インフォーマル・コミュニケーション
【用語】
『米俵』
:重量60kgが標準。21世紀日本人女性の最盛期平均身長は160cm弱/体重は50kg前後。体格が良いコーカソイドの場合プラス5cm/10kg程度。筋肉質ならば更に重くなるし、野外活動経験に慣れた人間もそれに続く。その意味で言えば異世界人は体重が多く、脂肪層の密度が高いので手応えが強い。現代女性の握り心地をマシュマロとすれば、異世界富裕層女性の手応えは突き立て餅。体機能として恒常性を乱すことが出来ないエルフやハーフエルフは平均的な異世界富裕層より重く弾力があり、要所々の密度が高いために凹凸が激しい。
なお、ここでは健康体を前提とする。
ボディマス指数には科学的根拠がない統計なので考慮の余地はない。
アスリートやスポーツ愛好家、ボディビルダーのような人工的奇形も参考とはしない。
異世界人口の半分は肥満する余力を持たずに痩せぎみ。
もう半分も富裕層以外は飢餓に備えて太りぎみ。
健康体と言えるのは数世代を経た富裕層。
血統交配操作を繰り返して身体造りをする帝国支配層。
……帝国支配層に限れば70年以上の品種改良で、現代人の大半より肉体的には優れている。
「言葉にしなければ伝わらない」
迷信です。
科学的な結論。
「言わずに判らない相手には、言っても解らない」
事実です。
対人コミニュケーションに占める言語の割合は、最大値で三割以下。
そんなことはインターネット上のディスコミュニケーションで判るでしょう。
もし貴方が「相手の気持ちが判らない」と感じたなら、貴方は正常です。
相手にとって貴方は存在していない。
正常な貴方はそれを認識出来ている。
コミュニケーションは成立しました。
「無」「ゼロ」「虚」
Unknownとは、相応しい言葉ですね。
それを踏まえて「魔法翻訳」というモノが極めて危険であるということを理解してください。
《国際連合教育科学文化機関/UNESCO/異世界確認作業基礎研修》
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿(改め建築楽器)内/中央/青龍の貴族】
俺は座ったまま、お出迎え。
致し方なし。
130cmの抱き枕を二つ抱いてると思いねぇ。
つくづく想う。
抱っこされるために産まれてきた二人だなぁと。
我が生涯に一片の悔い無し!
春の木漏れ日、猫と寝ながら大往生したい人生でしたです。
継続中。
ネコと子どもは人を夢の中に誘う。
が、現実は否応なしにやってくる。
普通は誤魔化せばほぼ済むのだが。
中には断固として止まらない、教育上よろしくない現実も、無くはない。
脚の痺れとか来客とか。
半座りだから脚は平気。
約30m先に迫る来客。
俺の予想より5分早い到着
――――――――――早歩き?
15分かかると踏んでたんだが。
早足か。
つーか、大神殿のあの長い正面階段を拉致った女を担いで登ってきたんでしょーか?
速足で。
皆それを観せられたのか
――――――――――俺は観てないが。
大神殿の正面入口から中央のここ。
数十mを女担いで歩いてくるのもアレだけどね。
それくらいなら俺でも可能、だが。
可能と実行の間には無限の断絶があります、念のため。
米俵くらいの重さがある人体を
・・・・・・・・・・担いだんかい。
麓からここまでってか、おねいさんず狙撃班の射程外からなら1km近くあるんですが。
旧帝国陸軍の中でも非常識な一部ですら、行軍中に背負わせたのは30~40kgだってのに。
俺なら20mいや50mかな~、いや子どもと傷病者以外なら、歩け、って蹴るけどさ。
好天と澄んだ空気、絶好のロケーション、衆人環視
・・・・・・・・・・歩い、走ったんかい。
正面側だけだとして海兵隊員三桁、おねいさんず十数名。
UNESCO調査団は国際連合加盟各国人に異世界人種族。
多国籍多世界ギャラリー多数。
上空には偵察ユニットや哨戒気球などの御馴染み監視観測記録装置だけではない。
偵察機やら哨戒機やらが飛び交ってるのに。
ネットワークの先では状況を混乱させている上層部が、観察させていないわけがなく。
―――――――――――――――――直接見物するほど暇じゃないにしても。
【聖都/聖都市内/中央/大神宮内/巫女の胡坐/青龍の騎士団陣形中央/青龍の貴族左腿上/お嬢】
やっぱり。
わたくし、あの娘の肢体は膝の上。
ねえ様、Colorfulの肢体は掌の中。
・・・・・・・・・・両方在るべきだと、思います。
ご領主様の皆を鷲掴む優しさは素敵ですけど、わたくしがおっきくなるのはホンの僅かな時なのですから、今のうちに小ささを堪能しつくしていただき然る後にねえ様みたいに、おっきくなったわたくしを
――――――――――さておき。
貢物。
礼物。
納物。
定番ですわ。
富裕な者は物で釣れませんからね。
挨拶替わりにしか過ぎませんけれど。
あくまでも、前菜以前の儀礼の範囲で。
女には男を。
男には
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女を。
これを見逃すような安い女じゃありませんの、わたくし、たちは。
それを見逃すような易い方ではありえませんし、視ていただける。
これを見逃さざるを得ない、ご領主様を視るすきがありませんわ。
ご領主様を振り返る訳には、なりません。
想いを確かめるような仕草に見えてしまいますわ。
その女が疑っていると誤解されてはなりません。
わたくしが他の女を視るなんて、45日以来かしら。
わたくし、たちが、ご領主様を視ていない刻が、どれくらいあったのかしら?
