気が抜けない。
だからモコモコふわふわしております。
肢体のラインが判りにくいから、力加減がしにくい。
フリルやレース、リボンの分でかさばってるんだが。
見た目と手触りのギャップ効果。
だから余計に軽く感じるんだろうな。
実体も小さくて軽いんだけれど。
お陰で洗うのが簡単です。
細部が細かいから手間はかかるけど。
お風呂に入れる時にはね。
片手で裏返したり回転可能。
実重量も印象も。
密度が低い感じ。
お陰で脚が痺れない、まだ。
とはいえ、ちびっこ二人はむしろ例外。
おっきい娘の方が多いんだよな。
エルフっ娘のサイズは大人なみ。
Colorfulだって十五歳。
成長期は終わっている。
むしろ立派な個々凹凸はともかく、重量は手土産と変るまい。
子どもは子どもだけどね。
背後から指先でアピールするColorfulと、前床に跪くエルフっ娘。
褞袍と膝掛かな?
で、パイプ椅子に置かれた女。
重量感は、うちのおっきい娘たちほどではなし。
現代人と異世界人の差は質感にある。
元カノ。
おねいさんず。
遠き日本の女たち。
丈夫で無茶しやすい順番。
全体に手応えが弱い現代人。
うちの娘たちと比べてすら、だ。
良し悪しではないが、触れば判る。
マシュマロか御餅、食感の違い。
目の前に据えられた、まさに、られた女は普通よりは丈夫そうだが現代人の範囲。
それはいい。
たいへんよろしい。
しかしながら
――――――――――ほんと~に、手土産っぽい。
置いた、まんま、置いた。
いや、椅子に、だけどね?
これで卓上に載せたら如何なものかと。
子どもじゃないんだから。
それでもなおこれは如何なものかと。
転ばないようにしたらいいってもんじゃない。
マジで置きやがった。
パイプ椅子に。
女を。
運びかた、だけじゃなくて、徹頭徹尾、荷物扱い。
【聖都/聖都市内/中央/大神宮内/巫女の胡坐/青龍の騎士団陣形中央/青龍の貴族右腿上/魔女っ娘】
わたしは盾くらいにしかなりません。
ご主人様に身を預けていれば足りますよね。
・・・・・・・・・・くっついていたい、ということを、あまり隠す気はありませんけれど。
それよりなにより!
お客様、とってもおっきい、青龍の騎士様。
ついつい妬心に駆られて貢物?ばかり注目してしまいましたが。
ご主人様の体温を感じて自分を宥め
――――――――――冷静になると、ダメだめ過ぎて、慌ててしまい、もう一回、落ち着き直して今でした。
そもそも、お客様です。
ご主人様に、わたしが辱しめられるならともかく、逆になったら大変です。
もちろん、その前に捩じ伏せて頂けると信じていますが
・・・・・・・・・・はっ!
さっきの御褒美は、それが原因、でしょうか?!?!?!?!?!
すっごくダメなのは、あとで罰していただくといたしまして
・・・・・・・誰に対してもですが、特に、ご主人様の、お客様を見誤ってはいけません。
わたしが恥をかくだけではすまないんですから!
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿(改め建築楽器)内/中央/青龍の貴族】
椅子に、置く、とは此れ如何に?
これじゃ俺も加担してることになる。
女を前に黙ってる、ってどうよ?
誤魔化せればいいってもんじゃない。
――――――――――誤魔化すけれど。
座らせた感はまったく、ない。
せっかくの美人が台無しである。
年の頃は二十代後半、コーカソイド。
悪くないかな、と思う最近今日この頃。
身贔屓の曳き倒しだ、もちろん。
カワイイうちの娘たちの肌色だから、白い肌も可愛い。
カワイイうちの娘たちに金髪がいるから、金色も可愛い。
あんまり食わず嫌いだったかな。
異世界に連行されるまで、ほとんど縁がなかったしね。
金色や白い肌が目に馴染んだんだろうな。
いや、髪や産毛他はいろいろあるけど。
もはや手遅れ、なんともならん。
金髪系コーカソイドが絶滅危惧種。
おしいなーもったいないなーも~少し早く気がついてたらなー。
地球圏で絶対少数。
劣性遺伝で減少確定。
居ないもんは口説けない。
異世界の女は口説きようがない。
ということは、眼の前に居るのは大変な希少種です。
だからこそ、こーいう出会いは困る。
口説きようがあるからこそ、置かれてるのが残念過ぎる。
手土産。
異世界人。
拉致被害者。
披侵略者。
共通点は、どちらも女。
共通項は、口説けない。
生殺与奪権は男女交際の致命傷。
愛でるだけでも邪魔すぎて、今もほら。
そっと座らせた方が魅力が生きるのに。
物っぽく置かれるともったいない。
物には品の魅力があるにせよ
――――――――――手土産られてもなあ。
まるで師匠の故郷で製粉仕立ての小麦粉を持ってきたような。
上質挽きたて小麦は美味しそうだけど。
観たことないけどイメージで。
聴いたのは研修期間中の酒盛りで。
テキサスかテネシーかノースダコタで。
小麦粉ならパンかナンかウドンかワンタンにするのに。
素人でも失敗しにくいラインナップ。
パン以外は魔女っ娘に教えて上げたい。
俺の食生活を豊かにするためにだが。
いや、パンもいけるか?
