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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第二章「東征/魔法戦争」

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国連中心主義

【用語】


『プランB』:国際連合第11回緊急特別総会零号決議に基づく地球人類の行動計画。日程表もあり、これまでのところ順調に消化されている。


『プランA』:プランBとともに提出され、予備プランとして保留された地球人類の行動計画。




帝国軍予備部隊。


数十km先の主力が敗北した、すなわち指揮中枢が消滅し残存部隊が撤退に転じた瞬間。


遠隔地の予備部隊も後退を始めた。




その時。

ここに、国際連合軍事参謀委員会に、集っていた将校たち。


彼らはむしろ遅れて気がついた。

主戦場の指揮は現場に一任。予備待機として集まっていただけ。


会戦後の作戦計画は策定済みであり、修正可否は結果次第。


更に異世界の驚異で想定外の事態が起きた場合。

例えば超大規模魔法で国連軍が消滅したり、天変地異が起きる可能性も考慮。


事実上の国連軍最高司令官たる合衆国大統領。

事実上の国際連合指導者たる衆議院議員。


最高責任者が立ち会った。

――――――――――最終的決断、プランA――――――――――即時発動出来るように。




だが、それは規定対応に過ぎず、本気で懸念してはいない。

将校たちは雑務を片付けながら、LIVEは流し見していただけだった。


最初に気がついたのは合衆国大統領。

彼女が命じ、LIVEの一部を全周投影。

それは皆が、合間合間とはいえ、一番注目していた主戦場ではない。



合衆国大統領の視線を追い、みな、その時、呆然とした。



地球人最高の、訓練と教育と経験を積み重ねた、最高の職業軍人たちが。


彼らを硬直させたのは、帝国軍予備待機部隊上空観測気球、それが捉えた映像。

戦場を離れた集結地で待機状態の帝国兵士たちが隊伍を組み直し、一斉に進軍。



西へ。

東の主戦場の真反対へ。



一カ所ではなく、最低十km離れた帝国軍予備待機地点、ほぼ全てで同時に。


地球人最高の将校達がまず行ったのは、映像の中の方位確認。

次に行ったのは航空追撃の可否検討・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・合衆国大統領に『当初計画通りでしょう』と言われ、必要無しに気がついた。