なんとしても憤懣と抗議と他色々、嫉妬ではないことを伝えて魅せましょう。
わたくし、たちの想いなどすべて承知でいらっしゃると知っておりますとも!
悔しいことに
――――――――愉しんでいただけていましょうね。
なればこそ、見極めないとなりませぬ。
わたくしの、ご領主様の前に置かれた女。
よ~~~~~く、睨、ではなく視ます。
どこにでもいるような、女
――――――――――ではありません、わ。
あからさまに青龍以外の何者でもなく。
それが当たり前として整った、肌、髪、肢体。
歳はともかく、この艶やかさは、まるで。
魅せる為に造られた美しさ
・・・・・・・・・・・・・・・・・エルフのそれとは、真逆に眼を惹きます。
努力の跡。
意図の痕跡。
歪の証跡。
知っているからこそ看てとることができる、読めてしまう。
――――――誘いの隙。
わたくしは、あの娘は、です。
ねえ様、その感触や香りや気配に慣れているから。
不変不朽にして悠久の高みに在る。
エルフは誰もが求めて近付かない
・・・・・・・・・・・・・・・あの娘を知らなければ、わたくしもモノ知らずと気付かぬまま。
ねえ様の種族。
青龍の女は、また、違います。
青龍の騎士ではなく。
――――――――――常に戦場の所作。
青龍の将軍ではなく。
――――――――――常に君臨の雑作。
青龍の貴族ではなく。
――――――――――常に所有者の眼。
目の前に置かれた、女。
絶対に、コレは、踏み込んでくる。
わたくしの大切なことに。
肢体に工夫して、表情を取り繕い、仕草を模って
・・・・・・・・・・・・・・・・・・自覚してない、のかもしれません。
見せかけ。
見た目だけ。
見る時に。
無難になっていて、そうはしていない。
よくある美女。
欠点のない肢体。
唯一無二ではない魅力。
わたくし、人に過ぎぬ身なればこそ、解ります。
キズが趣に成り得ること。
隙間が嬌に成り得ること。
無知は無能と異なり、惹くことが出来ますわ。
満たされていればこそ、飢えたがる。
なら、如何にも、青龍の女。
観たくなくともわかります。
きっとこの女は周りに愛されていることが。
あまねくすべてを儘にする絶対為る者が、悦びそうな女。
序列の上に居て、決して頭を抜け出さない、もっとも危険な場所から眺めて、終わる
・・・・・・・・・・気がしないわ。
その女も、紛うことなき絶対為る者。
意図のない絡繰り。
造られていない仕掛け。
反応するだけの力。
あれは無邪気そのもので、何の意図もなく世界を触っている。
【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿(改め建築楽器)内/中央/青龍の貴族】
問題。
皆の眼に、俺がどう観えている?
