岡目八目

成功することは、とても簡単なことだ。

ありとあらゆる失敗をするだけでいい。

一人の人間に与えられた時間を百年としよう。

人生が有限ならば、可能性も有限だ。

近似値を排除すれば、総当りで十分だろう。

成功しようとしない人間は、限られたリソースを分散する。

試しつくさないから、成功する前に終わる。

難しいことなど何もない。

成功してから次に進む。

それだけで足りる。

科学的結論。

「諦めなければ願いはかなう」

諦めるから成功しない。

人ひとりにですら容易いこと。

ならば。

人類総体で考えればどうかな。

人類が不可能を発見する日が来る。

残念ながら、今日ではない。

だがいずれ、それは必ず実現する。

論理的に考えて、人類にできないことなどあり得るだろうか？

【国際連合統治軍第１３集積地/聖都市内/中央/大神殿（改め建築楽器）内/中央/青龍の貴族】

俺は間違いを犯さない。

ということにしている。

この言葉に一切のウソ偽りはない。

だが失敗を犯さないわけではないし、至らない点は多いし、人に迷惑をかけることも多かろう。

だから片づけてくれたお礼は言うし、至る誰かを声援し、見逃してもらえるくらい仲良くする。

迷惑をかける前にお礼を言って、やってもらう前に応援し、赦される前に許された雰囲気創り。

幼稚園の頃、綺麗な先生は言いました。

先手必勝。

転ばぬ先の杖。

悪いことをするときは事前に謝る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ではなく。

いけないことをしたら反省すればいいんですよ。

――――――――――すばらしい！

反省の多い愉しい人生を気楽に生きてまいりました。

世は全てことも無し。

――――――――――完全武装の友軍に突撃されていなければ。

今後もよろしくお願いいたしますが同意を求めてはいませんので念のため。

さて。

誰にどの程度を迷惑をかけるか把握しておくのは大切ですよね。

よって把握済み。

俺の欠点。

数ある中で、その一。

相手が女だと緊張しない。

日常生活であれば、そも緊張する訳もない。

そんな当たり前の話ではなく。

いわゆる一つの非日常でも、相手が性別女ならＯＫ。

相手が逆上していても刃物を持っていても、って話。

何の根拠もないですよ？

解決策なんてもってのほかです！

その場しのぎできるなんてとんでもない！

男と女の話じゃないしね、いまのところ、今後生きてれば別として。

だがピンチがチャンスであるように、弱点は強みで欠点は長所にもなる。

――――――――――ならない時もあるが。

それは別に、欠点ばかりなら長所が目立って良く見える、って事だけじゃない。

の○太の長所は誰でも知っているが出木杉○の得意技を誰が知っていようか？

そこはそれ女を口説くときだけではなく、とっても、役に立つのは間違いない。

すべてが平均以上であるより、抜きんでたポイントが一つの方が売りやすい。

―――――――――――――――――営業職、今は自宅で子育てと異世界研究、なダチが言っていた。

では今は？

まったく緊張していない。

ちょっと、普通出来ることじゃありませんよ？

そりゃあなた、７.６２ｍｍ口径のフルオート狙撃銃にがっちりトリガー指掛けで向けられても遊んでいられた、くらい。

これが男の射手だったら凍り付いていたことは間違いない。

女が相手なら向けられたナイフでも受け流せるが。

男にナイフを向けられたら先制攻撃を止められないだろう。

※第１９話＜Rules of Engagement/ＲＯＥ/交戦規程＞が実例

先進国では過剰防衛で逃げ出す羽目になるんですよこれが。

相手の強弱、殺意の有無なんかわからんが、挙動を視ずに反射的に。

相手が強そうなら逃げるとか、先制攻撃に限らず手はあるのに。

相手が弱そうなら脅すとか逃げるとか、どーにでもなるのに。

敵っぽいのが男だってだけで、犯罪者にならないために逃げだす羽目になるんだ、これが。

刃物か鈍器程度であれば、であって、銃以上だと賢明にもフリーズできます言われる前に。

よくないよくない。

反省しよう。

ではこの時はどうかといえば、悪くない。

別に良いとは言ってないし、決まってない。

良いか悪いかこれから次第、の悪くない。

今の時点で言えば、いつものようにフリーズしてない。

いやずっと銃口を向けられてるのに、けっこう平気。

行動を思いつかないから動かないだけ、動けなくない。

動かないと動けないの差は如何に？

思いつかないから考えよう。

指揮は全て曹長に任せて、全体像を把握しなければ。

おおっと、指揮官みたいだ。

全体像？

作戦域の全体図ではない。

彼我の戦力差でもない。

侵攻中、いや侵攻され中、ないし進行中の概況なんかどーでもいい。

狂気、いや凶器をもった女に迫られることはある。

たまに。

希によくある程度には。

狂気は怖いが、凶器は怖くない。

俺を刺そうなんて思うってことは、それだけ親しい証拠。

親しい相手から無視されると、普通は消沈して落ち込みます。

相手にしないだけで泣きついてくるのが、ふつーふつー。

人は構ってほしい時にキレるのだよ。

そこで構ってあげると、引っ込みがつかなくなるじゃないか。