最後に、SR-71をありったけ飛ばした。

帝国軍後方に後退の理由を探して。


それが1ヶ月前。




「当たり前のコトを当たり前に認識し、受け入れて行動する」


そして、1ヶ月経った今。合衆国大統領が将校達を背に、政治家達を見た。


「即時」




恐るべきは速さ。

あらゆる偵察の結果。

直後の超高速高空偵察のみならず、その後の広域重複偵察に地上威力偵察、強襲拉致した捕虜尋問(自白剤など精神化学療法総動員)、他。



やはり、帝国軍予備部隊は国連軍が想定した範囲の情報、のみ、で動いたようだ。



離れた場所の複数部隊は、同じ情報から同じ判断にいたり、行動した。


即時。


間違いなく、地球上の一般的な、軍隊を含む組織ならこうはいかない。

解りきった結論を、確認しようとして時間を失う。


今、ここに集う軍事参謀委員会のメンバーでさえも。




「異世界人類と我々の間には大変な差があるようですな」

「ハードかソフトか」

「学者がいきり立つな」


いささか困惑するのは政治家も同じだ。


可能であることと、実行すること。

その二つは次元が違いすぎる。



これも捕虜に確認した。

勝つつもりで万全の態勢で挑んだ帝国軍。


負ける可能性を考え無かった訳ではないだろう。

しかし、会戦当日、新しい戦術に適応する訓練時間が取れなかった部隊を予備待機させるほどに余裕だった。


だから、最初から後退に備えていた訳ではない。


そして後方に待機していた部隊。

彼らは結果を見てはいないし、その多く、あるいは全てが、魔法や伝令の敗報を受けとってはいない。


彼らは、僅かに確定した事実から、誰にも否定出来ない結論を得た。

そして行動した。


まさに帝国軍主力が指揮中枢を失った。

これから圧倒的火力にすり潰される。

一人残らず逃れられない。


その運命が決まった瞬間に。




そして国連軍が作業を進める間に、50km以上の距離を稼ぎ、新しい殿部隊を配置し終え、追撃通報に特化した哨戒線を残して逃げた。




「たのもしいな」

政治家達、軍人政治家の視線が集まった。国際連合の謀主たる衆議院議員に。


「素敵な彼らに、頼もしき我ら」

合衆国大統領だけが応え、頷いた。



軍人たちが思い知らされた『異世界の脅威』を政治指導者が共有した。

それを確認した衆議院議員が、身振りで会議を再開させる。





「殿の話だったかしら」

それを受けたフランス第五共和制大統領。


「政治的信頼性だけな連中だろう?どんなシロモノだね」

連合王国首相。

戦術の常道を踏み外した『弱体な殿』


「帝国貴族です」

統一中華陸軍将校

新たに殿を務めたのは、貴族の中でも太守に任じられていた、文官たち。


「広大な領土を失い、余剰となったシロモノですな」




彼らは帝国軍と共に広大な沿岸部から退却。

勝利した後の再占領に備えて、前線すぐ後方に予備部隊とともに待機していた。

囮となるべく訓練を受けながら。


繰り返しになるが主力の敗北を想定していた、わけではない。

帝国軍は会戦で決着がつくとは考えていなかった。

国連軍(彼らが言うところの青龍)と帝国軍、互いに大損害を受け、痛み分けになる可能性が高い・・・・・・・そう考えていた。


その場合、高原まで撤退。戦力を再編して反抗作戦につなげるつもりだった。

そのための殿。


新しい発想の殿を試すつもりだったのだ。



このあたりはすでに破綻した計画なので、捕虜も隠そうとしない。




「彼らは国連軍が席巻していく地域、その情勢把握に長けています」


元々、その地域の軍政担当だったのだから。

率いる兵は彼ら貴族の郎党であり、彼らも民情に通じていた。


「辺境の太守と違って竜騎士でもありませんが、郎党は皆帝国軍経験者であり、弱くはありません」


いずれにせよ国連軍と戦う気がほとんど無いのだから問題ない。

帝国軍、その経験者は組織を維持する事が染み付いている。

しかも貴族と郎党は通常の軍隊より結びつきが強い。


だから多くが指揮系統を維持して最後まで任務を全う出来る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・組織を維持しているが故に、国連軍の猟犬(軽装高機動高火力の残党狩り部隊)に補足されるのだが。