全員。
可畏き初老のマッチョゴリラが女を担いで俺を来訪したのである。
俺に向かって、ゆっくりと歩を進めて、衆人環視の中を、女を担いで。
俺が一番後から気がついたんだけどね、索敵情報をすらみてなかったから。
だから一番、最後尾からスタート、出遅れてます。
退くわ~。
No1が。
・・・・・・・・・・気の毒に。
彼女は、俺と同時に気がついたらしい。
全く共通項が無い二人がそろって蚊帳の外。
なーかーまー。
索敵情報だけ確認して索敵映像を観ていなかったんだろうな。
一瞬の硬直で判った。
戦闘指揮用のアイコンに、民間人やゴリラを示すモノはない。
隣に感じる皮膚感覚。
見当はつく。
戦闘指揮官が確かめ続ける、索敵情報。
常に、は、新米や戦闘未経験者の特徴。
まったく、は俺みたいな肩書き指揮官。
どちらにせよだれにせよ、画像なんか観ない。
見るのはアイコン、読むのは数字、眺めるのはレイヤー。
映像は情報量が多い割に役に立たないからね。
付属情報をカットして主要情報に絞り込めば判断精度と速度が上がる。
ごく一般的な各種戦闘指揮官の常道。
もちろん付属情報はチェックされています。
それは概ね前線指揮の下士官が役目。
下士官が取りこぼしそうなところははるか後方の戦闘指揮所オペレーターの役割り。
まあだいたい下士官の把握出来る範囲以外は管轄がいなんだけどね。
だから曹長や軍曹に一任して置くのは断じてサボりではなく適材適所。
他の皆さんは、もちろん違う。
俺んとこの隊員たち。
おねいさんずの皆さん。
うちの娘たちや帝国女騎士は例外。
防御戦闘や突破戦闘のために、できるだけ相手を直接確認する。
標的としての、サイズ。
防弾装備のカバー範囲。
構えから見る即応体勢。
直接間接で一見しておけば殺しやすい。
あくまでも、最悪の事態に備え
・・・・・・・・・・・・・・・それがこの有様って。
その衝撃は察して余りある。
・・・・・・・・・・・・・・・むしろ殺したくならない?
麓で大神殿を包囲しているUNESCO調査団。
俺が予告した通り、こちらに接近する使者軍使。
それが女を担いだマッチョだと誰が予想するか。
経験はともかく練度は高い、おねいさんず。
拉致ゴリラ接近中という異常事態。
気が付かない訳がない。
で、おねいさんずのメンバーはすくなからず下士官ばかりなのだが
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・報告しなかったらしい。
No1へ。
ブロンド美女を担いだゴリラが接近中、とは。
それはもちろん、表現に困った可能性もあるけれど。
――――――――――報告、か~。
むしろ下士官が下士官を指揮している状況で、よけい報告が上がりにくかったのかもしれん。
軍隊や準軍事組織っていうより、公務員全般は官僚組織。
階級社会。
年功序列社会。
横並び社会。
悪い意味で自閉的。
良い意味で自閉的ってなんだよ!って向きも在ろうが、それは自立的。
悪い意味で考えれば、自立と孤立は紙一重。
自給率を上げるということは、他国から物を買わないということ。
要らない子認定まったなし!
世界大戦の原因となったブロック経済と同じ。
人は一人で生きていけない?
嘘である。
人は一人で生きてはいけない。
これ正解
――――――――――殺されたくなければ。
出来ないのではなく、しないのだ。
しないのだから出来なくてもいい。
そう言っても過言ではないだろう。
そんな訳で職能自給率0%をキープしている歴史に詳しい俺。
階級と年功と横並びが相殺し合うとかよくあるよくある。
誰もが正しい中で一人だけ間違っていれば挽回できる。
誰もが間違っている中で一人だけ正しければ処刑される。
大英帝国の格言は官僚国家の基本にして根本、神聖にして犯すべからざる原則。
日本でこれを無視して平然とできるのは極少数派。
日本は日本でも、明治以降の官僚化した日本って条件は付くが。
日本一般より特別職国家公務員で顕著になるよね。
しかも、おねいさんずは若手自衛官、性別同じ、ボランティア作戦中で役目訳はあっても序列は不明で非公式。
みんなが唖然として、誰かが声をあげないかと探り合い、誰も声をあげないから、みんなで無視する暗黙の了解。
つまり、パワーバランスが均衡、静止を生んだ。
――――――――――崩すのは簡単だろうな。
さて、パンデミックを探して幾年月。
見渡す限り通気性を重視したマスクばかり。
死にたく無けりゃ当たり前ですね。
防疫用のマスクでの活動限界は30分ほどですから。
なら何のために付けているのかという話
コスプレ?
ファッション?
防疫用じゃないことは確か。
万が一定着したら烏帽子みたいな扱いなのでしょうか。
わたしの趣味じゃないですけど(笑)。
一つには「馬鹿って少ないんだな」という事実を再確認。
普通の人は「コロナで人が死ぬ」なんて感じていないということ。
二つには「馬鹿の真似は馬鹿では?」という疑問も再確認。
コロナなんか恐がってないなら、なぜマスクごっこを続けるのか。
このあたりは作品のテーマにも被ってきますね。
身近な馬鹿も含めて、良いサンプルです
……不愉快ですけど。
では反コロナ対策を兼ねて取材に行ってきます。
なお、これはあくまでも「無用無急の外出」であって、コロナ対策(笑)に従ってなどいないということを繰り返し声を大にして全世界にお伝えしたいけど手段が無いので明言し記録するにとどめます。




