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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第十三章「未来予定図」

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528/1003

目的と手段。

【用語】


『Mk.11』

:SR-25の軍用正式名称。SR-25とはつまるところ7.62mm版M-16/M-4小銃。(なぜ5.56mm系統が多数派として残され、実戦部隊が7.62mmに回帰しているのかという話はこれまでもこれからも時々だします)Mk.11が登場した理由はM-14のリサイクルでは追い付かなくなったから。M-14はフルオート時代以前の形式を踏襲しているために、連射した時の安定性に難がある。最初に配備された時はセレクターを固定してフルオート機能を使えなくしていたくらい。ポンコツな兵器開発者を現場が勝手にフォローするのはあの国の伝統です。だから自爆兵器が量産されるという噂もある。オスプレイとかオスプレイとかオスプレイとかF35とか。そもそも「フルオート射撃の機会なんてめったにないし、機関銃でいいじゃん」という前提は変わらないから別にいいけど。が、実戦に耐えられる要員が資質と予算の両面で減少すると、少ない人数で前線を支える必要が出てきた。一山いくらの半徴集社会不適合者の志願兵を減らすと銃後の社会が破たんするので、陸軍内で隔離しないといけないお家の事情。その為に少数精鋭はもっと少数になり「いざという時の戦闘中の万が一、連射が必要になった時に困らないように」SR-25の正式採用という形にいたる。兵器開発史によくあり成功例絶無の「万能兵器」に近いコンセプトなので先が危ぶまれる。とはいえ実際には職人的選抜を受けた極少数精鋭がセミオートで使うんだから問題は顕在化しないと予想。ますます一般兵士が「おもちゃの兵隊」化していくことだろう。



『国際民主同盟』

:保守政党の国際的社交会。共産主義者は親の仇。極右主義者は商売仇。議会制民主主義国家の政党であることが参加の第一条件。発起人には日本の保守政党議員も名を連ねており、有力会員でもあったが1997年以降に退会した様子。経緯不明につき情報もとむ。合衆国で言えば共和党サイド。本部はロンドン。異世界転移後は英国大使館。


『自由主義インターナショナル』

:中道政党の国際的社交会。共産主義者は人類の敵。極右主義者は公共の敵。共産主義インターナショナル(コミンテルン)は遥か昔に解散。社会主義インターナショナルは「民主化予定国家」の取り扱いを巡り内紛中。「インターナショナル」と名が付く古参社交会はここだけになってしまった。合衆国で言えば民主党サイド。本部はロンドン。異世界転移後は英国大使館。



民意というものは操作できない。

選挙の勝敗こそ操れはしても、得票数が変わらないようにね。


過去の選挙を見て見たまえ。

与野党の総得票数は、ほとんど変わらなかった。


それぞれに固定の支持者がおり、不動の岩盤の上に在る。


これは特段、日本だけの現象ではないよ


いやむしろ、英国や米国の方が顕著だし、西欧はじめ議会制の特徴といっていい。

より正確に言えば、選挙制度がある国では人類の性質を確認できる、ということ。


だからこそ、その現れかたは国情に左右されるのだがね。


例えば、日本では政権交代が議員の移動で生じる。

支持者が動くのではなく、議員が動くわけだ。


この点は合衆国でも似ているね。

しばしば造反議員の動向で政権が追い詰められる。


両者の違いは党議拘束の有無。

それがあるから日本では離党して対立する。

それが無いから合衆国では党内で対立する。


だからこそ、政党は議席数より得票数を見る。

政党は選挙のためにのみ存在し、選挙は流れの中に在るからだ。


選挙ごとの総得票数が変わらなければ、戦機を見極めるだけ。

総得票数に増減が生じれば地殻変動の証拠となる。

そうなればタイミングの問題ではない。


総得票数が減り続ける政党は、終わっている。

タイミング一つ、状況一つで局地戦を制しても、意味が無い。


総得票数は常に公開されているから、見てみると面白い。

お奨めだ。



だが、民意は絶対条件ではない。


民意を得ておけば権力を得られる?

そんな訳が無いだろう。


民衆は強くなどないのだよ。


「榴散弾一つで革命など消しとばせる」

と豪語したのはナポレオンだ。

そして、それは正しい。


撃てなかったからこそ、ルイ16世やニコライ二世は処刑された。

罪のない支持者や家族ごとね。


忠誠を誓う兵士など幾らでもいた。

王が断固たる姿勢を見せれば、パリやモスクワを灰燼に帰することなど容易かろう。


だからナポレオンは、外国軍の手に因らずして倒されなかった。


それは今でも同じだ。

例えばタイでは選挙結果が出ると司法の手で政権政党代表が訴追される。


訴追に抗議すると政党が非合法化される。

司法に抗議すると軍がクーデターを起こす。

軍の監視下で民政復帰しても多数派は反政府。


少数与党で民政復帰を装うが、また、振出しに戻る。

これは一例だが、パターンでもあるね。


民意が確定する。

司法が否定する。

民意が司法を否定する。

国家の強制機構が民意を否定する。

そしてまた民意を問うて、振出しに戻る。


見覚え、聞き覚えがあるだろう?