しかも、もっともっととなるよね、普通。

そうなれると相手も、俺を刺さざるを得なくなるじゃないか。

可哀想に。

というわけで、女子どもがキレたら無視。

これ基本、鉄則、ぜったい条件。

男がキレたら、殴れば治る。

むしろ殴り倒してあげよう。

そのほうが引っ込みがつく。

これはついでだが。

今はアレ。

兵器を持った女たち。

俺の人生で初めての体験です。

殺意もなしに銃やナイフを人に向ける三佐

――――――――――女のカテゴリーじゃない。

元カノは装備を持ちだしたりしない。

――――――――――なんだかんだでただの女ですよ？

では一個小隊の完全武装。

おねいさんず。

狂気？

平気？

兵器？

まさに見所、勘所。

女が俺に向ける視線の意味は？

俺の得意分野ではないか！

【聖都/聖都市内/中央/大神宮内/巫女の胡坐/青龍の騎士団陣形中央/青龍の貴族の左前/お嬢】

あら。

あらあら。

あらあらあら。

わたくしとしたことが――――――――――狼藉者かと思いましたわ。

青龍の敵手たる赤龍は、ここにいますもの。

ご領主様を女の色香で籠絡する構え

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なれば敵襲のハズが無く。

まあ、では何か、と言えば、とても判り易いこと

――――――――――わたくしの役目。

また、ですわね。

十、一六、二十

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女ばかり。

青龍の、ご領主様とは別な騎士団

――――――――――女、騎士団に詰め寄られましょうとは！！！！！！！！！！

またまた、ですわね。

わたくし、たちを、ずっとずっとずっ～～～～～～～～～～と常に弄び続けて、まさか合間に口説いていない、とはいえませんが。

もちろん、わたくしたちが召し上げられる前、ご領主様が苛められた、昔の女なのかもしれませんが。まったく慌てずに一人一人の肢体を愛でるが様は、まったくもって、ご領主様。

お引き取り願います

――――――――――これ以上、列をのばされはしませんわよ！！！！！！！

【国際連合統治軍第１３集積地/聖都市内/中央/大神殿（改め建築楽器）内/中央/青龍の貴族】

俺はそもそも、戦闘自体が専門外。

自衛官として自信があるのは、書類仕事と塹壕堀と行軍です。

それだけだと言っても過言ではない。

穴に隠れても戦えないし、戦場には着けるが戦えない。

掘った後は埋める。

誰かが落ちないように。

行った後は眠る。

メシは起きてから。

そんな俺に対峙している、たぶん、無視されてないと思う、銃口は微妙にそれている今は、な相手はプロの戦闘職。

白旗あげてもいいですか？

認識番号からいいですか？

捕虜は捕ってくれませんか？

ＮＯ１、彼女の部下たち、おねいさんず。

対峙するのは？

軍政部隊を率いる曹長と、俺の部下たち。

注目の一戦です。

俺は見物客。

常に俺を立て、俺の承認を求める曹長

――――――――――緊急事態にそれはない。

曹長は全体を一瞥。

各自が必要な動作をしている。

動けなかったのかもしれないが。

全周警戒中のまま。

たいへんよろしい。

だが今、緊急事態といえるかどうか。

いや、曹長の判断に逆らわないけどね。

突入された方向が一方、もしくは一面ないし偏りがあるなら？

反対側に即時撤退、距離を空ける。

受け留めるより受け流すわけ。

殿が背後に手榴弾をバラ撒きつつ、撤退方向に火力を集中。

追撃は発破で防ぎ、予測される退路待ち伏せを全火力で強行突破。

それがセオリー。

全周複数箇所から突入されたら、陣形保持。

全周弾幕を張り包囲の粗を探す。

兵士は均質化が原則だが、限界はある。

個人差により、一番弱い場所はできる。

小隊規模までの戦闘なら、それはカバー出来ない。

そこを退路にする

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そこってどこか？

撃てば判る。

撃たれたら判る。

撃たれた時、撃った時。

反応、反撃じゃなくて、が鈍いところが敵の隙

だからこその全周斉射。

――――――――――だそうです。

全周射撃の目的はこれ。

迎撃牽制はついで。

ただ敵を倒すなら、全周じやなくて集中。

味方を盾と矛に分ける。

盾が殺される間に、矛かどれだけ殺せるか？

それが、今回のテーマ。

本来ならね。

そして戦闘は小隊単位の組み合わせだ。

だから指揮官レベルはそこまで。

がんばれ曹長。

見極めて、指示するまえに動けるようにできる

――――――――――って曹長が言うから出来るんだろうな

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺以外には。

結果はどうあれ、曹長以上のことは誰にもできない。

仕方ないことなんぞ一つもないが、俺には何もできない。

観て感じて、考えて動かない。

何もしなくても、殺されることはある。

それが見物セオリー。

何も出来ないなら応援してよう心の中で。

がんばれ曹長。

がんばれＮｏ１。

味方の生死がかかっているぞ？