「我々が捕虜をとる。そう理解も進んだようです」


任務継続不可能、あるいは充分に達成した。

そう考えればこの連中は降伏する。

捕捉され瞬殺される前に、間に合えば、だが。


あるいは、貴族だからこそ、かもしれない。

近代以前に戦場で捕らわれれば、すなわち奴隷。

だが、貴族騎士、裕福なものは身代金で解放される。

もちろん、身柄は賓客、とまでいかなくとも、客扱いはされる。


郎党が害されなければ、任務後の降伏にためらいはない。



国連軍も彼らを情報源と見ているし、そもそも捕虜を虐待する習慣がない。

ましてや、国連軍兵士の個人的復讐心を喚起するような戦争ではないから、なおさら不測の事件も考えられない。



「彼ら自身、すぐ職務に復帰するつもりですから、積極的に死ぬ気はありません」


帝国が勝利すれば、これまで以上に文官が必要なのは明白だ。

そして彼らは未だに勝利を疑っていない。



なぜなら、全体像を俯瞰できる上層部はともかく、帝国軍末端兵士には敗北の体験が少ない。



整然と撤退し、敗残兵を見かけない。

領土を失っているのはわかる。

部隊や軍が突然消えるのもわかる。

だが。血塗れの戦友を看取ることはない。

敵の影に怯える事もない。


上官を探し回らなくとも、目の前で『止まるな!歩け!』とまくし立てている。


降伏した貴族は語る。『方向が違うだけで、退却が進撃と同じように感じる』と。

国連軍が皆殺し作戦をとっているからこそこうなる。


帝国軍は負けてなお帰り着いた兵士がほぼいない。

帝国軍は国連軍を見かけて帰還した兵士は少ない。

味方が殺されるのを見ることができれば、必ずそいつも殺される。


捕虜を忌避しているわけではないが、降伏させる手間をかけない。

遭遇した敵を決して生かして返さない。

オーバーキルを厳命している国連軍。


敵に学ばせないために。

近代兵器を熟知している、その優位性を信じていないがゆえに。



「たいへんけっこう」

珍しく微笑む、合衆国大統領。

戦略目標とは別に、戦術目標の達成を再確認




こんな状況だけに、帝国軍の囮部隊には悲壮感がない。



「とはいえ、地元住民の落ち武者狩りに見つからなければ、ですが」


囮部隊にある程度の規模があるうちは大丈夫。

住民達は国連軍に通報するだけだ。


だが、任務に夢中になり、あるいは国連軍に追われて分散すれば。

帝国兵には凄惨な最期が待っている。



「帝国は憎まれている、と」

自分たちで出した結論ながら、軍人達の不信感は晴れない。『我々侵略者より嫌われる存在があるのか?』と常に感じるからだ。


「かれら『も』侵略者よ」

合衆国大統領。

「少なくとも我々が占領した、帝国が撤退した地域では」



住民の意識は数ヶ月かけて確認済み。

サンプル調査(自白剤を含む各種尋問)、浸透調査(コーカソイド国連軍兵士による潜入)、機械調査(占領地/帝国支配地各所の盗聴盗撮)などなど。



「もちろん、我々への迎合も有るでしょうね」

勝者におもねるは多世界共通、と笑うフランス第五共和制大統領。


「我々が来てしまう前。この大陸で、数世紀から一世紀弱の歴史を持つ王国や都市国家を滅ぼしてまわったのが帝国。なら嫌われて当然だな」

連合王国首相はブルドックのような顔に皮肉な、あるいは英国的な笑みを浮かべた。


生き物は変化を好まない、いや、恐れる。ただ続いただけで、それは人々の心の一部となる。王家、通貨、旗に伝統。

それを壊されて喜ぶわけがない。



「マキャベリもそう言っていたな」

「ましてや、親愛なる我らの占領下住民は、帝国から利益を受ける前だったのだから」

英仏会談。


帝国が生み出す広大な統一経済圏。

共通通貨、共通単位、共通法規、安全な流通網と軍事負担の軽減。


それは莫大な利益を民衆に与える――――――――――――――――――――――――――――――最終的には。




それは収集資料や偵察結果、分析による結論。

実際に、内陸部はそうなっているようだ。


分析している地球側の学者によっては『沿岸部の富を内陸部に移しているだけでは?』という向きもあるけれど。



それでも統一市場が持つ規模の利益は実在する。

だが、国連軍が占領し、帝国軍が放棄した沿岸部にはその利益が及んでいない。

征服されて間もないからだ。


沿岸部一帯は、十数年から数年前までは侵略戦争末期。

前線近くの策源地として、帝国占領下で戦争資源の搾取。

帝国反帝国の最前線では破壊と殺伐と略奪。

反帝国側では末期戦。


反帝国最後の牙城が滅ぼされたのは昨年だという。


もちろん多くの地域で戦火は収まっていた。

だが、反帝国が滅びるまで、駐留軍の負担が大きく復興には及ばない。



沿岸部は大陸で最も豊かな地域。

それは占領下でも変わらない。


なまじ豊かだからこそ、最盛期、帝国に侵略される前が想い出される。

まだ、十数年。

人々の大半はその時代を覚えているのだ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――おそらくは美化されて。