では我々議員は、なぜ、民意によって立とうとするのだろうか?

何の力にもならないというのに?


民意が正しいからだよ。


人が求めるところ以上に、人にとって正しいことがあり得るだろうか?


正しいことをするのは、それが有利だからではない。

正しいことをするために、有利でなければならない。


故にこそ、民意を道具だと思う連中は、最初から敗北している。

正しいと思っていないが、力になると勘違いしている。


それは存在しない杖に寄りかかるようなものだ。



《東京都千代田区一番町1/駐日英国大使館/国際民主同盟・自由主義インターナショナル合同総会/祈念講演会》




【国際連合統治軍第13集積地/聖都市内/中央/大神殿(改め建築楽器)内/中央に侵攻中/青龍の貴族】


俺はゆっくり歩を進める。

素早く動いたり、突然の挙動は厳禁だ。

スナイパーを刺激する。


そ~~~~~~~~~~~~~~~~~っと。

動く俺。

そ~~~~~~~~~~~~~~~~~っと。

動くMk.11の銃口。


俺を狙う、おねいさんず。

射手2名、観測手1名。


支援隊員は見えないが、あと2人くらい?


予備弾薬を担いだ小銃手がついているだろう。

三分の一くらいがスナイパーか。


全部で5人以上が三セット配置。


一度に構えるのは各チーム一丁ずつ。

待機中は負担がかかるだけだから。


一人が構えるときは、もう一人は即応待機。

何時でも構えに入れるように、自分の肢体に負担をかけないように。


構えを解く。

解くだけ。


撃つときは全員か。

なら銃口は倍増するな。


隠す気が無いから、素人(おれ)でもわかる。


威嚇。

警告。

恫喝。


コミュニケーションの余地はある。

まあ、既にそうしている、ともいえる。

態度は言葉より雄弁だそうですし。


特に銃口は。


本隊は大神殿外郭にとりついているんだろう。

が、さて、突入想定の開口部は、狙撃ポイント近くか遠くか。


近く。

火力を集中しやすく、相互支援のコストが減る。

反撃も集まりやすい。


遠く。

反撃を分散させやすいし、優位な戦力で火力をカバー。

相互支援に慣れが必要。


女性自衛官、有志が集まったなら、普段から同じ部隊じゃあるまい。

なら?

って、まあ。

わざわざ偵察ユニットで確認するほどじゃない。


重荷を背負って征く人を、見て楽しむほどドSではないので。


俺まで重く感じてしまうので、やめてほしい。

羞恥に惑乱している女を見るならともかくね。

人の道に外れていると思いませんか、アナタ。


いやほんと、たいへんだな、と。


Mk.11狙撃銃だけ、弾倉抜きで5kgオーバー。

M1911A1 MEUは弾薬抜きで1kgオーバー。

それにプロテクターで全身を覆い、予備弾倉や給水器を身に纏う。


大神殿外郭は観光用コースじゃないし。


礼拝だか参詣だか巫女さんトークだかに集まってきていた人々。

往時の大神殿では、みな階段を昇って出入り口から出入りしていたとか。


俺たちと同じだね。


外壁代わりの外殻柱列は、楽器替わりの風通し。

音が乱れる異物は置かない。


開口部は人が出入りできる大きさではあるが、人が通りやすいようには造られていない。


ところどころに綱を通せるような、つま先をかけられるようなとっかかりがある。

掃除や補修、点検の時はそれを使ってたんだろうね。

つまりメンテナンス時は別にして、外郭に人が逝くことは想定されてない構造だ。


外郭に通路や待機場所が無い、ってこと。

俺たちを避けて、わざわざそこにとりついている、おねいさんず。

ラぺリング用具は増加予備弾倉他と合わせて専任隊員が担いでるんだろうけど。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・装備がガチすぎる件。


どっから持ち出してきたんだ。

Mk.11、M-14じゃない。


故にこそ、おねいさんずのガチ度がよくわかる光景です。


Mk.11って米軍の中でも少数装備だろ。

特殊部隊専用装備。


使い捨て実質徴集兵用の5.56mm小銃なんか使い物にならない。

そーわりきった米軍は実戦の要には7.62mm小銃を配置している。


だから狙撃銃にはM-14系列のM21が広く利用中。

んが、フルオート連射時の安定性に難があった。


M-14がセミオートからフルオートへの過渡期に造られたから仕方がないね。

そもそも7.6×51mm、はフルオート連射を想定した弾じゃないし。

強装弾というべきか弱装弾じゃないというべきか。


外れて当然、当たったら儲け。


敵に反撃の間を与えず牽制し、殺すのは砲撃爆撃の役目。

そんないわゆる制圧射撃を、銃設計時に想定していない。


一発必中致命傷、一弾一弾が人命とイコール。

そんな時代の武器だ。


とはいえ5.56mm全盛の時代を通して見れば、フルオート射撃の機会などめったにないと判明。


そもそも圧倒的な制空権と砲撃火力が自在に使える?