俺じゃなくて、地球の専門レシピなら。
ならラーメンの方が先かもしれない。
異世界文化不干渉、国際連合決議次第。
示唆するだけでたどり着きそう。
家電製品を手にした異世界ょぅι゛ょは強かった。
――――――――――その恩恵を被るのは主に俺。
異世界、ってーか太守領に、このラインナップが無いことは確認済み。
なにしろ魔女っ娘は、ドワーフ料理以外のあらゆる家庭料理を知っていたからな。
いやそもそも確立した料理法のバリエーションが少ない時代ではある。
それでも全部網羅するって、ょぅι゛ょすごくね?
一家に一人は完備したい。
腕のいい料理人は一生食いっぱぐれない。
この法則は社会の技術力より個人のセンスに由来。
ょぅι゛ょがょぅι゛ょであるだけで、無敵ってこと。
プランBがプランAに変更されたとしても。
日本列島で楽しく料理をして暮らせ。
引退しかけの料理店主なら何人か知ってる。
近所にょぅι゛ょを誘致しようとしているのだが。
町内会会長もニッコリ。
ご近所の爺婆たちはリアル孫より猫可愛がるだろう。
地域ネコ的な町の子たちにも妹っぽいなにかを造ってあげよう。
そして俺の食卓が
――――――――――い~んだよ!
どうせ俺は食わせる側じゃなく食わせられる側なんだから、今は。
さあ!
蔓延防止等重点措置だ!
……馬鹿ってすげー。
っていうか。
本当にインフルエンザ並みの病気なら、衝立一つで防げるわけない。
いや、コロナなら防げるかもですが。
それはもちろん、衝立が有っても無くても同じという意味ですけど。
お前らは壺でも買ってろよ!
……って叱ってあげると逃げちゃうんですけどね。
お店の人たちも「死ね」って言われてるんだから同情。
どうやってかいくぐるべきか?
忙しくなるからやめてほしいんです。
手間暇かけて邪魔をする身にもなっていただきたい。
という訳で、また別件で義務と責任に勤しんでまいります。
更新が遅れるのはコロナウィルスのせいじゃありません。
コロナ馬鹿のせいです。
以下余談。
いやー頭が悪いってスゴイですね。
インフルエンザのワクチンを毎年打つ理由がわからないって、おい。
だからワクチンビジネスは大変うま味があるんです。
使いまわしで予算をちょろまかせるアプリビジネス並みに。
コロナウィルスの変異型……変異しないウィルスって何?
そも「新型」コロナウイルスって言ってるじゃん。
ソレ変異したってことですよね?
で、まあ、感染者が増えた、と。
死者も増えた、と。
ググってみました。
……これっぽっちしか死なないんですね。
最近トピックスに出ないから調べて損しました。
そりゃ、話題にもならないわけだ。
TVとか見ないから気が付くのが遅れましたよ。
馬鹿以外が気にする訳がない。
その代わりといっては何ですが、後遺症アピールが増えてますね。
「……それ、風邪とどう違うの?」
ってあほな奴が。
別に風邪に限りませんが。
免疫反応で高熱とか出すと、味覚が死んでしまうなんて半世紀も前から言われてますよね。
けんたいかんがどーとか、「あーあるある。風邪とかいろんな病気で」というネタトーク。
日本感染症学会のレポートやら日本疾学会のレポートを読むにつけ、抱く感想。
文頭と文末は共通。
「コロナは恐ろしい病気(言い切らない)」
「だから対策をお勧めします(強制はしない)」
で、文中も共通。
……これ、病気か?
一昔前は「史上最弱の風邪」と判断してましたが。
最近は実在を疑いだしています(笑)。
思えば
「コロナ対策で死んだ」
「コロナ対策で苦しんでる」
「元気なコロナ患者」
は知ってるんですが、瀕死のコロナ患者を見たことがなくて。
風邪(?)を「恐ろしい疫病」で隔離してりゃ、病院も破綻するでしょうねぇ。
では、一生懸命外出して自分にできることを考えます。