拍車をかけるのが、統一世界の負の側面。

文化的対立。


帝国兵の大半は内陸部後進地域出身者。

細かな摩擦は数え切れない。


純粋な帝国人、竜の民は極少数。


だが、人々を、主に犯罪者とはいえ、竜に喰わせるのだから愛されはしない。

元々、人間を餌とは見ない(小さすぎて身が少ないから)竜に人を喰わせるのは竜騎兵必須訓練。

だからよけいに嫌われる。


力を失えば、帝国と名が付くものすべてが襲われるくらいには。



「我々も降伏しない戦闘員を保護しません」


如何に資料として価値がある帝国貴族でも。

戦う力と意思がある限り、落ち武者狩りを禁止はしない。

推奨もしないが。


帝国撤退から脱落した帝国貴族やその家族などの非戦闘員なら別。

低コストで回収できる貴重なサンプルとして保護する。



「さて、こうして我らと彼らは戦線を形成しにらみ合っているわけだが」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――電子音。



合衆国大統領に視線が集まる。



「私だ」

補佐官(合衆国陸軍佐官)が渡した携帯。


「新種か」

軍事参謀委員会の軍人達が一斉に緊張した。常任理事国代表には傍らの将校が囁く。



「脅威度A」

広がる安堵。

Aは知的生命体。

新種知的生物の発見は、異世界転移後の日常。久しぶりではあるが、二カ月ぶり、か?

バイオハザードではない。

いまのところは。



「人型、エラ、水掻き」

ざわめき。委員会中央の3Dディスプレイが切り替わる。

検索結果――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――『該当なし』。




「地元住民初見」

広がる不安。脅威度Sの可能性。ディスプレイに場所がマーキング。


「違う?イカの中から採取?」

合衆国大統領が指示。


「北方測量艦隊、記録、クラーケン」

艦隊航路表示。捕獲生物情報表示。日時。大陸の遥か沖合。


むしろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・列島に近い?

海軍関係者がコンソールを操作。

国連海軍旗艦ブルーリッジが接続し、海軍司令官が軍事参謀委員会に参加。

第七艦隊以下国連軍海上部隊にアラート。



「WHO待機近傍」

ディスプレイには表示されない。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――検索結果『該当なし』。


合衆国大統領の視線が衆議院議員へ。彼は秘書から渡された携帯を指して頷いた。



「WHO対応済だ」

WHOから進捗データが入る。

用意済みテンプレートの実行結果と付帯項目だけが表示された。

日本中の学者が担当者によって、専用端末に縛り付けられているころだ。




「エルフ、リボン、全部とんだ?スカート??」

報告者が秘話回線を使えない為に、口頭暗号をまくしたてているらしい。


「接触者三名、間接八名、150m圏」

それが解るのが、この場では合衆国大統領のみ。そもそも重大事とはいえ、なぜ大統領に直通?