ならば制圧射撃の意味すらない。

そんなそもそもを実現できるような国が最初は一国。

今はもうないとなればなおのこと。


それはつまりフルオートの意義が一発必中時代の軽機関銃に還元されてしまった。

そーいうこと。


なら機関銃でいいよね。


弾薬手が予備弾倉を山ほど抱えて、移動。

小銃の携行弾数と発射速度に追い付けない制圧力で敵を牽制。

敵を始末するのは支援を受けた歩兵の小銃。


そりゃフルオートにお呼びが無い。


いわゆる一つの試行錯誤、軍事思想史でよくあるよくある。

だからといって、戦争が無い時代だから普及したジャンク兵器を棄てもできない。

平和が続いて予算が無いし、半世紀の徒労を認めれば責任問題。


そこで各国軍、特に規模が大きな軍は、実戦に投入されるのが確実な少数部隊だけ装備更新。


Mk.11狙撃銃も、その一つ。


少人数、限られた戦力での運用前提。

M21の狙撃性能を絶対に落とさない。

フルオート精度を可能な限り向上。

機関銃の制圧力を、補填できるように。


兵器はもちろん、それを運用できる資質のある者を選抜して訓練させる、等々。

時間と手間と経験と人手。

装備更新に伴う、ありとあらゆるリソースが限られてるんだから、仕方がない。


M1911A1 MEUも、その二つ。


こちらはと言えば、現用国際連合軍全装備の先駆者だ。

モスボール保存されていた兵器に目を付けたのが、異世界転移後?


んな、わけがない。

むしろ前からちょくちょくやっているからこそ、発想実行運用までスムーズ。

結果、俺たちの手に山のような実用品。



俺の手にわたってるのは、オリジナルのM1911A1だが。


MEUは、だいぶ違う。

モスボール品のM1911A1をレストアして部品を交換補強した逸品。

合衆国海兵遠征部隊、日本にも居たし異世界にも来ている、彼らの御用達。


つーか、MEU(Marine Expeditionary Unit)って海兵遠征部隊の略称まんま。


9mmパラベラムなんかで敵が死ぬか!

一発必殺!

致命傷でもまあいい!

だが手当で助かる9mmパラベラム、おめーはダメだ!


という熱い主張と、実戦以外は想定できない部隊の性質による。

ま、9mmパラベラムって命中精度が命だからね。


殺すのには向いていない。


拳銃射撃で求められるのは、当たる銃では無くて当たる距離まで近づける射手。

だからこそ、確実に一発で敵を殺せないと、その兵士が死ぬ。

殺し難いからこそ、求められる面もあるんだが。


敵を確実に殺す

―――――――――――――――――――――戦場の理屈。


兵士はそう思うだろう。


安全なのは死体だけ。

撃たなくて良いのは死体だけ。

殺さないのは死体だけ。


だから殺す。


敵を確実に生かす

―――――――――――――――――――――戦争の理屈。


政治家はそう思うだろう。


手がかかるのは生者だけ。

死体は食わない、飲まない、騒がない。

足手纏いは生者だけ。


だから生かす。


永遠に交わらない理屈。

兵士と政治家の間で右往左往するのが、将校ってこと。


御気の毒様

―――――――――――――――――――――俺か。


なおそれは戦場の常識あって、社会の中では別の常識があります。


そりゃ9mmパラベラムが実戦で棄てられるわけだ。

その威力の弱さが、場合によっては大ウケなんですが。


対象の無力化だけで殺したくない。

人殺しの練習意外にやることが山積み。


上手に手足を狙うより、下手しなきゃ死なない弱装弾。

人を殺しちゃいけない時って、意外にあるものですよアナタ。


警察官のトモダチ9mmパラベラム。

だから異世界にも、ほとんど持ってこなかった。

帝国軍捕虜監視役は使っているが。




じっとり暑い今日この頃。

皆さまは「コロナ対策ゴッコ」にいそしんでおられるのでしょうか?


隙間だらけのマスクモドキが免罪符って、中世ヨーロッパ風ファンタジー世界!


思えば「三密」とかいう無知というより無思考が生み出す笑えないジョークを思い知らされたのは、渋谷の街頭でした。


緊急事態宣言(嗤)にともなって一生懸命外出中、知事を名乗るメスの虫けらが大画面で頭の悪いことをまくしたてておりまして。


さすが厚生労働省。

「虫けらの巣」がそこかと知ったときは、「外出自粛」と聞こえてきたので観察に行きましたが。


いや、馬鹿って際限がないですね。


してみると「ソーシャルディスタンス」という、これまた間抜けにしか思いつけない迷信を、さてどこのバカが考えたのやら。



情報もとむ。


それはそれとして。

多くの方々が反知性かつ非科学的な迷信より離脱されるまで、一生懸命頑張ります。

それほど激しくはないと思いますが、スケジュールの遅れが予想されますので。


ではでは。



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