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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十三章「未来予定図」

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幕間:プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神/20世紀の名著

前文に載せる予定の作品解説用の資料なのですが、前書きの字数制限が2000文字ということを失念しておりました。

ので、本編とは別に幕間として投稿致します。


興が乗って書きすぎた部分もありますので、読まなくてもストーリは追えるでしょう。

たぶん。


週二回更新にカウントしませんので、ほどなく本編も投稿致します。

【用語】

『マックス・ウェーバー』

:中部欧州(プロイセン~ドイツ帝国~オーストラリア帝国~ドイツ共和国)の社会学者(当時は分野が混交していたが概ね比較文化や宗教学が専門)、軍人、政治家。国家の生成消滅が日常的な19~20世紀の狭間、「神は死んだ」とか言っちゃう人が生息しているあたり。社会学者のユートピアを富裕階級として楽しんだ趣味人。とりわけ「資本主義」をプロテスタント狂信者が生み出した「儀式」と活破した「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」が有名。


なお「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」という書籍自体は常と変わらぬように現代日本では誤訳誤読されて経済学書扱いとなり「資本主義肯定論」の聖典となっている。社会学の基本知識が無いままに薄っぺらい経済漫談家が字面を追っても、そりゃ理解できないわな。



キリスト教原理主義者による「禁欲主義」と「運命論」がいかにして「金」を神にしたてたのか?


その論理構成は秀逸。


「神は唯一絶対」ゆえに「人の行いは神の意志」である。

はい!

運命論誕生。


禁欲主義とは「快楽は罪である」ということ。

ならば「なにもしないことは楽しい」から罪である。


基本的に三日に一日働いていたと見なされる江戸時代に「寝るより楽はなかりけり」と吟われるくらい。


そんな悪徳を清貧万歳なプロテスタントは赦さない。

どのくらい「悪」かと言えば「働かない者は罪深い」から「飢え殺せ」ってくらい。「働かざる者、食うべからず」と言い出しっぺ。

救いは世界が終わった後にあるので、生きてる間は必要ない。どんな救いかは諸説あります審議中。

「働いたら負け」と江戸の町中で踊っていたら、「だよな」と働く皆がおごってくれた

――――――――――そんな逸話がある文明には理解できない。

故にキリスト教原理主義世界で人は「苦しむために/楽しまないため」働かなくてはならない。


なぜか?

キリスト教は「不幸」を肯定する。


本来の、原始キリスト教には関係ない。

だが「キリスト教」が完成された時代は「暗黒時代」の中世欧州。

現代と大差ない文化を誇ることなき「当たり前」として享受したローマ帝国。

かのローマ帝国無き跡、訪れた暗黒時代。

幸せとも思わなかった飽食の過去を、皆ではっきり伝承しながら過ごす地獄。

天獄を知り尽くした者たちが、味わう

「明日は今日より必ず不幸になる」

一千年。


頑張れば頑張るだけ悪くなり、耐えても堪えても更に悪くなる。

フィクションで取り上げられる「絶望ゴッコ」とは意味が違う。

もし勝てないほどに強大な敵がいてくれたら、どれほど幸福か。

そこには倒すべき敵すらいない、正しく言葉通り望みは絶えた。



そんな世界に宗教家。


希望を説いて皆殺しには出来ない。

諦めさせても皆が死ぬだけだ。

絶望と皆で仲良くするため

「不幸を求めさせる」

以外にやりようがない。


ローマ帝国絶頂期に誕生した泡沫宗派の教祖、教義とは無関係。

全員を罪人にして、現世を全否定し、絶望を希求させる。みんなをまもるために。

だから世界、狭い範囲でも、世界宗教に成らざるを得なかった。


それは有効だったろう。


だが問題は、暗黒時代の方便が、そのまま後世に伝わったこと。

それはそのとき、必死に生かそうとした宗教家の責めではない。


たかだか一千年の方便を「当たり前」と受け入れ続けるのが馬鹿なのだ。


馬鹿は周りに馬鹿を強いるが、いつの時代も同じ

――――――――――働けば働くほど稼げる、が、費やしてはいけない。


金を遣うのは楽しい。

楽しいことは悪。


もちろん寄付するのも悪。


何故なら善をなすことは、悪をなすと等しく「運命=神」を否定するから。


運命論は人が意志を持つ事を、「神の否定」とする。よって人は、信徒ではなく、全人類は「苦しむために/楽しまないため」神の意志によって定められた労働に励むこと。それ以外は禁止。稼いだお金は遣わなかった証拠を記録の上で保管。ただただ貯め続けて、額が大きいほど「働く以外の事をしていない」ことになるから、正しい信仰をもっている。


「苦しむために/楽しまないため」なのだから、勘違いしないでよね!


かくして消費されない資本が蓄積され、信仰の額を記録する簿記会計が発達し、蓄積された資本は更なる仕事を作り「苦しむために/楽しまないため」ために投資される。資本の資本による資本のための社会=「資本主義」の誕生日。


あれ?

神様までいなくなってますがそれは

・・・・・・・・・・目的と手段が入れ替わるって、それ一番いわれてるから。


残業革命の原動力だそうです。

つまり「造っては捨てて、造っては棄てて」の過剰生産社会と環境破壊はプロテスタントが原因。


・・・・・・・・・カトリックから火炙りにされるわけだ。

日の出から日の入りまで、長い休みとサボりを交えて働く。

それが理想だと言う世界がどうされたのか?

言うまでもない。


現代先進国の世界観は、弾みと偶然と狂信がもたらした。

そこに合理性や必然、理性などは全く「無い」ということ。


「生態系の異端(がん)」と呼ばれる現世人類の「在り方」は、たかが百年ほどの間に「偶々」生まれ、「偶然」定着し、「惰性」で続いているだけ。


と、言うようなことは1904年には書かれていたんですね。


なおその論文は「20世紀の名著」トップ10常連です。

ただし、本当に読んだ人がどれだけいるのか、まあ、良くあるよくある。


ドラえもんが来たら、机の引き出しに飛び込もう。

ルターが産まれる前に、両親の洗礼を妨害しなきゃ!

(人類への義務)




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