『指示はその場の三佐に一任、周辺部隊優先指揮権を・・・・すでに?』

『地元住民にとってもファーストコンタクトなら、感染の可能性がある』

「バイオハザードがなくとも海の脅威は最優先だ」

『本土防衛線再チェック』

『沿岸自治体の警察報告書をすべて集め直せ』

「ああ、地元の連中を行かせる。阻害要素もすぐに出させよう」

「リストが着いたら全員国連出向にして連行」

「処分は貴国に頼めますかな」

「なら、こちらは」

「うちはこれを」

「なら事故処理はわたしが」

「おじさん、こちらもですか?」

『音紋データを、海中聴音データ再チェック』

「そんな余裕があるか。SamplingSoftとまとめて公開しろ」

「よろしいのですか」

「誰に隠す?暇人が1万人も食いつけば何か見つかるかもしれん」

『ネットに釣りをばらまきます。海棲美少女発見!とか』

『AHURAシステムに流すデータは30分以内。まずは食いつかせればいいからデータは適当で』

「MK17は?種類はこだわらん」

『ASROCにW44を』


軍事参謀委員会。

再開まで30分ほどかかった。




【平和憲法の本音】


国連中心主義。


現在の日本議会与党連合が掲げる政治思想である。もともとは議会指導者である一人の政治家が提唱した政策であった。


これについては一つの物語がある。

ある、他人の戦争についてこんなやり取りがあった。



「なぜ君たちは戦場に来ないのだ!君たちも石油を使うだろ!!」

「いや、戦費だしてやったろ。ウチの国民一人当たり100ドル出してんだぜ?」

「なら俺が100ドルだすから代わりに戦場へいけ!!!」

「おいおい。そんなはした金で足りるかよ?お前ら兵士が一人100ドル出しても五千万ドルぽっちじゃねーか。まったくこれだから貧乏人は。いいか?『一人当たり』ったろ?最低でもお前の妻と子供と両親と兄弟とそのまた子供の分くらいだせや?なんなら、お前が選んだ議員に『戦場やだから人頭税で100ドルとる法案を提出してください』って言ってみ?『お前が死んだほうが安上がりだ』って追い出されっだろーけどな。俺が選んだ議員先生はな、おれの一票を守るためなら『一人100ドル出せ!!』って言った上で実現したぜ?ほれ、金出せないなら血を流せ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・というわけで、



「世界の中の日本の機能を鑑みれば、安保タダ乗りは当たり前。俺が稼いで君が死ぬ。役割分担は人類の基本」

「兵隊しか出せない国で兵士が何人死んでも他に誰も困らないが、世界恐慌が起こればみんなが困る。君たちも兵隊にしなきゃ税金も払えない貧困層を砂漠に捨ててんでしょうが」

「第一、石油を飲んで生きる人間はいないのだから、誰が石油を支配しようと売らなければならず、こちらは誰から買っても困りはしない。独占で値上げ??OPECはどうなった?抜け駆けばかりで独占なんてできやしない。結局、強いのは資源じゃなくて金さ」



という本音を隠して、



「いや、うち、憲法があるんで」

「人類の理想を捨てるわけにいかなんで」

「なに?平和なんて捨てていいって言いたいの??お前の国の総意なの?そう言い切れんの???!!みんなに聞いた!!!?????国民投票した?????????????」(逆切れ)



と適当にかわしてきた。

それが限界に近づいたのは理想の賞味期間ではない。血を流す役目の国が疲弊してしまったからだ。まあ、利益と関係ない活動を繰り返せばそうなる。

戦場で勝ち続け、戦争で敗け続けて、勝った勝ったと言い続けて、一世紀保っただけすごい。



勝てり、敗けり、言いえり・・・・・・あれ?

そういうのもチートと言うのだろうか?





じゃ次、いこうか。



と言ったかどうかは知らないが、ある日本の議員とそのブレーンたちは次のプランを取り出した。

「アメリカがダメなら国連を使えばいいじゃない!」

どこかで聞いたフレーズ。

彼らの十八番。


要は「戦争のアウトソーシング」と考えればいいだろう。

自前でやっても割が悪い部分を外注に出してしまうのは当時の流行でもあった。


戦争に伴う経済的コストは共同分担金で処理。

国防予算より外交予算の方が内外に聞こえがいいし、安くつく。


政治的リスクを「理想化した国連」に押し付け。

実際にPKOのスキャンダルやら虐殺やら誤爆やらいろいろあるが「共同責任は無責任」に国際連合ほど都合がいい場所はない。


という本音を隠して、



「いずれ人類は一つの社会になるべきであり、その平和と安全を守ることができる組織は国際連合しかありません!」

「問題がないとは言いませんが理想は目指すもであり、我々人類は必ずそれをかなえます!!」

「なんですか!人類は永遠に別たれ対立し永遠に不幸と不幸せを再生産し続けるって言いうんですか!!そんなことを子供たちに言えますか!!!!ご先祖様に報告できますか!!!信仰に誓って言い切っていいんですか!!!!むしろあなたが理想に背を向けているから、人類が前に進まないんです!!!!!!!!!」(逆切れ)



と推進してきたのが意外にも日本だったのである。

そして綺麗事で飾り立てた実利というやつは、いずれ実現するわけで・・・・・・・・。

既に国連決議なしで軍事力行使ができない時代が訪れ、さて次は、と思ったら異世界転移である。


じゃあ、最終段階までマキいこうか。


50年分の一斉処理が決定した。

日本の政権与党の中で。




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